【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ

文字の大きさ
30 / 143
第一章

29

しおりを挟む

 私は気が付いたら寝ていたみたいで、家に着いてからメリーに起こされた。

「まさか馬車で寝てしまうとは思わなかったわ」

「色々とあって疲れてたんですよ。お嬢様はリリヤ様が来てから、あまり寝付きも良くなかったみたいですからね」

 メリーの言う通りでリリヤと会った日から、寝るたびに前世の時の夢を見ることが多かった。

 家族との思い出ばかりでこの世界のことは全く関係なかったけど、今はもう会えない家族のことを思い出すのは正直辛かった。

 夢を見るたびに懐かしさと寂しさで気分が沈んでいた。

 今の私には新しい家族が居るけど、前の家族も私にとって大切な家族だった。

「メリーには隠し事は出来ないわね」

「お嬢様のことは小さい頃からお世話をしてきたのですから当たり前です。私が結婚してもお嬢様のお世話係を辞めるつもりはありませんよ。この仕事に理解ない人とは結婚するつもりはありません」

 私にとってメリーは頼もしいお姉ちゃんなのよね。

 私にはお兄様が居るけど、男のお兄様には話しづらいこともある。

 親であるお母様にも話しづらい時があるから、そんな時にはメリーに相談してきた。

「メリーの気持ちは嬉しいけど、メリーの幸せを1番に考えてほしいわ。貴女は伯爵令嬢なんだから、公爵家や侯爵家に嫁ぐことだって出来るのよ」

 メリーは私の専属メイドだから公爵家の娘に仕えるってことで、私と同等の教育をされている。

 公爵家の娘である私は同等の身分の人や王族と関わることが多い、そんな私に仕えてるメリーがお客様に粗相しないために、同じレベルの教育をしてるのはメリーの為でもあるのよね。

 もしも問題を起こしてしまったら、相手によっては処罰を求めてくる可能性がある。

 相手の身分が高ければ高いほど、処罰の規模が重くなってしまうことがある。

 そんならない為に私やお兄様の専属の使用人は、高いレベルの教育を受けて貰う必要がある。

 だけどそのお陰で我が家の使用人は評判が良いのよね。

「私の幸せはお嬢様が幸せそうにしてるのを見守れることです。ですから絶対にお嬢様から離れるつもりはありませんよ」

 メリーは頑固だからな。

「分かったわ。でももしも何か優先したいことが見つかったら、絶対に躊躇してはいけないわよね。私もメリーには幸せになって欲しいって思ってることを忘れないでね」

「はい!!」

 メリーが私の専属メイドで良かった。

 こんなに無条件で愛してくれる存在は滅多に居ないわよね。

「話はその辺にしてそろそろおりましょう。お二人が話してる間に、心配になってる者たちが集まってますから」

 ノエルの発言を聞いて、窓の外を見ると数人の使用人とお兄様とお父様が居るのが分かった。

「そんなに心配されるほど時間が経ったかしら?普段よりちょっと時間が掛かったのは分かってるけど、あそこまで心配されるほど時間は経ってないわよね?」

「降りてこないから心配してるのかもしれませんね」

 なるほど………

 確かにやっと帰ってきたと思ったら、馬車から降りてこなかったら心配するわね。

 これ以上心配をかけてはいけないと思い、さっさと馬車からおりる。

「イリーナ大丈夫だったかい?」

「えっと………、何がですか?」

 ちょっと遅れて帰っただけで何でこんなに心配されてるのかしら?

「職場から帰ってる途中で大通りで酔っ払いが暴れてるって聞いたんだよ。家に帰ってみたら、イリーナが大通りに買い物に行ったと聞いて、心配になり大通りまで行こうと思ったてたらお前が帰ってきたんだよ」

「もうそんな噂が回ってたんですね。私にはノエルとメリーが居たので問題ありませんわ。それとユーリ様もその場に居て、ノエルと街の警備隊と一緒に解決してくれたので、直接危険な目にはあってません」

「そうだったのか………、ユーリが途中で消えたと思ってたら、また街に行っていたのだな。いつもみたいに甘味を選びに行っていたんだろうけど、結果的に考えたらイリーナを助けてもらったのだから、お礼を言わないといけないな」

 お父様はお礼を言うと言いながら、『でも3日に1回ぐらい1時間以上消えられるのは困るんだよな。いつもなら説教案件だけど、娘を助けてもらったから注意もしづらい』ってボソボソと言っている

 ユーリ様は甘いものを求めてよく居なくなるのね。

 でもユーリ様が宰相になってから宰相の仕事だけではなく、他の仕事も陛下から任されてるみたいだから、息抜きのために仕方ないのかもしれないわね。

 だけどクールな見た目からは想像できないわよね。

「他にもユーリ様にお礼を言わないといけない事があるんです。その場にいるのは危険だったので、私はあの場に居合わせた女性と子供を近くのカフェに誘導して避難したんです。待機してる間に、女性たちの気晴らしになればいいと思って、自分で払う気で飲み物をご馳走したんですけど、知らない間にユーリ様が全て支払ってくれたんです」

 あの時のユーリ様は行動全てがスマートでカッコ良かったわよね。

「ユーリがそんな事をしたのか!?女に冷たいアイツが………、支払いは私から返しとくから、イリーナは安心しなさい」

「お願いします。そういえばお父様は、ユーリ様の事を呼び捨てにしてるんですね?」

「ユーリが小さい頃に我が家に長期間預けられたことがあるんだよ。その時に兄弟のように育ったから、今でも昔の名残だな」

 そうなのね。

 お父様とユーリ様は年が離れてるから、お父様はユーリ様のことを可愛がってたのかもしれないわね。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄のあと、あなたのことだけ思い出せない

柴田はつみ
恋愛
伯爵令嬢セシリアは、王宮の舞踏会で王太子レイヴンから公開の場で婚約破棄を言い渡され、その場で倒れた。 目覚めた彼女は、礼儀も常識も覚えているのに――ただ一つ、レイヴンだけを思い出せない。 「あなたは、どなたですか?」 その一言に、彼の瞳は壊れた。 けれどレイヴンは何も語らず、セシリアを遠ざける。彼女を守るために、あの日婚約を捨てたのだと告げられないまま。 セシリアは過去を断ち切り、王宮の侍女として新しい生活を始める。 優しく手を差し伸べる護衛騎士アデルと心を通わせていくほど、レイヴンの胸は嫉妬と後悔で焼けていった。 ――守るために捨てたはずなのに。忘れられたまま、他の男に笑う彼女を見ていられない。 一方、王宮では“偽聖女”の陰謀と、セシリアの血に眠る秘密が動き出す。 記憶を取り戻せば、彼女は狙われる。取り戻さなければ、二人は永遠に届かない。 これは、忘れてしまった令嬢と、忘れられてなお愛を捨てられない王太子が、もう一度“選び直す”恋の物語。

近すぎて見えない物

あんど もあ
ファンタジー
エルリック王子と一夜を共にした男爵令嬢。エルリックの婚約者シルビアが、優しく彼女に言った一言とは。

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。 彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。 こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。 だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。 そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。 そんな私に、解放される日がやって来た。 それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。 全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。 私は、自由を得たのである。 その自由を謳歌しながら、私は思っていた。 悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

婚約破棄と暗殺で死んだはずの公爵令嬢ですが、前に出ずに全てを崩壊させます

鷹 綾
恋愛
フォールス・アキュゼーション。お前に全ての罪がある」 王太子フレイム・ファブリケイト・ロイヤル・ロードは、自らの失策を公爵令嬢フォールスに押し付け、婚約を破棄。 さらに証拠隠滅のため、彼女を追放し、暗殺まで差し向ける。 ――彼女は、死んだことにされた。 だがフォールスは、生き延びた。 剣も魔法も持たず、復讐に燃えることもない。 選んだのは、前に出ないという生き方。 隣国で身を潜めながら、王弟エクイティ・フェアネス・ロイヤル・ロードのもと、 彼女は“構造の隣”に立つ。 暴かず、裁かず、叫ばない。 ただ、歪んだ仕組みを静かに照らし、 「選ばなかった者たち」を、自ら説明の場へと追い込んでいく。 切れない証人。 使えない駒。 しかし、消すこともできない存在。 これは、力で叩き潰すザマアではない。 沈黙と距離で因果を完成させる、知的で冷静な因果応報の物語。 ――前に出ない令嬢が、すべての答えを置いていく。

乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!

ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。 相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。 結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。 現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう… その時に前世の記憶を取り戻すのだった… 「悪役令嬢の兄の婚約者って…」 なんとも微妙なポジション。 しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

処理中です...