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第五章
第三話
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そして俺の額に口付けると、勝手知ったる部屋の中、端に置いていた布団を敷いて小机を片付けると、布団を引く。
そして紫ノくんの視線の先を見た。時計があって、今は二十一時。
「ごめん、まさか、のぼせるとは思ってなくて……」
「いや、俺も悪戯してたから、悪いのは俺だよ。ごめんね」
「それは、俺のせいじゃないな……」
「うん」
そう言って、紫ノくんは俺が完全に回復するまで、水を飲ませてくれたり、冷却シートを変えてくれたりした。
甲斐甲斐しく世話を受けていたら、俺はいつの間にか眠っていたららしい。
鴉の鳴き声が聞こえて、俺の意識は覚醒する。
そして時計を見て、俺は飛び起きかけた。
十二時四十分。講義に遅れたと思った。
でもよくよく日付を見てみれば、土曜日で。俺は一息つく。
すると俺が起きたことで目が覚めたのか、紫ノくんがあくびをしながら、伸びをする。
「おはよう、日生くん」
「おはよう、紫ノくん。昨日はありがとう」
「どういたしまして。もう大丈夫?」
「大丈夫」
俺は外れかけの冷却シートを剥いで、二つ折りにする。
そしてベッドの足元に置いてあった水を飲んだ。生ぬるい温度になっている。
つけていた冷房はいつの間にか消えていた。紫ノくんがタイマーセットをしてくれたのだろうか。
部屋の中は暑くもなく寒くもない。俺は起き上がって紫ノくんの身体を跨ぐと、テレビをつけた。今日の気温が知りたくて。
すると間のいいことに、すぐに天気予報が見れる。
「今日は二五度……」
「寒くない?」
「昨日二十八度だったもんね。もう寒いのか暑いのかわかんないな」
着る服に困るのだ。今日は半袖に、夜中、薄手のカーディガンでも羽織ればいいのだろうか。
「最低気温十五度だって」
「それってあったかいの?」
「冬並みだね」
「地球、もうおしまいなのかな……」
「最後は二人でいようね」
紫ノくんが冗談っぽく、でもきっと本気で言っているのだろう。俺は頷いた。するとそれだけで紫ノくんは上機嫌になるものだから、こと俺のことになると、基準が緩くなっている気がする。俺だけにチョロいのだ。可愛いなと思う。
ちゃんと考えると言った。
言ったからには、ちゃんと考えないといけない。俺は朝ごはんのトーストを焼きながら、中でオレンジ色に光る色を眺めていた。
「河辺さん、おはよう」
「おはよう、田手くん。レポート提出した?」
俺は眠気まなこを擦りながら、大きく欠伸した。今日は、紫ノくんと授業のコマは全く別だった。
河辺さんはパソコンを開いて、俺の様子に察したのかもしれない。小さく微笑む。
「ギリギリに提出した感じ?」
「うん。三時まで起きてた」
「それは、きついね」
俺は河辺さんの隣に座ると、同じようにパソコンを取り出した。
「河辺さんはさ」
「うん?」
「俺のこと好きって、言ってくれたじゃん?」
河辺さんは少し恥ずかしそうにしながらも、ちゃんと頷いてくれた。本当に、純粋な子だ。幸せになってほしいと心底から思う。
「俺ね、今、好きだって言われてる相手がいて。その相手が大切なんだ。でも、きっといつか、俺のことが嫌になる。好きじゃなくなる、そう思っちゃうんだよね」
「そっか。でも、未来のことは誰にもわからないよ」
河辺さんは、はっきりとそう言う。一年生の頃のオドオドしてた河辺さんじゃなくて、はっきりと意見の言える子になっていた。
俺はそれが嬉しくて、ちょっと笑ってしまう。
「? 私、なんか変なこと言っちゃったかな」
「ううん。だって、河辺さん、成長したなあって。俺にはっきり言ってくれてありがとう。そうだよね、未来のことなんて、誰にもわからない」
でも俺は臆病者だから、一秒先に、紫ノくんの運命の人が現れるのを怯えているんだ。
俺がぼんやりしていると、河辺さんの手が俺の肩に乗る。まるで、労わるみたいに。
「恋をしてるの?」
「……かも」
「相手は染崎くんだよね?」
そして紫ノくんの視線の先を見た。時計があって、今は二十一時。
「ごめん、まさか、のぼせるとは思ってなくて……」
「いや、俺も悪戯してたから、悪いのは俺だよ。ごめんね」
「それは、俺のせいじゃないな……」
「うん」
そう言って、紫ノくんは俺が完全に回復するまで、水を飲ませてくれたり、冷却シートを変えてくれたりした。
甲斐甲斐しく世話を受けていたら、俺はいつの間にか眠っていたららしい。
鴉の鳴き声が聞こえて、俺の意識は覚醒する。
そして時計を見て、俺は飛び起きかけた。
十二時四十分。講義に遅れたと思った。
でもよくよく日付を見てみれば、土曜日で。俺は一息つく。
すると俺が起きたことで目が覚めたのか、紫ノくんがあくびをしながら、伸びをする。
「おはよう、日生くん」
「おはよう、紫ノくん。昨日はありがとう」
「どういたしまして。もう大丈夫?」
「大丈夫」
俺は外れかけの冷却シートを剥いで、二つ折りにする。
そしてベッドの足元に置いてあった水を飲んだ。生ぬるい温度になっている。
つけていた冷房はいつの間にか消えていた。紫ノくんがタイマーセットをしてくれたのだろうか。
部屋の中は暑くもなく寒くもない。俺は起き上がって紫ノくんの身体を跨ぐと、テレビをつけた。今日の気温が知りたくて。
すると間のいいことに、すぐに天気予報が見れる。
「今日は二五度……」
「寒くない?」
「昨日二十八度だったもんね。もう寒いのか暑いのかわかんないな」
着る服に困るのだ。今日は半袖に、夜中、薄手のカーディガンでも羽織ればいいのだろうか。
「最低気温十五度だって」
「それってあったかいの?」
「冬並みだね」
「地球、もうおしまいなのかな……」
「最後は二人でいようね」
紫ノくんが冗談っぽく、でもきっと本気で言っているのだろう。俺は頷いた。するとそれだけで紫ノくんは上機嫌になるものだから、こと俺のことになると、基準が緩くなっている気がする。俺だけにチョロいのだ。可愛いなと思う。
ちゃんと考えると言った。
言ったからには、ちゃんと考えないといけない。俺は朝ごはんのトーストを焼きながら、中でオレンジ色に光る色を眺めていた。
「河辺さん、おはよう」
「おはよう、田手くん。レポート提出した?」
俺は眠気まなこを擦りながら、大きく欠伸した。今日は、紫ノくんと授業のコマは全く別だった。
河辺さんはパソコンを開いて、俺の様子に察したのかもしれない。小さく微笑む。
「ギリギリに提出した感じ?」
「うん。三時まで起きてた」
「それは、きついね」
俺は河辺さんの隣に座ると、同じようにパソコンを取り出した。
「河辺さんはさ」
「うん?」
「俺のこと好きって、言ってくれたじゃん?」
河辺さんは少し恥ずかしそうにしながらも、ちゃんと頷いてくれた。本当に、純粋な子だ。幸せになってほしいと心底から思う。
「俺ね、今、好きだって言われてる相手がいて。その相手が大切なんだ。でも、きっといつか、俺のことが嫌になる。好きじゃなくなる、そう思っちゃうんだよね」
「そっか。でも、未来のことは誰にもわからないよ」
河辺さんは、はっきりとそう言う。一年生の頃のオドオドしてた河辺さんじゃなくて、はっきりと意見の言える子になっていた。
俺はそれが嬉しくて、ちょっと笑ってしまう。
「? 私、なんか変なこと言っちゃったかな」
「ううん。だって、河辺さん、成長したなあって。俺にはっきり言ってくれてありがとう。そうだよね、未来のことなんて、誰にもわからない」
でも俺は臆病者だから、一秒先に、紫ノくんの運命の人が現れるのを怯えているんだ。
俺がぼんやりしていると、河辺さんの手が俺の肩に乗る。まるで、労わるみたいに。
「恋をしてるの?」
「……かも」
「相手は染崎くんだよね?」
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