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夜の皇帝の求婚イベント
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助けてくれた男性貴族の名は『エリオット・ネス』と言った。
この世のものとは思えないほど綺麗で神秘的な金の髪を揺らし、エメラルドグリーンの瞳でこちらを見据える。
「この帝国に君臨する“夜の皇帝”がお決めになった」
「なによそれ! 聞いたことがないわ!」
「そうだろうね。一か月前、男性貴族のみが参加できるパーティで発表された内容だからね。以来、アリシャ・クラインを巡って求婚合戦さ」
夜の皇帝が勝手にわたしを賞品して、勝手にイベントを決めたってことなのね。だから、毎日のように男性が寄ってきていたんだ。ようやく謎が解けた。
でも、なんでわたしなの?
どうして選ばれたのがわたし?
「あの、ネスさん……」
「アリシャさん、聞きたいことは分かっている。なぜ、君なのかということだろう」
「はい、知りたいんです。わたしが選ばれた理由を教えてください」
「さっきも言った通り、君の美貌さ」
「わ、わたしの顔ということですか?」
「ああ。皇帝陛下は、君を絶世の美女と認めていたよ。そして、こうもおっしゃっていた。アリシャ・クラインと婚約を果たした者は、一生の富と権力、幸福を与えてくださると」
そ、そんな約束がされているんだ。知らなかった。だから、男性貴族は必死になってわたしと結婚したがっているんだ。
でも、やっぱり分からない。
そんな疑問を、アラナが怒りながらもネスに問い詰めていた。
「ちょっと! 聞いていれば、なんでアリシャだけが特別なの! こんな女と結婚してどうして一生が保証されるのよ! 陛下を侮辱するつもりはないけど、特別扱いしすぎよ!」
「アラナ、君は会ったことがないだろうが、陛下は“女性”なのだよ」
「えっ……ウソでしょ!?」
アラナが驚く。
わたしも知らなかったし、驚いた。
そういえば皇帝陛下の姿を見たことがなかった。お城に招待されるのは、いつも男性貴族だけだったから……。そうか、女性ゆえに男性貴族を集めてパーティを。
「女性である陛下がアリシャ・クラインを認めたのだ。文句は許されない」
「……くぅ」
さすがのアラナも、悔しそうに唇を噛むことしかできなかった。
「さあ、帰るんだ、アラナ」
「わ、分かったわよ。でもね、今に覚えていなさい、アリシャ!」
にらまれるわたし。
そんな恨みの募った目線を送られても困る。
結局、アラナは背を向けて去っていった。
……ほっ、助かった。
「ありがとうございました、ネスさん」
「いや、いいんだ。それよりも……」
わっ、なにか視線を感じる。
けれど、ネスさんならいいかな。助けてくれたし、それにカッコイイし。今まで求婚されてきた男性貴族の中では、一番まともに思えた。
だから、わたしの方から提案してみた。
「お、お茶でも……?」
「アリシャさんから誘ってくれるなんて嬉しいな。本当にいいのかい?」
「ええ。理由を知ったら、なんだか面白いって感じたので」
今まで理由が分からなくて怖い思いもしたけど、今は違う。皇帝陛下が決めたイベントと分かった以上は、わたしにも選ぶ権利がある。
良い人を見つけて、幸せな結婚生活を送るのもいいかもね。
この世のものとは思えないほど綺麗で神秘的な金の髪を揺らし、エメラルドグリーンの瞳でこちらを見据える。
「この帝国に君臨する“夜の皇帝”がお決めになった」
「なによそれ! 聞いたことがないわ!」
「そうだろうね。一か月前、男性貴族のみが参加できるパーティで発表された内容だからね。以来、アリシャ・クラインを巡って求婚合戦さ」
夜の皇帝が勝手にわたしを賞品して、勝手にイベントを決めたってことなのね。だから、毎日のように男性が寄ってきていたんだ。ようやく謎が解けた。
でも、なんでわたしなの?
どうして選ばれたのがわたし?
「あの、ネスさん……」
「アリシャさん、聞きたいことは分かっている。なぜ、君なのかということだろう」
「はい、知りたいんです。わたしが選ばれた理由を教えてください」
「さっきも言った通り、君の美貌さ」
「わ、わたしの顔ということですか?」
「ああ。皇帝陛下は、君を絶世の美女と認めていたよ。そして、こうもおっしゃっていた。アリシャ・クラインと婚約を果たした者は、一生の富と権力、幸福を与えてくださると」
そ、そんな約束がされているんだ。知らなかった。だから、男性貴族は必死になってわたしと結婚したがっているんだ。
でも、やっぱり分からない。
そんな疑問を、アラナが怒りながらもネスに問い詰めていた。
「ちょっと! 聞いていれば、なんでアリシャだけが特別なの! こんな女と結婚してどうして一生が保証されるのよ! 陛下を侮辱するつもりはないけど、特別扱いしすぎよ!」
「アラナ、君は会ったことがないだろうが、陛下は“女性”なのだよ」
「えっ……ウソでしょ!?」
アラナが驚く。
わたしも知らなかったし、驚いた。
そういえば皇帝陛下の姿を見たことがなかった。お城に招待されるのは、いつも男性貴族だけだったから……。そうか、女性ゆえに男性貴族を集めてパーティを。
「女性である陛下がアリシャ・クラインを認めたのだ。文句は許されない」
「……くぅ」
さすがのアラナも、悔しそうに唇を噛むことしかできなかった。
「さあ、帰るんだ、アラナ」
「わ、分かったわよ。でもね、今に覚えていなさい、アリシャ!」
にらまれるわたし。
そんな恨みの募った目線を送られても困る。
結局、アラナは背を向けて去っていった。
……ほっ、助かった。
「ありがとうございました、ネスさん」
「いや、いいんだ。それよりも……」
わっ、なにか視線を感じる。
けれど、ネスさんならいいかな。助けてくれたし、それにカッコイイし。今まで求婚されてきた男性貴族の中では、一番まともに思えた。
だから、わたしの方から提案してみた。
「お、お茶でも……?」
「アリシャさんから誘ってくれるなんて嬉しいな。本当にいいのかい?」
「ええ。理由を知ったら、なんだか面白いって感じたので」
今まで理由が分からなくて怖い思いもしたけど、今は違う。皇帝陛下が決めたイベントと分かった以上は、わたしにも選ぶ権利がある。
良い人を見つけて、幸せな結婚生活を送るのもいいかもね。
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