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第七章:椿は鋼に咲く、忠誠の銃声とともに――女帝と三将軍のプロトコル
第133話:帝国の朝に咲く椿、彼女と小さな食卓
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女帝の一日は早い。
朝最初の日差しが寝室に差し込み、我らが帝国の女帝ツバキ・ブラッドムーンは浅い眠りから目を覚ました。すぐにパジャマを着替え、時計を確認する。
「ティアノ、私の腕時計をいじったでしょ? 今が三時なわけないじゃない。今日の打ち合わせに遅れたらどうするの」
寝癖を直しながら、夫である元皇帝ティアノ・ブラッドムーンに文句を漏らす。
「いいじゃないか、どうせツバキちゃんは日が昇ると時計関係なく起きるんだから。打ち合わせは10時だろう? まだたっぷり時間があるよ。それより、目玉焼きはソースと醤油、どっちがいい?」
台所でベーコンを焼く彼は穏やかに返した。ベーコンの香ばしい香りが、ツバキの空腹を刺激する。
「今日は塩の気分だわ。大体、あなたは私より早起きじゃない。いいのよ、朝ごはん作らなくても。食べなくたって死なないわ」
「体を壊すぞ。それに、今は一人の身体じゃないんだから……無理しすぎだよ」
「漏らしたのはミラージュね。絶対減給してやる」
「ツバキちゃん……僕に、それほど頼れないのかい?」
……
沈黙が続く。聡明な彼女でも、どう返せばいいか一時的に分からなくなった。
彼を傷つけたくない―― しかし、その沈黙自体が既に傷つけている。
「ごめんなさい」
精一杯絞り出した言葉は、それしかなかった。
「でも、あなたがダメなわけじゃないの。ただ、皇帝としては……」
必死でフォローするツバキは、悪いことをして言い訳する子供のようだ。
それに対し、ティアノは怒りもせず、ベーコンエッグを食卓に運んだ。
「いいんだ、僕自身も分かっているから。だから僕なりに、ツバキちゃんの力になりたい。それって……ダメかな?」
「好きにしなさい」
彼女らしくない、照れくさいような言葉で話題を閉じた。
「「いただきます」」
異世界の父から教わった食卓の礼儀。帝国のこの部屋で、今日もまた守られる。
*
「あら、今日もお早いことで、総統閣下」
護衛を兼ねた運転手のミラージュは、すでに車の前で待機している。
「ミラージュ、あなたと皇帝の距離、近すぎないかしら? 変なことしてないでしょうね」
「総統閣下でも嫉妬されるんですか? ご心配なく、皇帝陛下は私にとって息子のような存在。取って食ったりしませんわ」
「本当でしょうね」
ツバキはじっとミラージュを見つめ、信じる気配は微塵も見せない。
「それより総統閣下、今日のスケジュールです。10時にマリ商会との打ち合わせ、12時にランチ、13時から帝国鋼鉄工場での演説、14時から陸軍287部隊の視察、16時から書類の承認作業、18時からディナー……」
「ディナーはキャンセルして。家で食べるから」
「それは残念ながら……相手は大きなスポンサーで、来月の魔族との戦争に多大な出資をされています。冷たくするわけにはまいりません」
「もうわかったわ。後でティアノに電話するから。帝国に嫁いで、こういう社交イベントが減ると思ったのに……」
夫の手作り夕食を二度も楽しみにしていたツバキは、ショックでティアノに「晩ごはんいらない」のメールを送った。
「私が総統閣下の姿に変身して、代わりに出席しましょうか?」
一瞬迷ったが、ツバキはその提案を却下した。
「あなたにはあなたの仕事があるでしょ! ただサボりたいだけでしょう」
「はは、バレましたか。最高級五星レストランの料理、期待していたのに残念です」
「私はティアノの作ったご飯が食べたかったのに……」
寂しげな表情を浮かべたツバキは車に乗り込み、今日最初の目的地へと向かった。
*
打ち合わせの相手はマリ商会の会長・マリ。
王国の庶民出身ながら、その商才と「メイド商店」という独自のアイデアで、大陸有数の大商人にのし上がった女性だ。今日は大戦に向けた食糧や日用品の調達について話し合うはずだったが──
「ねえ、これどういうつもり?」
予想通りマリは来ていたが、問題はその「おまけ」だった。
「僕はユキナです」
「…モレアです」
王国動乱の際、シエノに仕えていた二人のメイドがそこに立っている。
「うちの新入社員でして。見学に来ただけです」
マリは取り繕うが、ツバキにはすべてお見通しだ。
「勇者セリナ、そしてレン……何をしているの?」
見事に看破された。
「いいえ、そんな人知りません」
セリナはまだ強情に否定するが、レンは早々に白旗を揚げた。
「だから無理だって言ったのに……もう、姉さまにこんな姿を見せたくなかった」
どうやらメイド服にはまだ慣れていないらしい。
「レン君がツバキさんと兄弟だからダメでした。セリナ一人なら誤魔化せたのに」
「念のため言っておくわ、勇者セリナも今や相当な有名人よ。あなた一人でもバレてたわ」
「いいえ、セリナはどこにでもいるただのメイドです。どうぞ空気だと思って気にしないでください」
これはセリナの自己評価が低いわけではなく、最後の悪あがきで通そうとしているだけだ。魔王から受けた教育で、ますますずる賢くなったセリナであった。
「王国の首相になったんでしょう? 国はどうするつもり?」
「あの……セリナは政治や政が全然わからなくて。一旦魔王討伐してから専門的教育を受けることになりました。その間は王様と元大臣たちが何とか繋いでくれています」
「そんなに会いたいの? あの胡散臭い男のどこがいいのかしら」
「セリナから強引に奪い取っておいて、よくそれが言えますね。いらないなら返してください」
女帝相手でも一歩も引かず食い下がる。あの弱々しかったセリナはどこへやら。
「セリナ、女帝陛下ですよ!」
傍らのマリはハラハラが止まらない。
「国際問題になりかねないわよ。あなたの一言一言が戦争の引き金になるかもしれない。それが分かって発言しているの? セリナ首相」
「我が国は民主国家です。国の公民を攫われて、それを看過する上層部はいません」
「ドクターは帝国人よ。出奔しているけど、身分は変わらない」
「残念ですが、マオウさんは帝国から十年以上離れ、王国に十年以上税金を納め続けています。彼はもう王国の公民です」
火花散る論戦が繰り広げられる中、レンとマリは割って入る余地もない。
しかし、激しい口論の末、ツバキは怒りを爆発させるどころか、笑い出した。
「ははは……レン、今の見た? ついこの間までメイドとして働いていた娘が、私と対等に渡り合っている。実に面白いじゃない! でも首相閣下、身分を偽って本国へ不法入国したことはどう弁明するつもり?」
「はい、すみません……それは本当にこちらが悪かったです」
論戦はあっさりツバキの勝利で幕を閉じた。
「姉さま、その……」
「いいの、分かっているわ。『ユキナ』と『モレア』が身分を偽って帝国へ入国したことは許さない。当然よ」
強く正しく──それが女帝のやり方だ。だからこそ、彼女はこの国の帝王としてすべての帝国人を従わせる。
「しかし、妹とその友達の来訪は、姉として歓迎するわ。ミラージュ、レンと勇者セリナの入国手続きをお願い。好きなだけ滞在させてあげて」
「かしこまりました、総統閣下」
そして、人間味を持っているからこそ、帝国人から慕われるのだ。
「待たせたわね。スケジュールに遅れを出したくないから、これからの商談は無駄な時間一切なしよ。覚悟は決めておいてね、ミスターマリ」
「はい、お手柔らかにお願いします……」
鋼鉄の手腕で、帝国に有利な条件で物資の商談を決めた。
*
商談が予定通り終わり、ツバキは次の目的地へ向かおうとした。
「え? キャンセル?」
しかし、ツバキが万全の姿勢で臨んでも、相手が同じように対応するとは限らない。
「はい、工場の責任者がスケジュールを勘違いしていたようで……今日は工場の創立記念日で休みだそうです。すみませんが、今日はお預けとさせていただきます」
「全く、折角準備したスピーチ原稿が無駄になったじゃない。丸暗記していたのに」
こうして相手側のミスで予定が狂うことも、もはや日常茶飯事だった。
「仕方ないわ。帝大付属へ車を回して。ちょうど時間ができたことだし、例の公平党と平等党の問題を片付けに行きましょう」
「お言葉ですが、その程度のことで総統閣下のお手を煩わせる必要は……」
「ミラージュ、学校の生徒たちは帝国の未来よ。『その程度』じゃないわ」
「かしこまりました。お気の向くままに」
だが、女帝の来訪は学園にとってサプライズ──それもビッグな方の出来事だった。
失礼のないように対応するため、公平党と平等党の会長だけが謁見を許された。
そう、公平党のモリアと、平等党のガヴェインである。
「これはこれは、総統閣下、お久しぶりです。今日はどのようなご用件で? もしかして、神を信仰する気になられましたか?」
ガヴェインとツバキは初対面ではない。彼は全科目で平均点しか取らないという妙な成績で、かつてツバキの目に留まった。わざとそうしているのではないかと疑ったが、平均点はテストの難易度や生徒全体の出来に左右されるため、毎回丁度平均点を取るのは満点を取るより難しい──神業と言えるものだ。
「結構です。神は女性が王になることをお許しにならないので、信じていたら今の私はいないわ」
「これはまだお厳しい。神はあなたに幸せを授けようとしたのに……女性としての幸せを選べば、神の守りも得られたというのに。悪魔に力を求めるとは。その生まれ来る子も、きっと神の祝福を得られないでしょう。残念です」
ツバキは一瞬、無意識に手をお腹へと動かしそうになった。まさか妊娠が国中に知れ渡っている? しかし女の直感が彼女の手を止めた。
「お心遣い感謝します。機会があれば、また教会を訪ねますわ」
そして問題の学生──今を時の人。学園一の才女で、その体は男性。首席の特権で女性として扱われているが、彼女を巡る公平党と平等党の争いはさらに熱を帯びている。
(見た目は完全に女性よね……本当に男性のアレがついているのかしら)
ツバキはモリアを見つめ、疑問を抱く。実際、誰も彼女の裸を見たことがない。さらに噂では、妹の想い人であるあのドクターの愛人らしい。
「妻ですわ。愛人ほど卑屈なものではありませんもの」
(読まれた……まさか)
心の内を見透かすかのように、モリアが言葉を発した。
「怖がることはないわ。あなたも賢い女性なら、私と同じくらいの人の心が裸のように見えるはず。おかしなことなど何もありませんわ。ふふふ」
悪魔
それ以外の言葉が見つからない。甘い言葉で人を誘い、地獄へと導く存在。
「正~解。ご褒美にいいことを教えてあげましょう。天使は『信じなさい』と言いますが、実際には何もしてくれません。信じる者は決して救われない。その点、悪魔の方が信用できるもの。契約さえ結べば、裏切られることはないわ。ええ、契約があるなら、ね?」
かつてクセリオス公爵はモリアを召喚したが、相応の代償を払わなかったため、契約は不完全だった。だからモリアは一方的に契約を破棄できた。まあ、仮に支払えたとしても、彼女が気に入らなければ、最後には騙されて魂まで喰われ尽くすだろう。
「人を怪しい宗教の勧誘者に言われたくないですね。神はすべての人を平等に愛し、この世界で最も偉大な方。神の意志のもと、すべての人は平等であるべきです。権力に固執すれば、地獄に落ちますよ」
「あの神の愛を一身に受ける明けの明星を見て、よく神の愛が平等だと言えますわね。それはただ人間に等しく無関心なだけ。あのバカ天使のように。一番人間を愛しているのは悪魔ですわ。それも、欲が深いほど、罪が深いほど……だって、そんな魂こそが美味しいもの」
「では、勝負しましょう。決着がつかなかったからこそ、争いも止めないでしょう。」
「明けの明星がいなければ何もできない神の腰巾着のくせによく言ますね。 ええ、受けますとも。では、全知の私から言い渡すわ──あなたが勝つ未来はありません」
「では、私も神の名代として告知する。負けるのはあなたですよ、パイモン」
こうして、女帝は二人の会話に全く割り込めず、公平党と平等党の模擬戦だけが決まる形となった。
*
(あの二人は一体何なんだろう……)
車の中、先ほどの光景がまだ脳裏に蘇る。普段は何も恐れないツバキだが、あの場には立ち入ってはいけない領域を感じた。人間が関わるべきではない──それも、時間の経過を忘れるほどに。
陸軍287部隊の視察時間には完全に遅れていた。
「ご心配なく。本日、エンプラとドクターがダンジョンから帰還したとの連絡が入りました。こちらの遅延を見越して、視察は彼らに任せておきました。エンプラからも報告書が届いています。承認書類と合わせて処理すれば問題ありません」
「ありがとう」
日々少しずつ膨らみ始めるお腹に手を当てながら、ツバキは憂鬱に沈んだ。
「私、ダメになってしまったのかしら……今までこんなことなかったのに」
子を授かった最初の気持ちは幸せだった。大好きなあの人との子どもができること、自分が母親になること──すべてが幸せに思えた。
しかし、そんな自分に果たして女帝として、弱い夫と生まれ来る子を守れるのか。その不安に押し潰されそうだ。いっそこの子がいない方が……
「考えすぎですよ。総統閣下は毎日山のような政務をこなせていらっしゃるじゃありませんか。今も移動中の時間を使って書類チェックを先に進めていらっしゃいますし」
そう、憂鬱になっても、ツバキの仕事のペースは落ちていなかった。むしろ、そんな状態でよくこれだけのことができると感心するほどだ。
「恋愛シミュレーションゲームを軍隊に導入? アリストね……没よ。何回申請を出すの? いい加減家庭を持って大人になりなさい」
「男はいつまでもガキなのよ、大目に見てあげて。それより、大丈夫。母になるってそういうことだから。母は女を弱くするんじゃなく、強くするのよ」
「なに、ミラージュ、あなた子どもを持っているの?」
「さあね? 秘密が女をより魅力的に見せるのよ」
(まったく……ミラージュにはいつも助けられている。彼女は将軍の責務を果たしながら、私の秘書のようなこともしてくれる。強い女性だ。もしかしたら本当に……)
その時、電話の音が鳴った。相手はアリストだ。
「Hey! ツバキちゃん、元気?」
迷いなく切った。再び鳴る。
「ごめん、ふざけすぎた。実は総統閣下、今夜のディナーの相手……俺の愛人なんだ」
(え?) 確か相手は女性だったはず。まさか……あの人いったい何人愛人がいるの? ティアノには絶対そうなってほしくない、とツバキは強く思った。
「それで、わざわざ報告に来たの?」
「いや、それが話を盛り上げたら、今夜は俺が接待すればいいって話になってさ。朝までフルコース……いや、モテる男も辛いね。だからさ」
「アリスト?」
「総統閣下は定時で上がれよ。旦那さんが待ってるぜ」
電話が切れ、ツバキはようやく現実に戻った。
「何かいいことでもありましたか、総統閣下?」
「ミラージュ、車を家の方へ」
「はいはい、お気の向くままに、我が総統閣下」
車は方向を変え、朝に出発した場所へと走り出した。
*
マンションの下で車が止まり、待ちきれないツバキは胸を躍らせて上がろうとしたが、ミラージュのことを思い出し、その気持ちを抑えた。
「ミラージュも上がらない?」
「野暮なこといたしませんよ。こう見えて良い女ですから。それに、私にとって暖かい家庭より、スリル満載の夜の街の方が似合うもの。では、総統閣下。また明日お会いしましょう」
ミラージュが去った後、ツバキは不安と喜びを胸に、自宅の鍵を開けた。
ご飯はいらないと言ったはずなのに、小さなリビングルームのテーブルにはツバキの好物が並び、大きなホールケーキが置かれている。その上には──
「Happy Birthday ツバキ」
そうか……今日は私の誕生日だった。
いつものように仕事に没頭しているうち、すっかり忘れていた。
よく見ると、テーブルの下にはプレゼントの箱も。
「お姉さまへ」
なるほど、レンが帝国に来たのはこのためだったのか。
「おかえり。意外と早かったね。徹夜の覚悟で待ってたんだけど、これは失敗したか。ははは」
爽やかな笑顔を見せるティアノ。本当に困った人だ。
「そうだ、君が留守の間に弟君と、一人のメイドが来てこれを預いていったよ」
「あの……レンは女の子よ」
箱を開けると、様々な贈り物が詰まっていた。
• どう見ても売れない同人誌(マサキからか……どうせ女の子のおっぱいとパンツしか描いてないでしょ)
• サファイアのペンダント(母からね、あの人は宝石が大好きだから)
• 父からの椿の花の栞(まだ作ったばかりで、香りが濃い)
• 金色に光るカード(ユウキから……ごめん、お姉ちゃんそういうのちょっとわからないかも)
そして待ちに待ったレンからの贈り物は──
まさかのメイド服、そしてハガキ。
「セリナと一緒に作った レンより」
(お姉ちゃん、これを着るタイミングちょっと変じゃない?)
「誕生日おめでとう。大したものはあげられないけど……これは二人の未来のための準備だ」
ティアノからは、小さなベビースーツと幼児用のおむつのおもちゃ。
「ありがとう、あなた」
二人だけのディナーだったが、たくさんの祝福に包まれ、まるでこの小さな部屋に大勢の人がいるかのように温かい時間だった。
鋼鉄の女帝も新たな一年を重ねる。来年の今頃には、もう一人の家族がこの喜びをさらに増やすことだろう。
朝最初の日差しが寝室に差し込み、我らが帝国の女帝ツバキ・ブラッドムーンは浅い眠りから目を覚ました。すぐにパジャマを着替え、時計を確認する。
「ティアノ、私の腕時計をいじったでしょ? 今が三時なわけないじゃない。今日の打ち合わせに遅れたらどうするの」
寝癖を直しながら、夫である元皇帝ティアノ・ブラッドムーンに文句を漏らす。
「いいじゃないか、どうせツバキちゃんは日が昇ると時計関係なく起きるんだから。打ち合わせは10時だろう? まだたっぷり時間があるよ。それより、目玉焼きはソースと醤油、どっちがいい?」
台所でベーコンを焼く彼は穏やかに返した。ベーコンの香ばしい香りが、ツバキの空腹を刺激する。
「今日は塩の気分だわ。大体、あなたは私より早起きじゃない。いいのよ、朝ごはん作らなくても。食べなくたって死なないわ」
「体を壊すぞ。それに、今は一人の身体じゃないんだから……無理しすぎだよ」
「漏らしたのはミラージュね。絶対減給してやる」
「ツバキちゃん……僕に、それほど頼れないのかい?」
……
沈黙が続く。聡明な彼女でも、どう返せばいいか一時的に分からなくなった。
彼を傷つけたくない―― しかし、その沈黙自体が既に傷つけている。
「ごめんなさい」
精一杯絞り出した言葉は、それしかなかった。
「でも、あなたがダメなわけじゃないの。ただ、皇帝としては……」
必死でフォローするツバキは、悪いことをして言い訳する子供のようだ。
それに対し、ティアノは怒りもせず、ベーコンエッグを食卓に運んだ。
「いいんだ、僕自身も分かっているから。だから僕なりに、ツバキちゃんの力になりたい。それって……ダメかな?」
「好きにしなさい」
彼女らしくない、照れくさいような言葉で話題を閉じた。
「「いただきます」」
異世界の父から教わった食卓の礼儀。帝国のこの部屋で、今日もまた守られる。
*
「あら、今日もお早いことで、総統閣下」
護衛を兼ねた運転手のミラージュは、すでに車の前で待機している。
「ミラージュ、あなたと皇帝の距離、近すぎないかしら? 変なことしてないでしょうね」
「総統閣下でも嫉妬されるんですか? ご心配なく、皇帝陛下は私にとって息子のような存在。取って食ったりしませんわ」
「本当でしょうね」
ツバキはじっとミラージュを見つめ、信じる気配は微塵も見せない。
「それより総統閣下、今日のスケジュールです。10時にマリ商会との打ち合わせ、12時にランチ、13時から帝国鋼鉄工場での演説、14時から陸軍287部隊の視察、16時から書類の承認作業、18時からディナー……」
「ディナーはキャンセルして。家で食べるから」
「それは残念ながら……相手は大きなスポンサーで、来月の魔族との戦争に多大な出資をされています。冷たくするわけにはまいりません」
「もうわかったわ。後でティアノに電話するから。帝国に嫁いで、こういう社交イベントが減ると思ったのに……」
夫の手作り夕食を二度も楽しみにしていたツバキは、ショックでティアノに「晩ごはんいらない」のメールを送った。
「私が総統閣下の姿に変身して、代わりに出席しましょうか?」
一瞬迷ったが、ツバキはその提案を却下した。
「あなたにはあなたの仕事があるでしょ! ただサボりたいだけでしょう」
「はは、バレましたか。最高級五星レストランの料理、期待していたのに残念です」
「私はティアノの作ったご飯が食べたかったのに……」
寂しげな表情を浮かべたツバキは車に乗り込み、今日最初の目的地へと向かった。
*
打ち合わせの相手はマリ商会の会長・マリ。
王国の庶民出身ながら、その商才と「メイド商店」という独自のアイデアで、大陸有数の大商人にのし上がった女性だ。今日は大戦に向けた食糧や日用品の調達について話し合うはずだったが──
「ねえ、これどういうつもり?」
予想通りマリは来ていたが、問題はその「おまけ」だった。
「僕はユキナです」
「…モレアです」
王国動乱の際、シエノに仕えていた二人のメイドがそこに立っている。
「うちの新入社員でして。見学に来ただけです」
マリは取り繕うが、ツバキにはすべてお見通しだ。
「勇者セリナ、そしてレン……何をしているの?」
見事に看破された。
「いいえ、そんな人知りません」
セリナはまだ強情に否定するが、レンは早々に白旗を揚げた。
「だから無理だって言ったのに……もう、姉さまにこんな姿を見せたくなかった」
どうやらメイド服にはまだ慣れていないらしい。
「レン君がツバキさんと兄弟だからダメでした。セリナ一人なら誤魔化せたのに」
「念のため言っておくわ、勇者セリナも今や相当な有名人よ。あなた一人でもバレてたわ」
「いいえ、セリナはどこにでもいるただのメイドです。どうぞ空気だと思って気にしないでください」
これはセリナの自己評価が低いわけではなく、最後の悪あがきで通そうとしているだけだ。魔王から受けた教育で、ますますずる賢くなったセリナであった。
「王国の首相になったんでしょう? 国はどうするつもり?」
「あの……セリナは政治や政が全然わからなくて。一旦魔王討伐してから専門的教育を受けることになりました。その間は王様と元大臣たちが何とか繋いでくれています」
「そんなに会いたいの? あの胡散臭い男のどこがいいのかしら」
「セリナから強引に奪い取っておいて、よくそれが言えますね。いらないなら返してください」
女帝相手でも一歩も引かず食い下がる。あの弱々しかったセリナはどこへやら。
「セリナ、女帝陛下ですよ!」
傍らのマリはハラハラが止まらない。
「国際問題になりかねないわよ。あなたの一言一言が戦争の引き金になるかもしれない。それが分かって発言しているの? セリナ首相」
「我が国は民主国家です。国の公民を攫われて、それを看過する上層部はいません」
「ドクターは帝国人よ。出奔しているけど、身分は変わらない」
「残念ですが、マオウさんは帝国から十年以上離れ、王国に十年以上税金を納め続けています。彼はもう王国の公民です」
火花散る論戦が繰り広げられる中、レンとマリは割って入る余地もない。
しかし、激しい口論の末、ツバキは怒りを爆発させるどころか、笑い出した。
「ははは……レン、今の見た? ついこの間までメイドとして働いていた娘が、私と対等に渡り合っている。実に面白いじゃない! でも首相閣下、身分を偽って本国へ不法入国したことはどう弁明するつもり?」
「はい、すみません……それは本当にこちらが悪かったです」
論戦はあっさりツバキの勝利で幕を閉じた。
「姉さま、その……」
「いいの、分かっているわ。『ユキナ』と『モレア』が身分を偽って帝国へ入国したことは許さない。当然よ」
強く正しく──それが女帝のやり方だ。だからこそ、彼女はこの国の帝王としてすべての帝国人を従わせる。
「しかし、妹とその友達の来訪は、姉として歓迎するわ。ミラージュ、レンと勇者セリナの入国手続きをお願い。好きなだけ滞在させてあげて」
「かしこまりました、総統閣下」
そして、人間味を持っているからこそ、帝国人から慕われるのだ。
「待たせたわね。スケジュールに遅れを出したくないから、これからの商談は無駄な時間一切なしよ。覚悟は決めておいてね、ミスターマリ」
「はい、お手柔らかにお願いします……」
鋼鉄の手腕で、帝国に有利な条件で物資の商談を決めた。
*
商談が予定通り終わり、ツバキは次の目的地へ向かおうとした。
「え? キャンセル?」
しかし、ツバキが万全の姿勢で臨んでも、相手が同じように対応するとは限らない。
「はい、工場の責任者がスケジュールを勘違いしていたようで……今日は工場の創立記念日で休みだそうです。すみませんが、今日はお預けとさせていただきます」
「全く、折角準備したスピーチ原稿が無駄になったじゃない。丸暗記していたのに」
こうして相手側のミスで予定が狂うことも、もはや日常茶飯事だった。
「仕方ないわ。帝大付属へ車を回して。ちょうど時間ができたことだし、例の公平党と平等党の問題を片付けに行きましょう」
「お言葉ですが、その程度のことで総統閣下のお手を煩わせる必要は……」
「ミラージュ、学校の生徒たちは帝国の未来よ。『その程度』じゃないわ」
「かしこまりました。お気の向くままに」
だが、女帝の来訪は学園にとってサプライズ──それもビッグな方の出来事だった。
失礼のないように対応するため、公平党と平等党の会長だけが謁見を許された。
そう、公平党のモリアと、平等党のガヴェインである。
「これはこれは、総統閣下、お久しぶりです。今日はどのようなご用件で? もしかして、神を信仰する気になられましたか?」
ガヴェインとツバキは初対面ではない。彼は全科目で平均点しか取らないという妙な成績で、かつてツバキの目に留まった。わざとそうしているのではないかと疑ったが、平均点はテストの難易度や生徒全体の出来に左右されるため、毎回丁度平均点を取るのは満点を取るより難しい──神業と言えるものだ。
「結構です。神は女性が王になることをお許しにならないので、信じていたら今の私はいないわ」
「これはまだお厳しい。神はあなたに幸せを授けようとしたのに……女性としての幸せを選べば、神の守りも得られたというのに。悪魔に力を求めるとは。その生まれ来る子も、きっと神の祝福を得られないでしょう。残念です」
ツバキは一瞬、無意識に手をお腹へと動かしそうになった。まさか妊娠が国中に知れ渡っている? しかし女の直感が彼女の手を止めた。
「お心遣い感謝します。機会があれば、また教会を訪ねますわ」
そして問題の学生──今を時の人。学園一の才女で、その体は男性。首席の特権で女性として扱われているが、彼女を巡る公平党と平等党の争いはさらに熱を帯びている。
(見た目は完全に女性よね……本当に男性のアレがついているのかしら)
ツバキはモリアを見つめ、疑問を抱く。実際、誰も彼女の裸を見たことがない。さらに噂では、妹の想い人であるあのドクターの愛人らしい。
「妻ですわ。愛人ほど卑屈なものではありませんもの」
(読まれた……まさか)
心の内を見透かすかのように、モリアが言葉を発した。
「怖がることはないわ。あなたも賢い女性なら、私と同じくらいの人の心が裸のように見えるはず。おかしなことなど何もありませんわ。ふふふ」
悪魔
それ以外の言葉が見つからない。甘い言葉で人を誘い、地獄へと導く存在。
「正~解。ご褒美にいいことを教えてあげましょう。天使は『信じなさい』と言いますが、実際には何もしてくれません。信じる者は決して救われない。その点、悪魔の方が信用できるもの。契約さえ結べば、裏切られることはないわ。ええ、契約があるなら、ね?」
かつてクセリオス公爵はモリアを召喚したが、相応の代償を払わなかったため、契約は不完全だった。だからモリアは一方的に契約を破棄できた。まあ、仮に支払えたとしても、彼女が気に入らなければ、最後には騙されて魂まで喰われ尽くすだろう。
「人を怪しい宗教の勧誘者に言われたくないですね。神はすべての人を平等に愛し、この世界で最も偉大な方。神の意志のもと、すべての人は平等であるべきです。権力に固執すれば、地獄に落ちますよ」
「あの神の愛を一身に受ける明けの明星を見て、よく神の愛が平等だと言えますわね。それはただ人間に等しく無関心なだけ。あのバカ天使のように。一番人間を愛しているのは悪魔ですわ。それも、欲が深いほど、罪が深いほど……だって、そんな魂こそが美味しいもの」
「では、勝負しましょう。決着がつかなかったからこそ、争いも止めないでしょう。」
「明けの明星がいなければ何もできない神の腰巾着のくせによく言ますね。 ええ、受けますとも。では、全知の私から言い渡すわ──あなたが勝つ未来はありません」
「では、私も神の名代として告知する。負けるのはあなたですよ、パイモン」
こうして、女帝は二人の会話に全く割り込めず、公平党と平等党の模擬戦だけが決まる形となった。
*
(あの二人は一体何なんだろう……)
車の中、先ほどの光景がまだ脳裏に蘇る。普段は何も恐れないツバキだが、あの場には立ち入ってはいけない領域を感じた。人間が関わるべきではない──それも、時間の経過を忘れるほどに。
陸軍287部隊の視察時間には完全に遅れていた。
「ご心配なく。本日、エンプラとドクターがダンジョンから帰還したとの連絡が入りました。こちらの遅延を見越して、視察は彼らに任せておきました。エンプラからも報告書が届いています。承認書類と合わせて処理すれば問題ありません」
「ありがとう」
日々少しずつ膨らみ始めるお腹に手を当てながら、ツバキは憂鬱に沈んだ。
「私、ダメになってしまったのかしら……今までこんなことなかったのに」
子を授かった最初の気持ちは幸せだった。大好きなあの人との子どもができること、自分が母親になること──すべてが幸せに思えた。
しかし、そんな自分に果たして女帝として、弱い夫と生まれ来る子を守れるのか。その不安に押し潰されそうだ。いっそこの子がいない方が……
「考えすぎですよ。総統閣下は毎日山のような政務をこなせていらっしゃるじゃありませんか。今も移動中の時間を使って書類チェックを先に進めていらっしゃいますし」
そう、憂鬱になっても、ツバキの仕事のペースは落ちていなかった。むしろ、そんな状態でよくこれだけのことができると感心するほどだ。
「恋愛シミュレーションゲームを軍隊に導入? アリストね……没よ。何回申請を出すの? いい加減家庭を持って大人になりなさい」
「男はいつまでもガキなのよ、大目に見てあげて。それより、大丈夫。母になるってそういうことだから。母は女を弱くするんじゃなく、強くするのよ」
「なに、ミラージュ、あなた子どもを持っているの?」
「さあね? 秘密が女をより魅力的に見せるのよ」
(まったく……ミラージュにはいつも助けられている。彼女は将軍の責務を果たしながら、私の秘書のようなこともしてくれる。強い女性だ。もしかしたら本当に……)
その時、電話の音が鳴った。相手はアリストだ。
「Hey! ツバキちゃん、元気?」
迷いなく切った。再び鳴る。
「ごめん、ふざけすぎた。実は総統閣下、今夜のディナーの相手……俺の愛人なんだ」
(え?) 確か相手は女性だったはず。まさか……あの人いったい何人愛人がいるの? ティアノには絶対そうなってほしくない、とツバキは強く思った。
「それで、わざわざ報告に来たの?」
「いや、それが話を盛り上げたら、今夜は俺が接待すればいいって話になってさ。朝までフルコース……いや、モテる男も辛いね。だからさ」
「アリスト?」
「総統閣下は定時で上がれよ。旦那さんが待ってるぜ」
電話が切れ、ツバキはようやく現実に戻った。
「何かいいことでもありましたか、総統閣下?」
「ミラージュ、車を家の方へ」
「はいはい、お気の向くままに、我が総統閣下」
車は方向を変え、朝に出発した場所へと走り出した。
*
マンションの下で車が止まり、待ちきれないツバキは胸を躍らせて上がろうとしたが、ミラージュのことを思い出し、その気持ちを抑えた。
「ミラージュも上がらない?」
「野暮なこといたしませんよ。こう見えて良い女ですから。それに、私にとって暖かい家庭より、スリル満載の夜の街の方が似合うもの。では、総統閣下。また明日お会いしましょう」
ミラージュが去った後、ツバキは不安と喜びを胸に、自宅の鍵を開けた。
ご飯はいらないと言ったはずなのに、小さなリビングルームのテーブルにはツバキの好物が並び、大きなホールケーキが置かれている。その上には──
「Happy Birthday ツバキ」
そうか……今日は私の誕生日だった。
いつものように仕事に没頭しているうち、すっかり忘れていた。
よく見ると、テーブルの下にはプレゼントの箱も。
「お姉さまへ」
なるほど、レンが帝国に来たのはこのためだったのか。
「おかえり。意外と早かったね。徹夜の覚悟で待ってたんだけど、これは失敗したか。ははは」
爽やかな笑顔を見せるティアノ。本当に困った人だ。
「そうだ、君が留守の間に弟君と、一人のメイドが来てこれを預いていったよ」
「あの……レンは女の子よ」
箱を開けると、様々な贈り物が詰まっていた。
• どう見ても売れない同人誌(マサキからか……どうせ女の子のおっぱいとパンツしか描いてないでしょ)
• サファイアのペンダント(母からね、あの人は宝石が大好きだから)
• 父からの椿の花の栞(まだ作ったばかりで、香りが濃い)
• 金色に光るカード(ユウキから……ごめん、お姉ちゃんそういうのちょっとわからないかも)
そして待ちに待ったレンからの贈り物は──
まさかのメイド服、そしてハガキ。
「セリナと一緒に作った レンより」
(お姉ちゃん、これを着るタイミングちょっと変じゃない?)
「誕生日おめでとう。大したものはあげられないけど……これは二人の未来のための準備だ」
ティアノからは、小さなベビースーツと幼児用のおむつのおもちゃ。
「ありがとう、あなた」
二人だけのディナーだったが、たくさんの祝福に包まれ、まるでこの小さな部屋に大勢の人がいるかのように温かい時間だった。
鋼鉄の女帝も新たな一年を重ねる。来年の今頃には、もう一人の家族がこの喜びをさらに増やすことだろう。
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