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第11章
214話
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「―――君は誰よりも”青い血”を色濃く受け継ぎ、この世界に生まれ落ちた奇跡の子。」
生ぬるい泉に膝を折り、呆然と頭を抱える僕に向かって、片膝をつく男は静かに語り始める。
「だが、その代償なのか、君の中身は空っぽだった。そう、君は誰よりも不完全で可哀想な子。」
…うるさい。
「喜び、怒り、悲しみ、驚き、嫌悪、愛しさ…君にとって、それら全ての感情は所詮、人間の真似事。」
うるさいうるさい。
「君はどう足掻いても人間になれない。だからこそ、求めてしまう。心がないくせに、愛がわからないくせに。誰よりも食欲に求め、そして奪う。慈悲もなく、容赦もなく、空っぽの中身を埋めるかのように君は手を血で染め続けた。」
「ーッ、黙れ!!」
怒鳴りながら、僕は衝動のまま男に向かって手を振り上げた。しかし男は、軽やかに身を引いて躱し、一歩距離をとる。そして、薄ら寒い笑みを浮かべた。
「お前に僕の何が分かる!?」
デタラメばかり並べ立てる男に、僕は吠えた。
興奮で肩を上下させながら睨みつける僕を、男は嘲るように見下ろしている。
「君自身の記憶が、雄弁に語っている。」
「記憶…?」
「足元を見てごらん。」
促されるまま視線を落とした僕は息を吞んだ。
その水面には、今までの記憶が浮かび上がっていた。
まるで、僕の身体から染み出すように、それらは静かに現れては、そのまま泉の底へと沈んでいく。
ーーー幼き僕を背負いながら、本を読み聞かせるラルフ。
ーーー庭先でウサギを解体していた僕を叱る母上。
ーーー玉座から冷たい眼差しを投げかけてきた、父上…
「なん、だ…これは…」
呆然と泉を覗き込む僕に、男は静かに告げた。
「ここは”黄泉の泉”。死者の魂を浄化する場所。」
「魂の、浄化…?」
「そうだ。ここでは生前の記憶こそが穢れ。泉に溶けた穢れは”果実”となってこの樹に実り、浄化された魂は再び世界に生まれ落ちるのさ。」
まるで、夢見がちな誰かの妄想話を、一方的に聞かされているような気分だ。
頭が理解することを激しく拒絶する。
その間にも、泉は容赦なく僕の記憶を溶かし、僕という存在の輪郭さえも曖昧していった。
「ーーあぁっ!」
悲鳴に近い声が、喉を突いて出る。
水面に写し出されたのは、数少ない彼女との記憶。
それは静かに、だが確実に、手の届かない泉の底へと沈んでいく。
「や、やめろ…!僕から…奪うな…!」
悲痛な声を上げながら、僕は沈んでいく記憶に、手を必死に伸ばす。
草垣に隠れて泣いていた幼き日のエリザ。
「白が好き」と満面の笑みで言ったエリザ。
母親に叩かれ、涙を流すエリザ。
デビュタント・ボールの時の、成長した姿のエリザ。
廊下で僕に頬を叩かれたエリザ。
薔薇園で薔薇を奪い返そうと手を伸ばしてきたエリザ。
無実を訴え、僕の足に縋りついたエリザ。
苦痛に顔を歪めたエリザ。
足を切り落とされたエリザ。
虚ろな目をしたエリザ。
断頭台から僕を射抜かんばかりに睨みつけたエリザ。
ーー宙を舞う、真珠色の頭。
ーー赤薔薇が開花するように弾けた、真っ赤な鮮血。
エリザ
エリザ、エリザ
エリザ、エリザ、エリザ
エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザーーーー
「それはッ、僕だけのーー宝物だッ…!」
バシャバシャと激しく音を立てながら、何度も泉の中の記憶を掬い上げようとする。だが全て指の隙間から零れ落ち、暗い深淵へと沈んでいった。
ーーーもう、届かない。
「アアアアアアアアアアーーーー!!」
僕は頭を抱えて絶叫した。
だが次の瞬間には、もうーー自分が何に対して叫んでいたのか、分からなくなっていた。
とめどなく目から零れ落ちる、この涙の理由さえも。
今の僕が分かることは、何か大切なものを奪われた、という喪失感だけ。
くだらない、どうでもいい記憶だけは、カビのように僕の中にしつこく残っているというのに。
「…人の子にとって忌むべき記憶を、君は宝物と呼ぶのか。」
男が、ほんの一滴の嫌悪を滲まして、ポツリと呟いた。
その声に思わず顔を上げると、男は冷ややかな瞳で僕を見下ろしていた。
「…心がない生き物ほど、残酷なものはない。」
静かで無機質な声は、僕を責め立てるように言葉を続ける。
「さて、そうやって求めた結果、君の手には何が残った?」
男の問いに、僕は反射的に両手を見下ろす。
泉に濡れた手が、寒いわけでもないのに小刻みに震えていた。
「何も残っていないだろう?あんなにも欲していたのに、その手には肉片の一欠片すら残っていない。」
「…や、やめろ…」
「君は全てを持っている気でいたが、本当は何も持っていなかった。」
「…やめてくれ…」
僕は両手で顔を覆う。
「君の小さな手では、何も持てない。何もすくえない。何も守れない。誰も、愛せない。だって君はーーー」
男は、そっと僕の耳元に口を寄せて、まるで内緒話をするかのように囁いた。
「”神蟲の子”なのだから。」
ーーー神蟲。
その言葉を聞いた瞬間、思考が凍り付いた。
だって、つまり、それは…
「…虫…?」
「そうだ。」
「違う!僕は…人間だ…!人から生まれた、人の子だッ!」
怒りと恐怖が入り混じり、声が裏返る。
僕が虫だなんて。そんなことあってはならない。
それを認めてしまったら、見下していた愚かな人間らよりも、僕が下位な存在になってしまうじゃないか!
「…己を受け入れられない哀れな子。そんな君を待っていたのは身の破滅。…だが、それもまた運命だった。」
「黙れッ!」
「君の父も母も、その上の先祖も、皆等しく神蟲の子だ。その深い海のようなサファイアの瞳こそが、己を証明する何よりもの証。魔力は血、血は魔力。そして、その魔力は虫の力。君にはその血か濃く流れているーーーいや、”流れていた”と言うべきか。」
男はトン、と僕の胸を指差した。ちょうどそこは心臓の位置。かつて鼓動を訴えていた場所。
だが今は何も感じない。
ただ空洞があるだけ。
空っぽだ。
「…。」
頭の奥で、何かが崩れる音がした。
おそらくそれは僕という存在を形成していた何か。
それが、ガラガラと音を立てながら崩れていく。
「…魔力は…神の力じゃ、なかったのか…?」
そう呟いた僕の脳裏に、幼き日にラルフが語った物語が蘇る。
ーー世界に海と小さな島しかなかった遥か昔。
ある日突然、島で一番大きな山が大噴火した。
迫り来る溶岩、逃げ場のない小さな島。
数分前まで平和に過ごしていた人類は滅亡の淵に立たされた。
もう死ぬしか道はない、誰もがそう思った時、奇跡が起こった。
神が一人の青年に自ら力を授けたのだ。
神に選ばれた青年はその力を使い大噴火を鎮め、焼き爛れた大地に緑を与え、そして国を創った。その力こそが魔力の原点にして頂点”青の魔力”であり、その青年が後のノルデン帝国初代ーーー
「あははは!神?何を言っている?君は朕と同じく神を否定したじゃないか!」
突然、男が僕の顔を乱暴に掴み、間近で覗き込んできた。
「朕が断言してあげよう。あの世界に神は存在しない。なぜなら、世界が神の創造に失敗したからだ!」
僕は目を見開く。
「…何故、そこまではっきりと断言できる?お前は…何者だ…?」
一瞬頭に過ぎったのは、全知全能の神という存在。だが、男はその存在を否定した。
男はうっすらと笑い、こう答えた。
「朕は、君と同じく世界を害した”罪人”。」
ーー罪人。
無意識に視線が、男の足元へ視線を落ちる。
そこにはやはり、この場ではひどく異物な鉄の鎖が、僕と同じく男の足を戒めていた。
「罪人である君も知るべきだ。あの忌々しくも、美しい…世界のことを。」
男の足元から視線を戻した刹那、その目と正面からぶつかった。
ぞくり、と背筋に冷たいものが這い上がる。
よく見ると、男のサファイアの瞳の奥には、年輪のような幾重にも沈殿した時の層が見えた。
こんな目になるまで、いったいどれだけの時間をここで過ごしてきたのだろうか。
100年生きた老人でさえ、こんな目にはならないはずだ。
男の瞳に精神を吸い込まれそうになる。
このまま見続けていたら、自我が崩壊してしまいそうな、そんな恐怖心が胸を過った。
「少しばかり長くなるが、構わないだろう?時間はたっぷりとある。世界が終わるその時まで、この場に囚われ続ける朕たちの魂はーーー永遠なのだから。」
満点の星空と、見守るように佇む大樹の下。
終わりの見えない時の中で、男は誰も知らない真実を語り始めたーー。
生ぬるい泉に膝を折り、呆然と頭を抱える僕に向かって、片膝をつく男は静かに語り始める。
「だが、その代償なのか、君の中身は空っぽだった。そう、君は誰よりも不完全で可哀想な子。」
…うるさい。
「喜び、怒り、悲しみ、驚き、嫌悪、愛しさ…君にとって、それら全ての感情は所詮、人間の真似事。」
うるさいうるさい。
「君はどう足掻いても人間になれない。だからこそ、求めてしまう。心がないくせに、愛がわからないくせに。誰よりも食欲に求め、そして奪う。慈悲もなく、容赦もなく、空っぽの中身を埋めるかのように君は手を血で染め続けた。」
「ーッ、黙れ!!」
怒鳴りながら、僕は衝動のまま男に向かって手を振り上げた。しかし男は、軽やかに身を引いて躱し、一歩距離をとる。そして、薄ら寒い笑みを浮かべた。
「お前に僕の何が分かる!?」
デタラメばかり並べ立てる男に、僕は吠えた。
興奮で肩を上下させながら睨みつける僕を、男は嘲るように見下ろしている。
「君自身の記憶が、雄弁に語っている。」
「記憶…?」
「足元を見てごらん。」
促されるまま視線を落とした僕は息を吞んだ。
その水面には、今までの記憶が浮かび上がっていた。
まるで、僕の身体から染み出すように、それらは静かに現れては、そのまま泉の底へと沈んでいく。
ーーー幼き僕を背負いながら、本を読み聞かせるラルフ。
ーーー庭先でウサギを解体していた僕を叱る母上。
ーーー玉座から冷たい眼差しを投げかけてきた、父上…
「なん、だ…これは…」
呆然と泉を覗き込む僕に、男は静かに告げた。
「ここは”黄泉の泉”。死者の魂を浄化する場所。」
「魂の、浄化…?」
「そうだ。ここでは生前の記憶こそが穢れ。泉に溶けた穢れは”果実”となってこの樹に実り、浄化された魂は再び世界に生まれ落ちるのさ。」
まるで、夢見がちな誰かの妄想話を、一方的に聞かされているような気分だ。
頭が理解することを激しく拒絶する。
その間にも、泉は容赦なく僕の記憶を溶かし、僕という存在の輪郭さえも曖昧していった。
「ーーあぁっ!」
悲鳴に近い声が、喉を突いて出る。
水面に写し出されたのは、数少ない彼女との記憶。
それは静かに、だが確実に、手の届かない泉の底へと沈んでいく。
「や、やめろ…!僕から…奪うな…!」
悲痛な声を上げながら、僕は沈んでいく記憶に、手を必死に伸ばす。
草垣に隠れて泣いていた幼き日のエリザ。
「白が好き」と満面の笑みで言ったエリザ。
母親に叩かれ、涙を流すエリザ。
デビュタント・ボールの時の、成長した姿のエリザ。
廊下で僕に頬を叩かれたエリザ。
薔薇園で薔薇を奪い返そうと手を伸ばしてきたエリザ。
無実を訴え、僕の足に縋りついたエリザ。
苦痛に顔を歪めたエリザ。
足を切り落とされたエリザ。
虚ろな目をしたエリザ。
断頭台から僕を射抜かんばかりに睨みつけたエリザ。
ーー宙を舞う、真珠色の頭。
ーー赤薔薇が開花するように弾けた、真っ赤な鮮血。
エリザ
エリザ、エリザ
エリザ、エリザ、エリザ
エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザ、エリザーーーー
「それはッ、僕だけのーー宝物だッ…!」
バシャバシャと激しく音を立てながら、何度も泉の中の記憶を掬い上げようとする。だが全て指の隙間から零れ落ち、暗い深淵へと沈んでいった。
ーーーもう、届かない。
「アアアアアアアアアアーーーー!!」
僕は頭を抱えて絶叫した。
だが次の瞬間には、もうーー自分が何に対して叫んでいたのか、分からなくなっていた。
とめどなく目から零れ落ちる、この涙の理由さえも。
今の僕が分かることは、何か大切なものを奪われた、という喪失感だけ。
くだらない、どうでもいい記憶だけは、カビのように僕の中にしつこく残っているというのに。
「…人の子にとって忌むべき記憶を、君は宝物と呼ぶのか。」
男が、ほんの一滴の嫌悪を滲まして、ポツリと呟いた。
その声に思わず顔を上げると、男は冷ややかな瞳で僕を見下ろしていた。
「…心がない生き物ほど、残酷なものはない。」
静かで無機質な声は、僕を責め立てるように言葉を続ける。
「さて、そうやって求めた結果、君の手には何が残った?」
男の問いに、僕は反射的に両手を見下ろす。
泉に濡れた手が、寒いわけでもないのに小刻みに震えていた。
「何も残っていないだろう?あんなにも欲していたのに、その手には肉片の一欠片すら残っていない。」
「…や、やめろ…」
「君は全てを持っている気でいたが、本当は何も持っていなかった。」
「…やめてくれ…」
僕は両手で顔を覆う。
「君の小さな手では、何も持てない。何もすくえない。何も守れない。誰も、愛せない。だって君はーーー」
男は、そっと僕の耳元に口を寄せて、まるで内緒話をするかのように囁いた。
「”神蟲の子”なのだから。」
ーーー神蟲。
その言葉を聞いた瞬間、思考が凍り付いた。
だって、つまり、それは…
「…虫…?」
「そうだ。」
「違う!僕は…人間だ…!人から生まれた、人の子だッ!」
怒りと恐怖が入り混じり、声が裏返る。
僕が虫だなんて。そんなことあってはならない。
それを認めてしまったら、見下していた愚かな人間らよりも、僕が下位な存在になってしまうじゃないか!
「…己を受け入れられない哀れな子。そんな君を待っていたのは身の破滅。…だが、それもまた運命だった。」
「黙れッ!」
「君の父も母も、その上の先祖も、皆等しく神蟲の子だ。その深い海のようなサファイアの瞳こそが、己を証明する何よりもの証。魔力は血、血は魔力。そして、その魔力は虫の力。君にはその血か濃く流れているーーーいや、”流れていた”と言うべきか。」
男はトン、と僕の胸を指差した。ちょうどそこは心臓の位置。かつて鼓動を訴えていた場所。
だが今は何も感じない。
ただ空洞があるだけ。
空っぽだ。
「…。」
頭の奥で、何かが崩れる音がした。
おそらくそれは僕という存在を形成していた何か。
それが、ガラガラと音を立てながら崩れていく。
「…魔力は…神の力じゃ、なかったのか…?」
そう呟いた僕の脳裏に、幼き日にラルフが語った物語が蘇る。
ーー世界に海と小さな島しかなかった遥か昔。
ある日突然、島で一番大きな山が大噴火した。
迫り来る溶岩、逃げ場のない小さな島。
数分前まで平和に過ごしていた人類は滅亡の淵に立たされた。
もう死ぬしか道はない、誰もがそう思った時、奇跡が起こった。
神が一人の青年に自ら力を授けたのだ。
神に選ばれた青年はその力を使い大噴火を鎮め、焼き爛れた大地に緑を与え、そして国を創った。その力こそが魔力の原点にして頂点”青の魔力”であり、その青年が後のノルデン帝国初代ーーー
「あははは!神?何を言っている?君は朕と同じく神を否定したじゃないか!」
突然、男が僕の顔を乱暴に掴み、間近で覗き込んできた。
「朕が断言してあげよう。あの世界に神は存在しない。なぜなら、世界が神の創造に失敗したからだ!」
僕は目を見開く。
「…何故、そこまではっきりと断言できる?お前は…何者だ…?」
一瞬頭に過ぎったのは、全知全能の神という存在。だが、男はその存在を否定した。
男はうっすらと笑い、こう答えた。
「朕は、君と同じく世界を害した”罪人”。」
ーー罪人。
無意識に視線が、男の足元へ視線を落ちる。
そこにはやはり、この場ではひどく異物な鉄の鎖が、僕と同じく男の足を戒めていた。
「罪人である君も知るべきだ。あの忌々しくも、美しい…世界のことを。」
男の足元から視線を戻した刹那、その目と正面からぶつかった。
ぞくり、と背筋に冷たいものが這い上がる。
よく見ると、男のサファイアの瞳の奥には、年輪のような幾重にも沈殿した時の層が見えた。
こんな目になるまで、いったいどれだけの時間をここで過ごしてきたのだろうか。
100年生きた老人でさえ、こんな目にはならないはずだ。
男の瞳に精神を吸い込まれそうになる。
このまま見続けていたら、自我が崩壊してしまいそうな、そんな恐怖心が胸を過った。
「少しばかり長くなるが、構わないだろう?時間はたっぷりとある。世界が終わるその時まで、この場に囚われ続ける朕たちの魂はーーー永遠なのだから。」
満点の星空と、見守るように佇む大樹の下。
終わりの見えない時の中で、男は誰も知らない真実を語り始めたーー。
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