4 / 78
4
しおりを挟む
「本当に、昔はそんな事もあったわ。彼はその後一体どうしているのかしら?自身の父親を手伝っている話しも聞くけど、本人を見てないから何とも言えない」
韓媛は自分の部屋で、ふとそんな幼馴染みの彼の事を思い返していた。
「そう言えば、そろそろお父様もお話しが終わった頃かしら。久々に皇子の事を思い出したから、昔彼とよく遊んでいた、この住居の裏にある大きな木のふもとに行ってみたくなったわ」
韓媛は急にそう思いたつと、そのまま部屋を出て、近くに使用人達がいないか探した。
そして彼女はその者らを見つけると、自身の行きたい場所を伝える。
またその際には、長時間はいない旨も彼らにきちんと説明した。
そして使用人達から許可をもらった上で、彼女はそこに向かう事にした。
目的の場所は、韓媛の住んでいる住居の裏から歩いて少し行った所にある。
彼女が歩いていると、その場所を涼しい風が吹き抜けていった。
今は丁度、季節も夏から秋に変わる頃合いであろう。
「ここに来るのは本当に久々ね。元々ここは大泊瀬皇子が気に入っていた場所だったわ。皇子が宮に来なくなってからは、余り行く機会もなかったのよね」
そして韓媛の目の前にその木が見えてきた。だがその木の側に誰かが来ているようだ。
「あら、こんな所に人が来てるなんて。一体誰かしら?」
韓媛はその人物が誰なのか気になって、思わずじっと見つめた。
その人物は木を下から見上げていて、どうやらとても若い青年のように見える。
(とても若い青年に見える。服装も立派そうだから、今日お父様の元に来られた方?)
その青年は、後ろから誰か来てるのに気が付いたらしく、ふと韓媛の方に振り返った。
耳の横でみずらでまとめ、髪の先は長く下に降ろしていた。背もそれなりに高く体格もしっかりしている。
(容姿もそれなりに整ってるわ。私よりも数歳年上かしら?)
韓媛はいよいよ、その青年の近くまでやって来た。そして何となく彼がとても見覚えのある顔立ちだに思えた。
青年の方が先に韓媛に何か気付いたみたいで、彼女に声をかけた。
「誰かと思ったら、お前韓媛か?かなり久しぶりだな」
彼は口元に軽く笑みを浮かべ、そして少し威圧的な感じで彼女に話しかけた。
そんな彼を見て、韓媛もこの青年が誰なのか気が付いた。
「あ、あなたもしかして、大泊瀬皇子?」
彼女が信じられないといった感じで答えた。先程まで頭の中で思い返していた彼が、本当に現実として現れた。
「あぁ、そう俺だ。今日は大王の代理で久々にやって来たんだ。それで折角だから後でお前の所にも顔を出そうかと思っていた所だ」
大泊瀬皇子は、相変わらず態度を大きくして彼女に言った。4年たっても根本的な所はどうも変わっていないようだ。
(やっぱり、この皇子は余り変わってないわね)
「これは大泊瀬皇子、どうもご無沙汰してます。まさか皇子が今日いらしていたなんて、本当に驚きです」
4年ぶりの再会とは言っても、何ともあっけないものだなと韓媛は思った。
韓媛は自分の部屋で、ふとそんな幼馴染みの彼の事を思い返していた。
「そう言えば、そろそろお父様もお話しが終わった頃かしら。久々に皇子の事を思い出したから、昔彼とよく遊んでいた、この住居の裏にある大きな木のふもとに行ってみたくなったわ」
韓媛は急にそう思いたつと、そのまま部屋を出て、近くに使用人達がいないか探した。
そして彼女はその者らを見つけると、自身の行きたい場所を伝える。
またその際には、長時間はいない旨も彼らにきちんと説明した。
そして使用人達から許可をもらった上で、彼女はそこに向かう事にした。
目的の場所は、韓媛の住んでいる住居の裏から歩いて少し行った所にある。
彼女が歩いていると、その場所を涼しい風が吹き抜けていった。
今は丁度、季節も夏から秋に変わる頃合いであろう。
「ここに来るのは本当に久々ね。元々ここは大泊瀬皇子が気に入っていた場所だったわ。皇子が宮に来なくなってからは、余り行く機会もなかったのよね」
そして韓媛の目の前にその木が見えてきた。だがその木の側に誰かが来ているようだ。
「あら、こんな所に人が来てるなんて。一体誰かしら?」
韓媛はその人物が誰なのか気になって、思わずじっと見つめた。
その人物は木を下から見上げていて、どうやらとても若い青年のように見える。
(とても若い青年に見える。服装も立派そうだから、今日お父様の元に来られた方?)
その青年は、後ろから誰か来てるのに気が付いたらしく、ふと韓媛の方に振り返った。
耳の横でみずらでまとめ、髪の先は長く下に降ろしていた。背もそれなりに高く体格もしっかりしている。
(容姿もそれなりに整ってるわ。私よりも数歳年上かしら?)
韓媛はいよいよ、その青年の近くまでやって来た。そして何となく彼がとても見覚えのある顔立ちだに思えた。
青年の方が先に韓媛に何か気付いたみたいで、彼女に声をかけた。
「誰かと思ったら、お前韓媛か?かなり久しぶりだな」
彼は口元に軽く笑みを浮かべ、そして少し威圧的な感じで彼女に話しかけた。
そんな彼を見て、韓媛もこの青年が誰なのか気が付いた。
「あ、あなたもしかして、大泊瀬皇子?」
彼女が信じられないといった感じで答えた。先程まで頭の中で思い返していた彼が、本当に現実として現れた。
「あぁ、そう俺だ。今日は大王の代理で久々にやって来たんだ。それで折角だから後でお前の所にも顔を出そうかと思っていた所だ」
大泊瀬皇子は、相変わらず態度を大きくして彼女に言った。4年たっても根本的な所はどうも変わっていないようだ。
(やっぱり、この皇子は余り変わってないわね)
「これは大泊瀬皇子、どうもご無沙汰してます。まさか皇子が今日いらしていたなんて、本当に驚きです」
4年ぶりの再会とは言っても、何ともあっけないものだなと韓媛は思った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
本能寺からの決死の脱出 ~尾張の大うつけ 織田信長 天下を統一す~
bekichi
歴史・時代
戦国時代の日本を背景に、織田信長の若き日の物語を語る。荒れ狂う風が尾張の大地を駆け巡る中、夜空の星々はこれから繰り広げられる壮絶な戦いの予兆のように輝いている。この混沌とした時代において、信長はまだ無名であったが、彼の野望はやがて天下を揺るがすことになる。信長は、父・信秀の治世に疑問を持ちながらも、独自の力を蓄え、異なる理想を追求し、反逆者とみなされることもあれば期待の星と讃えられることもあった。彼の目標は、乱世を統一し平和な時代を創ることにあった。物語は信長の足跡を追い、若き日の友情、父との確執、大名との駆け引きを描く。信長の人生は、斎藤道三、明智光秀、羽柴秀吉、徳川家康、伊達政宗といった時代の英傑たちとの交流とともに、一つの大きな物語を形成する。この物語は、信長の未知なる野望の軌跡を描くものである。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する
克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
織田信長 -尾州払暁-
藪から犬
歴史・時代
織田信長は、戦国の世における天下統一の先駆者として一般に強くイメージされますが、当然ながら、生まれついてそうであるわけはありません。
守護代・織田大和守家の家来(傍流)である弾正忠家の家督を継承してから、およそ14年間を尾張(現・愛知県西部)の平定に費やしています。そして、そのほとんどが一族間での骨肉の争いであり、一歩踏み外せば死に直結するような、四面楚歌の道のりでした。
織田信長という人間を考えるとき、この彼の青春時代というのは非常に色濃く映ります。
そこで、本作では、天文16年(1547年)~永禄3年(1560年)までの13年間の織田信長の足跡を小説としてじっくりとなぞってみようと思いたった次第です。
毎週の月曜日00:00に次話公開を目指しています。
スローペースの拙稿ではありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。
(2022.04.04)
※信長公記を下地としていますが諸出来事の年次比定を含め随所に著者の創作および定説ではない解釈等がありますのでご承知置きください。
※アルファポリスの仕様上、「HOTランキング用ジャンル選択」欄を「男性向け」に設定していますが、区別する意図はとくにありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる