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新章
第81話 新トラップ
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四分統治・フルクトゥアトは、世界から注目されるようになっていた。もはや、嘗て世界一と呼ばれていた『カエレスエィス帝国』の影は薄まりつつあった。
EXダンジョン前の屋敷で、俺は世界情勢とこの国の発展状況をマルガリータから聞いていた。
「――それでですね、新トラップを開発したんですよ、主様」
「へえ? 新トラップね。どんな罠なんだい」
「それは深くて、激しいのですよ」
なんでそんなイヤらしい口調で言うのだろうか。いやだが、仕方ない。マルガはヘンタイなのだ。出会った当初は真面目な辺境伯だったんだがな。
「詳しく教えてくれ」
「ええ、硫酸の落とし穴です」
――あれ、それどこかで聞いたことがあるような。いや、気のせいだ。因みに、この落とし穴は西の魔導機械国『デウス・エクス・マキナ』の技術だ。
落ちるとジュワッっと溶けてご臨終ってワケだ。
「すげぇ罠を開発したな。そんなの設置も大変だろうに」
「魔導式なので、地面に埋め込むだけで自動掘削され、自動で硫酸が溜め込まれるのです。さすが、デウス・エクス・マキナですよ」
すげぇオイ。ていうか、デウス・エクス・マキナの技術はどうなってんだよ。魔導砲といい、いろいろやりすぎな気がしないでもないが、これも魔王軍の襲来から身を、国を護る為だ。
あれ以来、恐らく魔王となったルードスは不気味なくらいに沈黙している。今頃、何をしているのだろうな。
「まあ、いつかは襲ってくるだろう。それに、帝国の動きも不気味だ。近頃は裏取引をしているとも聞く。キナ臭いぞ」
「ええ、白の聖女カルディア様と黒の聖女アマデウス様が存在を消して以来、帝国は態度を硬化させており、特にこの国には良いイメージを持ってなさそうですよ」
だろうな。魂力の件でお世話になってから、姿を現していないらしい。でも、それだけの理由で? いくらなんでも俺の所為ではないと思いたいが。
「……なるほどな。マルガ、引き続き帝国の動向を見極めてくれ。君の辺境伯としての地位はまだ有効だからな」
「お任せを。わたくしに出来る事でしたら何でも致します。もちろん、夜伽も……♡」
「そ……それはまた今度な」
「あぁん……もう、つれませんね、主様ってば♡」
寂しそうに体をくねらせるマルガさん。やれやれ、まだ昼間だぞ……。さすがヘンタイの称号を欲しいままにしているだけあるな。
◆
フルクと合流しようとしたのだが、隣の都市『イニティウム』へ買い物に行っている事を思い出した。
「あー…フルクは不在だったな」
「そうですね。フルク様はカルニと共にお出掛けの最中ですから、わたくしと二人きりですね、主様っ♡」
腰まで伸びるクリーム色の髪を揺らし、マルガは俺の腕に抱きついてきた。いろいろと当たっているんだが……。
「いないんじゃ仕方ない。マルガ、ちょっと外へ――」
その時だった。
ガタンと玄関が勢いよく開かれた。何事かと思い、振り向くと見覚えのある顔だった。
「す、すみません。失礼します、アウルムさん」
「なんだ、ソルスじゃないか。久しぶりだな」
もふっとしたショートヘアで緑髪の女の子。ユウェンスの部下であり、今やイニティウムの副リーダー的存在だった。
彼女は慌ただしい口調でこう言った。
「まず先に事前連絡もなく、突然の訪問で申し訳ございません。ですが、緊急の案件でして……」
「分かった。聞かせてくれ」
「単刀直入にお話しします。フルク様が倒れられたんです!」
「なんだって!? フルクが!? 何があった……」
ソルスは青ざめて、震えながら言った。
「分かりません。倒れられた状態で運ばれて来たので……今はカルニ様が看病されています。大至急、イニティウムの本部へ参られて下さい」
アオベの葉を渡された。
けれど、その枚数は一枚。
ひとりだけしか飛べない。
「……マルガすまない。留守を頼めるか」
「勿論です。わたくしの使命は、主様の居場所を守る事です。つまり、この国もこの家も全てです」
そう優しい顔で微笑んでくれた。
ああ、やっぱりマルガは頼りになる。
なら俺は、フルクの場所へ向かう!
EXダンジョン前の屋敷で、俺は世界情勢とこの国の発展状況をマルガリータから聞いていた。
「――それでですね、新トラップを開発したんですよ、主様」
「へえ? 新トラップね。どんな罠なんだい」
「それは深くて、激しいのですよ」
なんでそんなイヤらしい口調で言うのだろうか。いやだが、仕方ない。マルガはヘンタイなのだ。出会った当初は真面目な辺境伯だったんだがな。
「詳しく教えてくれ」
「ええ、硫酸の落とし穴です」
――あれ、それどこかで聞いたことがあるような。いや、気のせいだ。因みに、この落とし穴は西の魔導機械国『デウス・エクス・マキナ』の技術だ。
落ちるとジュワッっと溶けてご臨終ってワケだ。
「すげぇ罠を開発したな。そんなの設置も大変だろうに」
「魔導式なので、地面に埋め込むだけで自動掘削され、自動で硫酸が溜め込まれるのです。さすが、デウス・エクス・マキナですよ」
すげぇオイ。ていうか、デウス・エクス・マキナの技術はどうなってんだよ。魔導砲といい、いろいろやりすぎな気がしないでもないが、これも魔王軍の襲来から身を、国を護る為だ。
あれ以来、恐らく魔王となったルードスは不気味なくらいに沈黙している。今頃、何をしているのだろうな。
「まあ、いつかは襲ってくるだろう。それに、帝国の動きも不気味だ。近頃は裏取引をしているとも聞く。キナ臭いぞ」
「ええ、白の聖女カルディア様と黒の聖女アマデウス様が存在を消して以来、帝国は態度を硬化させており、特にこの国には良いイメージを持ってなさそうですよ」
だろうな。魂力の件でお世話になってから、姿を現していないらしい。でも、それだけの理由で? いくらなんでも俺の所為ではないと思いたいが。
「……なるほどな。マルガ、引き続き帝国の動向を見極めてくれ。君の辺境伯としての地位はまだ有効だからな」
「お任せを。わたくしに出来る事でしたら何でも致します。もちろん、夜伽も……♡」
「そ……それはまた今度な」
「あぁん……もう、つれませんね、主様ってば♡」
寂しそうに体をくねらせるマルガさん。やれやれ、まだ昼間だぞ……。さすがヘンタイの称号を欲しいままにしているだけあるな。
◆
フルクと合流しようとしたのだが、隣の都市『イニティウム』へ買い物に行っている事を思い出した。
「あー…フルクは不在だったな」
「そうですね。フルク様はカルニと共にお出掛けの最中ですから、わたくしと二人きりですね、主様っ♡」
腰まで伸びるクリーム色の髪を揺らし、マルガは俺の腕に抱きついてきた。いろいろと当たっているんだが……。
「いないんじゃ仕方ない。マルガ、ちょっと外へ――」
その時だった。
ガタンと玄関が勢いよく開かれた。何事かと思い、振り向くと見覚えのある顔だった。
「す、すみません。失礼します、アウルムさん」
「なんだ、ソルスじゃないか。久しぶりだな」
もふっとしたショートヘアで緑髪の女の子。ユウェンスの部下であり、今やイニティウムの副リーダー的存在だった。
彼女は慌ただしい口調でこう言った。
「まず先に事前連絡もなく、突然の訪問で申し訳ございません。ですが、緊急の案件でして……」
「分かった。聞かせてくれ」
「単刀直入にお話しします。フルク様が倒れられたんです!」
「なんだって!? フルクが!? 何があった……」
ソルスは青ざめて、震えながら言った。
「分かりません。倒れられた状態で運ばれて来たので……今はカルニ様が看病されています。大至急、イニティウムの本部へ参られて下さい」
アオベの葉を渡された。
けれど、その枚数は一枚。
ひとりだけしか飛べない。
「……マルガすまない。留守を頼めるか」
「勿論です。わたくしの使命は、主様の居場所を守る事です。つまり、この国もこの家も全てです」
そう優しい顔で微笑んでくれた。
ああ、やっぱりマルガは頼りになる。
なら俺は、フルクの場所へ向かう!
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