まおうさまの勇者育成計画

okamiyu

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第七章:椿は鋼に咲く、忠誠の銃声とともに――女帝と三将軍のプロトコル

第132話:黒きセーラー、蒼き理想――モリアの選んだ秩序

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彼がダンジョンへ行ってから、もう二日が経ちました。そろそろ地下水路にたどり着く頃合いかしら。水底で巨大な鯰を見て、きっと度肝を抜かれることでしょう。ふふふ。あの意外と度胸のないところが、私的にはかわいくて好ましいけど。一緒について行ってあげられなくて残念ですわ。まあ~彼なら何とかなるでしょう。私は私の仕事をやらなくちゃね。 
いつものドレスとは違う、制服のセーラー服に着替えて、鏡の前でおめかしする。
「今日もかわいく仕上げましたわ。」
妻として、夫である彼に恥をかかせるわけにはいかない。さて、モリアちゃんの一日がどうなっちゃうか、知っていてもなおわくわくしちゃうわ。ふふふ。

学校への通学路。同じ帝国の生徒たちもここを利用するが、その中で私一人が特に浮いています。
あらあら、この美しい容姿のせい? それとも全学科満点を成し遂げた才覚かしら? 両方でしょうけど、一番はこのスカートの下がどうなっているのか、みんな気にしているはずですわ。
「モリリン♡」
懐かしくて鬱陶しい、この猫撫で声の主は友達のアスモデウス。世界最初の女性として色欲の悪魔。女性の概念を世界にもたらしたことには感謝しているが、同じく巨乳の概念を作った彼女には少々不満を覚えています。
そして──
「わーお♪ 黒のレースじゃん、モリリンお~とな」
呼吸をするかのようにセクハラする所も嫌いです。
下から感じる上昇気流。このバカ、小学男子のようにスカートめくりしに来ましたわ。 彼女はそうすることを知っていても、逃れられない未来だと分かっているからこそ、ただイラつくだけ。
片手でスカートを押さえ、もう片方の手を――チョップの形に整える。
バカに痛い目を見せて差し上げました。
「いったあああ! 目が! 目が!普通は縦で頭に入れるでしょう、横斜め上に目に来るやついるか! 悪魔!」
目を擦って悲鳴をあげる彼女が悪いが、悪魔ですが何か? あなたもそうではありませんか。
「自業自得です。あれほど『やめて』と進言してましたのに。アスモデウス様は痛みからしか学習しないのですか?」
後からやってきたのは、アスモデウスのお目付け役である苦労人、元聖女のミリアム。周囲からすべての友人に捨てられ、火あぶりの刑で一度死んだ彼女にとって、唯一手を差し伸べたアスモデウスは特別な存在なのでしょう。それも当然、折角天使として新たな生を受け、なお彼女のそばにいるのだから。ふふふ。
「姉さん、おはようデース。はーう……」
「あら、ベルも来ましたのね。まるで眠りながら歩いているみたい。」
大きなあくびをして、全然「おはよう」の状態ではない。私の妹分のベリアル。基本的に夜行性なので、人間の時間帯には慣れていない。
「おはようございます。ベルは礼儀正しくて偉いわ。どこかのセクハラ大魔神と違って。」
ご褒美にベルの頭をなでなでしてあげると、気持ち良さそうに顔を緩める猫のような娘。そんなに気持ちいいのかしら……次は彼にも頼んでみましょうか。……帰ってきたら、ね。

学園に着くと、そこには既に人の群れができていました。
怒号と拍手が交錯し、空気が熱を帯びる。まるで戦場前夜のようなざわめきでした。
一方には青い旗。そこには両翼を水平に広げた鳩が描かれている──これが平等党の印です。
"Wings for All"
「全ての種は、同じ風を分け合う」という意味らしい。
それに対峙するもう一方には、金黒の旗に天秤の上にとまる梟の模様。
"Eyes of Truth"
「公平とは、全てを見通す目を持つこと」。これが帝国古来の思想を受け継ぐ公平党である。
「特権反対! 学園の決定に断固反対! 手術を受けていない男性を女性として扱うなんて、この学園の女子生徒を常に危険に晒す行為です。彼が首席だからといって、許されることではありません!」
平等党の先頭で指揮を執るのは、茶色の巻き髪の少女・リディア・エクイノクス。彼女は学園平等党の副会長で、私の一番の反対者だ。こうして朝から抗議活動を組織している。
生意気にも胸のサイズがGカップ……いやな人。
「『彼女』に訂正いただきたい。彼女の要求は帝国の法に違反していない。もし女子生徒に不埒を働いたなら、その時に裁けばよい。彼女は有能な人材として、帝国の未来に必要とされている。この程度の要求は満たされるべきだ」
反論するのは、藍色のショートカットの少年・アレックス・フェアウェザー。公平党の会長──いや、元会長です。公平党の会長は学園で最も優秀な生徒が務める規定で、昨日の時点で既に私が会長に就任しています。不本意ながら。
「被害者が出てからでは遅いです! そもそも男性が苦手な女子生徒もいます。彼女に男性に着替えを見られ、異性と同じトイレを使う環境は、極刑以外の何ものでもありません。こちらの最大の譲歩として、せめて手術を受けてから女性として認めましょう。どうですか、モリアさん?」
あらあら、見つかってしまったわね。
敵意剥き出しの視線は、まるで私を刺し殺すかのよう。相当男性がお嫌いのようで。私もそうしたいのは山々ですが、できすぎた肉体も時に迷惑なもの。この神が作り上げた体を傷つけられるのは、あのバカ天使の神器くらいのものです。アスモデウスでさえこの肉体は変えられませんわ。そうでなければ、長い年月で悩まされなかったもの。だが、こう言っても信じてもらえないわよね。ええ、分かっています。
「断りますわ。そうしたところで、私は本当の意味での女性にはなれません。それに、私の彼は私の全てを愛しているわ。彼の前で偽りの姿を見せたくありません。神に誓って、この学園の女子生徒に手を出しません」
「モリリン、悪魔なのに神に誓うとか、超ウケるけど♪」
…バカにはお仕置き。
「アスにゃんに同じ手は通じないもんね、くばあ!」
目をガードしているが、今回は腹パン。両手が目に行った分、腹ががら空きに。
「ひっ!」
それを見たリディアは本能的に腹を守った。
「やはり暴力を振るうんですね。男性の本性は野蛮ですから。無理もありませんけど」
「いや、今のは店長が悪いデース。ベルは同じ状況でも殴るのデース」
「アスモデウス様、これを懲りて空気を読めないことをしないでくださいね」
ミリアムは痛みでのた打ち回るアスモデウスを介抱していました。
「とにかく、私がいる限り、あなたの好きにはさせません。見ていてください、絶対に化けの皮を剥がして差し上げますからね」
小物じみた捨て台詞を残すと、リディアは平等会のメンバーを引き連れて去っていった。
「さすがです、会長! 俺たちが長い論戦でも決着がつかなかったのに、会長にかかればあんなにスムーズに……このアレックス、感服いたしました」
「いいえ、大したことはしていません。むしろ、あの暴力沙汰で印象を悪くさせてしまいましたが」
「そんなことはありません! 暴力も時には交渉における重要な手段です。会長は間違っていません!」
公平会には有能な者を無条件で肯定する傾向があるが、彼の場合はそれ以上に特別な事情が絡んでいるようです。
「むしろ……はあ、はあ……平等会に論戦で勝てない無能な俺を罵ってください! 必要なら、先ほどと同じように俺にも腹パンを……はあ……」
どうやら彼は、自分より強い女性に支配されたがるマゾヒストのようですね。
「いい!そのゴミを見下すような蔑む視線……俺はずっと貴方のような方を……」
「茶番に付き合いきれませんわ。行きましょう」
M属性の相手は嫌いね。 何をしても奴にとってはご褒美になってしまい、反応に面白みがない。その点、先程のくるくるGカップは期待できる、いいおもちゃになりそうですね。ふふふ。
一人でうっとりしている元会長を置き、私は今日の学園生活を始めた。

授業が始まり、特別講師のアリストは困惑した表情でこちらを見ている。 その原因は──
「生徒リディア・エクイノクス、君は違うクラスだったはずだ。戻ってくれ」
なんと彼女、健気に私の後ろに着いて来ているではないですか。
「クラスチェンジの申請を提出しました。私の成績なら承認されるはずです」
「君は特権が嫌いで平等党に参加していないのか?」
「ええ、でも綺麗事だけで理想は実現しません。それを理解した上で、公平党の手法で戦わせていただきます。まさか、公平を主張する方たちが、私が平等党だからという理由で差別するんじゃありませんよね?」
公平党の主張を逆手に取り、自身の平等主義を推し進めるとは……だから人間は面白い。
その後も、私が部屋以外にいる時は必ず彼女がついて来る。まるで恋する乙女のようで、ちょっと可愛じゃありません?
しかし、人間にはどうしても抗えない生理現象があります。それは──
「なんで……あなたは一度もトイレに行ったことがないんですの? おかしいです。寮にも個室トイレはないはずなのに……」
顔を赤らめ、もじもじと股間に手を当てている。私をストーカーしているから、自分が行く暇もなかったのでしょう。
「ええ、美少女はトイレに行きませんわ。」
「そんなでたらめで誤魔化さないで! あう……」
声を張り上げた反動で股間への力が緩み、危うい状況に。いや、もしかしたら少し漏れたかもしれません。
「お花を摘んでらっしゃい。さもないと、平等党副会長の大失禁……失礼、大失態になりますわよ。ふふふ」
「そんなこと言って、私のいない間に不埒な真似を……」
「ふんふん♡、アスちゃん急に水が飲みたくなった」
アスモデウスがさっそく悪戯のチャンスを逃さず、水筒からコップに水を注ぎ始める。
「ちょっ……」
その水音がさらに尿意を誘う。
「あれ? これお湯かも? アスにゃん猫舌だから、冷まさなくちゃ」
湯気も立たない水を、コップと水筒の間で何度も行き来させ「冷まし」続ける。
「♪♪♪」
ベルも意地悪く口笛を吹き始めました。悪魔ですね。
「いい加減にしてください! 可哀想じゃありませんか!」
流石は元聖女、この状況を見過ごせないようです。
「リディアさん、ここは私が見張りますから、トイレに行ってきなさい」
「信じられますか……あなたも所詮あの人たちと同じ穴の狢……私が絶対に……」
もう足が小鹿のように震えているのに、口だけは一人前だ。この辺で許してあげよう。
「リディアさん、一緒にお花摘みに行きませんか?」
限界に近いかもしれないが、彼女の顔に確かに微笑みが浮かんだ。

「ちゃんといらっしゃいますか?」
「ええ、いますとも」
私を女子トイレに入れないようにしつつ、私がどこかへ行ってしまわないかと、トイレの中から確認の声をかけてきます。
「会長、何をなさっているのですか?」
隣の男子トイレから出てきたアレックスは、状況をうまく飲み込めていないようです。
「リディアさんが昨日怖い夢を見たらしくて、一人でトイレに行けないんです。敵対関係とはいえ、放っておけなくて」
「変な嘘を言わないで!」
女子トイレから抗議の声が響く。
「会長! 連日、平等会の副会長からストーカー被害を受けていると、会のみんなは見ていられません。彼女の行為は明らかに度が過ぎています。将軍たちに報告した方が……」
「あなたの意見は聞いていませんわ。それとも、私がこれしきのことでうろたえて教師に助けを求めるほど弱いとでも?」
「さようでございますか……さすがモリア会長、このアレックス感服いたしました。今後もご鞭撻のほど」
「いいえ、結構ですわ」
「最高です~」
もう嫌ですわ、この人。私、本当に苦手かも……
「『これしきのこと』で悪かったわね! 見ていてください、いつかあなたを倒して見せますから、モリア!」
負荷を卸したのか、完全復活したリディアは手を洗い、トイレから出るとすぐに私に挑戦状を叩きつけた。
「失礼な! 会長には敬語を使いなさい。君より目上の方ですよ」
「いいえ、あなたには『モリア』で十分。私のライバルとして、いつか超える山に敬語なんて御免だ。べえ」
指で左目を引き下げ、舌を出してあかんべえをした。
「でも、今日はありがとう。この借り、いつか返すから」
意気揚々と退場しようとしたが、途中でまだ私の監視が必要なことを思い出し、顔を真っ赤にして戻ってきた。
「あら、おかえりなさい。捨て台詞はかっこよかったですよ。ふふふ」
「私、やはりあなたのことが大嫌いだ」

校舎の一角、平等会の本部室で、金色の髪をした青年が新聞部の記事を読み、深く考え込んでいた。
「『史上最高の才女モリア、公平党会長に就任』……なかなかのパフォーマンスじゃないか。おかげで帝国内部のギリギリ保たれていた均衡が崩れてしまった。魔族との戦いが目前という時に、これも君の計画なのか? 悪魔め」
片手で眼鏡を押し上げると、レンズが光を反射し、彼の表情をさらに神秘的に見せた。
「ガヴェイン会長、リディア副会長の件ですが……」
「やめてくれ、同志ゲイル。私たち平等会に上下関係はありません。皆等しく平等なのだから。同志リディアが会の規定に違反していない以上、私に彼女を止める権限はありません」
「しかし、彼女は特権を使ってクラスチェンジを……」
「よろしい。彼女は私欲ではなく、偉大なる我が会の理想のためにやむなくしたことです。神もきっとお許しになるでしょう。」
「すみません、俺は無神論者でして」
「それはいけません。神を信じる者こそ、真の平等が訪れるのです。同志ゲイル、これを差し上げます。今日から神への信仰を始めてください」
ガヴェインは引き出しから聖書を取り出し、ゲイルの手に押し付けた。
「神はいつもあなたのそばにいます」
その誠実そうな顔つきのどこかに、狂気が潜んでいるのをゲイルは感じずにはいられなかった。
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