【完結】王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく

たまこ

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ハリーside

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 ヘラヘラしていた父は急に真顔になり「本気でそう思っているのか」と確認した。俺は頷くが、父の確認は止まらなかった。

「いいか。お前は三十三歳、シャーロット嬢は十七歳だぞ。」

「貴族間の婚姻では問題ない年齢差かと思いますが。父上も母上と十以上違いますよね。」

「うっ・・・。あ、あと、シャーロット嬢はこれから社交界で不躾な事を言われる可能性もあるんだ。それを分かっているのか。」

「理解しています。彼女のために力を付けます。」

「公爵家の跡を継ぐ決意は?」

「あります。」

「・・・俺、公爵家と縁続きになるの嫌なんだけど・・・。」

「父上、お願いします。」

「えー・・・」

「お願いします。」

 長い長いやりとりを終えて、父の愚図りを宥め、どうにか父に納得してもらった。そして、シャーロット嬢との爵位の差から、最低でも王宮騎士団長にならなくてはいけないこと、最短でなるには辺境へ行きそこで鍛えてから、王宮騎士団へ戻るのが一番の近道だと言われた。



「お前、いつからシャーロット嬢のこと、好きだったの?」


「好き、というか、ただ・・・」


「ただ?」





「シャーロット嬢に、昔のように笑ってほしいだけなんです。」

 父は小さく溜め息をついた後、俺の背中を叩き「じゃあ、お前も俺も頑張らないとな。」と笑った。


◇◇◇


 俺はすぐに辺境の地へ向かった。辺境での実務は思った以上に激務で、厳しかった。時折父から来る手紙には「シャーロット嬢、王子妃になれないかもしれないって、やっぱり落ち込んでいるみたい。お前、結婚してもらえるの?ぷぷぷ。」と小馬鹿にした内容ばかり書かれていた。


 もしも、第二王子と結婚することになったなら、それでいい、と自分に言い聞かせるが、シャーロットを傷つける王家に任せてはおけない、という思いが強くなる。もう、あの暗い顔をさせたくない。あの王子妃教育で培った笑顔を作らせたくない。



 どうか彼女だけの騎士になれるように、それだけを考え、剣を振り続けた六年間だった。
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