(学園 + アイドル ÷ 未成年)× オッサン ≠ いちゃらぶ生活

まみ夜

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第一巻:春は、あけぼの

映×出演×筋肉

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 土曜日朝の生放送、情報バラエティー番組に「プロテインは飲むだけだと太る?」という十分間ほどのコーナーに解説として出演デヴューした。
 いきなり生?と思ったが、社長曰く、編集で意図しない発言に加工されるのを防ぐためだそうだ。
 最初は噛み噛みだったが、ベテランMCがうまく笑いにしてくれ、緊張がとけた。
 コーナー本番が終わり、CM中にスタジオ出口に向かう途中で、ゲストの筋肉タレントの大谷が、声をかけてきた。
「正しくプロテインを説明してくれて、ボク嬉しかったです」
 右手を差し出してきたので、握手した。
「ありがとうございます。俺YouTube、チャンネル登録してます」
 トレーニングの参考にしたり、動画ほぼ全部、観ている。
『CMあけ三十秒前』
 もう、出ていかないといけない。
 名残惜しいが、大谷はまだ出番が残っているので、挨拶を交わし分かれた。
「お疲れ様でーす」
 社長に迎えられ、控室へ移動する。
 楽屋っていうんだっけ。
 しばらく俺のマネジャーは社長がするそうだ。
 志桜里と仕事がかぶったときは、彼女の方は、別のベテランマネージャーがつくそうだ。
「沢田先生。笑顔が足りないのと、読んでる感ありすぎ。講義の方が、ずっと素敵」
 楽屋で、さっそくダメだしされた。
 ぐうの音も出ない。
「でも、はじめてにしては上出来です。合格点あげる」
 おおー。
 褒めて伸ばすタイプなのだろうか。
 大人になると、できて当たり前で、失敗に怒られることはあっても、褒められることは、ほとんどないので、新鮮だ。
 学園の講義も、聴講者数が少ない方が重要視されたりするので、あみのような超人気でない限り、称賛されることはないのだ。
「沢田先生は、ここで休憩しててください。営業まわりしてきますから」
 実際、たった十分だったが疲れてグッタリしていたので、椅子に座りこみ、炭酸水のペットボトルを持った手をあげて、応えた。
 ドアの向こうから、社長の「あら、プロデューサー。お元気でしたか?」などと聞こえてくる。
 社長業も大変だが、つかまった方も大変なんだろうな。
 喉がカラカラだったので、炭酸水がおいしい。
 一番好きな銘柄ではないが、炭酸水を用意してくれた社長に感謝こそすれ、贅沢は言わない。
 ドアが、ノックされた。
「どうぞ」
「失礼します」
 入ってきたのは、さっきスタジオで握手した、筋肉タレントの大谷だった。
「どうされました?」
 慌てて、椅子から立ち上がる。
 何か、失礼でもあったのだろうか。
「出番終わったので。沢田先生、僕のYouTube知っててくれたじゃないですか。今度、対談やらせてもらえないですか?」
 うわ、あの無編集での対談シリーズか。
「俺なんかでよければ、ぜひ出たいですが一応、事務所の許可をもらわないとです」
「もちろん、そうですよね。事務所と相談した後、連絡ほしいので、連絡先を交換しましょう」
 あの大谷とLINE交換していると、「ケイタリングでーす」と若い女性が、入ってきた。
「では、沢田先生、連絡まってます」
 大谷は、女性が開けっぱなしにしていたドアから、帰っていった。
 彼女は、俺がスマホを持っているのを見つけ、
「あたしも、番組の連絡用に、LINE知りたいです」
 そういうものなのか?
 断る理由が思いつかず、言われるままに交換した。

 リアルタイムで番組を観ていたのは、ミホだけだったらしく、楽屋で休憩中に「棒読みワラ」と酷評がきた。
 仕事で夜になって録画をみた、あみから連打が、志桜里から長文が届く。
 斜め読みだが、まあ褒めてくれているようだ。
 こういうところが、二人が似ている、と思うところだ。
 大谷には、対談に社長の許可が出た件を伝え、日取りなどをやりとりしているうちに、筋トレの間違った噂へのグチになり、「それボクのチャンネルでネタにしていいですか?」に快諾した。
 一番戸惑ったのは、控室にケイタリングをもってきた女性スタッフからの「今度、お食事に行きましょう!」だ。
 怖いな、芸能界って。
 『ぜひ、タイミングあいましたら!』と社交辞令丸出しの返信を送った。
 一番怖かったのが、ミホが送ってきた変なスタンプをあみに見せたときに、その女性が友達登録されているのがバレたことだった。

 テレビというメディアは終わった、という言動を目にする。
 しかし、テレビ出演直後の俺の講義は、テレビの内容を掘り下げたのもあり、教室が満員で、ネット接続も俺史上最高だった。
 ただし、あみのネット接続数の足元にも及ばないので、彼女の人気のすごさを思い知らされた。
 先日、筋肉タレントの大谷との対談がYouTubeにアップされた。
 フィットネス業界に攻めすぎた内容になったせいだけでなく、コメントに寄せられたように「相手だれ?」だったため、再生数が伸び悩んでいるのが、申し訳ない。
 大谷は、十歳ほど俺より年下なのに、仲良くしてくれて、自分がゲストで呼ばれたラジオに、オマケでつれていってくれたり、レベルが違いすぎるが、いっしょにトレーニングしてアドバイスしてくれたりした。
 タレント活動としては、ありがたいことに、クイズ番組や本格バラエティーからもオファーをいただいた。
 が得意分野の解説やコメンテーターぽいことに専念、それ以外は断らせてもらい、月に数回程度、タレントの仕事をしていた。
 さほど注目されているわけでもないせいか、トラブルは特になく、あまりテレビなどに出ている自覚のないまま、ある意味、安心しきっていたのかもしれない。
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