【完結】先に求めたのは、

たまこ

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「姉上、先程の話ですが」

「なあに?」

 一方その頃、レティとジャックは談話室でハーブティーを飲み、久しぶりに姉弟水入らずの時間を過ごしていた。

「ミゲル様に直接お聞きしたのですか?」

「……言ったじゃない。黙り込んだままだって」

「それは王太子殿下から聞かれた時の話でしょう。姉上が聞いた訳じゃない」

「それは……」

 黙り込んでしまった姉を見て、ジャックは仕方ないなぁと眉尻を下げた。

「姉上、僕が爵位を譲り受けたら姉上の政略結婚相手を探してあげますよ」

「ほ、本当?!」

「ええ、まだ十年ほど掛かりますが」

「いいの!何年でも待つわ!」

 きっともう誰かへ想い焦がれることなんてできないから……母から言われた恋愛結婚は絶望的だとレティは沈んでいた。だがジャックはそんなレティを救ってくれると言う。弟の提案にレティは目を輝かせた。

「父上は爵位なんてさっさと譲りたいと思っている筈ですから。まぁ、今でも伯爵らしいことは一つもしていませんけどね」

「そうね」

「だからね、姉上」

 なあに?とレティが尋ねると、ジャックは心配そうに微笑んだ。

「姉上の行先が無い時は僕が手伝いますから、だからちゃんとミゲル様へ姉上の気持ちを伝えて、そしてミゲル様の気持ちを聞いてきて下さい。姉上はこれからどうしたいのか、ミゲル様は姉上にどうしてほしいのか」

「……」

「ちゃんとケリをつけないと、きっと後悔しますよ。どこに嫁いでも苦しいだけだ」

「ジャック……あなた本当に十三歳?」

 レティは弟をじっと見つめた。ジャックは得意げに笑う。

「そうですよ。姉上の可愛い弟です」

「もう!全然可愛くないわよ!昔はあんなに可愛かったのに!」

 レティは叫ぶとがばりとテーブルに顔を伏せた。そしてぽつりと呟いた。

「ジャックを公爵家に連れて行きたいわ」

「いきなり何ですか」

「……とびっきり恋愛下手な方がいるの。その方のアドバイザーに適任だわ」

 ジャックは首を傾げた。そのまだあどけない顔を見て、レティは笑った。優しい弟の心の中でありがとうを呟いて。

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