チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗

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新章

第82話 城塞都市・イニティウム

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 ――城塞都市・イニティウム――


 アオベの葉でテレポートし、第二都市へ入った。
 かつての森の中にあった村のような光景はなく、民家が立ち並ぶ。ここまで発展するとはな。


「久しぶりに来たけど、人も多いな。えっと、本部はあっちか」


 中央にある大きな噴水から真っ直ぐ歩くと、大きな建物があった。この屋敷こそユウェンスの本部か。


 ユウェンスは、この都市の皇帝だ。その腕は確かで、人々からの信頼もアツい。


「ここにフルクがいるはず」


 俺は門番の所へ向かう。


「む……! これはこれは! アウルム様。お久しぶりでございます。どうぞ、お通り下さい」


 おぉ、覚えられているらしい。顔パスで入れた。そのまま庭に入り、大きな扉の前へ。開けようとすると勝手に開いた、というか……誰が飛び出て来た。


「うわッ!!」

「みゃふー!」


 ドンとぶつかって、俺は何かの中に顔が埋まった。……なんだ、このフニフニした柔らかいモノ。


「う~ん?」

「きゃぁ、ヘ、ヘンタイですぅ!」


 ああ、なんだフェルスか。
 騎乗モンスターのラマ・パコスの人型化した白髪の少女。獣耳、尻尾を持ち、世話しなく動いていた。


「ヘンタイとは失礼な。不可抗力だ」

「なんだ、アウルムさんじゃないですかぁ。ならいいです」


 ならいいのかよ。
 顔を真っ赤ににして、フェルスは照れ臭そうに俺から離れた。まあ、そもそもぶつかって来たのはフェルスからだからな。


「俺はフルクに用事がある。倒れたって聞いた」

「そ、そうですよ! フルク様が大変なんです!」

「ああ、今から様子を見に行く。フェルスは何処かへ出掛けるのか?」

「ええ、私はメディケさんを呼びに行こうかと……!」


 納得して、俺はフェルスを行かせた。という事は、病気か何かか……?


 直ぐに屋敷内に入り、フェルスから聞いた通路を行く。二階に上がり、奥の広い部屋にノックし、入った。


「悪いが入らせて貰うぞ」


 部屋の中へ入ると、ベッドの上で眠るフルクの姿があった。それを見守るカルニとユウェンス。


「アウルム様、来て下さったのですね」
「来たか、アウルム」


「フルクを迎えに来た。容体は?」


 二人はサッパリだと首を横に振る。マジかよ……風邪とかじゃないのか。俺は気になって、フルクの元へ。

 ベッドの横で腰を下ろし、眠り姫を見つめる。


「……」


 フルクの桜色の唇がぴくっと動く。
 そこに触れ、呼吸を確認した。


 ――で、いきなり目をパカッと開け、


「ア、アウルムさん!? 何するんですかぁ!」


 飛び起きていた。


 あれぇ~…起きたぞ?


「フルク、何か病気じゃなかったのか?」


 ポカンとしていると、背後の二人がクスクス笑っていた。……オイ。まさか、騙したなああッツ!?


「ち、違いますよ。ただの眩暈めまいです」

「そうだったのかよ。倒れたって聞いたときは心配したぞ」

「心配……してくれたんですか」

「当たり前だろう。いつだって俺はフルクを心配しているからな」


 そう本音を言うと、フルクはぶわっと泣きだし――シーツで顔を覆っていた。なんだ、嬉しそうだな。


「泣かせましたね、アウルム様」

「おい、カルニ。フルクのこれは嬉しき泣きだから、問題ないの。まあ、でも重い病気とかじゃなくて良かった。結構、ヒヤヒヤしたんだぞ」


 ほっとして、胸を撫でおろしたその時。

 扉がバタンと開いた。


「メディケさんを連れてきたです!!」

「はやっ! もう連れてきたのかよ、フェルス」


 ゼェゼェ、ハァハァ息を乱しまくるメディケさん。全力疾走してきましたって顔だな。可哀想に、フェルスに無理矢理走らされてたんだろうなぁ。



「……フ、フルク様が、た、大変な事に……な、なっとると……き、聞いてなぁ……ハァ、ハァ……」


「メ、メディケさん、落ち着いてからでいいですよ。フルクはこの通り起き上がれる位には問題なかったですから」


 俺がそう伝えると、メディケさんのメガネがパリンと割れて、呼吸困難で後ろへぶっ倒れた。



「あああああああ!! メディケさんが!!」



「「「「メディケさん!?」」」」



 皆も倒れるメディケさんに驚く。


 フェルスのせいだがな!



 ――それからだった。更なる混乱が向こうからやって来やがった。こんな時に!



「し、失礼します! ユウェンス様!」


 ユウェンスの部下が只ならぬ雰囲気で部屋に入って来て、こう告げた。


「馬鹿者、今はアウルムが来ているのだぞ。報告は後に……む? なんだと!!」

「どうした、ユウェンス」

「……一ヶ月ぶりに魔王軍の襲来が確認された。今、ヤツ等は十万規模・・・・四分統治テトラルキアに攻めて来ているそうだ」



「なんだと!?」



 来やがったか……ルードス!!
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