継母の心得 〜 番外編 〜

トール

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番外編 〜ノア5歳〜 〜

番外編 〜 家族旅行3 〜 ノア6歳間近の5歳

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メアリーちゃんの事を知らせると、慌てて管理人のオズワルド男爵夫妻がやって来て、土下座される勢いで謝罪された。メアリーちゃんは、ここに来てはダメだと言われていたらしいのだが、よく理解していなかったらしい。

とりあえずお姉さんに、メアリーちゃんがここに泊まる事を伝えてもらう為に手紙を出してもらう。

お姉さんは絶対心配しているはずですもの。

その日は、そのままオズワルド男爵夫妻の使用している部屋へメアリーちゃんを泊める事になり、翌日、お姉さんに詳しい話を聞きに行く事にしたのだ。



「───ノアが旅行を楽しみにしておりましたし、午後からは子供たちとお出かけ出来るように戻ってまいりますわ」
「イザベル、何かあれば無理せず戻るように」
「わかっておりますわ。では、いってきますわね」

女性が苦手なテオ様には別荘に残ってもらい、メアリーちゃんと一緒にお姉さんの家に向かう。ついてくるのは護衛とミランダのみだ。

アベルとノアはもちろん別荘に置いてきた。マディソンとカミラ、テオ様も居るので大丈夫だろう。

「あのぉ……ディバイン公爵夫人、昨日は色々失礼な態度をとってぇ、ご迷惑もいっぱいかけてごめんなさい!」

お姉さんの家に向かっている途中の馬車の中で、メアリーちゃんから謝罪を受ける。
昨夜おじいちゃんたちからお説教されたのかもしれない。

「そうですわね。貴族に対してはあまり良いとはいえないマナーでしたわ。ですが、きちんと反省出来る事は素晴らしいとわたくしは思いますの」
「ディバイン公爵夫人……っ」
「メアリーさんは優しい心の持ち主ですし、とても親しみやすい方ですわ。おじいさまとおばあさまから、きちんとマナーを学んで、それを活かせることができれば、きっと素敵なレディになれると思いますのよ」
「っ……はい! 私、頑張りますぅ!」

とそんな話をしているうちに、メアリーちゃんの住む家に到着した。

ご両親はお姉さんが結婚する前に亡くなられ、今はご両親とメアリーちゃんたちが住んでいた家にお義兄さんがやって来る形で、お姉さん夫婦と一緒に暮らしているらしい。

オズワルド男爵夫妻は、メアリーちゃんのご両親の結婚には反対されていて、お姉さんが結婚するまで交流はなかったとも、馬車の中で話してくれた。

「……おねえちゃん、ただいま」

恐る恐る声をかけ、家の扉を潜るメアリーちゃんに、その声を聞いたお姉さんが姿を見せる。

「メアリー!! 無事で良かった……っ。酷い事を言ってあなたを追い出すような事をしてしまってごめんなさい……っ」

メアリーちゃんのお姉さんは泣きながら妹を抱きしめ、メアリーちゃんもそれを聞いて二人で泣いている。

その後ろに、ベビーベッドに寝かされた赤ん坊の足がチラッと見えた。
旦那さんの姿は見えない。

「おねえちゃん、あのねぇ、ディバイン公爵夫人がぁ、話が聞きたいって、来てくれたのぉ」
「は……?」

暫くして、メアリーちゃんがハッとわたくしの事を思い出し、お姉さんに紹介してくれる。
お姉さんは突然の事にポカーンとしているではないか。

「突然お邪魔して申し訳ありませんわ。わたくし、イザベル・ドーラ・ディバインと申します」
「ディバイン…………って、りょ、領主様の……!? っ、とんだご無礼をしてしまい、申し訳ございません!!」
「そのような事、なさらないで。突然お邪魔してしまっているわたくしが悪いのですもの」

慌てて正座をして頭を下げるお姉さんを、慌てて止める。

「あの、失礼ですが、どうしてこのような場所に奥様がいらしているのでしょうか……?」

当然の疑問だろう。
何しろ貴族が突然自分の家に現れたのだから。

「それはね、皆さんの子育てを知りたくて、メアリーちゃんに無理を言って来ましたのよ」
「平民の子育てを、お知りになりたいのですか??」
「わたくしはね、子供や子育てをしているお母様のための専門店をだしましたの。ですから、皆さんが日頃子育てで悩んでいる事などが知りたいのですわ」
「子育ての、悩みですか……」

お姉さんは俯き、ゆっくりと後ろの部屋にあるベビーベッドを見たのだ。

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