7 / 12
有能令嬢は、立ち向かう
しおりを挟む
家に帰ると、両親は、家にいるようだった。外交パーティーの話をしたら、どうなるんだろう。食事の時間になった。家族で食事をとっても、会話は少ない。
「お父様」
思い切って伝えてみる。
「わたし、今度、開催される外交パーティーのメンバーに選ばれましたの、ですから……」
父は、厳しい目をした。
「今、我が家がどういう状況か分かっているのか?」
「はい、もちろん」
(わたしは……)
「今、お前の名前を聞けば、いい思いをしない人の方が多いんだ」
(でも……)
母も続ける。
「今回は、欠席しなさ……」
「汚名を、返上してまいります」
本当にそれを自分が望んでいるかはわからなかったが、続けるしかない。
「わたしが、外交パーティーで、活躍した暁には名前もいい意味で広まるはずですわ。それに、外交パーティーのメンバーは皆さん、公爵様や侯爵様、……王太子殿下もいらっしゃいましたわ」
自分がもう何を言っているのか分からなくなりそうだった。だけど……
(自分の意見が、言えた)
「……そうか」
また、静かに、スープをすするだけだった。
「お前がそうしたいなら、やってみなさい」
父がそういう。
「あなた……」
母は不安げだったが、わたしは、はっきりと答えた。
「はい」
◇◇
今日も、ベッドに倒れ込む。
(敵は、世間でも、両親でも、フレデリク様でも、カロリーヌでもない)
「誰なんだろう……」
でも、味方はいる。
「アリス……」
(ううん)
「アリスラン……」
そのまま、眠りについた。
「お父様」
思い切って伝えてみる。
「わたし、今度、開催される外交パーティーのメンバーに選ばれましたの、ですから……」
父は、厳しい目をした。
「今、我が家がどういう状況か分かっているのか?」
「はい、もちろん」
(わたしは……)
「今、お前の名前を聞けば、いい思いをしない人の方が多いんだ」
(でも……)
母も続ける。
「今回は、欠席しなさ……」
「汚名を、返上してまいります」
本当にそれを自分が望んでいるかはわからなかったが、続けるしかない。
「わたしが、外交パーティーで、活躍した暁には名前もいい意味で広まるはずですわ。それに、外交パーティーのメンバーは皆さん、公爵様や侯爵様、……王太子殿下もいらっしゃいましたわ」
自分がもう何を言っているのか分からなくなりそうだった。だけど……
(自分の意見が、言えた)
「……そうか」
また、静かに、スープをすするだけだった。
「お前がそうしたいなら、やってみなさい」
父がそういう。
「あなた……」
母は不安げだったが、わたしは、はっきりと答えた。
「はい」
◇◇
今日も、ベッドに倒れ込む。
(敵は、世間でも、両親でも、フレデリク様でも、カロリーヌでもない)
「誰なんだろう……」
でも、味方はいる。
「アリス……」
(ううん)
「アリスラン……」
そのまま、眠りについた。
36
あなたにおすすめの小説
「平民とでも結婚すれば?」と捨てられた令嬢、隣国の王太子に溺愛されてますが?
ゆっこ
恋愛
「……君との婚約は、ここで破棄させてもらう」
その言葉を、私は静かに受け止めた。
今から一時間前。私、セレナ・エヴァレットは、婚約者である王国第一王子リカルド・アルヴェイン殿下に、唐突に婚約破棄を言い渡された。
「急すぎますわね。何か私が問題を起こしましたか?」
「いや、そういうわけではない。ただ、君のような冷たい女性ではなく、もっと人の心を思いやれる優しい女性と生涯を共にしたいと考えただけだ」
そう言って、彼は隣に立つ金髪碧眼の令嬢に視線をやった。
「役立たず」と婚約破棄されたけれど、私の価値に気づいたのは国中であなた一人だけでしたね?
ゆっこ
恋愛
「――リリアーヌ、お前との婚約は今日限りで破棄する」
王城の謁見の間。高い天井に声が響いた。
そう告げたのは、私の婚約者である第二王子アレクシス殿下だった。
周囲の貴族たちがくすくすと笑うのが聞こえる。彼らは、殿下の隣に寄り添う美しい茶髪の令嬢――伯爵令嬢ミリアが勝ち誇ったように微笑んでいるのを見て、もうすべてを察していた。
「理由は……何でしょうか?」
私は静かに問う。
「誰もお前なんか愛さない」と笑われたけど、隣国の王が即プロポーズしてきました
ゆっこ
恋愛
「アンナ・リヴィエール、貴様との婚約は、今日をもって破棄する!」
王城の大広間に響いた声を、私は冷静に見つめていた。
誰よりも愛していた婚約者、レオンハルト王太子が、冷たい笑みを浮かべて私を断罪する。
「お前は地味で、つまらなくて、礼儀ばかりの女だ。華もない。……誰もお前なんか愛さないさ」
笑い声が響く。
取り巻きの令嬢たちが、まるで待っていたかのように口元を隠して嘲笑した。
胸が痛んだ。
けれど涙は出なかった。もう、心が乾いていたからだ。
貧乏人とでも結婚すれば?と言われたので、隣国の英雄と結婚しました
ゆっこ
恋愛
――あの日、私は確かに笑われた。
「貧乏人とでも結婚すれば? 君にはそれくらいがお似合いだ」
王太子であるエドワード殿下の冷たい言葉が、まるで氷の刃のように胸に突き刺さった。
その場には取り巻きの貴族令嬢たちがいて、皆そろって私を見下ろし、くすくすと笑っていた。
――婚約破棄。
婚約破棄された令嬢、隣国の暴君王に“即”溺愛されていますが?
ゆっこ
恋愛
王都の中心から少し離れた城の塔は、風がよく通る。
その夜わたし――エリスは、豪奢すぎるほどの寝室のバルコニーに出て、夜風を胸いっぱいに吸い込んだ。
「……本当に、ここはわたしの部屋でいいのかしら」
つい昨日まで、わたしは婚約者であったアルノルト殿下からの侮蔑に耐え、社交界で嘲笑され、家族にさえ冷たくされていたのに。
まさか隣国ファルゼンの“暴君王”と呼ばれるレオンハルト陛下に見初められ、護衛兼客人として迎えられるとは、夢にも思っていなかった。
……いや、正確には“客人”などという生易しい扱いではない。
婚約破棄、ありがとうございます
奈井
恋愛
小さい頃に婚約して10年がたち私たちはお互い16歳。来年、結婚する為の準備が着々と進む中、婚約破棄を言い渡されました。でも、私は安堵しております。嘘を突き通すのは辛いから。傷物になってしまったので、誰も寄って来ない事をこれ幸いに一生1人で、幼い恋心と一緒に過ごしてまいります。
幼馴染に婚約者を奪われましたが、私を愛してくれるお方は別に居ました
マルローネ
恋愛
ミアスタ・ハンプリンは伯爵令嬢であり、侯爵令息のアウザー・スネークと婚約していた。
しかし、幼馴染の令嬢にアウザーは奪われてしまう。
信じていた幼馴染のメリス・ロークに裏切られ、婚約者にも裏切られた彼女は酷い人間不信になってしまった。
その時に現れたのが、フィリップ・トルストイ公爵令息だ。彼はずっとミアスタに片想いをしており
一生、ミアスタを幸せにすると約束したのだった。ミアスタの人間不信は徐々に晴れていくことになる。
そして、完全復活を遂げるミアスタとは逆に、アウザーとメリスの二人の関係には亀裂が入るようになって行き……。
「婚約破棄だ」と笑った元婚約者、今さら跪いても遅いですわ
ゆっこ
恋愛
その日、私は王宮の大広間で、堂々たる声で婚約破棄を宣言された。
「リディア=フォルステイル。お前との婚約は――今日をもって破棄する!」
声の主は、よりにもよって私の婚約者であるはずの王太子・エルネスト。
いつもは威厳ある声音の彼が、今日に限って妙に勝ち誇った笑みを浮かべている。
けれど――。
(……ふふ。そう来ましたのね)
私は笑みすら浮かべず、王太子をただ静かに見つめ返した。
大広間の視線が一斉に私へと向けられる。
王族、貴族、外交客……さまざまな人々が、まるで処刑でも始まるかのように期待の眼差しを向けている。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる