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第三章
町へ到着
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二日後。
アルフェンたちの馬車は、アースガルズ領にある小さな町に到着した。
ここから馬車を乗り換え、着替えをして奴隷に扮し、奴隷オークションが行われている村へ向かう。
まずは、宿に向かい準備をすることに。
宿へ向かう途中。アルノーは退屈そうに座るウィルに言う。
「ガーネット様が手配した奴隷運搬用の馬車がある。そこで奴隷商人に扮するぞ」
「あいよ。で、オレはあんたの補佐か。揉み手の練習でもしておこうか?」
「お前の役目は私の指示に従うことだ。いいか、奴隷オークションが開催される村では、アースガルズ領土以外から来る奴隷商人も多く集まる。決してもめ事を起こすなよ」
「へいへい。オレはあんたの部下。馬車馬みたいに働きますよ、っと」
「ふ……」
アルノーは手綱を握る力を強くし、絞り出すように言う。
「……おそらく、違法な奴隷商人も多く集まるはずだ。くそ……検挙できないのが悔しいところだ」
「奴隷ねぇ……」
アースガルズ王国領土内では、奴隷は違法ではない。
だが、認められているのは『犯罪奴隷』と『職務奴隷』だけだ。
犯罪奴隷は、そのままの意味で犯罪を起こした者が罰として奴隷に落ちること。
職務奴隷は、やむを得ず自らを売りに出し奴隷となる者だ。職務奴隷の場合期間が定められており、年数に応じて支払われる金額が違う。職務奴隷の多くは、食い扶持に困った一家が、やむを得ず子供を売りに出すという苦肉の策だ。職務奴隷は性的なことを強要することができない。
「違法奴隷か……ガキが多いって聞くな」
「ああ。性的奉仕込みで売買される。腐った貴族や金持ちの慰み者としてな……!!」
アルノーは、今までにない怒りの表情を見せた。
ウィルは大きな欠伸をする。
「……じゃあ、顔を覚えておこうぜ。魔人ぶっ殺したらまとめて成敗すればいい」
「……ふ、そうだな」
「騎士さんよ。オレらにあーだこーだ言うのはいいけどな……あんたみたいな正義感の塊が、違法奴隷ばかりのオークションに耐えられるのか?」
「……正直、自信がない。と言えばいいのか?」
「はは、わかってんならいい」
「ふ、見くびらないでもらおう。まずは魔人、そして次が違法奴隷商人だ」
アルノーの握る手綱が、少しだけ緩んだ。
◇◇◇◇◇◇
宿屋に到着し、男女別で二室部屋を取り、荷物を置いて男子部屋に集合した。
執事の娘であるフェニアが全員にお茶を淹れようとすると、ドアがノックされる。
アルノーが、ドア越しに質問した。
「紅茶の差し入れか?」
「いえ、ワイン一本とエール二杯です」
「……入れ」
合言葉だ。
入ってきたのは男性。大きなカバンが二つ一緒だった。
カバンを置くなり説明する。
「こちらが奴隷用の服。こっちが奴隷商人の衣装です。奴隷商人用の馬車はこの宿の厩舎に預けてあります。これを」
「ああ、助かる」
アルノーは書類を入れるカバンを受け取り、中身をチェックする。
確認を終えると小さく頷き、男性に言った。
「確認した。全て揃っているようだな」
「はい。では、あなた方が乗ってきた馬車は自分が乗っていきます。荷物も預かりますので、全て終わったらこの町で合流しましょう」
「ああ、わかった。それと助かった」
「いえ。では……」
男性は音もなく去った。
アルフェンたちは、口を挟む暇もなく、今のやり取りを見ていた。
そして、ポットのお湯がすっかり冷めてしまったことに、フェニアはようやく気付く。
アルノーはお茶を制し、さっそく説明を始めた。
「今のはガーネット様の私設部隊……と表現するしかないな。ガーネット様に忠誠を誓っている兵士だ。まぁ、ガーネット様が出資している孤児院出身の孤児だがな」
「聞いたことがあります。おばあ様、私財を投げうって、王国で孤児院を経営してるって」
「その通り。と、それよりも……いよいよ明日だ。奴隷オークション会場の村に乗り込む」
アルフェンは挙手し、アルノーに質問した。
「あの、なんで辺鄙な村で奴隷オークションをやるんですか?」
「簡単だ。足が付きにくいからさ。小さな村の場合、住人全てが買収され、村の集会場などの地下に奴隷オークション会場を設営している。馬車ごと入れる洞窟などもあるな」
「なんと……」
奴隷の闇に触れたアルフェンは何とも嫌な気分に。
そして、アルノーは書類を取り出す。
「まず、これが奴隷売買許可証。私がこれを持つことで奴隷商人になる。そしてウィル、お前は私が経営する奴隷商館の従業員。アルフェンくん、サフィーくん、フェニアくんは、奴隷商館の商品だ。衣装もあるから、明日になったら着替えてくれ」
「「「はい」」」
「へいへい」
ウィル以外は重い返事をした。
いよいよなので、緊張しているようだ。
「奴隷オークション関係の話は私とウィルがする。きみたち三人はあくまでも『商品』だ。大人しくしてくれればいい。それと……奴隷は全て『召喚封じ』の首輪が付けられる。召喚獣は呼べなくなるから、気を付けてくれ」
「しょ、召喚封じ?」
召喚封じ。
その名の通り、召喚獣の召喚を封じる首輪だ。
授業で習った内容は、捕虜の拷問などに使われたということだ。
「なに。心配いらないさ。商品である奴隷を傷つけるようなことはない。逃亡を計ったり、暴れたりする奴隷を押さえつけるためのものだ」
「わ、わかってます。でも、不安だな……」
「あ、あたしも……」
「あの、召喚獣を予め呼び出しておく、というのは……?」
「ダメだ。そんなことをしたら、召喚封じを嵌めただけで爆発する」
「ひっ……」
「とにかく。打ち合わせ通りに行こう……明日は朝食を食べたら着替えて出発。オークション会場の村まで馬車で二時間ほどだ」
少し細かい話をして、アルノーの話は終わった。
アルノーは、締めくくる。
「では、話はここまで。今日は外出せず、明日に備えてゆっくり休んでくれ。食事は部屋で取ること。以上!」
この日、アルノーの言いつけ通り、アルフェンたちは外出せず過ごした。
フェニアやサフィーも、外出せず部屋に戻る。二人も緊張しているようだ。
ウィルは変わらず昼寝をし、アルノーは読書をしていた。ちなみにアルノーの読んでいる本は『奴隷商人になるには』というタイトルだった。
アルフェンも、やることがないのでベッドに転がる。
「…………明日、か」
傲慢の魔人ヒュブリス。
七人の魔人、残り六人。
アルフェンたちの馬車は、アースガルズ領にある小さな町に到着した。
ここから馬車を乗り換え、着替えをして奴隷に扮し、奴隷オークションが行われている村へ向かう。
まずは、宿に向かい準備をすることに。
宿へ向かう途中。アルノーは退屈そうに座るウィルに言う。
「ガーネット様が手配した奴隷運搬用の馬車がある。そこで奴隷商人に扮するぞ」
「あいよ。で、オレはあんたの補佐か。揉み手の練習でもしておこうか?」
「お前の役目は私の指示に従うことだ。いいか、奴隷オークションが開催される村では、アースガルズ領土以外から来る奴隷商人も多く集まる。決してもめ事を起こすなよ」
「へいへい。オレはあんたの部下。馬車馬みたいに働きますよ、っと」
「ふ……」
アルノーは手綱を握る力を強くし、絞り出すように言う。
「……おそらく、違法な奴隷商人も多く集まるはずだ。くそ……検挙できないのが悔しいところだ」
「奴隷ねぇ……」
アースガルズ王国領土内では、奴隷は違法ではない。
だが、認められているのは『犯罪奴隷』と『職務奴隷』だけだ。
犯罪奴隷は、そのままの意味で犯罪を起こした者が罰として奴隷に落ちること。
職務奴隷は、やむを得ず自らを売りに出し奴隷となる者だ。職務奴隷の場合期間が定められており、年数に応じて支払われる金額が違う。職務奴隷の多くは、食い扶持に困った一家が、やむを得ず子供を売りに出すという苦肉の策だ。職務奴隷は性的なことを強要することができない。
「違法奴隷か……ガキが多いって聞くな」
「ああ。性的奉仕込みで売買される。腐った貴族や金持ちの慰み者としてな……!!」
アルノーは、今までにない怒りの表情を見せた。
ウィルは大きな欠伸をする。
「……じゃあ、顔を覚えておこうぜ。魔人ぶっ殺したらまとめて成敗すればいい」
「……ふ、そうだな」
「騎士さんよ。オレらにあーだこーだ言うのはいいけどな……あんたみたいな正義感の塊が、違法奴隷ばかりのオークションに耐えられるのか?」
「……正直、自信がない。と言えばいいのか?」
「はは、わかってんならいい」
「ふ、見くびらないでもらおう。まずは魔人、そして次が違法奴隷商人だ」
アルノーの握る手綱が、少しだけ緩んだ。
◇◇◇◇◇◇
宿屋に到着し、男女別で二室部屋を取り、荷物を置いて男子部屋に集合した。
執事の娘であるフェニアが全員にお茶を淹れようとすると、ドアがノックされる。
アルノーが、ドア越しに質問した。
「紅茶の差し入れか?」
「いえ、ワイン一本とエール二杯です」
「……入れ」
合言葉だ。
入ってきたのは男性。大きなカバンが二つ一緒だった。
カバンを置くなり説明する。
「こちらが奴隷用の服。こっちが奴隷商人の衣装です。奴隷商人用の馬車はこの宿の厩舎に預けてあります。これを」
「ああ、助かる」
アルノーは書類を入れるカバンを受け取り、中身をチェックする。
確認を終えると小さく頷き、男性に言った。
「確認した。全て揃っているようだな」
「はい。では、あなた方が乗ってきた馬車は自分が乗っていきます。荷物も預かりますので、全て終わったらこの町で合流しましょう」
「ああ、わかった。それと助かった」
「いえ。では……」
男性は音もなく去った。
アルフェンたちは、口を挟む暇もなく、今のやり取りを見ていた。
そして、ポットのお湯がすっかり冷めてしまったことに、フェニアはようやく気付く。
アルノーはお茶を制し、さっそく説明を始めた。
「今のはガーネット様の私設部隊……と表現するしかないな。ガーネット様に忠誠を誓っている兵士だ。まぁ、ガーネット様が出資している孤児院出身の孤児だがな」
「聞いたことがあります。おばあ様、私財を投げうって、王国で孤児院を経営してるって」
「その通り。と、それよりも……いよいよ明日だ。奴隷オークション会場の村に乗り込む」
アルフェンは挙手し、アルノーに質問した。
「あの、なんで辺鄙な村で奴隷オークションをやるんですか?」
「簡単だ。足が付きにくいからさ。小さな村の場合、住人全てが買収され、村の集会場などの地下に奴隷オークション会場を設営している。馬車ごと入れる洞窟などもあるな」
「なんと……」
奴隷の闇に触れたアルフェンは何とも嫌な気分に。
そして、アルノーは書類を取り出す。
「まず、これが奴隷売買許可証。私がこれを持つことで奴隷商人になる。そしてウィル、お前は私が経営する奴隷商館の従業員。アルフェンくん、サフィーくん、フェニアくんは、奴隷商館の商品だ。衣装もあるから、明日になったら着替えてくれ」
「「「はい」」」
「へいへい」
ウィル以外は重い返事をした。
いよいよなので、緊張しているようだ。
「奴隷オークション関係の話は私とウィルがする。きみたち三人はあくまでも『商品』だ。大人しくしてくれればいい。それと……奴隷は全て『召喚封じ』の首輪が付けられる。召喚獣は呼べなくなるから、気を付けてくれ」
「しょ、召喚封じ?」
召喚封じ。
その名の通り、召喚獣の召喚を封じる首輪だ。
授業で習った内容は、捕虜の拷問などに使われたということだ。
「なに。心配いらないさ。商品である奴隷を傷つけるようなことはない。逃亡を計ったり、暴れたりする奴隷を押さえつけるためのものだ」
「わ、わかってます。でも、不安だな……」
「あ、あたしも……」
「あの、召喚獣を予め呼び出しておく、というのは……?」
「ダメだ。そんなことをしたら、召喚封じを嵌めただけで爆発する」
「ひっ……」
「とにかく。打ち合わせ通りに行こう……明日は朝食を食べたら着替えて出発。オークション会場の村まで馬車で二時間ほどだ」
少し細かい話をして、アルノーの話は終わった。
アルノーは、締めくくる。
「では、話はここまで。今日は外出せず、明日に備えてゆっくり休んでくれ。食事は部屋で取ること。以上!」
この日、アルノーの言いつけ通り、アルフェンたちは外出せず過ごした。
フェニアやサフィーも、外出せず部屋に戻る。二人も緊張しているようだ。
ウィルは変わらず昼寝をし、アルノーは読書をしていた。ちなみにアルノーの読んでいる本は『奴隷商人になるには』というタイトルだった。
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