鉄壁防空艦隊

ypaaaaaaa

文字の大きさ
3 / 21
防空艦隊建設

具体案

しおりを挟む
艦隊の防空能力を高めるために日本海軍がまず行ったのは新型対空火器の開発であった。
現在の日本海軍は12.7cm高角砲や25mm機銃が主要な対空火器であった。
これらは現状の航空機に対しては十分であったが、航空機が進化を遂げることはもはや確定的であり、それに付随して対空火器も強化していかねばならない。
そこで軍令部は艦政本部に対して新型対空火器と射撃管制装置の開発を命じた。
また中口径の37mm機関砲や40mm機関砲のライセンス生産権を購入してこれを自国生産する予定だった。
狙いとしては長距離、中距離、そして短距離の対空戦闘に対応するためである。


艦隊の防空力強化は対空火器の更新とは別の方向でも試みられていた。
それが水上機母艦の建造である。
なんの脈絡もないかもしれないが、これは現在の時局を見れば分かる。
1930年というとロンドン海軍軍縮条約が締結された年であり、新造艦への監視の目は厳しいものがあった。
だから水上機母艦を建造するのである。
条約が失効した暁にはこれらを空母に改装するために。
やはり、艦隊防空において最も期待できるのは戦闘機による迎撃であった。
日本海軍、とりわけ山本はこのことを肌で感じており“防空専用の空母“の建造を考えるに至ったのである。
確かに、このいわば“防空空母“とも言えるこの艦は排水量でいうと10000トン程度で軽空母の部類に入る。
この軽空母に攻撃能力を付与すると艦載機数がかなり少なくなってしまう。
そこで、この際に軽空母の艦載機を全て戦闘機としてしまい爆弾や魚雷を格納してある空間に艦載機を収容しようと山本は考えたのだ。
それに戦闘機も60㎏爆弾位なら搭載できる。
60㎏爆弾なら潜水艦相手には十分有効である。
ならば、船団護衛任務にも動員できるためシーレーン防衛が比較的容易になるのである。
だが、あくまでこの防空空母の主任務であるため余裕が出たらの話である。


空母戦力の拡充はある程度目途が付いたが、その艦載機も強化せねばならない。
(ともかく大馬力のエンジンを確保せねばならない!)
そこで山本は外国に目を向けると、航空産業が手持つ無沙汰となっているちょうど良い国があった。
それがドイツである。
ドイツはヴェルサイユ条約により空軍をかなり制限されており、民需に依存していたドイツ航空産業は活況とは言えなかった。
加えて、現在は世界恐慌下である。
日本は積極的な財政出動により打撃の局限化に成功していたがドイツに関しては失業率が30%を超えていた。
それは航空産業にも言えることだった。
(ここでドイツの技術を吸収すれば、大馬力のエンジンが手に入る!)
こうして山本はドイツへ接触を図っていく。

しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

世界はあるべき姿へ戻される 第二次世界大戦if戦記

颯野秋乃
歴史・時代
1929年に起きた、世界を巻き込んだ大恐慌。世界の大国たちはそれからの脱却を目指し、躍起になっていた。第一次世界大戦の敗戦国となったドイツ第三帝国は多額の賠償金に加えて襲いかかる恐慌に国の存続の危機に陥っていた。援助の約束をしたアメリカは恐慌を理由に賠償金の支援を破棄。フランスは、自らを救うために支払いの延期は認めない姿勢を貫く。 ドイツ第三帝国は自らの存続のために、世界に隠しながら軍備の拡張に奔走することになる。 また、極東の国大日本帝国。関係の悪化の一途を辿る日米関係によって受ける経済的打撃に苦しんでいた。 その解決法として提案された大東亜共栄圏。東南アジア諸国及び中国を含めた大経済圏、生存圏の構築に力を注ごうとしていた。 この小説は、ドイツ第三帝国と大日本帝国の2視点で進んでいく。現代では有り得なかった様々なイフが含まれる。それを楽しんで貰えたらと思う。 またこの小説はいかなる思想を賛美、賞賛するものでは無い。 この小説は現代とは似て非なるもの。登場人物は史実には沿わないので悪しからず… 大日本帝国視点は都合上休止中です。気分により再開するらもしれません。 【重要】 不定期更新。超絶不定期更新です。

小日本帝国

ypaaaaaaa
歴史・時代
日露戦争で判定勝ちを得た日本は韓国などを併合することなく独立させ経済的な植民地とした。これは直接的な併合を主張した大日本主義の対局であるから小日本主義と呼称された。 大日本帝国ならぬ小日本帝国はこうして経済を盤石としてさらなる高みを目指していく… 戦線拡大が甚だしいですが、何卒!

帝国航空決戦

ypaaaaaaa
歴史・時代
1943年のガダルカナル島での敗北と連合艦隊司令長である山本五十六の死は日本の軍部を通りこして、天皇陛下を突き動かした。陛下は直々に陸海に対して”共同して”作戦に当たるように厳命。また、ニューギニア島からの撤退もご指示なされた。これを受けて陸海軍は絶対国防圏を今一度見直し、絶対国防圏で航空決戦を画策していくことになる。

皇国の栄光

ypaaaaaaa
歴史・時代
1929年に起こった世界恐慌。 日本はこの影響で不況に陥るが、大々的な植民地の開発や産業の重工業化によっていち早く不況から抜け出した。この功績を受け犬養毅首相は国民から熱烈に支持されていた。そして彼は社会改革と並行して秘密裏に軍備の拡張を開始していた。 激動の昭和時代。 皇国の行く末は旭日が輝く朝だろうか? それとも47の星が照らす夜だろうか? 趣味の範囲で書いているので違うところもあると思います。 こんなことがあったらいいな程度で見ていただくと幸いです

離反艦隊 奮戦す

みにみ
歴史・時代
1944年 トラック諸島空襲において無謀な囮作戦を命じられた パターソン提督率いる第四打撃群は突如米国に反旗を翻し 空母1隻、戦艦2隻を含む艦隊は日本側へと寝返る 彼が目指したのはただの寝返りか、それとも栄えある大義か 怒り狂うハルゼーが差し向ける掃討部隊との激闘 ご覧あれ

もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら

俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。 赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。 史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。 もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。

異聞対ソ世界大戦

みにみ
歴史・時代
ソ連がフランス侵攻中のナチスドイツを背後からの奇襲で滅ぼし、そのままフランスまで蹂躪する。日本は米英と組んで対ソ、対共産戦争へと突入していくことになる

万能艦隊

ypaaaaaaa
歴史・時代
第一次世界大戦において国家総力戦の恐ろしさを痛感した日本海軍は、ドレットノート竣工以来続いてきた大艦巨砲主義を早々に放棄し、個艦万能主義へ転換した。世界の海軍通はこれを”愚かな判断”としたが、この個艦万能主義は1940年代に置いてその真価を発揮することになる…

処理中です...