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「やった!オレ、カレーまん」
いち早く戸田さんが取ると、柳瀬さんが肉まんを取る。
「水森くんは何がいい?」
木佐さんが訊いてくれるけど、神田さんも肉まんを取るのを見て僕は逆に木佐さんに訊いた。
「木佐さんはどっちがいいですか?」
残るは肉まんとピザまんだ。
「水森くんの選ばなかった方」
僕に選ばせてくれる木佐さんは優しい。そんな木佐さんに笑って返して、僕はピザまんを手に取った。
木佐さんはいつも肉まんを食べている。
僕はどちらでも好きだから大丈夫。
でもそんな僕の思惑が分かったのか、木佐さんは少し苦笑い。
「僕ピザまん好きですよ」
そう笑って口元に持ってきた瞬間、急に気持ち悪くなった。
突然襲われた吐き気に僕は口元を押え、ピザまんを戻すとトイレに駆け込んだ。
込み上げてくる吐き気に涙が出る。寸でのところで間に合ってトイレで嘔吐すると、吐き気が治まった。
それでもまだ胸のむかつきが取れない。
さっきまで何ともなかったのに・・・。
口をすすいで手を洗うと、僕はトイレから出た。すると心配した木佐さんが待っていてくれた。
「大丈夫?顔が真っ青だよ」
心配そうに覗き込む木佐さんに僕は笑おうとしたけど、口の端を上げただけの変な顔になってしまった。
トイレを出た瞬間、部屋に充満していた中華まんの匂いにまた吐き気が込み上げてきた僕は、また口を押さえてトイレに戻り、再び嘔吐した。もう出すものなどないのに止まらない吐き気に涙が零れる。
今度は中まで来た木佐さんが僕の背中をさすってくれる。
「大丈夫か?」
心配そうなその声に、大丈夫だと答えたいけど吐き気で何も話せない。
なんで急に、こんなに気持ち悪いんだ・・・?
思い当たることが全くなくて不安になる。
食あたり?
お腹の風邪?
それとも他の何か?
気持ち悪すぎて立っているのもおぼつかない僕を、木佐さんが支えてくれる。
そこに柳瀬さんが来た。
「木佐さん。水森くん病院に連れていった方がいいわ」
「そうだな。時間外だけど診てくれるだろう」
「行くならバース科がいいと思うの」
気持ち悪さで頭が回らないけど、病院に行くの?
「・・・分かった。柳瀬ありがとう。留守を頼む」
そう言うと木佐さんは立っていられない僕を軽々持ち上げて横抱きにすると、そのまま会社を出た。そして木佐さんの車に乗せられる。
僕を助手席に乗せるとシートベルトをしてくれて、手に袋を持たせてくれる。
「また気持ち悪くなったらここに吐いていいからね」
その言葉に小さく頷く。
会社を出たせいか匂いがしなくなって、吐き気も治まってきた。
「木佐さん。もう治まってきたみたいなので病院大丈夫です。だから、家までお願いします」
このまま家に帰って横になりたい。
「いや、やっぱり病院に行こう。まだ顔色が悪い」
確かに胸のむかつきは相変わらずだけど、もう吐く程じゃないし・・・。
「僕が心配なんだ。水森くんは一人暮らしだろ?こんな状態の君が一人でいると思うと心配で僕が眠れないよ」
木佐さんはそう言って笑うとスマホを取り出し、どこかに電話をかけた。
「すみません。今から診て頂きたいのですが大丈夫でしょうか?オメガの子です。はい。急に吐き気が・・・そうです。では五分くらいで着くと思います」
そう言って電話を切ると車を発進させた。
「近所のクリニックなんだけど、僕のかかりつけ医なんだ。いい医師だから安心して」
そう言ってる間にそのクリニックに着いてしまった。本当に近所なんだ。
木佐さんはまだふらつく僕を支えて慣れた感じでそのクリニックに入っていく。もう診察時間が終わっているせいか、中は照明が落とされていて誰もいない。すると奥から白衣を着た男の人が出てきた。
「すみません。休診日なのに来てしまって」
「いいよ、ちょうどいたから。その子?」
「はい。急に吐き気に襲われたみたいで」
木佐さんが僕の代わりに説明してくれる。それを聞きながら医師は僕のところに来て僕の顔を見ると、とりあえず尿検査をしよう、言った。
僕は木佐さんに支えられながらトイレの前まで行くと、そこにあった椅子に座った。
「ちょっと座ってて」
そう言うと木佐さんはそこにあった紙コップに備え付けのマジックで僕の名前を書いた。
「今日休診日なんですね」
木佐さんの手元を見ながらなんとなく言うと、木佐さんがちらりと僕を見て笑った。
いち早く戸田さんが取ると、柳瀬さんが肉まんを取る。
「水森くんは何がいい?」
木佐さんが訊いてくれるけど、神田さんも肉まんを取るのを見て僕は逆に木佐さんに訊いた。
「木佐さんはどっちがいいですか?」
残るは肉まんとピザまんだ。
「水森くんの選ばなかった方」
僕に選ばせてくれる木佐さんは優しい。そんな木佐さんに笑って返して、僕はピザまんを手に取った。
木佐さんはいつも肉まんを食べている。
僕はどちらでも好きだから大丈夫。
でもそんな僕の思惑が分かったのか、木佐さんは少し苦笑い。
「僕ピザまん好きですよ」
そう笑って口元に持ってきた瞬間、急に気持ち悪くなった。
突然襲われた吐き気に僕は口元を押え、ピザまんを戻すとトイレに駆け込んだ。
込み上げてくる吐き気に涙が出る。寸でのところで間に合ってトイレで嘔吐すると、吐き気が治まった。
それでもまだ胸のむかつきが取れない。
さっきまで何ともなかったのに・・・。
口をすすいで手を洗うと、僕はトイレから出た。すると心配した木佐さんが待っていてくれた。
「大丈夫?顔が真っ青だよ」
心配そうに覗き込む木佐さんに僕は笑おうとしたけど、口の端を上げただけの変な顔になってしまった。
トイレを出た瞬間、部屋に充満していた中華まんの匂いにまた吐き気が込み上げてきた僕は、また口を押さえてトイレに戻り、再び嘔吐した。もう出すものなどないのに止まらない吐き気に涙が零れる。
今度は中まで来た木佐さんが僕の背中をさすってくれる。
「大丈夫か?」
心配そうなその声に、大丈夫だと答えたいけど吐き気で何も話せない。
なんで急に、こんなに気持ち悪いんだ・・・?
思い当たることが全くなくて不安になる。
食あたり?
お腹の風邪?
それとも他の何か?
気持ち悪すぎて立っているのもおぼつかない僕を、木佐さんが支えてくれる。
そこに柳瀬さんが来た。
「木佐さん。水森くん病院に連れていった方がいいわ」
「そうだな。時間外だけど診てくれるだろう」
「行くならバース科がいいと思うの」
気持ち悪さで頭が回らないけど、病院に行くの?
「・・・分かった。柳瀬ありがとう。留守を頼む」
そう言うと木佐さんは立っていられない僕を軽々持ち上げて横抱きにすると、そのまま会社を出た。そして木佐さんの車に乗せられる。
僕を助手席に乗せるとシートベルトをしてくれて、手に袋を持たせてくれる。
「また気持ち悪くなったらここに吐いていいからね」
その言葉に小さく頷く。
会社を出たせいか匂いがしなくなって、吐き気も治まってきた。
「木佐さん。もう治まってきたみたいなので病院大丈夫です。だから、家までお願いします」
このまま家に帰って横になりたい。
「いや、やっぱり病院に行こう。まだ顔色が悪い」
確かに胸のむかつきは相変わらずだけど、もう吐く程じゃないし・・・。
「僕が心配なんだ。水森くんは一人暮らしだろ?こんな状態の君が一人でいると思うと心配で僕が眠れないよ」
木佐さんはそう言って笑うとスマホを取り出し、どこかに電話をかけた。
「すみません。今から診て頂きたいのですが大丈夫でしょうか?オメガの子です。はい。急に吐き気が・・・そうです。では五分くらいで着くと思います」
そう言って電話を切ると車を発進させた。
「近所のクリニックなんだけど、僕のかかりつけ医なんだ。いい医師だから安心して」
そう言ってる間にそのクリニックに着いてしまった。本当に近所なんだ。
木佐さんはまだふらつく僕を支えて慣れた感じでそのクリニックに入っていく。もう診察時間が終わっているせいか、中は照明が落とされていて誰もいない。すると奥から白衣を着た男の人が出てきた。
「すみません。休診日なのに来てしまって」
「いいよ、ちょうどいたから。その子?」
「はい。急に吐き気に襲われたみたいで」
木佐さんが僕の代わりに説明してくれる。それを聞きながら医師は僕のところに来て僕の顔を見ると、とりあえず尿検査をしよう、言った。
僕は木佐さんに支えられながらトイレの前まで行くと、そこにあった椅子に座った。
「ちょっと座ってて」
そう言うと木佐さんはそこにあった紙コップに備え付けのマジックで僕の名前を書いた。
「今日休診日なんですね」
木佐さんの手元を見ながらなんとなく言うと、木佐さんがちらりと僕を見て笑った。
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