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同郷の友6
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走り出そうとした足がひどく重い。
ヒノデの目の前で赤が散り、キイトの体が飛ばされ崩れる。
ヒノデの喉から、糸よりも細い声が漏れた。
「やめて、お願い、やめて」
指が凍り、世界が歪む。
彼女の後ろから、白い影が飛び出し、追放者に仕掛けられた糸を引き黒刀で切り付けた。
追放者の首がすとんと落ち、小石丸が首のそばへと着地をする。
小石丸は、投げ出されたキイトを見下ろすと、首を振った。その残酷な動作に、ヒノデの息が詰まる。
誰かがヒノデを強く抱き締めた。
「見なくていい。
……私たちがやるから、あんたは向こうへ行ってなさい」
「……なにを、言っているの?」
声でワッカだと分かったが、言っている意味が分からない。
(見なくていいって何を。早く、早くあの子の所へ行かなきゃ。怪我をしている、いまなら、甘やかしてもきっと許される)
ヒノデはワッカを振り払い、走り出した。
(キイト、キイト、私のキイト)
絡まる足がもどかしい。追放者の足に躓き、立ちはだかる小石丸にぶつかり、それでも手を伸ばし、我が子へと向かう。
「キイト」
首のない大きな追放者の体に抱かれるようにして、キイトは倒れていた。
小さな体から、血だまりが広がっていく。
ヒノデは、その伏せた体をそっと起こすと、白い顔と裂けた体に、労いの声を掛けた。
「大丈夫よキイト。痛かったね、すぐに手当てをしてあげるから、大丈夫、だいじょうぶ、母さんがいるわ」
ヒノデは本糸を紡ぎ、隠し針を取り出して、ばくりと開いた傷口を縫いはじめた。
血で手元が滑るたび、口へ持っていきそれを舐めとる。
「だいじょうぶ、だいじょうぶ、なにも心配しないで、すぐに母さんが」
「もう、やめなさい。ヒノデ」
小石丸の優しい声に、ヒノデの手が止まる。人間たちが走って来る、何やら騒がしい。
「早くこの子を運んで、手当てをして……」
ヒノデは震える指で作業を再開したが、その手を小石丸が強く握った。
「無駄だ、キイトは死んだ」
ヒノデの世界が、ぎこちなく止まった。
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