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防空艦隊建設
剣崎型水上母艦
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1935年に入ると防空空母への改装が前提で建造が成されていた剣崎型水上機母艦が続々と竣工し始めた。
建造されたのは6隻を数える。
全長210ⅿ、全幅24ⅿの水上機母艦で、速力31ノットを誇る。
ただ、水上機母艦としての能力は艦の規模に比べて低い。
空母へ改装することが前提の為であり、実際の所、二段の格納庫はすでに設置されており、飛行甲板だけが無い状態だった。
艦橋も仮設艦橋のような貧相なもので、極めつけは兵装である。
本来、艦艇には必ず対空火器が搭載されるが剣崎型水上機母艦は6隻とも1つの対空火器が設置されていない。
まるで民間船のような面持ちである。
剣崎型が竣工した時点で、日本海軍はすでにロンドン海軍軍縮条約の脱退を決めており、条約の期限である1936年には日本は晴れて制限なく艦を建造できるようになるのだ。
それならば、剣崎型はもはや空母に改装されることは必定であり水上機母艦として完成させる必要もなかった。
現に、水上機母艦として竣工した3隻、つまり剣崎、高崎、柏崎は就役することなくそのまま改装工事に入ったし、四番艦以降は命名されることも無く水上機母艦として竣工しないまま空母へ改装工事は始まった。
これは条約明けを目指した動きであり1936年中にこの6隻は空母として竣工することになる。
ひとまず、防空空母が6隻竣工することが確実になり山本は少し安堵したが、結局、防空空母の真価はその艦載する戦闘機によって発揮される。
いくら良い空母が建造できても艦載している戦闘機が複葉機では話にならないのだ。
現在、日本海軍は全金属単葉機の開発を行っている。
どうやら試作機がかなり良好な成績を残しているようで採用されれば防空空母の戦闘力は飛躍的に上昇する。
だが、新型機になると自ずと機体は大型化する。
そのため、艦載機数が低下してしまうのだった。
これを防ぐために、海軍航空本部は現在開発中の戦闘機に折り畳み翼の採用を検討していた。
折り畳み翼を採用すると機体を強化しなければならず、最大速度の低下は覚悟しなければならないがその分艦載機数は増加する。
艦載機が増加すれば迎撃できる機体が増えるので防空能力は自ずと増すのである。
なら、やらない手は無かった。
航空本部は後出しであることは重々承知してこの要求を各社に伝えた。
各社はこの要求に唖然としたが、やってやれないことも無いのでひとまず試作機を改造することになった。
このごたごたにより艦上戦闘機の採用は1年ほど遅れることになるが、些細な事であった。
建造されたのは6隻を数える。
全長210ⅿ、全幅24ⅿの水上機母艦で、速力31ノットを誇る。
ただ、水上機母艦としての能力は艦の規模に比べて低い。
空母へ改装することが前提の為であり、実際の所、二段の格納庫はすでに設置されており、飛行甲板だけが無い状態だった。
艦橋も仮設艦橋のような貧相なもので、極めつけは兵装である。
本来、艦艇には必ず対空火器が搭載されるが剣崎型水上機母艦は6隻とも1つの対空火器が設置されていない。
まるで民間船のような面持ちである。
剣崎型が竣工した時点で、日本海軍はすでにロンドン海軍軍縮条約の脱退を決めており、条約の期限である1936年には日本は晴れて制限なく艦を建造できるようになるのだ。
それならば、剣崎型はもはや空母に改装されることは必定であり水上機母艦として完成させる必要もなかった。
現に、水上機母艦として竣工した3隻、つまり剣崎、高崎、柏崎は就役することなくそのまま改装工事に入ったし、四番艦以降は命名されることも無く水上機母艦として竣工しないまま空母へ改装工事は始まった。
これは条約明けを目指した動きであり1936年中にこの6隻は空母として竣工することになる。
ひとまず、防空空母が6隻竣工することが確実になり山本は少し安堵したが、結局、防空空母の真価はその艦載する戦闘機によって発揮される。
いくら良い空母が建造できても艦載している戦闘機が複葉機では話にならないのだ。
現在、日本海軍は全金属単葉機の開発を行っている。
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だが、新型機になると自ずと機体は大型化する。
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これを防ぐために、海軍航空本部は現在開発中の戦闘機に折り畳み翼の採用を検討していた。
折り畳み翼を採用すると機体を強化しなければならず、最大速度の低下は覚悟しなければならないがその分艦載機数は増加する。
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なら、やらない手は無かった。
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