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第二十四話(オリビア視点)
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酷いです。あんまりですの。
リュオン様が他の女と婚約しているだなんて、信じられません。
こんなにも可憐で美しい王女と婚約しておいてそれはないのではないでしょうか。
「お父様ぁ、オリビアはリュオン様と結婚するために戻ってきましたの。なのに、何故、それが許されませんのぉ?」
ルーメリア王国は政略結婚で私とリュオン様をくっつけようとしていました。
ならば、喜んでわたくしとリュオン様を仲良くさせようと頑張るのが普通ではありませんか?
戻ってきてあげたわたくしに対する誠意が欠けておりますの。
「うーん、まぁなぁ。オリビアちゃんが戻ってきてくれて嬉しい気持ちはあるんだが。皆はオリビアにワシが甘いと言うんだよ。本来なら投獄されてもおかしくないとまでな。やっぱり、逃げたのは良くないよ、オリビアちゃん」
むぅー、基本的にわたくしの言うことをなんでも聞いていたお父様が全然乗り気になってくれませんわ。
これはどういうことでしょう。
本来なら投獄? なんで戻ってきた王女を歓迎してくれないのでしょうか。
「一体、どこの誰がわたくしの結婚を阻んでいるのですか? お父様は王様で一番偉いのですから、そこを何とかしてくださいな」
そうですよ。この国の絶対権力者はお父様です。
みんなお父様の言うことを聞くのだから、無理矢理黙らせれば良いではないですか。
すべては可愛い娘のためですよ。
「だからさー、役人全員が反対してるの。それに辺境伯のローウェルが特に怒ってる。あの男はリュオン殿と特に仲が良かったから」
「ローウェル様なんて田舎者が怒ったところで、どうなのです!? しっかりしてくださいな。お父様! ナメられていますよ!」
「ナメていらっしゃるのはオリビア様ですよ。どうも、田舎者です」
「――っ!? ローウェル様、いたのですか……」
辺境伯のローウェル。田舎に引きこもって何をしているのか分からないような人ですのに。
どういうわけか、お父様もこの人の言うことを聞いているんですよね。
今回もわたくしの頼みよりも、この人の言い分を聞いて……! 腹が立ちますわ。
「ローウェル、よく来たな。どうだ? あっちは収まりそうか?」
「オリビア様がこのまま大人しくしてくれれば、何とか収まるでしょうね。リュオン殿下に良い人が見つかってくれて良かったですよ」
「と、いうことだ。オリビア、両国の安寧のためにお前は今回だけは我慢だ」
ガ・マ・ン? このわたくしがまた「我慢」せねばなりませんの?
最近、そればかりですわ。暑いのとか、日焼けとか、虫とか、ずーーーーーっと我慢しっぱなしですの。
「ウケケケケ、オリビア様、どうしたんですか? 顔が強張っていますよ」
「ゲイオスですか。実は困っています」
私は駆け落ちの際に色々と協力してくれたゲイオスという使用人にすべて説明した。
リュオン様とよりを戻したいのに、それが叶わないことを。
「ウケケ、そういうことでしたか。トムさんのことはもう良いのですか?」
「あんな意地悪ばかり言うトムは私の好きだったトムではありませんの」
「ほー、そうですか。そうですか。ウケケ、分かりました。リュオン殿下はローウェル様の結婚式に出席されるはずです。その婚約者さんとやらと一緒に。オリビア様、愛の告白をしましょう、その結婚式の舞台でリュオン様に」
愛の告白ですか。なんて素敵な響きでしょう。
それはいい考えですね。それを実行しましょう。楽しくなってきました。
「ウケケ、協力者は必要ですな。この国の者よりも他国の者がよろしいでしょう。報酬は適当に10億エルドとか言っておけば、バカが、いえ奇特な方が現れるやもしれませぬ。危険な作業ゆえに」
「難しい話は分かりませんの。好きになさってくださいな」
ああ、早くリュオン殿下に会いたいですわ。
わたくし、幸せになります――。
リュオン様が他の女と婚約しているだなんて、信じられません。
こんなにも可憐で美しい王女と婚約しておいてそれはないのではないでしょうか。
「お父様ぁ、オリビアはリュオン様と結婚するために戻ってきましたの。なのに、何故、それが許されませんのぉ?」
ルーメリア王国は政略結婚で私とリュオン様をくっつけようとしていました。
ならば、喜んでわたくしとリュオン様を仲良くさせようと頑張るのが普通ではありませんか?
戻ってきてあげたわたくしに対する誠意が欠けておりますの。
「うーん、まぁなぁ。オリビアちゃんが戻ってきてくれて嬉しい気持ちはあるんだが。皆はオリビアにワシが甘いと言うんだよ。本来なら投獄されてもおかしくないとまでな。やっぱり、逃げたのは良くないよ、オリビアちゃん」
むぅー、基本的にわたくしの言うことをなんでも聞いていたお父様が全然乗り気になってくれませんわ。
これはどういうことでしょう。
本来なら投獄? なんで戻ってきた王女を歓迎してくれないのでしょうか。
「一体、どこの誰がわたくしの結婚を阻んでいるのですか? お父様は王様で一番偉いのですから、そこを何とかしてくださいな」
そうですよ。この国の絶対権力者はお父様です。
みんなお父様の言うことを聞くのだから、無理矢理黙らせれば良いではないですか。
すべては可愛い娘のためですよ。
「だからさー、役人全員が反対してるの。それに辺境伯のローウェルが特に怒ってる。あの男はリュオン殿と特に仲が良かったから」
「ローウェル様なんて田舎者が怒ったところで、どうなのです!? しっかりしてくださいな。お父様! ナメられていますよ!」
「ナメていらっしゃるのはオリビア様ですよ。どうも、田舎者です」
「――っ!? ローウェル様、いたのですか……」
辺境伯のローウェル。田舎に引きこもって何をしているのか分からないような人ですのに。
どういうわけか、お父様もこの人の言うことを聞いているんですよね。
今回もわたくしの頼みよりも、この人の言い分を聞いて……! 腹が立ちますわ。
「ローウェル、よく来たな。どうだ? あっちは収まりそうか?」
「オリビア様がこのまま大人しくしてくれれば、何とか収まるでしょうね。リュオン殿下に良い人が見つかってくれて良かったですよ」
「と、いうことだ。オリビア、両国の安寧のためにお前は今回だけは我慢だ」
ガ・マ・ン? このわたくしがまた「我慢」せねばなりませんの?
最近、そればかりですわ。暑いのとか、日焼けとか、虫とか、ずーーーーーっと我慢しっぱなしですの。
「ウケケケケ、オリビア様、どうしたんですか? 顔が強張っていますよ」
「ゲイオスですか。実は困っています」
私は駆け落ちの際に色々と協力してくれたゲイオスという使用人にすべて説明した。
リュオン様とよりを戻したいのに、それが叶わないことを。
「ウケケ、そういうことでしたか。トムさんのことはもう良いのですか?」
「あんな意地悪ばかり言うトムは私の好きだったトムではありませんの」
「ほー、そうですか。そうですか。ウケケ、分かりました。リュオン殿下はローウェル様の結婚式に出席されるはずです。その婚約者さんとやらと一緒に。オリビア様、愛の告白をしましょう、その結婚式の舞台でリュオン様に」
愛の告白ですか。なんて素敵な響きでしょう。
それはいい考えですね。それを実行しましょう。楽しくなってきました。
「ウケケ、協力者は必要ですな。この国の者よりも他国の者がよろしいでしょう。報酬は適当に10億エルドとか言っておけば、バカが、いえ奇特な方が現れるやもしれませぬ。危険な作業ゆえに」
「難しい話は分かりませんの。好きになさってくださいな」
ああ、早くリュオン殿下に会いたいですわ。
わたくし、幸せになります――。
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