まおうさまの勇者育成計画

okamiyu

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第四章:勝者も敗者も、恋を知る――月下の武闘会は乙女を育てる

第66話:最強戦士と海賊王、選ばれたのは修羅場でした

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「海賊王の宝を探すんだ!」

「いや、決闘場の賞金が先だろ!」

レンとルーが、次の目的地を巡って口論していた。

……ちなみに、金欠の原因は我がパーティーの勇者様である。

報酬の高いクエストは軒並み受付終了。錬金術で金塊でも作ろうかと思ったら、レンに「インフレが起きる」と止められた。

そんな中、モリアが2つの新情報を持ってきた。

――ひとつ。戦士の街デュエロポリスで、最強戦士決定戦が開催中。優勝賞金は100ゴールド。

――もうひとつ。港町ラム・ランデブーから出港する探検船に乗り、海賊王テンペスト・タイラントの遺した財宝を探す。

当然、意見は真っ二つに割れた。

「今年こそ出たいんだよ、俺! 毎年、王族の晩餐会で出られなかったんだ。今度こそ優勝したい!」

「僕の方が一番強いから、そんなの楽しくないもん、そんな大会より海で暴れた方が絶対いい! 宝探そうよ、宝!」

さすがに収拾がつかないので、私が割って入った。

「はいはい。こういう時は、多数決で決めよう。恨みっこなしな?」

5人で円卓を囲み、順に手を挙げていく。

「私は、海賊王の財宝を探したいです。……セリナ、海を見たことがありませんから」

え、そんな理由で!?

宝、探す気あるの君たち……?

「おおっ、いいね、君は見込みあるよ!」

何気にルーがセリナに対する好感度が上がった気がした。……なんか最近、仲良くなってないか?

「私は大会に一票ですわ」

にっこり笑ってモリアが言う。「バカ天使に嫌がらせかねて、面白いことも起きますから。ふふふ」

この笑いは……完全に誰かを罠にはめる顔だ。レン、お前がターゲットだぞ。

「よっしゃあ!」

レンは自分に賛同が入って喜んでいるが、完全にフラグである。

それに悪人を私にやらせるとしている。どっち選んでも恨まれそうだ。

私は、天を仰ぎ、決断した。

「……私は、大会に行く」

「よっしゃあ! 分かってるじゃん!」

レンが私に抱きついてきた。まったく、剣のことになると子どもなんだから……

「マスター、嫌い」

そっちが拗ねた。

「ほら、大会は期間限定だし。宝探しはいつでも行けるだろ?」

「でも、その間に誰かに先を越されるかもしれません」

あれ、セリナがやけに強気だ。普段は素直なのに、最近ちょっと反抗的……これはもしや反抗期?

「なあ、モリア。さすがに今見つかることはないよな?」

助けてモリエモン! 君だけが頼りなんだよ!。私は目で彼女に合図した。

「さあ、どうでしょう? 私は知りませんわ」

ダウト!楽しんでいる、困った私を楽しんでいる。そういえばそういう性格の悪魔だったね。

「じゃあこうしよう。もし誰かに先を越されたら……私が奪い返してやる。『海賊船長マオウ』としてな!」

「わーい! 僕、海賊ごっこしたい!」

よかった単純な子で。

「……マオウさん。船がありません」

そして、セリナは、いつものように甘くはなかった。

「大会の賞金で買えばいいだろ。100ゴールドあれば、船ぐらいなんとでもなる」

「……マオウさんのバカ」

なぜだ。今のは名案だったはずだけど。

こうして我々は、次なる目的地――戦士の街デュエロポリスへと向かうことになった。

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