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本編
41、ノット ※
しおりを挟む俺の長いラットが終わった。
アルファの精は一度出すと長いと聞いていたが、ここまでとは思わなかった。正樹の発情にあてられて初めて、ノットという現象が起きた。オメガに種づけをするという本能から、子宮を塞ぐように大きなこぶがでるという知識だけだったが、実際そうなってみると言いようもないくらいの充足感を覚えた。
正樹が気を失った後、そのまま部屋の入口にいるわけにもいかず、正樹を休ませるためにもベッドに移動した。もちろん抜けないので正樹の中に挿入ったまま、繋がったまま動いた。正樹はそのたびに無意識に締め付けるから、俺もまた意識が飛びそうになったが、ベッドまで我慢して、正樹を下ろした瞬間に沢山突いた。
「うっ、ううっ、正樹っ、正樹っ、」
「あんっ、はあ、はっ、あっ、んんんん!!」
一度挿入ると全てが吐き出されるまで抜けることが無いと言われる、アルファのラット中の行為だった。そして今、落ち着いたので正樹を後ろから抱えながら、頭を撫でて、うなじを嗅いで、穏やかな時間を過ごしていた。
「正樹っ」
「あっ、あんっ」
何度か波があって、また気持ちが良くなり、寝ている正樹の中で揺さぶりをかけると、正樹もそれに反応して締め付けてくる。
気持ちがいい正樹の中にずっと、ゆっくりと吐き出していて、全てがで終わるまでにどれくらいかかっただろうか。途中気を失っていながらも正樹は喘いでいた。きちんと感じているようで嬉しかった。
穏やかな時間、俺はこの先をどうするか考えていた。最高潮に上がったラットも正樹のヒートと同じように今は落ち着いている。
俺が正樹を運命と知らずに、いつだったか運命が現れたら邪魔だから他の奴の番にさせると言った。
それは正樹を他の男に渡すという意味ではなくて、正樹以外とは番にならないという気持ちを言う為だった。だって、あの頃の俺は正樹が自分の運命だなんて知らなかったから。
俺が運命を葬るという話から、だからこんなことをしでかしたのだと思う。いや思いたい。決して櫻井を好きで番契約をしようとしたのではないはずだ、だって正樹は言葉ではああ言ったが、俺を好きだという気持ちは俺と同じで本物のはず。
というか、正樹は俺が運命の相手だと知っていた?
初めから? 以前に夢だと思って俺に告白してきたことがあった、あの時は俺を見た日から好きだったと言った。正樹は俺を見た日と言ったが、それはいつだったのだろう、もしかしてそれは俺と正樹が初めて出会った、あの正樹の初めての急な発情のことか? あの時助けたアルファが俺だって気がついた? そして正樹はその時俺を運命と知ったのか? 俺は正直あの時正樹を噛みたくて仕方なかった。
それが「運命の番」の衝動?
普段から強い抑制剤を使用していても……それだった。だったら何も薬を取っていなかった正樹は、そんな衝動耐え切れなかったんじゃないか? 俺が運命に気が付かなかったから、正樹は耐えた? この耐えようもない運命に、正樹は一人耐えたのか!?
改めて、目の前で寝ている健気なオメガを愛おしいと思った。こんなに強いなんて、俺は運命にあてられて全く耐え症がなかった。かろうじて噛むことはなんとか我慢したけど、セックスまでは無理だ。抱かないでいられる人間がいるなら知りたい。それくらいの威力だった。
かりに相手が正樹じゃなかったら、そうならなかったのかなんてそうなっていないから全く持ってわからない。だけど相手が正樹だからこそ、そのまま手に入れるという方法をとったのは確かだった。
正樹、お前は凄いよ。だからこそオメガとかそんなの関係なく、正樹が好きだった。
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