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帝国のルール
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「婚約破棄してください」
このセリフを今まで何度言ったことだろうか。
一日一回必ず口にしている。
目の前の男性は、伯爵の息子・ウォレスと名乗った。わたしと婚約しているらしい。……まったく身に覚えがないのだけど。
「そ、そんなアリシャさん。俺は君のことを愛しているんだ!」
ほぼ初対面の人に言われてもね。
確かに彼は身なりもキチンとしているし、顔も悪くない。それに伯爵の息子らしい。けれど、わたしにはまだ結婚だとか考えられなかった。いや、決して恋愛に興味がないわけではない。ただ、こう毎日求婚される毎日。少し疲れてしまっていた。
「ごめんなさい」
「まってくれ!」
わたしは背を向け、その場を去った。
中央噴水広場まで向かうと、見知った顔が現れた。わたしと同じ貴族令嬢のアラナだ。最近付きまとってきていた。
「アリシャ! あんたまた男を捨てたそうね。なんで、あんたばかりにイイ男が寄ってくるのよ」
「知りません。わたしに構わないでください」
「そういう、氷のような冷たい態度で何人も振ってきたわけ。いい加減、目障りだわ!」
頬を叩こうとしてくるアラナだったけれど、近くにいた男性が止めてくれた。
「やめなさい」
「な、なによ、あんた! ……あ、あら。イイ男ね」
「彼女に手を出すな」
「な、なによ。アリシャは男を捨てまくっている極悪人よ!?」
「それは違う」
「なにが違うのよ。そこの女は、もう何人も婚約破棄してるじゃない!」
確かに、わたしは毎日のように断っている。けど、だからと言って他人にあれこれ言われる筋合いはない。
「そうだろうね。でも、これは帝国が定めたルールなんだよ」
「な、なんですって? そんなルールがいつの間にできたのよ。聞いたことないわ!」
「なぜなら、アリシャ・クラインはこの世で一番美しいからだ」
「……はあ? なにそれ、意味わかんない!」
アラナが混乱するように、わたしも意味が分からなかった。帝国のルールってなに……?
このセリフを今まで何度言ったことだろうか。
一日一回必ず口にしている。
目の前の男性は、伯爵の息子・ウォレスと名乗った。わたしと婚約しているらしい。……まったく身に覚えがないのだけど。
「そ、そんなアリシャさん。俺は君のことを愛しているんだ!」
ほぼ初対面の人に言われてもね。
確かに彼は身なりもキチンとしているし、顔も悪くない。それに伯爵の息子らしい。けれど、わたしにはまだ結婚だとか考えられなかった。いや、決して恋愛に興味がないわけではない。ただ、こう毎日求婚される毎日。少し疲れてしまっていた。
「ごめんなさい」
「まってくれ!」
わたしは背を向け、その場を去った。
中央噴水広場まで向かうと、見知った顔が現れた。わたしと同じ貴族令嬢のアラナだ。最近付きまとってきていた。
「アリシャ! あんたまた男を捨てたそうね。なんで、あんたばかりにイイ男が寄ってくるのよ」
「知りません。わたしに構わないでください」
「そういう、氷のような冷たい態度で何人も振ってきたわけ。いい加減、目障りだわ!」
頬を叩こうとしてくるアラナだったけれど、近くにいた男性が止めてくれた。
「やめなさい」
「な、なによ、あんた! ……あ、あら。イイ男ね」
「彼女に手を出すな」
「な、なによ。アリシャは男を捨てまくっている極悪人よ!?」
「それは違う」
「なにが違うのよ。そこの女は、もう何人も婚約破棄してるじゃない!」
確かに、わたしは毎日のように断っている。けど、だからと言って他人にあれこれ言われる筋合いはない。
「そうだろうね。でも、これは帝国が定めたルールなんだよ」
「な、なんですって? そんなルールがいつの間にできたのよ。聞いたことないわ!」
「なぜなら、アリシャ・クラインはこの世で一番美しいからだ」
「……はあ? なにそれ、意味わかんない!」
アラナが混乱するように、わたしも意味が分からなかった。帝国のルールってなに……?
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