召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~

さとう

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第三章

魔獣

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 王国から出発すること半日。
 景色が切り替わり、整備された街道をただ進む。
 途中、行商人の馬車や《冒険者》たちと何度もすれ違った。
 アルフェンは、馬車の窓を開けて外の景色を眺めている。

「はぁ~……こういう平和なの、久しぶりだな」

 寝て起きて、飯食べて、授業受けて、タイタンと戦って。それの繰り返しだった。
 こうして馬車に乗って出かけるのは、リグヴェータ家を出て以来だ。
 フェニアは、サフィーの髪を櫛で梳きながら言う。

「そうねー……それにしても、サフィーの髪って綺麗……綺麗なシルバーブルー、サラサラで……不思議とひんやりして、手触りよくて」
「あ、あの……あまり褒められると恥ずかしいです」
「ふふ。あたしの髪ってちょっとクセッ毛だからさ。こういうサラサラなの羨ましいわ。公爵家のシャンプーってどんなの使ってる?」
「えっと……化粧品事業を行っている、シャララン子爵家からの贈り物が定期的に届くんです。それを使ってます」
「シャララン子爵……お、王国ナンバーワンの美容品事業を行っているところじゃん! いいなぁ……」
「よかったら、フェニアも使いますか? まだまだいっぱいありますので」
「いいの!? やたっ、サフィー大好き!」
「きゃぁっ!? も、もう! 急に抱きつかれると驚いちゃいます!」
「…………」

 なんとなく、居心地の悪いアルフェンだった。
 カバンを漁ろうとして気付いた。娯楽の道具を何も持ってきていない。
 本、ボードゲーム、カード。ラッツたちの遺品を譲り受けた物は寮に置いてきてしまった。
 仕方なく、窓の外を眺める。

「───ん?」

 そして気付いた。
 街道脇の藪が揺れた。
 アルノーとウィルも気付いたのか、馬車が止まる。
 そして、アルノーが御者席の窓を開け、アルフェンたちに言う。

「全員、戦闘準備。魔獣が現れるぞ」
「魔獣……!!」
「了解!!」
「りょ、りょうかい!!」

 魔獣討伐経験のあるフェニアは素早かった。
 サフィーは緊張している。フェニアは馬車から降り、グリフォンを呼び出す。
 そして、グリフォンの背に乗る。

「アルノーさん、あたしは上空から援護をします。同時に上空を警戒、飛行型魔獣が現れた場合、これに対処します!」
「ああ。任せる……いい判断だ」
「えへへ。飛行型の戦闘マニュアルに従っただけです」

 そう言って、フェニアはグリフォンの背に乗り上空へ。
 サフィーも召喚獣を呼び出し、ウィルも左腕を銃に、アルフェンも右腕のジャガーノートを呼びだす。
 そして───魔獣が現れた。
 巨大な、ウシみたいな二足歩行の魔獣が五体だ。

「召喚獣ミノタウロスか……魔帝が最も多くこの世に召喚した召喚獣、いや……魔獣だ」

 魔獣。
 魔帝が己の軍勢として呼びだした召喚獣が、魔帝が封印されると同時に制御を失い、この人間世界にとどまり暴虐の限りを尽くす存在である。
 魔獣は、主である魔帝が人間にやられたことに怒り、人間を見つけた場合問答無用で襲い掛かってくる。そう、今まさに。

『ゴォォォォォーーーーーーッ!!』
「私は馬車を守る。魔獣はキミたちに任せたぞ!!」
「え!? ま、マジですか!?」
「ああ。キミたちなら問題ない。S級の実力、見せてくれ!!」

 アルノーは下がり、馬を落ちつかせ始めた。
 そして、左腕を構えたウィルが言う。

「オレが三体、お前とオジョーサマで一体ずつやれ」
「え、だ、大丈夫なのか!?」
「……お前、いい加減気付け。この程度の雑魚魔獣、クソオヤジと戦い続けたお前なら五秒もかからないぞ。それと、援護は期待するな……上も忙しそうだ」
「「え」」

 サフィーと上を見ると、巨大なコウモリ魔獣とフェニアが戦っていた。
 アルフェンとサフィーは顔を見合わせ、戦闘態勢に入る。

「サフィー、気を付けろ」
「はい!! マルコシアス、やりますよ!!」
『ガルルルッ!!』

 アルフェンが飛び出すと同時に、ウィルの指から銃弾が発射され、ミノタウロスの頭部を綺麗に貫通し───あっさりと一体倒れた。
 アルフェンは、拳を思い切り握りしめる。

『ガァァァァァァァァッ!!』
「このっ……喰らえっ!!」

 右腕を振りかぶる。
 距離は約十メートル。
 迫りくるミノタウロスに向けて、拳を巨大化させ、腕を伸ばしてパンチを繰り出した。

「『獣の一撃ジャガーインパクト』───えっ」

 拳がミノタウロスの顔面に突き刺さり陥没。
 ミノタウロスは、あっけなく死んでしまった。

「…………え、終わり? え?」

 あまりにも手ごたえがない。
 すると、ズタズタに刻まれたコウモリが落ちてきた。さらに、氷の剣が数十本突き刺さったミノタウロスが吹っ飛んできた。
 そして、穴だらけになったミノタウロスが二匹、倒れた。

「終わり! ふぅ、ビッグバッドまでいるとは思わなかったけど、あたしの敵じゃないわ!」
「「…………」」
「って……どうしたのよ、二人とも」
「あ、いや……なんか、弱かった」
「は、はい。その……なんだか、ユメみたいで」

 アルフェンとサフィーは『自分たちが強い』ではなく、『敵が弱い』と判断している。
 ウィルは、帽子をかぶり直しながら言う。

「ミノタウロスは雑魚だ。でも、一撃で倒せるような脆い雑魚でもない……お前たちが強くなってんだよ。いい加減に気づけ」
「「…………」」
「ま、戦っていけば慣れるわ。さ、行きましょう!」

 フェニアとウィルは召喚獣を戻し、アルノーの元へ。サフィーも遅れて走り出す。
 アルフェンは、ミノタウロスの死体を見つめ、右腕を握った。

 ◇◇◇◇◇◇

 魔獣ミノタウロスを退けたアルフェンたちは、何事もなかったかのように馬車に乗って先に進む。
 道中、何度か魔獣が現れたが……ウィルの言う通り、アルフェンたちの敵ではなかった。
 そして、半日ほど進み、アルノーが空を見上げた。

「そろそろ野営の支度を始めよう。日の高さから見て、あと二時間もしないうちに日没だ」
「……だな。おいお前ら、野営だってよ」
「「「野営!!」」」
「……なに興奮してんだ」

 アルフェン、フェニア、サフィーが少し興奮していた。
 三人とも、野営は初めてだったのだ。フェニアは野外活動の経験はあるが、寝泊まりしたのは山小屋や町の宿だったので、野営が楽しみだったのである。
 ウィルはくだらなそうに鼻を鳴らし、アルノーの指示で馬車を川沿いに、岩影の近くに止めた。
 アルノーは、アルフェンたちに指示を出す。

「薪の確保、テントと竈の設営、水汲みの三班に分かれる。薪の確保はアルフェンくん、テントと竈は私とウィル、水汲みはフェニアくんとサフィーくんに任せよう。では行動開始!」
「「「はい!!」」」
「チッ……仕切り屋め」

 アルフェンは薪拾いに近くの林の中へ、フェニアとサフィーはバケツに水汲み、ウィルはしぶしぶ竈の準備を始めた。
 アルノーは、持参した煉瓦を手早く組んで竈を作るウィルを見る。

「ほぉ、なかなか手際がいいな」
「一人旅が長かったんでな……」

 手早く竈を組み上げ、テントの設営も手伝うウィル。
 口は悪いがこういうところは優しい。それがアルフェンたち、そしてアルノーの評価だった。
 すると、水を汲みに行ったフェニアとサフィーも戻ってきた。

「水、すっごく綺麗!」
「マルコシアスが確認しましたが、そのままでも飲めるそうです!」
「ああ。この辺りの水はとても綺麗でね……だが、この先からは飲料に適さない川もある。水の確認はしっかりすることだ」
「「はい!」」
「おい、食材を出せ。下ごしらえする」

 ウィルはいつの間にか簡易テーブルを準備し、肉や野菜を切り始めた。
 そして、右腕を巨大化させ、大量の薪を抱えたアルフェンも戻ってきた。

「……そんなに集めたのか?」
「す、すみません。薪、どのくらい使うのかわからなくて」
「うーん……三日分くらいはあるな。よし、使わない薪は束にしてまとめて持って行こう。明日も野営だし、手間が省けた」
「……ほっ」

 胸をなでおろすアルフェン。すると、高速で野菜を切っていたウィルが言う。

「おい、薪集めたなら火を点けろ」
「あ、悪い」
「アルフェン、火を点けたらあたしが風起こしするから」
「頼む、フェニア」

 アルフェンは、かまどに薪をくべ、油を付けた布切れに火打石で火をつけた。
 そして、布を竈の中へ。すると、少しずつ薪に火がつく。
 
「グリフォン、そよ風」
『クゥゥ……』

 グリフォンは、『物足りない……』とでも言いたげな表情だ。
 軽く翼を振ると、そよ風が巻き起こり薪がよく燃える。

「よし、後は任せろ……お前ら、邪魔だしあっちいってろ」
「ちょ、なによそれ!! あたしだって料理くらい……」
「汗臭いっつってんだ。オジョーサマ連れて川行って来い」
「な、な、な……お、女の子に、臭い、臭いって……!!」

 フェニアはピクピク震えていた。だが、アルフェンとアルノーにはわかった。
 
「サフィー、フェニアを頼む。水浴びしてこいよ」
「……わかりました。ふふ、ありがとうございます」
「うむ。護衛に召喚獣を呼んでおくのを忘れないように」
「はい。ほらフェニア、行こう」
「くぅぅ……あの偏屈帽子!! 許さないからね!! ちょっと聞いてんの!?」

 フェニアはサフィーに引きずられ、川へ消えた。
 アルフェンとアルノーは顔を見合わせ、ウィルに向かって苦笑する。
 ウィルはフライパンを小刻みに振るい、肉と野菜をいためていた。

「お前さ、もう少し言い方あるだろ? サフィーは気付いたけどフェニアは気付いてないぞ」
「知るか。汗臭いのは事実だ」
「素直じゃないな。いや、不器用なだけか」
「お前ら……さっさと皿でも並べてろ!!」
「うわっ!? おま、油飛ばすなよ!?」
「ははは。こりゃ退散!!」

 ウィルは、フェニアとサフィーを気遣ったのだが、素直じゃなかった。
 アルフェンは、楽しかった。
 仲間と一緒にする作業が、こんなにも楽しいなんて思っていなかった。

 今だけ───S級、魔人という言葉を忘れ、純粋な気持ちで野営を楽しめた。

 ◇◇◇◇◇◇
 
 食事、後片付けが終わり、これからの確認をした。

「見張りは二人ずつ。二時間交代で行う。アルフェンとサフィーくん、ウィルとフェニアくん、私は一人でいい。まずは私が見張りをするから、四人ともゆっくり休むように。次の見張りは……アルフェンくんたちに任せよう」
「「「はい!」」」
「へいへい。じゃあ寝るわ」

 ウィルは欠伸をしてテントへ。
 フェニアたちと別れ、アルフェンもテントの中へ。
 ウィルはすでに熟睡……アルフェンも寝袋の上に横になり、大きく欠伸した。

「おい」
「……ん?」
「オレは一人でいい。お前の幼馴染、とオジョーサマの三人で見張りしろ」
「は……? いや、いきなりなんだよ」
「うるさそうだからな。たまには一人の時間が欲しい」
「フェニアはうるさ……うん、うるさいな。アルノーさんに言えよ……ああ見えてフェニアは優しいし、話し相手にするなら退屈しないぞ」
「それが嫌なんだよ。いいか、焚火ってのは孤独の時間なんだ。火を見つめ、揺らめく炎を眺め、薪の水分が弾ける音を聞き、炎の熱を肌で感じる……その間、静寂を保たなければならない。それが野営でする焚火の醍醐味だ」
「知らねーよ……なんだよそれ……くぁぁ、俺は寝る。二時間しかないからな……」

 この日、わかったこと。
 ウィルが気配り屋で、野営の焚火好きということだ。
 翌日、ウィルが寝不足そうな目でアルフェンを睨んでいた……どうやら、フェニアに話しかけられてとても疲れたようだ。フェニアはいつも通り笑っていたし、意外と仲良くなれそうな気がしたアルフェンだった。
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