召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~

さとう

文字の大きさ
104 / 178
第六章

アネルVSバハムート/ウェポンズ・オブ・フルクラム

しおりを挟む
 完全侵食エヴォリューション形態のアネルは、かつてないほどの『力』があふれていた。
 
「これが完全侵食エヴォリューション……アルフェン、こんな気持ちだったんだ」

 召喚獣と、心も体も一つになった。
 温かさと清らかさが心を包み込み、涙が出そうな感覚になる……それは、かつてアネルが愛した召喚獣ピンクのぬくもりが感じられるからだろう。
 アネルは、真正面にいるバハムートに言う。

「アンタは許さない。ここで……ブッ潰す!!」
「っは、やれるもんなら───」

 次の瞬間───アネルの両足、背中に噴射口が形成された。
 足だけではない。アネルの全身が武器となる。
 さらに、両腕に『鉄杭』が四本ずつ飛び出し、高圧電流が流れ始めた。バチバチと紫電を帯び、両腕を見せつけるようにアネルは振る。

「行く───ぞっ!!」
「───!?」

 アネルの背中が爆発した。
 噴射口から炎が噴き、とんでもない速度でバハムートに接近。右手の鉄杭が高圧電流を帯び、その手でバハムートの顔面を全力で殴りつけた。

「『電流撃スタンブレイカー』!!」
「ぎゃががががががががががががっ!?」

 吹き飛ぶことはなく、鉄杭が顔面に食い込んだ状態でアネルはバハムートを地面に押さえつけ、地を削りながら噴射口をふかす。
 バハムートは躱すこともできず、地面をえぐりながら数億ボルトの電流を全身に浴び硬直していた。

「だりゃぁぁっ!! 『テラ・ミサイル』!!」

 そして、アネルはバハムートを空中に放り投げ、真紅の鉄スカートを左右に開く。
 そこは、ミサイルポッドになっていた。ミサイルの雨がバハムートに向かって飛び、空中で大爆発を引き起こす……並みの召喚獣ならバラバラになっている。
 だが、バハムートは並みの召喚獣ではなかった。

「やっっっっるじゃねぇかァァァァァッ!!」

 爆炎の中から、全身傷だらけでバハムートは飛び出した。
 そして、口を大きく開け灼熱の炎を吐きだす。

「『メガフレア』!!」

 ゴバッ!! と、大地を溶かすほどの熱量の炎が吐かれた。
 あまりの熱量に泥がマグマ化し、液体となる。
 アネルはその炎を全身で受けた。

「こんな、熱……くらいッ!!」

 じりじりと焼かれ、全身の装甲が少しずつ溶解し始める。
 だが、アネルは逃げなかった。
 子供たちを、住人たちを焼いた炎を真正面から受け止める───それが、救えなかった人たちを感じ、同じ痛みを共有し、アネルの心に刻み込む。
 そして、アネルは叫ぶ。

「アタシは……アタシは負けない!! アンタを、ブッ潰す!!」

 スカートが開き、背中の装甲、両腕、両脚、さらに桃色の髪が広がりピンク色に輝いた。
 
「!?」

 バハムートは驚愕する。
 ピンクに輝いた髪が熱を吸収していた。さらに、アネルの全身、装甲の亀裂にラインのような線が入り、全身が桃色に輝きだしたのだ。
 バハムートは気が付いた。

「まさか……熱を吸収して、力にしてる!?」
「だぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!」

 背中のブースターから、桃色の炎が噴き出した。
 両手の鉄杭が桃色の放電を放つ。そして───アネルは桃色の閃光となり、驚愕するバハムートに接近する。
 バハムートは、あまりの速さに回避することができなかった。
 両腕を振りかぶるアネルは叫ぶ。

「『桃針流撃ピンキーブレイカー』!!」

 両腕の杭がバハムートの胸、腹を貫通。太陽に匹敵する桃色の閃光が電撃となり、バハムートの全身を駆け巡り、焼き尽くす。

「ギャァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーッ!?」
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーっ!!」

 バハムートが叫ぶ。
 アネルが叫ぶ。
 桃色の閃光が輝き、周囲を照らし尽くす。
 そして、閃光が消え……全身黒焦げになったバハムートが倒れ、アネルだけが立っていた。
 肩で息をするアネルは、バハムートを見下ろしながらつぶやく。

「アタシの、勝ち……」

 そう言って、その場を離れた。
 敵はまだいる。アルフェンたちと合流し、この戦いを終わらせ───。

「く、くひひ……くははははっ!! アハハハハハッ!! あぁ~……もう、いいや」
「っ!?───まだ、生きてる」

 バハムートが、黒焦げのまま立ち上がった。
 ひどい有様だった。衣服は燃え尽き、長い髪も殆ど焼き切れている。全身酷い火傷で、両腕は炭化し、緑色の血と体液が流れていた。
 それでも、バハムートは笑っていた。

「キレたわ」

 バハムートは、一言だけ呟いた。
 ドクン───と、心臓の鼓動がアネルにも聞こえた。
 そして、ビキビキとバハムートの身体に亀裂が入る。背中が大きく裂け、巨大な翼が広がった。
 コバルトブルーの翼だった。だが、バハムートの身体に対して大きすぎる。

「殺す。ミドガルズオルムも巻き込むけど知ったこっちゃない。ウチをこんな目に合わせたテメェだけは、この世界からカスも残さねぇ」

 コバルトブルーの翼で、バハムートは飛んだ。
 そして、ボロボロだった身体に亀裂が入り……まるで、脱皮するように皮膚が剥がれていく。さらに、剥がれた皮膚の下、筋肉が盛り上がり形状を変え……肥大化していく。
 首が伸び、顔がドラゴンのように厳つくなり、腕が伸び、爪が生え、尾が生え……その姿は、『翼竜』だった。
 コバルトブルーの、全長四十メートル以上ある翼竜。
 それが、召喚獣バハムートの真の姿だった。

『この大地丸ごと、焼き尽くしてヤルゥゥゥゥゥァァァァァァッ!!』
「っ!!」

 バハムートは飛んだ。
 上空約千メートル。そこで大きく翼を広げ、力を溜め始めた。
 大きく深呼吸するように胸を張り、口を開ける。すると……コバルトブルーの光が収束されていく。
 全ての属性を載せた、バハムート最強のブレス。その名も『オメガフレア』だ。
 
「───させない」

 アネルは飛んだ。
 背中のブースターをふかし、上空三百メートルまで上昇する。
 これ以上追っても間に合わない。
 そう判断し、アネルは全身の武装を展開する。

「ピンク、見てて……アタシ、守るから!!」
『───うん。頑張って!!』

 心の中で聞こえたのは、間違いなくピンクの声。
 アネルは理解した。ピンクが、真の力をくれる。
 召喚獣『カドゥーケウス』の能力、『兵装』の真の力。

「『オーバーテクノロジー』───展開!!」

 この世界に存在しない、『機械』の力。
 アネルの背に巨大な砲身が展開され、砲身が開き紫電を帯びる。
 腰のスカートから全てのミサイルポッドが展開。両肩にキャノン砲。両腕が変形しプラズマカノンが展開される。
 最後。アネルの胸の装甲が開き。桃色の宝玉が輝きだす。
 バハムートの『オメガフレア』の準備が整った。

『消えろォォォォォォーーーーーーーーーーーーっ!!』

 コバルトブルーの炎が吐かれた。
 恐るべき熱量だった。これが地上に降り注げば、生身のフェニアたちは間違いなく即死する。
 コバルトブルー色だが、近い位置にいるアネルには太陽のように見えた。
 そして───アネルも解放する。

「絶対に守る……守ってみせる!!」

 全身の武器が輝き、その力が放たれた。

「『ウェポンズ・オブ・フルクラム』!!」

 寄生型召喚獣『カドゥーケウス』の最終奥義。
 究極の兵装が解き放たれ、『オメガフレア』と正面から激突した。
 
『ゴアァァァァァァァァァァァァァっ!!』
「あぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーっ!!」

 恐るべき熱量が空中でぶつかりあう。
 アネルの全身に亀裂が入る───そして、胸の宝玉から小さな、ビー玉のような宝玉が発射された。
 ビー玉は音速に近い速度で進み、エネルギーのぶつかり合いを超え、バハムートの傍まで進む。
 あまりに小さい玉だったので、バハムートは気付くのが遅れた。
 そのビー玉は、エネルギーの間を通ったことで亀裂が入っていた。
 
『───?』

 ───ぱきん。

 ビー玉が砕けた。

「───」
『───』

 ───音が消えた。
 エネルギーがかき消された。
 何が起きたかわからなかった。
 ただ一つ、わかったことは……バハムートの身体が一瞬で砕け、痛みも感じることなく即死したことだった。
 爆発。そんな生易しい物ではない。『何か』が破裂し、空間が喰われた。
 アネルは地面に叩きつけられ、巨大なクレーターが形成された。

「───っっ!? っっ、っ」

 血を吐くが、声がでない。
 音が死んでいた。もう、わけがわからない。

「───…………?」

 アネルの『完全侵食』が解除された。
 アネルは気付いていない。爆破の余波で村から数キロ離れた場所に吹き飛ばされたことなど。
 砕かれた両足は治っていたし、身体も動いた。
 だが、疲労はあった。

「…………ちょっと、だけ」

 勝った、という余韻も感じぬまま。アネルは倒れたまま目を閉じた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

正しい聖女さまのつくりかた

みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。 同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。 一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」 そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた! 果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。 聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話

紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界―― 田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。 暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。 仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン> 「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。 最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。 しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。 ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと―― ――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。 しかもその姿は、 血まみれ。 右手には討伐したモンスターの首。 左手にはモンスターのドロップアイテム。 そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。 「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」 ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。 タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。 ――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――

チートツール×フールライフ!~女神から貰った能力で勇者選抜されたので頑張ってラスダン前まで来たら勇者にパーティ追放されたので復讐します~

黒片大豆
ファンタジー
「お前、追放な。田舎に帰ってゆっくりしてろ」 女神の信託を受け、勇者のひとりとして迎えられた『アイサック=ベルキッド』。 この日、勇者リーダーにより追放が宣告され、そのゴシップニュースは箝口令解除を待って、世界中にバラまかれることとなった。 『勇者道化師ベルキッド、追放される』 『サック』は田舎への帰り道、野党に襲われる少女『二オーレ』を助け、お礼に施しを受ける。しかしその家族には大きな秘密があり、サックの今後の運命を左右することとなった。二オーレとの出会いにより、新たに『女神への復讐』の選択肢が生まれたサックは、女神へのコンタクト方法を探る旅に目的を変更し、その道中、ゴシップ記事を飛ばした記者や、暗殺者の少女、元勇者の同僚との出会いを重ね、魔王との決戦時に女神が現れることを知る。そして一度は追放された身でありながら、彼は元仲間たちの元へむかう。本気で女神を一発ぶん殴る──ただそれだけのために。

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

処理中です...