まおうさまの勇者育成計画

okamiyu

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第四章:勝者も敗者も、恋を知る――月下の武闘会は乙女を育てる

第67話:ようこそ戦士の街へ――歓迎はされないが

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百年前――
帝国は、聖女ミリアム・エクスコミュニカの処刑を王国に要求する代わりに、ひとつの城を譲渡した。
それが、現在の戦士の町――デュエロポリスである。
だが、そこには元から帝国人が暮らしていた。
後から移住してきた王国人と、当然のように衝突は絶えなかった。
果てしない小競り合いを“競技”に昇華する形で、毎年行われるようになったのが――
最強戦士を決める「武闘会」である。
勝者の所属する側が、その年一年間を“鼻高々に”過ごせるという、ある意味、地域間の意地のぶつかり合い。
賞金100ゴールドも魅力だが、それ以上に、名誉と誇りが懸かっていた。
そして去年の優勝者は、帝国人だった。
「見ろ、王国人だぜ」
「今年も恥を晒す気か?」
「王国の雑魚じゃ、帝国の戦士には勝てねえよ」
――歓迎どころか、冷笑ばかりが飛び交う。
なるほど。モリアが好きそうな祭りだ。
________________________________________
「王国人? 悪いが、うちは“弱者”を泊める部屋なんて用意してないんだわ」
宿屋でさえ門前払い。ルーは興味なさげだったが、レンの表情はそろそろ爆発寸前だった。
「ふざけるな……! なにが“弱い王国人”だ! だったら勝負しろ、どっちが雑魚か、今ここで証明してやる!」
その時――
高い階段から、トン、と軽い足音が鳴った。
「ノーマルに勝負挑む――それが王国人のやり方ね」
少女の声がした。
赤い焔のような長髪が風に揺れ、琥珀の瞳が鋭く光る。
日焼けした肌には無数の傷痕。
袴風の戦闘服に軽鎧を纏い、異国の護符を腰に下げたその姿は、まさに異邦の拳士。
――王(ワン) 小梅(シャオメイ)。
「王小梅様! ご無礼を……この者たちは――」
宿屋の主人が慌てて頭を下げるが、彼女はそれを無視し――
キンッ!!
鋭い金属音が弾けた。
レンに拳が迫り、レンがとっさに剣を構え、その拳を受け止めた
「ほう、剣ね。反応は悪くないある」
「拳だけで来るとは……相当、自信があると見たな」
レンの目が鋭くなる。スイッチが入った。
「だが、前に来てた王国人よりはマシね。少しは楽しませてくれるといいある」
――入ってすぐエンカウントしバトルフェイズに入るとは。
さすがは戦士の町。
________________________________________
バン!
小梅の重い蹴りがで、レンの身体が宙を舞って外へ吹き飛ぶ。
だがレンは即座に受け身を取り、次の拳を見切って回避。
「レン君!」
セリナがようやく事態の深刻さに気づく。
……止めるべきか?
いや、勝負を邪魔したら、レンが怒るか。ならせめて迷子にならないように見張ってやるか。
「セリナ君、君は宿を頼む。夜になって寝床がなければ、レンが勝ってもろくに休めないからな」
「わかりました……お気をつけて」
「いってらっしゃーい。帰り、お楽しみにしてますわ」
モリア、絶対全部わかって言ってるな。
________________________________________
屋根の上――
小梅が踏み込み、回し蹴りが連続してレンに襲いかかる。
「青龍流転脚(せいりゅうるてんきゃく)!」
下段→中段→上段へとリズムよく繋がる三連撃。さすがのレンも全部を避けきれない。ギリギリで剣で防いた。しかしその衝撃は防げきれなかった。
「ぐ」速度を特化したレンの体重は軽い、その一撃で、レンは家数軒分も飛ばされ、建物の外まで吹き飛んだ
小梅という戦士、動きが速い上に一撃ごとに力が強い。
――“気”。
東方の武術に伝わる、魔法とは異なる力の流れ。
修練が難しく、使いこなすには莫大な集中力と鍛錬が必要とされる。
それを彼女は、まるで呼吸するかのように使いこなしていた。
なるほど、去年のチャンピオンはこの娘か。しかし、レンも強いぞ。
「月華一刀」見えない速さで、レンはお得意の一閃を決めた。
……はずだったが――
「ぐ」逆にレンの方で膝を着かせた。
「玄武化勁陣(げんぶかけいじん)!」
カウンターが。
気による防御で衝撃を流し、さらにカウンターを叩き込んだ。
「終わりある。なかなか強かったが、小梅の敵ではないある」
いや、レンも決めた。
「……月滅一刀(げつめついっとう)」
次の瞬間、小梅の胴に深い斬撃が走る。
――レンの時間差二段一閃。
彼女は私が欲しいまでの剣士だ。それをできるが当然。
「……すごいある。小梅をここまで傷つけた相手、ダーリンが初めてある」
「……え?」
だーりん??
「王国人だけど……あなた、小梅のお婿さんにしてあげるね?」
……あ。
そういえばレン、男装してたな。
――あまりに自然すぎて、忘れてた!!!
……これも全部知ったか、モリアめ。
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