高貴なオメガは、ただ愛を囁かれたい【本編完結】

きど

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番外編

俺の番が可愛いすぎる

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残暑もひいて過ごしやすくなってきた秋の昼下がり、ベッドに横たわるヴィルの下腹部を初老の男が確認する。

「顔色もいいですし、分娩の傷も順調に回復してますよ。痛みはまだありますか?」

「よかった。今は痛みはほとんどないです」

「そうですか。番の方は何か気になることはありますか?」

ヴィルの答えを聞くと、医師がこちらを振り返り一応の確認をする。

「順調に回復してて安心しました。診察ありがとうございます」

年老いた医師にお礼を言い、ヴィルをみやる。出産直後に見たときよりも顔色が幾分良くなっている。

「ヴィル、医師せんせいをお見送りしてくるね」

「いってらっしゃい。あのさ、戻ってくる時ヴィーシュを連れて来て欲しい」

ヴィーシュとは、俺とヴィルが深く愛し合って授かった愛娘だ。もう可愛くて可愛くて仕方がない。ヴィルも大変可愛がっているが、ヴィルの産後の体を休めるため夜間や回診の際には乳母がみてくれている。

「分かった。連れてくるから、それまでゆっくり休んでて」

ヴィルに近づき頭を撫でると心地よさそうに目を閉じる。

「優しい番を持って殿下は幸せ者ですね」

俺は医師を見送るため一緒に部屋を出ると、医師が褒める様に言う。下心ありきで、見送りをしている手前、その言葉が心に刺さる。だが、ここで引き下がる訳にはいかない。なんせ今から聞くことは俺にとっては超重要事項だからだ。

「ありがとうございます。それより、医師せんせいにお尋ねしたいことが」

「はい。私で答えられる範囲ならば何なりと」

神妙に切り出した俺に医師は快く返事をした。

* * *

「ヴィーシュ」

ヴィルの居室のベビーベッドに寝転ぶ娘にヴィルが優しく声をかけシャカシャカと音のなる玩具を、ゆっくり動かす。ヴィーシュは、玩具の動きを一生懸命目で追っている。
その様子にヴィルが感極まった表情で、こちらを向き

「アーシュ、今の見た?ヴィーシュが目で玩具を追う様になったの!」

と嬉しそうに言う。

「上手に目で追ってたね。ヴィーシュの成長は早いね」

ヴィーシュの頭をそっと撫でてから、隣に立つヴィルの腰をゆっくり抱き寄せる

「うん。早い子だと来月には首が座るみたいだから、本当にあっという間に成長していくよ」

抱き寄せられて距離が近くなったことでヴィルが上目遣いで俺を見上げる姿勢になる。
その表情が可愛くて、今すぐに食べてしまいたくなる。

「パパって呼ばれたら、感動して泣いちゃうかも」

「アーシュが泣くなんて滅多にないから、その時は目に焼き付けておかなきゃ」

「泣き顔が汚くても嫌いにならないでね」

「何言ってるのさ。そんな心配いらないでしょ」

少し呆れたように言うヴィルの唇に触れるだけのキスを落とすと、ヴィルがはにかみ笑いを浮かべた。
それを見て理性がグラつきそうになる。
ヴィルの妊娠が分かってから、今日までほぼ1年近くご無沙汰だったから仕方ないと言えば仕方ないが、グッとこらえ視線をヴィルから愛娘へ向ける。

こちらをじっと見るヴィーシュと目が合い、自分の顔がダラシなく緩むのが分かった。
可愛い娘と愛しい伴侶がいる幸せを噛み締めながらも、頭の片隅で煩悩は大きく膨らむ。

お見送りの時に最重要事項を確認した俺に、ヴィルの担当医はにこやかに、こう答えたのだ。
『産後の回復も順調ですし、お腹の傷も抜糸できたので、夜の方も再開して大丈夫ですよ』

それを聞いた俺は心の中でガッツポーズをした。ヴィルの体が万全になるまで、触れ合いもバグやキスまでで留めていたからだ。

-体は大丈夫…あとは、ヴィルもその気になってくれれば

「ねえヴィル」

「ん?」

渦巻く欲望を抑え平静を装い、再びヴィルに視線を向ける。ヴィルはまた上目遣いで俺を見つめる。

-あぁ…可愛い

「今晩さ」

-早く…

「仕事を早めに切り上げるから」

-早く…

「寝ないで待っててくれる?」

-抱きたい

「え?あっ、いつも先に寝ててごめん!」

遠回しなお誘いだったせいか、予想外の反応が返ってきた。

「あー、先に寝てるのは全然問題ないんだ…
むしろ、体のためにもゆっくり休んでほしいからさ。でも、今晩は寝かせてあげられないかも」

「それって…」

俺の意図を察したヴィルは頬を赤らめる。

「うん。久々に触れていい?」

ヴィーシュに聞こえないように、ヴィルの耳元に唇を寄せ囁く。
ヴィルは真っ赤な顔で静かに頷くと、照れ隠しなのか、さっと視線を外す。
そんなヴィルの様子をヴィーシュが不思議そうにじっと見つめていた。

* * *
日が沈み、夜の帳が下りると城も昼間の活気が嘘のように静寂に包まれる。
その静寂の中、響く自分の足音は、いつもより幾分も早く、昂る気持ちをそのまま表したようだった。
風呂上がりの濡れた髪をタオルで拭きつつ、寝室に入ると、ヴィルがベッドの上にちょこんと座っていた。

その姿に愛しさと劣情が混ざり合って心に押し寄せる。

「ヴィル。待っててくれて、ありがとう」 

ベッドに腰掛けて、ヴィルの赤くなった頬に手を添え顔を覗き込む。

「アーシュだけじゃないから…」

ヴィルは潤んだ瞳で俺を見てポツリとこぼし、さらに言葉を続ける

「僕だって…ずっとシたかった」

ヴィルにしては珍しい直球な表現から、同じ気持ちでいてくれたことが伝わってくる。
そして愛しい番から、そんな可愛いことを言われたら、俺の理性の糸はプツリと容易く切れた。

「俺のヴィルは、なんでこんなに可愛いんだろ」

「んっ…ふっ」

ヴィルの唇を食むように唇を重ね合わせると、ヴィルのくぐもった声が吐息とともに漏れる。

「ふあっ…んんっ」

唇の少し開いた隙間から舌を滑り込ませ、ヴィルの上顎を舌先でなぞると、ヴィルの声がより一層高くなる。
ヴィルのガウンの合わせに手をかけ肩から落とすと、いつもより紅潮している躯体が剥き出しになる。

「あっ…待ってぇっ…やぁっ」

触れる前からピンっと尖っている胸の飾りを甘噛みしてから、舌で押しつぶすように愛撫していく。
それと一緒に、お尻の柔らかさを確かめるように撫でる。
割れ目のあたりをサラリと触れると、そこはすでにしっとりと濡れていた。

「ヴィル、もう濡れてる」

「やっ…やだぁっ…音、やめっ」

ヴィルの耳元で囁き、後孔の入り口を人差し指で撫でる。
わざと音が出るように小刻みに指を動かしてやれば、可愛いヴィルは目に涙を貯めて恥ずかしがる。

「音が恥ずかしいの?でも、ヴィルのここが、もうビチョビチョだから仕方ないよね」

「いっ…いじわるっ…あっ」

「いじわるされて、泣きそうになってるの、堪らないね」

ヴィルが涙で潤んだ目で睨んできたが、それはただ俺を昂らせるだけ。
口で慣らそうかと思っていたが、そんなことは必要ないほど、ヴィルの後孔は潤っている。

「ふあっ…あっやぁっ」

指をゆっくり挿れて内壁を撫でてやると、ヴィルが一際高い声をあげ、中の指をキュウキュウ締め付ける

「久々だから、狭くなってる。
ヴィル、痛みはない?」

「う、あっ…うん…だいじょぶ、だからぁっ」

しばらく触れられていなかった後孔の奥は、俺の指を押し返そうとうごめく。
キツく閉じられている奥側を指先で撫で、解すように指を動かしていく。
すると次第に内壁は俺の指を奥へ奥へと誘い込むようになった。

「あっ…やあっ…いっちゃ…」

乳首と後ろの二箇所の刺激で限界が近づいてきたヴィルが腰を揺らめかせる。
そのリズムに合わせて中の一番弱い所の前立腺を擦ってやると、体を弓形にして屹立から精を弾け飛ばした。

達したことで、後孔から蜜が溢れ俺の手の平までぐちゃぐちゃに濡らす。
下腹部に白濁を散らしてもなお、ヴィルの屹立はゆるく立ち上がり、腰を揺らめかせるたび一緒に震え俺の欲情をかきたてる。

「あっ…アーシュ、もうっ…」

「うん。俺も限界…ヴィルの中にいれさせて」

達して顔を紅潮させ潤んだひとみで懇願するヴィルは耽美で、俺を昂らせる。

「ゆっくりするから、辛かったら言って」

「うん。あっ、はあっ…おっきぃ」

ヴィルと抱き合いながら、ゆっくり腰をグラインドさせて俺自身を埋める。
久々に性を受け入れたそこは、俺をキツく締め付け離さない。

「ヴィル、俺をすごく締め付けてる…中、熱くてすごく気持ちいいよ」

「んっあっ…ぼくもっ…きもちいぃ…あっアーシュ」

奥を広げるように、ゆるく腰を上下に揺らすとヴィルは体を波立たせる。
俺の名前を甘えるように呼び、首に手を回し唇を尖らせキスをせがむ。

「んっふっ…あっはぁっ」

薄く開いた口唇に舌を差し入れ、歯列をなぞり舌を絡めとる。
俺の舌に懸命に絡ませてくるヴィルの舌先を歯で甘噛みしてやれば、ヴィルの体がビクリと跳ねて、中はうねって俺を吸い上げようとする。

「ごめんっ…もう限界」 

「あっ、はぁっ…あっやぁっ」

約1年お預けだった体は今にも暴発しそうで、俺は正常位で向き合うヴィルの膝裏を持ち上げ、体を二つ折りにする。
すると結合部が眼前に晒され、俺のものがどくりと脈打ち体積を増す。

そのままピストン運動のリズムを早めると、繋がった部分から卑猥な水音が漏れ、肌と肌がぶつかり合う乾いた音が部屋に響き渡る。
その音に加えヴィルの甘い声が耳に届いて、俺の欲情はさらに掻き立てられた。

「あっ…おくっ、やぁっまたっ、イッちゃ…」

「っは…何度でもイッて。俺ので気持ちよくなるとこ沢山見せて」

「ああっ、そこ…しきゅ、あっ」

「うん。…ヴィルが気持ちよくなってるから子宮が降りてきてるよ…わかる?」

「あぅっ、うんっ、わかっ…やぁっ」

屹立の先端に触れる入り口に沿って、ぐるんと腰を回すように動かすと、ヴィルは涙を流しながらコクコク頷く。
俺は腰を動かしながら、ヴィルの下腹部、子宮がある部分を撫でる。

「可愛い…俺のヴィル。俺もそろそろ限界…ヴィルの中でイッていい?」

「うんっ…アーシュの…はあっ、ほしい」

可愛くおねだりをしてくれたヴィルの唇をついばみ、ヴィルの弱い所を擦ると中は俺の精を搾り取ろうと、うごめく。

繋がった部分から快感が全身に広がっていくと、夢中で互いの熱を貪り合う。
結合部から互いの体の境目がなくなっていく。
快楽に痺れる頭はそんな錯覚をみるほどだ。

「あっ、はぁっ…イくっ…ああっ」

「くっ…」

ヴィルが一際高い声をあげ射精することなく果てると同時に、俺のモノがヴィルの中に吐精する。

「んっ…あっ…ドクドクしてる」

俺の精が出ている感覚にヴィルは自分の下腹部に触れ恍惚な表情を浮かべる。
その淫靡な仕草に、俺の欲はまた再び熱を持ち固くなった。

「ヴィル…ごめんね。…朝まで付き合って」

「あっ…ま…あっ、んあっ」

繋がったままのヴィルの体を抱き起こし膝の上で向かい合う姿勢を取ると、ヴィルは体を固くし制止しようとした。
しかし、俺がヴィルを突き上げたので言葉は喘ぎ声に変わった。

* * *

そして、俺は宣言通りヴィルを朝まで抱き潰し、その後しばらくヴィルからお触り禁止にされ大変だった。

『でも、そもそもヴィルが可愛すぎるのがいけない』という抗議は、心の中に留めておいた。


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