回帰したシリルの見る夢は

riiko

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外伝 儚く散った公爵令息

1 シリルが見た夢は 1

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「……フランディル様」

 フランの名前を呼ぶアシュリーと、それに戸惑うフランが僕の目の前にいる。

「お前が、なぜここに……」

 えっと、なんだっけ……この場面。

 僕とお茶をしていたフランが、慌てて席を立ちアシュリーの場所まで行く。そしてフランは振り返り、僕に一言。

「では、シリルまた来月」
「えっ」

 その言葉だけを残し、彼を囲うようにその場を離れていった。
 幼い頃から大好きなフランがここいる。そしてまたアシュリーが彼の隣に? これはいったい……どうしてだかフランは若い、まだ十代にしか見えない。
 ――もしかしてここは。

「シリル様、本日はこの辺で……」
「えっ、リアム様?」

 リアム様がすぐにその場から僕を連れていこうとする。僕はよろけ、そしてリアム様は僕を受け止める。

「シリル様、しっかりなさってください! 本日は私が公爵邸までお送りさせていただきます」
「公爵邸? リ……アム様」

 すでに僕と距離が離れてしまったフランと、彼に囲われるように去っていくアシュリー。
 アシュリーはちらりと僕を見てから、すぐにフランを見つめる。その目は恋する目だった。
 ――ああ、ここは、あの現場か。もしかして、僕はまた回帰を?
 いったいなぜ。僕は三度目のこの場面に、もう笑うしかなかった。

「フフフ、あはっ! 僕は、またここに還ってきた」
「シリル様?」
「笑っちゃう。あっはっはっ、ナニコレ、何これ。僕、今度はいったいどんな死に方をしたの! あはは!」
「シ、シリル様!」

 リアム様が本気で心配した顔をすると、僕の異変に王宮の侍女たちが駆けつける。
 なんの断罪の始まりなのだろうか。 
 どうしてまたここに? 僕はまた死んだの? しかもこんな場所に戻るくらいの出来事が? 
 まだなにがどうなっているのかわからない。とにかく、ここは僕たちの間違いの始まりの場所なのは確かだ。
 役者は揃っている。
 僕とフラン、そしてリアム様とアシュリー。これから始まる物語の最初の場所。誰しも、もがき苦しみ、僕たちは必ず誰もが誰かの罪を背負い断罪を受ける。その始まりの場所だった。
 いったい僕はこれからどうしたらいいの?


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