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第二十五話
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「紹介します。こちらは私の婚約者のルティア・アルディス。そして、隣にいるのが」
「シェリア・アルディスです。初めまして~」
「ルティアです。本日はお招きいただいてありがとうございます」
ルーメリア王国の辺境の地にある教会にて、リュオン殿下は私たち姉妹をローウェル様とエリナさんに紹介されました。
ローウェル様は黒髪で体格も良く、頼り甲斐がありそうな方だという印象です。
エリナさんは病気がちな方だとお聞きしていましたが、見た感じは顔色もよく元気そうに見えるのですが。
「リュオン殿下、わざわざ私共の式に出向いてもらって申し訳ありません。両国の関係維持のために、寛大な対応をしていただき、辺境伯として殿下の懐の深さには感謝します」
「ローウェルさん、頭を上げてください。私は単純に友としてお祝いに駆けつけたのです。国とか堅苦しい話はなしにしましょう」
ローウェル様はリュオン殿下にすぐに謝罪の言葉を述べましたが、殿下はその話は良いとしました。
せっかくのお祝いの席ですし、暗い話はしないようにされたいのでしょう。
私もそう思いますし、ローウェル様もその言葉で救われたみたいです。
「エリナさん、お久しぶりです。レナの同級生のシェリアですわ。……ところでマルサス様がプロポーズに来たときの話を」
「シェリア! あなた、いきなりエリナさんに失礼でしょう!」
「ルティアさん、良いんですよ。……申し訳ありません。私が知らないうちにマルサス様を勘違いさせてしまったみたいで」
挨拶が済むなり、シェリアは無神経にもマルサス様の話をエリナさんに聞こうとしました。
マルサス様を異性として興味があるわけではないみたいですが、見境がなさすぎます。
私がシェリアを咎めるとエリナさんが申し訳なさそうな顔をしました。
「そ、そんなことありません。エリナさんは何も悪くないのですから、そのような顔をなさらないでください」
「そうですわ。むしろ、あのマルサス様と結婚しないで済んでいますので、得をしていますの」
「そういう問題ではありません。ですが、このとおり私はリュオン殿下と結ばれて幸せを感じておりますから、お気になさらないでください」
「あー、お姉様が惚気話をしていますの」
私は必死にエリナさんに大丈夫だということを伝えました。
一生に一度の結婚式なのですから、彼女には笑っていて欲しいです。
「ありがとうございます。……マルサス様、悪い方ではないのですが、考えてみますと幼いときから何でも出来る能力がある分、空回りしがちで」
「なんと昔から多才な方でしたのね。タップダンスをしながら、ギターを演奏しているのを見たときからそんな予感はしていましたの」
「ええーっ!? 何があったんですか!?」
「実はですね。マルサス様、お姉様に――」
エリナさんはシェリアと同い年なので話が合うのか、楽しそうに会話を始めました。
まぁ、シェリアは誰とでも仲良くなれるタイプですが。
とにかく、エリナさんが幸せそうで良かったです。
オリビア殿下の件が心配でしたが杞憂みたいでしたね――。
「シェリア・アルディスです。初めまして~」
「ルティアです。本日はお招きいただいてありがとうございます」
ルーメリア王国の辺境の地にある教会にて、リュオン殿下は私たち姉妹をローウェル様とエリナさんに紹介されました。
ローウェル様は黒髪で体格も良く、頼り甲斐がありそうな方だという印象です。
エリナさんは病気がちな方だとお聞きしていましたが、見た感じは顔色もよく元気そうに見えるのですが。
「リュオン殿下、わざわざ私共の式に出向いてもらって申し訳ありません。両国の関係維持のために、寛大な対応をしていただき、辺境伯として殿下の懐の深さには感謝します」
「ローウェルさん、頭を上げてください。私は単純に友としてお祝いに駆けつけたのです。国とか堅苦しい話はなしにしましょう」
ローウェル様はリュオン殿下にすぐに謝罪の言葉を述べましたが、殿下はその話は良いとしました。
せっかくのお祝いの席ですし、暗い話はしないようにされたいのでしょう。
私もそう思いますし、ローウェル様もその言葉で救われたみたいです。
「エリナさん、お久しぶりです。レナの同級生のシェリアですわ。……ところでマルサス様がプロポーズに来たときの話を」
「シェリア! あなた、いきなりエリナさんに失礼でしょう!」
「ルティアさん、良いんですよ。……申し訳ありません。私が知らないうちにマルサス様を勘違いさせてしまったみたいで」
挨拶が済むなり、シェリアは無神経にもマルサス様の話をエリナさんに聞こうとしました。
マルサス様を異性として興味があるわけではないみたいですが、見境がなさすぎます。
私がシェリアを咎めるとエリナさんが申し訳なさそうな顔をしました。
「そ、そんなことありません。エリナさんは何も悪くないのですから、そのような顔をなさらないでください」
「そうですわ。むしろ、あのマルサス様と結婚しないで済んでいますので、得をしていますの」
「そういう問題ではありません。ですが、このとおり私はリュオン殿下と結ばれて幸せを感じておりますから、お気になさらないでください」
「あー、お姉様が惚気話をしていますの」
私は必死にエリナさんに大丈夫だということを伝えました。
一生に一度の結婚式なのですから、彼女には笑っていて欲しいです。
「ありがとうございます。……マルサス様、悪い方ではないのですが、考えてみますと幼いときから何でも出来る能力がある分、空回りしがちで」
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「ええーっ!? 何があったんですか!?」
「実はですね。マルサス様、お姉様に――」
エリナさんはシェリアと同い年なので話が合うのか、楽しそうに会話を始めました。
まぁ、シェリアは誰とでも仲良くなれるタイプですが。
とにかく、エリナさんが幸せそうで良かったです。
オリビア殿下の件が心配でしたが杞憂みたいでしたね――。
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