変態が紳士~憧れの堅物団長から「罵ってくれ」と迫られています〜

水瀬かずか

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対処2

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 王妃様の慰問先は以前魔獣被害を受けた北部だ。そちらの方は魔獣対策が既に取られ、また被害も比較的軽く復興のめどが立った王都に近い場所にしか行かない。王妃が向かっても問題ないほどに安全は確保されている。
 団長がかり出される意味がなさ過ぎるという気持ちは変わらないけれど、やはり、王妃様を前にすると、団長が引き受けてくれて助かったという気持ちが少なからずある。だって叱責されるのしんどい。無視されて仕事が進まないのしんどい。それを攻略するのは、それはそれで妙に闘争本能が刺激されてしばらくの間たいへん充実するのだけれど、やりきった達成感の後、どっと疲れが来るのだ。

 侍女長に話を持っていった後、案の定、王妃様と対面することとなった。もう、思い通りになったんだから、私は不要だと思うの……。
 という心の叫びは虚しく、王妃様に拝謁する。

「やはりあの堅物も婚約者の願いなら受けるのか」

 と、楽しげに笑う。

「ようやった」

 褒めて使わすといわれたけど、いえ、私には団長を動かせるほどの力はないです。団長の軽口を本気にするほど頭の中おめでたくない。過剰な期待はやめて欲しい。

「これからもそなたの働きに期待をしておるぞ」

 と、褒美に金のブローチをいただいた。断りたい。断れない。
 冷や汗が出る。

「もったいないお言葉です。しかし私には過分なお心遣い、とてもいただくわけには……」

 断りかけて、「気に入らぬと言うのか」という低い声に、「ありがたくいただきます」と頭を下げざるを得なかった。
 私が王妃派の人間なら、スキップできるぐらいうれしいのになぁ……。違うんだなぁ……。私中立派だしぃ。更に団長と王妃様、どっちかって言うと距離取ってるしぃ。あと、王妃様の近くにいすぎると、ハイリターンだけどハイリスクなのよねぇ。
 だから元々、王妃派には近づかないようにしていたのに。王妃様、配下への金払いはいいけど、切るときは一瞬なのだ。気に入られている間はいい。切られてしまえば仕事を失う。それは絶対に避けたい。
 もっとも、今なら切られても団長がなんとかしてくれそうではあるけど。
 ああ、関わりたくない。でも基本的に王妃宮の仕事が専門だから無理。つらい。
 あー、団長、王妃様と一緒に北部まで行くのかぁ……かわいそう。王妃様のゆっくり移動に付き合うとか、無茶ぶりありそうだなぁ。大変そう。そんで北部慰問終わったら東部に移動でしょう? かわいそう。
 ……よし、私、たいしたことない。
 いやな物はいやだけど、自分より大変そうな人のことを思い浮かべて、自分を慰めた。団長がんばれ。

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