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防空艦隊建設
始まり
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防空艦隊の骨子が纏まったのは1930年の春頃だった。
この時期、日本海軍はロンドン海軍軍縮条約などにより建艦をかなり制限されていた。
そのおかげでもあるのだが、山本五十六少将をはじめとして規制の緩い航空機に期待を掛けるものも出てきた。
「航空機の進歩は目覚ましく、おそらく10年後には戦艦など航空機にとってなんの脅威でもなくなる」
そう山本は強弁したわけだが、これに反論するものがいた。
同期の嶋田繁太郎少将である。
「航空機の優位性を説くのなら、その量産のしやすさにも言及しなければならん!もしではあるが、我が帝国海軍が航空機を主軸において軍備をしたとして、それを見た欧米列強はすぐに我が国を超える航空機を量産してくるに違いない!そうなれば、国力に劣る我が国は戦う前から負けが決してしまう!戦艦なら新機軸を採用しての建造なら優に3年はかかるからその間は我が国が有利となる!」
嶋田の言うことにも一理あった。
これに山本は回答に窮したが、少し考えるとおもむろに浮かんできた。
「国力に劣るからこそである!真っ当な建艦競争などしようものなら優里などの次元ではなく、我が国は凄惨な敗北を喫する!それを回避するために航空機を主軸として軍備を整え、未だ戦艦の建造に固執する欧米列強に強烈な打撃を与えてやろうではないか!」
両者とも日本の国力の劣勢をしっかり認識しているため、筋が通っている。
だからどちらも相手のことを論難することができないのである。
「…航空機を運用するということは、おそらく貴様は空母を建造しようと言うのだろうが、戦艦が航空攻撃で沈むのならもっと脆弱な空母も同じように沈むのではないか?」
嶋田の問いに山本は間髪入れずに返答した。
「空母には戦闘機隊が配備されている。それで迎撃が可能だろう」
だがどうやら嶋田は煮え切らないらしい。
「空母には戦闘機だけを積むわけには行かんだろう。爆撃機や攻撃などを艦載すると、敵攻撃隊より迎撃隊の方が少ない情勢にも成りえる。そうなれば、空母は攻撃にさらされる可能性が高くなる」
これには山本も唸った。
「…確かにそれはそうだ」
ここで両者の話し合いは終わったが、この後に”ともかく”艦隊の防空能力を底上げする提案書が両者の合意のもとで軍令部に提出された。
そしてこれが軍令部総長の目に留まり、認可されたのである。
これから日本海軍の改装、並びに建艦、そして研究は防空を意識したものとなっていく。
この時期、日本海軍はロンドン海軍軍縮条約などにより建艦をかなり制限されていた。
そのおかげでもあるのだが、山本五十六少将をはじめとして規制の緩い航空機に期待を掛けるものも出てきた。
「航空機の進歩は目覚ましく、おそらく10年後には戦艦など航空機にとってなんの脅威でもなくなる」
そう山本は強弁したわけだが、これに反論するものがいた。
同期の嶋田繁太郎少将である。
「航空機の優位性を説くのなら、その量産のしやすさにも言及しなければならん!もしではあるが、我が帝国海軍が航空機を主軸において軍備をしたとして、それを見た欧米列強はすぐに我が国を超える航空機を量産してくるに違いない!そうなれば、国力に劣る我が国は戦う前から負けが決してしまう!戦艦なら新機軸を採用しての建造なら優に3年はかかるからその間は我が国が有利となる!」
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両者とも日本の国力の劣勢をしっかり認識しているため、筋が通っている。
だからどちらも相手のことを論難することができないのである。
「…航空機を運用するということは、おそらく貴様は空母を建造しようと言うのだろうが、戦艦が航空攻撃で沈むのならもっと脆弱な空母も同じように沈むのではないか?」
嶋田の問いに山本は間髪入れずに返答した。
「空母には戦闘機隊が配備されている。それで迎撃が可能だろう」
だがどうやら嶋田は煮え切らないらしい。
「空母には戦闘機だけを積むわけには行かんだろう。爆撃機や攻撃などを艦載すると、敵攻撃隊より迎撃隊の方が少ない情勢にも成りえる。そうなれば、空母は攻撃にさらされる可能性が高くなる」
これには山本も唸った。
「…確かにそれはそうだ」
ここで両者の話し合いは終わったが、この後に”ともかく”艦隊の防空能力を底上げする提案書が両者の合意のもとで軍令部に提出された。
そしてこれが軍令部総長の目に留まり、認可されたのである。
これから日本海軍の改装、並びに建艦、そして研究は防空を意識したものとなっていく。
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