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21《軽大娘皇女の恋》
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軽大娘皇女は自身の部屋にいた。
彼女はこの1週間の間、木梨軽皇子の事でただただ泣き続けた。彼女自身こんなに泣き続けたのは、恐らく生まれて始めての事であろう。
「お兄様は今頃どうされてるの?もう向こうにつかれたのかしら」
彼女もこれが許されない恋なのは分かっている。でも彼に惹かれていく想いをどうする事も出来なかった。
自分達はたまたま血が繋がっていただけなのだと。
「お兄さま、お会いしたいわ……」
軽大娘皇女が、そんな事を考えている時だった。誰かの足音がこちらに近付いて来ている。
(あら、一体誰かしら?)
彼女がそう考えていると、部屋の前で足音が止まり、外から声が聞こえた。
「軽の姉上、俺です、大泊瀬です。今中に入っても良いですか」
(え、大泊瀬が?)
軽大娘皇女は、何故弟がここに来たのか、さっぱり理由が分からない。
こんな所に滅多に来ない彼が来たとなると、何か急な用件でも出来たのだろうか。
「大泊瀬一体どうしたの?とりあえず部屋の中に入ってちょうだい」
姉の軽大娘皇女にそう言われたので、大泊瀬皇子はそのまま中に入ってきた。
そして彼の後ろに、もう1人誰かがいる事に軽大娘皇女も気が付いた。
彼女が一体誰だろうと見ると、相手は少し自分の見覚えのある顔だった。
「あ、あなたは、もしかして葛城の韓媛?」
軽大娘皇女は意外な人物の訪問にとても驚いた。どうして葛城の彼女がここに来たのだろうか。
韓媛は軽大娘皇女に名前を呼ばれたため、軽くお辞儀をして、挨拶した。
「軽大娘皇女、どうもご無沙汰しております。葛城の韓媛です」
軽大娘皇女も予想外の訪問者にとても驚いたが、彼女とは久々の再会だったので、とても嬉しく思った。
「まぁ、韓媛。本当に久しぶりね。お父様は元気にされてるの?」
韓媛は「はい、お陰さまで」と答えて、軽大娘皇女の側にやって来た。
そして、軽大娘皇女に座るように言われたので、大泊瀬皇子と一緒に彼女の前に座った。
「あなたと会えて本当に嬉しいわ。今日はこの宮に泊まって行かれるの?」
軽大娘皇女は、韓媛の訪問ですっかり上機嫌になっていた。
大泊瀬皇子もそんな姉を見て、何はともあれ、今日ここに彼女を連れてきて良かったと思った。
「あぁ、そのつもりだ。姉上が最近塞ぎ込んでいるのを聞いて、彼女が心配して会いたいと俺に言ってきた」
それを聞いた軽大娘皇女は、少し驚きはしたものの、そんな彼女の心遣いにとても感謝した。
「韓媛、それは本当にありがとう。最近はあなたのような若い子と話しをする機会がなかったので、今日は色々と楽しくお話ししてみたいわ」
それからしばらくして、大泊瀬皇子は彼女ら2人で話しをさせた方が良いと思い、一旦部屋を退出する事にした。
その際に「また後で、迎えにくる」とだけ韓媛に伝えた。
それから2人は、それぞれの近況や雑談等をして、会話をとても楽しんだ。
(とりあえず、軽大娘皇女がお元気そうでなによりだわ)
韓媛は、自分と楽しそうに話しをする彼女を見てそう思った。
昨日見た光景だと、軽大娘皇女が木梨軽皇子の元に会いに行ってからの心中のようだ。そうすると彼女は、この後伊予国に行こうとしてるのだろうか。
だが韓媛が見る限り、彼女が周りの目を盗んで皇子に会いに行こうとしている気配は、余り感じられない。
「それにしても、軽大娘皇女がお元気そうで本当に良かったです」
「私も、元気そうなあなたを見れて本当に何よりだわ。大泊瀬が最近葛城に度々行っているのは聞いていたの。だからてっきり、弟はあなたに会うために行ってるのだと思ってたわ」
韓媛はそれを聞いてとても驚いた。彼が葛城に来ているのは、父の葛城円に会うためで、自分はそのついでだ。
だが彼が彼女に会いに来ているのは事実なので、そんな噂がたっていても不思議ではない。
(確かに、はたから見ればそう思われてもおかしくないわ……)
「大泊瀬皇子が葛城に来られてるのは父に会うためです。私はきっとそのついでなのでしょう」
韓媛は、とりあえず彼女の誤解は解いておこうと思った。今後さらに変な噂がたって、大泊瀬皇子に迷惑がかかっては申し訳ない。
「まぁ、恐らくはそうなんでしょうけど。でも昔から弟とあなたは仲が良かったから、そう言う可能性もあるのかと思って」
(駄目だわ、軽大娘皇女は完全に私と皇子の仲を疑われてる……)
「軽大娘皇女、皇子と私はそう言う関係ではありません。それに私の相手は、父が探すはずですから」
韓媛もこれは嘘ではないと思うので、とりあえず大泊瀬皇子との関係だけは否定しておきたいと思った。
「まぁ、そうなの。最近葛城の娘が大和に嫁ぐ事が多かったから、当然あなたも大和に嫁ぐものだと思っていたわ」
確かに軽大娘皇女が言っているのは本当だった。過去に葛城の磐之媛が大和の大王に嫁いで以降、葛城からは何人もの妃を大和に送り出している。
そして最近、大泊瀬皇子が度々葛城に来ており、自分にも会っているとなれば、普通はそう考えるだろう。
(そ、そうだったわ。もしかするとお父様も、私の嫁ぎ先を大和の皇子にと考えられてるかもしれない……)
韓媛はその事に初めて気が付き、余りの衝撃に言葉を失った。
そんな韓媛を見て、軽大娘皇女は慌てて言った。
「ま、まぁ、それはそれで良いかもと私も思っていただけよ。余り気にしないでね」
軽大娘皇女は、自分の発言で固まってしまった彼女を見て、この件はもう触れないでおこうと思った。
(大泊瀬は、多分その事を分かって葛城に行っているはずだわ。あの子も中々大変そうね)
彼女はこの1週間の間、木梨軽皇子の事でただただ泣き続けた。彼女自身こんなに泣き続けたのは、恐らく生まれて始めての事であろう。
「お兄様は今頃どうされてるの?もう向こうにつかれたのかしら」
彼女もこれが許されない恋なのは分かっている。でも彼に惹かれていく想いをどうする事も出来なかった。
自分達はたまたま血が繋がっていただけなのだと。
「お兄さま、お会いしたいわ……」
軽大娘皇女が、そんな事を考えている時だった。誰かの足音がこちらに近付いて来ている。
(あら、一体誰かしら?)
彼女がそう考えていると、部屋の前で足音が止まり、外から声が聞こえた。
「軽の姉上、俺です、大泊瀬です。今中に入っても良いですか」
(え、大泊瀬が?)
軽大娘皇女は、何故弟がここに来たのか、さっぱり理由が分からない。
こんな所に滅多に来ない彼が来たとなると、何か急な用件でも出来たのだろうか。
「大泊瀬一体どうしたの?とりあえず部屋の中に入ってちょうだい」
姉の軽大娘皇女にそう言われたので、大泊瀬皇子はそのまま中に入ってきた。
そして彼の後ろに、もう1人誰かがいる事に軽大娘皇女も気が付いた。
彼女が一体誰だろうと見ると、相手は少し自分の見覚えのある顔だった。
「あ、あなたは、もしかして葛城の韓媛?」
軽大娘皇女は意外な人物の訪問にとても驚いた。どうして葛城の彼女がここに来たのだろうか。
韓媛は軽大娘皇女に名前を呼ばれたため、軽くお辞儀をして、挨拶した。
「軽大娘皇女、どうもご無沙汰しております。葛城の韓媛です」
軽大娘皇女も予想外の訪問者にとても驚いたが、彼女とは久々の再会だったので、とても嬉しく思った。
「まぁ、韓媛。本当に久しぶりね。お父様は元気にされてるの?」
韓媛は「はい、お陰さまで」と答えて、軽大娘皇女の側にやって来た。
そして、軽大娘皇女に座るように言われたので、大泊瀬皇子と一緒に彼女の前に座った。
「あなたと会えて本当に嬉しいわ。今日はこの宮に泊まって行かれるの?」
軽大娘皇女は、韓媛の訪問ですっかり上機嫌になっていた。
大泊瀬皇子もそんな姉を見て、何はともあれ、今日ここに彼女を連れてきて良かったと思った。
「あぁ、そのつもりだ。姉上が最近塞ぎ込んでいるのを聞いて、彼女が心配して会いたいと俺に言ってきた」
それを聞いた軽大娘皇女は、少し驚きはしたものの、そんな彼女の心遣いにとても感謝した。
「韓媛、それは本当にありがとう。最近はあなたのような若い子と話しをする機会がなかったので、今日は色々と楽しくお話ししてみたいわ」
それからしばらくして、大泊瀬皇子は彼女ら2人で話しをさせた方が良いと思い、一旦部屋を退出する事にした。
その際に「また後で、迎えにくる」とだけ韓媛に伝えた。
それから2人は、それぞれの近況や雑談等をして、会話をとても楽しんだ。
(とりあえず、軽大娘皇女がお元気そうでなによりだわ)
韓媛は、自分と楽しそうに話しをする彼女を見てそう思った。
昨日見た光景だと、軽大娘皇女が木梨軽皇子の元に会いに行ってからの心中のようだ。そうすると彼女は、この後伊予国に行こうとしてるのだろうか。
だが韓媛が見る限り、彼女が周りの目を盗んで皇子に会いに行こうとしている気配は、余り感じられない。
「それにしても、軽大娘皇女がお元気そうで本当に良かったです」
「私も、元気そうなあなたを見れて本当に何よりだわ。大泊瀬が最近葛城に度々行っているのは聞いていたの。だからてっきり、弟はあなたに会うために行ってるのだと思ってたわ」
韓媛はそれを聞いてとても驚いた。彼が葛城に来ているのは、父の葛城円に会うためで、自分はそのついでだ。
だが彼が彼女に会いに来ているのは事実なので、そんな噂がたっていても不思議ではない。
(確かに、はたから見ればそう思われてもおかしくないわ……)
「大泊瀬皇子が葛城に来られてるのは父に会うためです。私はきっとそのついでなのでしょう」
韓媛は、とりあえず彼女の誤解は解いておこうと思った。今後さらに変な噂がたって、大泊瀬皇子に迷惑がかかっては申し訳ない。
「まぁ、恐らくはそうなんでしょうけど。でも昔から弟とあなたは仲が良かったから、そう言う可能性もあるのかと思って」
(駄目だわ、軽大娘皇女は完全に私と皇子の仲を疑われてる……)
「軽大娘皇女、皇子と私はそう言う関係ではありません。それに私の相手は、父が探すはずですから」
韓媛もこれは嘘ではないと思うので、とりあえず大泊瀬皇子との関係だけは否定しておきたいと思った。
「まぁ、そうなの。最近葛城の娘が大和に嫁ぐ事が多かったから、当然あなたも大和に嫁ぐものだと思っていたわ」
確かに軽大娘皇女が言っているのは本当だった。過去に葛城の磐之媛が大和の大王に嫁いで以降、葛城からは何人もの妃を大和に送り出している。
そして最近、大泊瀬皇子が度々葛城に来ており、自分にも会っているとなれば、普通はそう考えるだろう。
(そ、そうだったわ。もしかするとお父様も、私の嫁ぎ先を大和の皇子にと考えられてるかもしれない……)
韓媛はその事に初めて気が付き、余りの衝撃に言葉を失った。
そんな韓媛を見て、軽大娘皇女は慌てて言った。
「ま、まぁ、それはそれで良いかもと私も思っていただけよ。余り気にしないでね」
軽大娘皇女は、自分の発言で固まってしまった彼女を見て、この件はもう触れないでおこうと思った。
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