30 / 49
第二章 約束の場所
30解決
しおりを挟む
メルティアはパチパチと目を瞬いた。
自分のことかと人差し指で顔のあたりを示す。
妖精は寝ぼけまなこのままメルティアをじぃっとよく見て、こてんと首を横に倒す。
「あ~。間違えちゃったぁ。メルティアさまぁ」
「う、ううん。その人によく似てたの?」
「うん~。すぅごく」
眠そうに目をこすりながら妖精がうなずく。
そして改めてメルティアを見てつぶらな瞳をパチパチと瞬く。
「メルティアさま濡れちゃってる~」
妖精は人差し指を出して、くいっと動かす。
その瞬間春のあたたかな風がメルティアの体を包み込んだ。柔らかな布団にくるまれているみたいに心地いい。
その風がなくなったときには、メルティアの服は綺麗に乾いていた。
「わぁ、すごい!」
「ジークも濡れちゃってる~」
ジークの服も同じように乾かしてくれる。
ジークはメルティアの服が乾くのを見ていたからか、驚くこともせずじっとしていた。
「ジークのことも知ってるの?」
妖精はきょとんと目を丸くして、にこーっと笑う。
「うん~。メルティアさまのすきなひと」
「えっ!」
お城の妖精たちだけではなく、こんな遠くの妖精たちにまで噂になっていたのかとメルティアは驚いた。
そして、少しだけ恥ずかしくなってもじもじしながらチラリとジークを見上げる。
「どうされたのですか、急に」
「な、なんでもないの」
「目的の妖精は起きたのですか?」
「うん。あ、なんかね、わたしに似てる人がいるみたい。メルティアーナ様って。ジーク知ってる?」
恥ずかしさをごまかすために何気なくした問いかけだったが、ジークは難しい顔をして黙り込む。
「ジーク?」
「……聞いたことが、あるような……ないような……」
「ジークの知ってる人?」
意外な反応にメルティアも驚く。
「いえ。知り合いにはいないはずです。でも、どこかで聞いたことがあるような……」
「有名な人なのかな?」
「そうかもしれませんね」
メルティアたちが話している間に、チーが妖精に近づく。
そして指でちょいっと突っついた。
「たく。いつまでもサボってないで仕事しろ」
「チーはうるさいなぁ~」
「おまえ……」
チーが他の妖精と親しげに話しているのをメルティアはまじまじと眺めた。
チーはいろんな妖精と話したりしているが、基本的にはメルティアといる。
他の妖精と話すときも、連絡的な感じが多い。
「チーくん、その子と仲いいの?」
「全然」
「うん~。仲良し~。僕もつよい妖精だからぁ」
自慢気にふふんとのけぞっているのがかわいい。
メルティアはふふっと笑いながら褒めるように小さな頭をなでる。
「妖精にもそういうのってあるんだね」
「一応な。力のある妖精のほうがいろいろ任されてるぜ」
「任されてる? だれに?」
チーは迷うように口を閉ざしたが、小太りの妖精がにこーと笑って教えてくれる。
「僕たちの王さま~」
「王というより女王だろ」
「じゃあ女王さま~」
チーとの付き合いはそれなりに長いはずだが、はじめて聞く話だった。
考えてみれば、妖精がどういう存在なのかもメルティアは知らなかった。
「妖精にも王様がいるんだ」
「一応な。王って感じでもないぜ」
「どんな子なんだろう? 会えたりしないの?」
「無理だろうな」
「……王様だもんね」
チーにバッサリ切られて、メルティアは肩を落とした。
そもそも、王というくらいだから気軽に姿を見せたりしないのかもしれない。
「ふぁぁ。メルティアさまが来てくれたからそろそろ起きるぅ」
小太りの妖精は大きく伸びをして、透明な羽根を四枚広げた。
そしてふわりと浮き上がり、指先をくるっと一回転させる。
すると、花畑のあちこちからたくさんの妖精たちが姿をあらわした。
「わぁっ。こんなにいたんだ……! すごい!」
妖精たちは眠そうに目をこすって、立っていたメルティアを見てきゃっきゃっと笑う。
そしてメルティアの周りを楽しそうに一周すると、小太りの妖精についていってわずかに穴の開いている天井から空に飛び出していった。
「……行っちゃった」
「ハルデナに行ったらいるぜ」
「そうなんだ」
「あの街はあいつの管轄だからな」
妖精の世界にもいろいろと決まりがあるようだ。
メルティアはジークを振り返る。
ジークに妖精は見えていなかったからか、天井を見てはいなかった。
ただじっと考え込むように拳を口元に寄せたまま視線を斜め下に向けている。
「ジーク? どうしたの?」
「いえ。なんでもありません。妖精はどうなりましたか?」
「ハルデナに向かったみたい。何か気になることでもあるの?」
「いえ……。ただ……この場所に見覚えがあるような……」
ジークはぎゅっと眉をしかめた。
記憶を必死に探っているようだ。
「ジーク、ここに来たことあったの?」
「ないので気のせいかと。戻りましょうか」
ジークはゆるく首を振ってメルティアに手を差し出す。
メルティアも子犬のように喜んでその手をつかんだ。
「帰り、チーくんに運んでもらう?」
「できるのですか?」
「チーくん強いみたいだから大丈夫!」
「おいメル」
結局、メルティアたちはチーに運んでもらった。
地上に出ると、生暖かい風がゆるく吹いていた。
「あ。季節風だ」
「春になるんですね」
「そうみたい。お花咲くといいね」
話しながらメルティアたちは坂を上っていく。
行きは下りだったからいいが、帰りは少しつらい。何より大冒険のあとだから足が棒のようだ。
「背負いましょうか?」
「だ、大丈夫!」
「その足で歩くのはおつらいでしょう。そもそも、このようなことは城の姫がすることじゃありませんよ」
「そういうお姫様だっているもん」
メルティアの言葉を無視してジークは背負っていたリュックを前に抱えなおす。
そして、メルティアの前で腰を落とした。背中に乗れということらしい。
「わたし、重いもん」
「どこがですか。いいから早く乗ってください」
「ジークに女の子の気持ちはわかんないもん」
「俺は男ですからね」
無言の押し問答が続き、メルティアが折れた。
そろそろとジークの背中に近づいて、ジークの首に後ろから手を回す。
背中に乗るとジークがそのまま立ち上がった。
「騎士はこういうことしないもん」
「まだ言いますか。もう歩けないでしょう」
ジークがゆっくりと歩きだす。ゆらゆらと心地いい揺れに、まぶたが重くなってくる。
「……うん。あのね、本当はすこし、疲れたの……。ありがとう、ジーク」
メルティアはジークの背中に顔を寄せた。
いつも砂いじりをしているとはいえ、重い物はジークが持ってくれたりとそれなりに楽をしてきた。
それがいきなり洞窟に入って冒険だ。
奈落の底に落ちたし、湖に沈んだしで、くたくただった。
「そのまま眠ってもいいですよ」
「着いたら起こしてくれる?」
「はい」
「うん……ジークごめんね。付き合わせちゃって」
「それが役目ですから」
メルティアはジークの背中でうとうととまどろんだ。
もし。
もしも、幼なじみのままだったとして、ジークは付いてきてくれただろうか。
そんなのは、きっと無理だろう。
仕事だから、ジークはこうしてメルティアに付いてきてくれた。
仕事だから優しくしてくれる。
幼なじみのままだったら、メルティアとジークはどんな関係になっていたのだろうか。
意外と、ディルがジークを連れまわして疎遠になっていたのかもしれない。
「じーく……」
「……おやすみなさい、メルティア様」
ぎゅっとジークにしがみついたまま、メルティアはそっと目を閉じた。
自分のことかと人差し指で顔のあたりを示す。
妖精は寝ぼけまなこのままメルティアをじぃっとよく見て、こてんと首を横に倒す。
「あ~。間違えちゃったぁ。メルティアさまぁ」
「う、ううん。その人によく似てたの?」
「うん~。すぅごく」
眠そうに目をこすりながら妖精がうなずく。
そして改めてメルティアを見てつぶらな瞳をパチパチと瞬く。
「メルティアさま濡れちゃってる~」
妖精は人差し指を出して、くいっと動かす。
その瞬間春のあたたかな風がメルティアの体を包み込んだ。柔らかな布団にくるまれているみたいに心地いい。
その風がなくなったときには、メルティアの服は綺麗に乾いていた。
「わぁ、すごい!」
「ジークも濡れちゃってる~」
ジークの服も同じように乾かしてくれる。
ジークはメルティアの服が乾くのを見ていたからか、驚くこともせずじっとしていた。
「ジークのことも知ってるの?」
妖精はきょとんと目を丸くして、にこーっと笑う。
「うん~。メルティアさまのすきなひと」
「えっ!」
お城の妖精たちだけではなく、こんな遠くの妖精たちにまで噂になっていたのかとメルティアは驚いた。
そして、少しだけ恥ずかしくなってもじもじしながらチラリとジークを見上げる。
「どうされたのですか、急に」
「な、なんでもないの」
「目的の妖精は起きたのですか?」
「うん。あ、なんかね、わたしに似てる人がいるみたい。メルティアーナ様って。ジーク知ってる?」
恥ずかしさをごまかすために何気なくした問いかけだったが、ジークは難しい顔をして黙り込む。
「ジーク?」
「……聞いたことが、あるような……ないような……」
「ジークの知ってる人?」
意外な反応にメルティアも驚く。
「いえ。知り合いにはいないはずです。でも、どこかで聞いたことがあるような……」
「有名な人なのかな?」
「そうかもしれませんね」
メルティアたちが話している間に、チーが妖精に近づく。
そして指でちょいっと突っついた。
「たく。いつまでもサボってないで仕事しろ」
「チーはうるさいなぁ~」
「おまえ……」
チーが他の妖精と親しげに話しているのをメルティアはまじまじと眺めた。
チーはいろんな妖精と話したりしているが、基本的にはメルティアといる。
他の妖精と話すときも、連絡的な感じが多い。
「チーくん、その子と仲いいの?」
「全然」
「うん~。仲良し~。僕もつよい妖精だからぁ」
自慢気にふふんとのけぞっているのがかわいい。
メルティアはふふっと笑いながら褒めるように小さな頭をなでる。
「妖精にもそういうのってあるんだね」
「一応な。力のある妖精のほうがいろいろ任されてるぜ」
「任されてる? だれに?」
チーは迷うように口を閉ざしたが、小太りの妖精がにこーと笑って教えてくれる。
「僕たちの王さま~」
「王というより女王だろ」
「じゃあ女王さま~」
チーとの付き合いはそれなりに長いはずだが、はじめて聞く話だった。
考えてみれば、妖精がどういう存在なのかもメルティアは知らなかった。
「妖精にも王様がいるんだ」
「一応な。王って感じでもないぜ」
「どんな子なんだろう? 会えたりしないの?」
「無理だろうな」
「……王様だもんね」
チーにバッサリ切られて、メルティアは肩を落とした。
そもそも、王というくらいだから気軽に姿を見せたりしないのかもしれない。
「ふぁぁ。メルティアさまが来てくれたからそろそろ起きるぅ」
小太りの妖精は大きく伸びをして、透明な羽根を四枚広げた。
そしてふわりと浮き上がり、指先をくるっと一回転させる。
すると、花畑のあちこちからたくさんの妖精たちが姿をあらわした。
「わぁっ。こんなにいたんだ……! すごい!」
妖精たちは眠そうに目をこすって、立っていたメルティアを見てきゃっきゃっと笑う。
そしてメルティアの周りを楽しそうに一周すると、小太りの妖精についていってわずかに穴の開いている天井から空に飛び出していった。
「……行っちゃった」
「ハルデナに行ったらいるぜ」
「そうなんだ」
「あの街はあいつの管轄だからな」
妖精の世界にもいろいろと決まりがあるようだ。
メルティアはジークを振り返る。
ジークに妖精は見えていなかったからか、天井を見てはいなかった。
ただじっと考え込むように拳を口元に寄せたまま視線を斜め下に向けている。
「ジーク? どうしたの?」
「いえ。なんでもありません。妖精はどうなりましたか?」
「ハルデナに向かったみたい。何か気になることでもあるの?」
「いえ……。ただ……この場所に見覚えがあるような……」
ジークはぎゅっと眉をしかめた。
記憶を必死に探っているようだ。
「ジーク、ここに来たことあったの?」
「ないので気のせいかと。戻りましょうか」
ジークはゆるく首を振ってメルティアに手を差し出す。
メルティアも子犬のように喜んでその手をつかんだ。
「帰り、チーくんに運んでもらう?」
「できるのですか?」
「チーくん強いみたいだから大丈夫!」
「おいメル」
結局、メルティアたちはチーに運んでもらった。
地上に出ると、生暖かい風がゆるく吹いていた。
「あ。季節風だ」
「春になるんですね」
「そうみたい。お花咲くといいね」
話しながらメルティアたちは坂を上っていく。
行きは下りだったからいいが、帰りは少しつらい。何より大冒険のあとだから足が棒のようだ。
「背負いましょうか?」
「だ、大丈夫!」
「その足で歩くのはおつらいでしょう。そもそも、このようなことは城の姫がすることじゃありませんよ」
「そういうお姫様だっているもん」
メルティアの言葉を無視してジークは背負っていたリュックを前に抱えなおす。
そして、メルティアの前で腰を落とした。背中に乗れということらしい。
「わたし、重いもん」
「どこがですか。いいから早く乗ってください」
「ジークに女の子の気持ちはわかんないもん」
「俺は男ですからね」
無言の押し問答が続き、メルティアが折れた。
そろそろとジークの背中に近づいて、ジークの首に後ろから手を回す。
背中に乗るとジークがそのまま立ち上がった。
「騎士はこういうことしないもん」
「まだ言いますか。もう歩けないでしょう」
ジークがゆっくりと歩きだす。ゆらゆらと心地いい揺れに、まぶたが重くなってくる。
「……うん。あのね、本当はすこし、疲れたの……。ありがとう、ジーク」
メルティアはジークの背中に顔を寄せた。
いつも砂いじりをしているとはいえ、重い物はジークが持ってくれたりとそれなりに楽をしてきた。
それがいきなり洞窟に入って冒険だ。
奈落の底に落ちたし、湖に沈んだしで、くたくただった。
「そのまま眠ってもいいですよ」
「着いたら起こしてくれる?」
「はい」
「うん……ジークごめんね。付き合わせちゃって」
「それが役目ですから」
メルティアはジークの背中でうとうととまどろんだ。
もし。
もしも、幼なじみのままだったとして、ジークは付いてきてくれただろうか。
そんなのは、きっと無理だろう。
仕事だから、ジークはこうしてメルティアに付いてきてくれた。
仕事だから優しくしてくれる。
幼なじみのままだったら、メルティアとジークはどんな関係になっていたのだろうか。
意外と、ディルがジークを連れまわして疎遠になっていたのかもしれない。
「じーく……」
「……おやすみなさい、メルティア様」
ぎゅっとジークにしがみついたまま、メルティアはそっと目を閉じた。
128
あなたにおすすめの小説
契約結婚の終わりの花が咲きます、旦那様
日室千種・ちぐ
恋愛
エブリスタ新星ファンタジーコンテストで佳作をいただいた作品を、講評を参考に全体的に手直ししました。
春を告げるラクサの花が咲いたら、この契約結婚は終わり。
夫は他の女性を追いかけて家に帰らない。私はそれに傷つきながらも、夫の弱みにつけ込んで結婚した罪悪感から、なかば諦めていた。体を弱らせながらも、寄り添ってくれる老医師に夫への想いを語り聞かせて、前を向こうとしていたのに。繰り返す女の悪夢に少しずつ壊れた私は、ついにある時、ラクサの花を咲かせてしまう――。
真実とは。老医師の決断とは。
愛する人に別れを告げられることを恐れる妻と、妻を愛していたのに契約結婚を申し出てしまった夫。悪しき魔女に掻き回された夫婦が絆を見つめ直すお話。
全十二話。完結しています。
ドレスが似合わないと言われて婚約解消したら、いつの間にか殿下に囲われていた件
ぽぽよ
恋愛
似合わないドレスばかりを送りつけてくる婚約者に嫌気がさした令嬢シンシアは、婚約を解消し、ドレスを捨てて男装の道を選んだ。
スラックス姿で生きる彼女は、以前よりも自然体で、王宮でも次第に評価を上げていく。
しかしその裏で、爽やかな笑顔を張り付けた王太子が、密かにシンシアへの執着を深めていた。
一方のシンシアは極度の鈍感で、王太子の好意をすべて「親切」「仕事」と受け取ってしまう。
「一生お仕えします」という言葉の意味を、まったく違う方向で受け取った二人。
これは、男装令嬢と爽やか策士王太子による、勘違いから始まる婚約(包囲)物語。
【完結】記憶が戻ったら〜孤独な妻は英雄夫の変わらぬ溺愛に溶かされる〜
凛蓮月
恋愛
【完全完結しました。ご愛読頂きありがとうございます!】
公爵令嬢カトリーナ・オールディスは、王太子デーヴィドの婚約者であった。
だが、カトリーナを良く思っていなかったデーヴィドは真実の愛を見つけたと言って婚約破棄した上、カトリーナが最も嫌う醜悪伯爵──ディートリヒ・ランゲの元へ嫁げと命令した。
ディートリヒは『救国の英雄』として知られる王国騎士団副団長。だが、顔には数年前の戦で負った大きな傷があった為社交界では『醜悪伯爵』と侮蔑されていた。
嫌がったカトリーナは逃げる途中階段で足を踏み外し転げ落ちる。
──目覚めたカトリーナは、一切の記憶を失っていた。
王太子命令による望まぬ婚姻ではあったが仲良くするカトリーナとディートリヒ。
カトリーナに想いを寄せていた彼にとってこの婚姻は一生に一度の奇跡だったのだ。
(記憶を取り戻したい)
(どうかこのままで……)
だが、それも長くは続かず──。
【HOTランキング1位頂きました。ありがとうございます!】
※このお話は、以前投稿したものを大幅に加筆修正したものです。
※中編版、短編版はpixivに移動させています。
※小説家になろう、ベリーズカフェでも掲載しています。
※ 魔法等は出てきませんが、作者独自の異世界のお話です。現実世界とは異なります。(異世界語を翻訳しているような感覚です)
不愛想な婚約者のメガネをこっそりかけたら
柳葉うら
恋愛
男爵令嬢のアダリーシアは、婚約者で伯爵家の令息のエディングと上手くいっていない。ある日、エディングに会いに行ったアダリーシアは、エディングが置いていったメガネを出来心でかけてみることに。そんなアダリーシアの姿を見たエディングは――。
「か・わ・い・い~っ!!」
これまでの態度から一変して、アダリーシアのギャップにメロメロになるのだった。
出来心でメガネをかけたヒロインのギャップに、本当は溺愛しているのに不器用であるがゆえにぶっきらぼうに接してしまったヒーローがノックアウトされるお話。
せめて、淑女らしく~お飾りの妻だと思っていました
藍田ひびき
恋愛
「最初に言っておく。俺の愛を求めるようなことはしないで欲しい」
リュシエンヌは婚約者のオーバン・ルヴェリエ伯爵からそう告げられる。不本意であっても傷物令嬢であるリュシエンヌには、もう後はない。
「お飾りの妻でも構わないわ。淑女らしく務めてみせましょう」
そうしてオーバンへ嫁いだリュシエンヌは正妻としての務めを精力的にこなし、徐々に夫の態度も軟化していく。しかしそこにオーバンと第三王女が恋仲であるという噂を聞かされて……?
※ なろうにも投稿しています。
婚約破棄されたので辺境でスローライフします……のはずが、氷の公爵様の溺愛が止まりません!』
鍛高譚
恋愛
王都の華と称されながら、婚約者である第二王子から一方的に婚約破棄された公爵令嬢エリシア。
理由は――「君は完璧すぎて可愛げがない」。
失意……かと思いきや。
「……これで、やっと毎日お昼まで寝られますわ!」
即日荷造りし、誰も寄りつかない“氷霧の辺境”へ隠居を決める。
ところが、その地を治める“氷の公爵”アークライトは、王都では冷酷無比と恐れられる人物だった。
---
婚約破棄されたけれど、どうぞ勝手に没落してくださいませ。私は辺境で第二の人生を満喫しますわ
鍛高譚
恋愛
「白い結婚でいい。
平凡で、静かな生活が送れれば――それだけで幸せでしたのに。」
婚約破棄され、行き場を失った伯爵令嬢アナスタシア。
彼女を救ったのは“冷徹”と噂される公爵・ルキウスだった。
二人の結婚は、互いに干渉しない 『白い結婚』――ただの契約のはずだった。
……はずなのに。
邸内で起きる不可解な襲撃。
操られた侍女が放つ言葉。
浮かび上がる“白の一族”の血――そしてアナスタシアの身体に眠る 浄化の魔力。
「白の娘よ。いずれ迎えに行く」
影の王から届いた脅迫状が、運命の刻を告げる。
守るために剣を握る公爵。
守られるだけで終わらせないと誓う令嬢。
契約から始まったはずの二人の関係は、
いつしか互いに手放せない 真実の愛 へと変わってゆく。
「君を奪わせはしない」
「わたくしも……あなたを守りたいのです」
これは――
白い結婚から始まり、影の王を巡る大いなる戦いへ踏み出す、
覚醒令嬢と冷徹公爵の“運命の恋と陰謀”の物語。
---
白い結婚のはずが、騎士様の独占欲が強すぎます! すれ違いから始まる溺愛逆転劇
鍛高譚
恋愛
婚約破棄された令嬢リオナは、家の体面を守るため、幼なじみであり王国騎士でもあるカイルと「白い結婚」をすることになった。
お互い干渉しない、心も体も自由な結婚生活――そのはずだった。
……少なくとも、リオナはそう信じていた。
ところが結婚後、カイルの様子がおかしい。
距離を取るどころか、妙に優しくて、時に甘くて、そしてなぜか他の男性が近づくと怒る。
「お前は俺の妻だ。離れようなんて、思うなよ」
どうしてそんな顔をするのか、どうしてそんなに真剣に見つめてくるのか。
“白い結婚”のはずなのに、リオナの胸は日に日にざわついていく。
すれ違い、誤解、嫉妬。
そして社交界で起きた陰謀事件をきっかけに、カイルはとうとう本心を隠せなくなる。
「……ずっと好きだった。諦めるつもりなんてない」
そんなはずじゃなかったのに。
曖昧にしていたのは、むしろリオナのほうだった。
白い結婚から始まる、幼なじみ騎士の不器用で激しい独占欲。
鈍感な令嬢リオナが少しずつ自分の気持ちに気づいていく、溺愛逆転ラブストーリー。
「ゆっくりでいい。お前の歩幅に合わせる」
「……はい。私も、カイルと歩きたいです」
二人は“白い結婚”の先に、本当の夫婦を選んでいく――。
-
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる