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恋しい人
恋しい人 第2話
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「ママ、みてみて! おねーちゃんがおひめさまにしてくれたの!」
リビングに軽快な足音を響かせてやってきたのはめのうで、その髪型に僕は驚いた。
だっていつものような絹糸の金色のストレートヘアじゃなくて、ふわふわでクリクリのウェーブがかかった髪をツインテールにしていて本当にお姫様みたいに可愛かったから。
「うわぁ! めのう、凄く可愛いね!」
「そうでしょ? ちゃいにぃ、あたし、おひめさま?」
お箸をおいて身体ごと振り返る僕に駆け寄ってくるめのうはお姫様というよりも天使みたいだ。
僕は蒼い瞳がキラキラ輝いているように見えて、世界で一番可愛いよとそのフニフニの頬っぺたを撫でてやった。本当は頭を撫でてあげたかったけど折角姉さんが頑張ってセットした髪型を崩したくなかったから我慢した。
「でしょ? あたしおひめさまなの!」
「うんうん! めのうはお姫様だよ!」
可愛い天使のような妹に頬を緩ませていたら、「なんて顔してるのよ」って天使を生み出した功労者でもある姉さんの声が。
「だってめのう、すっごく可愛いんだもん」
「今の言葉は虎にであって葵にじゃないわよ」
こんな可愛い妹を前にしたらデレデレになるのも当然でしょ?
そう言い訳を並べる僕に、「葵はどんな顔しても可愛いからいいの」なんて訳の分からないことを言いながら隣に座る姉さん。
僕は姉さんの言葉に虎君を振り返れば、虎君はすごく気まずそうな顔をしていた。
「虎君……? どうしたの……?」
言うなれば申し訳なさそうなその表情に、何故そんな顔をしているのか僕が疑問に思うのは当然だ。
僕はめのうを膝に抱いて虎君に向き直ると、なんでそんな顔をしてるの? と疑問を重ねた。
「あ、いや、なんでもないよ。めのうちゃんが可愛くてびっくりしただけさ」
「ほんとう? あたしおひめさま?」
「ああ。めのうちゃんは世界一可愛いお姫様だよ」
身を乗り出して虎君に褒めてと迫るめのうと、いつも通りの笑顔でめのうを褒める虎君。
僕はそのやり取りに少しだけ嫌な気持ちになってしまった。
(こんな小さい妹に嫉妬するとか、だめでしょ)
そう自分に呆れるも、幼い妹は今のままでも充分可愛いのにこれから大きくなったらますますその可愛らしさに磨きがかかると知っているから嫉妬するのだ。だって、虎君は僕を『可愛い』って言うから。
『可愛い』僕が好きなら、本当に可愛い子が目の前に現れたらそっちに心が奪われたりしないだろうか? なんて、虎君を疑ってしまっているのも嫌な気持ちになった一因だろう。
(でも、でも『世界一』ってそう軽々しく口にするものじゃないよね?)
今まで虎君は僕に何度もその単語を使って想いを伝えてくれていた。それなのに、そんな大事な単語を何とも思っていない相手に使うだろうか?
(普通、使わないよね……)
そこまで考えて、僕はある可能性に行き着いた。もしかして虎君はめのうのことを好きになったのかもしれない。と。
そして行き着いた結論に顔から血の気が引いていくのを感じたその時、目の前で何か大きな音がした。
「! な、何?」
びっくりして顔を上げたら、目の前に両手を合わしためのうの姿が。
「おねーちゃん、これでいい?」
「はい、よくできました。……めのう、こっちおいで」
「はーい!」
何が起こっているのか分からない僕の腕からめのうは抜け出し、姉さんの膝の上に移動する。
姉さんはそんなめのうの頬を擽りながら、「信用ないわね」と楽しげに笑った。
「姉さん……?」
「付き合い始めて2ヶ月ちょっとで浮気を疑われるとか、あんたの想いも知れてるわね」
「傷口に塩塗り込むな、桔梗」
訳が分からず眉を下げる僕だけど、姉さんの言葉は僕じゃなくて虎君に向けられたものだったようだ。
僕が虎君を見たら、虎君はテーブルに両肘をついて深く項垂れていた。
「虎君……?」
「……なぁ葵、もしかして、俺がめのうちゃんを好きになったとか、思ってないよな……?」
「! な、なんで分かったの!?」
確かめられた言葉に思わず過剰な反応を返してしまう。
隣からは吹き出すような笑い声。でも、隣の姉さんに視線を向ける余裕なんて今の僕にはなかった。だって、虎君に『そんなわけない』って言ってほしくて必死だったから。
リビングに軽快な足音を響かせてやってきたのはめのうで、その髪型に僕は驚いた。
だっていつものような絹糸の金色のストレートヘアじゃなくて、ふわふわでクリクリのウェーブがかかった髪をツインテールにしていて本当にお姫様みたいに可愛かったから。
「うわぁ! めのう、凄く可愛いね!」
「そうでしょ? ちゃいにぃ、あたし、おひめさま?」
お箸をおいて身体ごと振り返る僕に駆け寄ってくるめのうはお姫様というよりも天使みたいだ。
僕は蒼い瞳がキラキラ輝いているように見えて、世界で一番可愛いよとそのフニフニの頬っぺたを撫でてやった。本当は頭を撫でてあげたかったけど折角姉さんが頑張ってセットした髪型を崩したくなかったから我慢した。
「でしょ? あたしおひめさまなの!」
「うんうん! めのうはお姫様だよ!」
可愛い天使のような妹に頬を緩ませていたら、「なんて顔してるのよ」って天使を生み出した功労者でもある姉さんの声が。
「だってめのう、すっごく可愛いんだもん」
「今の言葉は虎にであって葵にじゃないわよ」
こんな可愛い妹を前にしたらデレデレになるのも当然でしょ?
そう言い訳を並べる僕に、「葵はどんな顔しても可愛いからいいの」なんて訳の分からないことを言いながら隣に座る姉さん。
僕は姉さんの言葉に虎君を振り返れば、虎君はすごく気まずそうな顔をしていた。
「虎君……? どうしたの……?」
言うなれば申し訳なさそうなその表情に、何故そんな顔をしているのか僕が疑問に思うのは当然だ。
僕はめのうを膝に抱いて虎君に向き直ると、なんでそんな顔をしてるの? と疑問を重ねた。
「あ、いや、なんでもないよ。めのうちゃんが可愛くてびっくりしただけさ」
「ほんとう? あたしおひめさま?」
「ああ。めのうちゃんは世界一可愛いお姫様だよ」
身を乗り出して虎君に褒めてと迫るめのうと、いつも通りの笑顔でめのうを褒める虎君。
僕はそのやり取りに少しだけ嫌な気持ちになってしまった。
(こんな小さい妹に嫉妬するとか、だめでしょ)
そう自分に呆れるも、幼い妹は今のままでも充分可愛いのにこれから大きくなったらますますその可愛らしさに磨きがかかると知っているから嫉妬するのだ。だって、虎君は僕を『可愛い』って言うから。
『可愛い』僕が好きなら、本当に可愛い子が目の前に現れたらそっちに心が奪われたりしないだろうか? なんて、虎君を疑ってしまっているのも嫌な気持ちになった一因だろう。
(でも、でも『世界一』ってそう軽々しく口にするものじゃないよね?)
今まで虎君は僕に何度もその単語を使って想いを伝えてくれていた。それなのに、そんな大事な単語を何とも思っていない相手に使うだろうか?
(普通、使わないよね……)
そこまで考えて、僕はある可能性に行き着いた。もしかして虎君はめのうのことを好きになったのかもしれない。と。
そして行き着いた結論に顔から血の気が引いていくのを感じたその時、目の前で何か大きな音がした。
「! な、何?」
びっくりして顔を上げたら、目の前に両手を合わしためのうの姿が。
「おねーちゃん、これでいい?」
「はい、よくできました。……めのう、こっちおいで」
「はーい!」
何が起こっているのか分からない僕の腕からめのうは抜け出し、姉さんの膝の上に移動する。
姉さんはそんなめのうの頬を擽りながら、「信用ないわね」と楽しげに笑った。
「姉さん……?」
「付き合い始めて2ヶ月ちょっとで浮気を疑われるとか、あんたの想いも知れてるわね」
「傷口に塩塗り込むな、桔梗」
訳が分からず眉を下げる僕だけど、姉さんの言葉は僕じゃなくて虎君に向けられたものだったようだ。
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「虎君……?」
「……なぁ葵、もしかして、俺がめのうちゃんを好きになったとか、思ってないよな……?」
「! な、なんで分かったの!?」
確かめられた言葉に思わず過剰な反応を返してしまう。
隣からは吹き出すような笑い声。でも、隣の姉さんに視線を向ける余裕なんて今の僕にはなかった。だって、虎君に『そんなわけない』って言ってほしくて必死だったから。
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