高貴なオメガは、ただ愛を囁かれたい【本編完結】

きど

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第三十一話

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アーシュは僕に顔を近づけると耳元で囁く。

「ヴィル、自分からフェロモンのいい匂いが出てる自覚ある?」

「自分のフェロモンの匂いなんて分かる訳ないだろ」

「エステートを出発するときはこんなに匂いしなかったのに。馬車の中でレトア卿に何かされた?」

僕の返事を聞いたアーシュが顔を上げ僕を問い詰める。レトア卿からはアーシュに捨てられたのだと嫌味を言われただけ。フェロモンの原因で思いあたる節は欲求不満になってることくらいだ。だから、僕がこうなっているのは全てアーシュのせいなのに。

「レトア卿は嫌味は言うが手は出さないタイプだろ。僕がこうなった事を人のせいにしているみたいだが、むしろアーシュのせいだって分かっているか?」

「俺のせい…?」

少し嫌味っぽく言ったのに、アーシュはキョトンとしている。まさかそんな反応になるなんて予想外だ。

「…分からないならいい。あまり部屋を空けているとカリーノに質問責めにされるぞ」

「カリーノ殿下は長旅で疲れてもう寝てるはず。それより今はヴィルのフェロモンを何とかしなきゃ。このままだと明日のパーティーでリドールの王子だけじゃなくて他のアルファにまで目をつけられかねない」

「はいはい。1~2発抜けば匂いも収まるだろうから、自分で処理しておくからアーシュはもう部屋に戻れ」

アーシュは他のアルファを危惧している様な事をいっている。だが、ここ2ヶ月の間、僕を抱かなかったのは他でもないアーシュだ。だから今日も期待するだけ無駄だと思い、あしらう様にアーシュに言う。するとアーシュは何故か納得した表情になった。

「あぁ、そういうことか。…俺が原因だから、きちんと責任とるね」

「あっ!ちょっと、アーシュ!降ろせ!」

いつぞやと同じ様に、僕はアーシュの肩に担がれる。アーシュは僕の制止など聞こえていない様子で主賓室から寝室までズカズカ進む。そしてベッドの上に僕を下ろし、その上に覆い被さる様にのしかかられる。

「ヴィル、欲求不満だったんだ。気付かなくてごめんね」

「うるさ、っん…」

アーシュの親指が僕の唇を撫でた後、口の端から指を差し込まれ、うるさいと言えずじまいになる。アーシュの指は僕の舌を弄び口腔内をかき乱す。

「んっ、ふあっ…んっ」

「可愛い…感じてる顔もっと見せて」

アーシュは僕のローブの前合わせから手を差し込むと胸の突起を摘む。声が高く上がりそうになったが、アーシュが指で舌を抑えつけたので喉の奥が小さくなっただけだった。

「んっ…ん"、ふっ」

「胸いじられるの好きだよね」

アーシュに胸をいじられると、くぐもった声が漏れ出る。しかし上手く喘ぐことができないために息を大きく吸うタイミングがなく呼吸がどんどん苦しくなってくる。目には涙が溜まり、閉じることのできない口からはだらしなく唾液が垂れる。我慢できなくて、アーシュの手首を掴み口から手を離す。

「はあっ…はぁっ、くるしいっ…」

「ごめんね。でもヴィルは声を我慢できないでしょ?レトア卿に聞かせたくないからさ」

「やだっ…むぐっ…ん"ん」

アーシュはそう言うと僕の口を掌で覆う。アーシュの手をはがそうと手首を掴むがびくともしない。胸を弄っていたアーシュの手が僕の体のラインをなぞりながら下に降りていく。そのまま下着をずらされれば、ゆるく立ち上がっていたものがアーシュの眼前にあらわにされる。

「もうビチョビチョになってる」

「んっ…んぅっ…うっ」

熱くいきりたったものを掌で包み込む様に握り上下に摩られ久々の刺激に腰が跳ねる。

「ビクビクしてる。ヴィルもうイキそう?俺ももう限界だから、二人で気持ちよくなろうね」

アーシュがカチャリとベルトを外す音が聞こえた後、曲げていた僕の膝を割開いた。そして、いきり立つ僕の屹立にドクリと脈打つアーシュのそれが触れる。アーシュはそのまま互いのものをこすり合わせる様に腰を密着させ動かす。

「ん"…うぅっ…んうっ…んっ」

「ヴィル、気持ちいい?俺もすごく気持ちいい」

先走りで濡れているものが合わさりグチュグチュと卑猥な音をたてる。お互いに快感を得れば得るほど、先走りが溢れより滑らかに擦れ合う。アーシュのものが熱く脈打つ感覚を前で感じながらも、後孔が物欲し気にひくつくのが自分でも分かる。

「んっ…ぅんっ…んぐ」

互いの屹立が膨張し体積が増していく。でもまだイキたくない。体の奥までアーシュの熱で満たして欲しくて、腹の内側が切なく疼く。声を出せないかわりに、せめてもの意思表示で僕の口を塞ぐアーシュの腕に爪をたてひっかく。

「ん?ヴィル、もうイキたい?いいよ」

「んっ…うぅっ…うぐ」

それではアーシュには上手く伝わらなかった。アーシュがピストン運動の速度を早めると、体の熱が屹立に集まり爆ぜる瞬間を今か今かと待ち望む。でも熱に浮かされた頭の片隅にはアーシュに抱かれたいという思いがあり、体が昂っていくほどに、その思いも切なく膨れ上がる。

ねぇ、アーシュ。抱いて!抱いてよ!
僕の体の一番深いところまでアーシュの熱を刻みつけて、僕はアーシュのものなんだって思わせてよ。ねぇ、お願い。

「んっ…んくっ…んっ」

「くっ…」

僕の体はアーシュの与える刺激で高みに達し熱を爆ぜる。それと同時にアーシュも僕の腹の上に熱を吐き出す。

「ヴィル…」

「んっ…ふあっ…んっ」

アーシュからの深いキスを受け入れれば体の奥にまた熱が灯る。
熱くなっていく体とは対照的に僕の心は軋み冷たくなっていくのを感じていた。
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