116 / 143
第五章
5
しおりを挟む2人が信じてくれたことにホッとしてると、2人は眉間にシワをよせて難しい顔をしていた。
「どうしたんですか?」
「あの娘が魔法か魔導具を使ってたとして、どうやって証明すれば良いのか考えていたんだよ」
「不確かなままで兄上には報告出来ないからね。何かしら確信を持てる証拠が必要なんだよ。何も証拠もなく、対処法もないのに知らせたら、国を混乱させるだけだからね」
確かにそうなのよね。
私もそのことに悩んで簡単に誰かに相談が出来なかった。
「私とレイチェル様もその事で悩んでました。それと王妃様は魅了されてる可能性が高いと考えております。王妃様が魅了されてるのに、陛下が魅了されてないことも疑問に感じてますわ」
王妃様に魅了をする隙があったなら、一緒に行動してる機会が多い陛下だって、魅了されていてもおかしくないのに、陛下には全くその様子は見られないのよね。
「疑問が増えたな。ミハイル殿下も魅了されてると考えて良いのか?他に誰が魅了されてるのか確認する必要もあるか」
「レイチェル様のお話では、学園の生徒で魅了されてる可能性がある生徒が多数居るみたいです」
「そんなに多いのですか?もしも魅了されてるものが多いなら、色々と問題になりそうですね」
「テイラー伯爵令嬢がミハイル様のお気に入りって事で、テイラー伯爵令嬢の取り巻きになってる人も居るみたいですけど、取り巻きの中でテイラー伯爵令嬢を盲目的に崇拝してる者も居ると聞いてますわ」
盲目的に崇拝してる人は魅了されてるって考えて良いだろうけど、それ以外の人が魅了されてないって保証は無いんですよね。
魅了魔法を使った時に威力を調整出来るなら、誰が魅了されてるのか判断が難しくなってしまう。
「テイラー嬢は何がしたいのだろうな?王太子妃になりたいだけなら、大勢を魅了する理由が分からない」
確かにそうなんだよね。
王太子妃になりたいだけなら、ミハイル様と陛下と王妃様だけで良い。
大勢の人にちやほやされたいとか?
でも魅了した相手にちやほやされて嬉しい?
私なら虚しくなるだけだと思うけど?
「彼女が何を考えてるのかしら私にも分かりません。でも彼女が約4年前からミハイル様を狙っていたのは確かです」
「そんな前から………、彼女が何を考えてるのか調べる必要がありますね。それと兄上が魅了されてないのは何故でしょうね。出来なかったのか、まだ魅了を使ってないのかどちらでしょうか?」
今はそれが1番気になるかもしれない。
陛下に魅了が効かなかったなら安心だけど、もしもまだ魅了をしてないだけなら危険ってことよね。
「ユーリ様に聞きたいことがあるんですけど、魔法などで王家だけで言い伝えられてる話とか無いんですか?」
「うーん、特にないかな?……でも魔法に関係はないけど、王になったものは、王の証である指輪を絶対に外してはいけないって言われてるかな?」
確かに陛下は指輪をいつも身に付けてるわね。
あれが王の証だったんだ。
知らなかった。
「絶対に外してはいけないって、何か理由があるんですか?」
「それが分からないんだよね。300年前にこの国の者たちが大量に、はやり病で亡くなったのを知ってるだろ?王族も沢山亡くなってしまって、生き残ったのはまだ赤ん坊だった王子だけなんだよ」
その歴史ならよく知ってるわね。
感染が高くて王都に居た者達は殆どが亡くなってしまった。
王子が助かったのは、生まれた時から体が弱くて、生まれてすぐに空気が澄んでる田舎で生活をしてたからなのよね。
私の先祖も王子の護衛としてお世話をしていたから、はやり病にならなかったみたいだけど、復旧の為に苦労をしていたらしい。
「指輪の秘密を知ってるものは、他に居なかったんですか?」
「機密情報だったみたいで、ごく一部の者しか知らされてなかったらしい。だけど理由はわからなくても、大昔から言われていたことだから、今でも守られているんだよ」
「そうなんですね。魅了魔法について何か対策になることが有ればって思ったんですけど………、1つお願いしたいんですけど、禁書の観覧許可が欲しいです。もしかしたら魅了魔法について書いてる本があるかもしれません」
「許可してあげたいけど、禁書になってる本たちは本当に危険なんだよ。下手したら亡くなってしまうこともある」
「それは覚悟してます。王宮にある禁書は、開いたら呪いにかけられる物もあると聞いたことがあります」
怖いって気持ちもあるけど、王宮にある禁書なら魔法について載ってる可能性が高い。
魅了魔法だって分かるかもしれない。
1,741
あなたにおすすめの小説
婚約破棄のあと、あなたのことだけ思い出せない
柴田はつみ
恋愛
伯爵令嬢セシリアは、王宮の舞踏会で王太子レイヴンから公開の場で婚約破棄を言い渡され、その場で倒れた。
目覚めた彼女は、礼儀も常識も覚えているのに――ただ一つ、レイヴンだけを思い出せない。
「あなたは、どなたですか?」
その一言に、彼の瞳は壊れた。
けれどレイヴンは何も語らず、セシリアを遠ざける。彼女を守るために、あの日婚約を捨てたのだと告げられないまま。
セシリアは過去を断ち切り、王宮の侍女として新しい生活を始める。
優しく手を差し伸べる護衛騎士アデルと心を通わせていくほど、レイヴンの胸は嫉妬と後悔で焼けていった。
――守るために捨てたはずなのに。忘れられたまま、他の男に笑う彼女を見ていられない。
一方、王宮では“偽聖女”の陰謀と、セシリアの血に眠る秘密が動き出す。
記憶を取り戻せば、彼女は狙われる。取り戻さなければ、二人は永遠に届かない。
これは、忘れてしまった令嬢と、忘れられてなお愛を捨てられない王太子が、もう一度“選び直す”恋の物語。
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!
ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。
相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。
結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。
現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう…
その時に前世の記憶を取り戻すのだった…
「悪役令嬢の兄の婚約者って…」
なんとも微妙なポジション。
しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。
元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜
日々埋没。
ファンタジー
「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」
かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。
その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。
レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。
地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。
「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」
新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。
一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。
やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。
レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
【完結】記憶にありませんが、責任は取りましょう
楽歩
恋愛
階段から落ちて三日後、アイラは目を覚ました。そして、自分の人生から十年分の記憶が消えていることを知らされる。
目の前で知らない男が号泣し、知らない子どもが「お母様!」としがみついてくる。
「状況を確認いたします。あなたは伯爵、こちらは私たちの息子。なお、私たちはまだ正式な夫婦ではない、という理解でよろしいですね?」
さらに残されていたのは鍵付き箱いっぱいの十年分の日記帳。中身は、乙女ゲームに転生したと信じ、攻略対象を順位付けして暴走していた“過去のアイラ”の黒歴史だった。
アイラは一冊の日記を最後の一行まで読み終えると、無言で日記を暖炉へ投げ入れる。
「これは、焼却処分が妥当ですわね」
だいぶ騒がしい人生の再スタートが今、始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる