『お前とは結婚できない』と婚約破棄されたので、隣国の王に嫁ぎます

 春の宮廷は、いつもより少しだけざわめいていた。
 けれどその理由が、わたし——エリシア・リンドールの婚約破棄であることを、わたし自身が一番よく理解していた。

 「エリシア、君とは結婚できない」
 王太子ユリウス殿下のその一言は、まるで氷の刃のように冷たかった。

 ——ああ、この人は本当に言ってしまったのね。
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