召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~

さとう

文字の大きさ
138 / 178
第八章

少しだけ、のんびりと

しおりを挟む
 ようやく、授業が再開された。
 ガーネットに代わる新たなS級召喚士の専属教師は、なんとグレイ教授だった。
 とても長い顎髭に、深緑のローブを着た老人は、分厚い教科書を教卓の上にドンと載せる。
 サフィーは、驚いたように言う。

「た、『タワー』のグレイ教授……? え、教授クラスは四期生以上の生徒にしか教えないんじゃ……?」
「ほっほっほ。ガーネットとメテオールに頼まれたからのぉ……それに、S級召喚士。わしも直に教えてみたかった」

 グレイ教授はコホンと咳払いし、アルフェンたちを見る。
 にこやかな笑みを浮かべ、自己紹介をした。

「わしはグレイ。ここでは教授と呼びなさい。ガーネットの代わりに、お前さんたちに知識を授けよう」
「チッ……偉そうなジジィだ」
「ほっほっほ。偉そうじゃない。偉いんじゃよ」

 ウィルの悪態にも笑顔で答えた。
 ウィルは舌打ちするが、アネルに小突かれる。
 アルフェンは、いつもの日常が戻りつつあることに安心し、あまり好きではない勉強だが楽しかった。
 グレイは、こほんと咳払い。どうやら癖らしい。

「では、さっそく始めようかの。教科書98ページを開いて……」

 さっそく、授業が始まった。
 ガーネットから内容は引き継いでいたのか、わかりやすく頭にスラスラと入る授業内容だった。ノートを取り、質問に応え、いつの間にか五十分の授業は終わりのチャイムを告げる。
 グレイは、教科書を閉じた。

「では、十分の休憩じゃ。その後は教科書115ページから始めるぞい……ふぃぃ、歳を取ると厠が近くてしょうがないわい」

 グレイは慌てて出て行った。
 そして、教室内は一気に空気が緩む。
 アルフェンは、後ろに席にいたフェニアとサフィーに言った。

「いやぁ……わかりやすかったな」
「うんうん! ガーネット先生もわかりやすい授業だったけど、グレイ教授はもっとわかりやすいかも」
「さすが教授ですね。すごいです!」

 アネルは、ウィルに言う。

「ウィル。あんまり教授のこと馬鹿にしない方がいいよ」
「誰がするか」
「うち知ってるぞ! お前、ガーネットが恋しいんだろー?」
「……撃ち殺すぞ、クソガキ」
「じょ、冗談だし! こ、怖い顔するなー!」
「すかぁぁ~~~……うぅん、ちび姉ぇうるさいぃぃ」

 ウィルはレイヴィニアに殺意を向け、アネルに窘められていた。
 そして、メルは大きな欠伸をする。

「それにしても、やっと普通の日常、って感じねぇ~……ふぁぁ」

 メルは、のんヘンリーした口調で外の景色を眺めていた。
 こうして、午前中の授業はあっという間に終わるのだった。

 ◇◇◇◇◇◇

 午後は、訓練の授業だった。
 いくら魔人を討伐しても、実績があっても、訓練をしなければ腕は鈍る。
 実技の教師はダモクレス。そしてヴィーナスとアルジャンの三人だ。
 ダモクレスとヴィーナスは寄生型三人、アルジャンはフェニアとサフィー、そしてメルの相手をする。レイヴィニアとニスロクは見学だ。
 アルフェンは、ダモクレスと模擬戦を行い、互いに一撃入れて終わった。

「……本当に強くなった。驚きである」
「はぁ、はぁ、はぁ……あ、ありがとうござい、ました……っぷはぁ」

 『完全侵食』を使わないと、ダモクレスには勝てない。
 それはアネルもウィルも同じだ。相手がヴィーナスでも、完全侵食を使わないと勝てないのだ。
 だが、ダモクレスもヴィーナスも満足そうだ。

「S級召喚士。正直、最初はあまり期待してなかったけどね……これほどの強さを見せつけられたら、認めるしかないよ。さすがガーネットの教え子だってね」
「うむ! いやぁ、久しぶりの模擬戦、実に楽しかった!」
「そうだね。ん……あっちも終わったようだね」

 アルジャンの方を見ると、疲労でしゃがみ込んでいるフェニアたちが見えた。
 当のアルジャンは汗一つかかず、にこやかに笑っている。
 ダモクレスたちの方にゆっくりと向かい、笑いながら言った。

「ほっほっほ。次の世代はよく育っとる」
「ほう、お前もそう思うか」
「うむ。よきよき……どうじゃダモクレス、今夜いっぱい」
「いいのぉ! ヴィーナス、お前も来い!」
「いいね。昔みたいに酔いツブしてやるよ。っと……お前たち、今日はここまで。じゃあ、ゆっくり休みな」

 そう言って、教師三人は笑いながら去って行った。
 かなり褒めちぎっていたが、アルフェンたちは疲労でなかなか動けない。

「つ、疲れたぁ……いや、久しぶりの模擬戦だからって、張り切りすぎだろ。なぁウィル」
「同感だ……あのバケモノども」
「あ、アタシ……お、お腹へったぁ……」
「サフィー、大丈夫……?」
「な、なんとか……」
「ぜーはーぜーは……な、鈍ってるわね。でも、いい感じに疲れたわ」

 メルは立ち上がり、全員に言う。

「よし! みんな、今日は公衆浴場に行くわよ。その後、わたしおススメのレストランで食事よ!」

 メルの意見に、反対する者は誰もいなかった。

 ◇◇◇◇◇◇

 アルフェンたちは私服に着替え、メルの権限を使って城下町へ。
 メルの私兵が運営する公衆浴場を貸し切り入浴し、温まったところでメルおススメのレストランへ。
 城下町の裏路地を進み、煉瓦造りの建物内へ。
 建物内は、広めのバーみたいな作りだった。二階には個室もあるようだ。
 メルはアルフェンに言う。

「わたしの資金源となるお店の一つよ。裏路地にあるお店だけど、けっこう繁盛してるんだから」
「レストランってか食堂……いや、バーだなここ」
「どうでもいいでしょ。ちょっと待ってて」

 メルが経営者と思わしき男性に話しかけると、そのまま二階に案内された。
 案内されたのは個室で、十名以上の宴会で使うような広さだ。
 アルフェン、ウィル、フェニア、サフィー、メル、アネル、レイヴィニアとニスロク。八人入るとちょうどいい空間だ。
 椅子とテーブルが準備され、それぞれが席に座る。

「今日はわたしの奢り。好きなだけ食べてちょうだい」

 楽しい食事会が始まった。
 次々と料理が運び込まれ、空腹だったアルフェンたちの腹に詰め込まれていく。
 アルフェンとフェニアは肉を食べ、サフィーはサラダ、レイヴィニアとニスロクはケーキをムシャムシャ食べ、アネルとウィルは魚を食べる。
 メルはワインを飲みながらチーズを食べていた。

「っぷはぁ、うんまいなぁ~……メル、マジで奢りなのか?」
「ええ。王女の財布を舐めないでよね」

 アルフェンは再び肉にかぶりつく。
 ウィルは満足したのか、ウイスキーを注文し、懐から煙管を取り出す。
 そのまま火を点け、煙草を味わった。

「ふぅ~……なんだか、こういう雰囲気は久しぶりだな」
「確かにねぇ……あむっ」

 アネルは魚の燻製を食べている。
 レイヴィニアとニスロクはケーキを食べ終え、ジュースをゴクゴク飲んでいた。

「うまい! いやぁ、人間ってすごいな。こんな美味いの作るなんて!」
「おいしいぃ~~~……ぐぅぅ」
「ニスロクの馬鹿! 寝るな!」

 全員が笑っていた。
 楽しい日常、学園生活。そんな時間が流れていく。
 アルフェンたちは、楽しい時間を過ごしていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

正しい聖女さまのつくりかた

みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。 同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。 一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」 そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた! 果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。 聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話

紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界―― 田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。 暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。 仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン> 「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。 最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。 しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。 ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと―― ――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。 しかもその姿は、 血まみれ。 右手には討伐したモンスターの首。 左手にはモンスターのドロップアイテム。 そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。 「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」 ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。 タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。 ――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――

チートツール×フールライフ!~女神から貰った能力で勇者選抜されたので頑張ってラスダン前まで来たら勇者にパーティ追放されたので復讐します~

黒片大豆
ファンタジー
「お前、追放な。田舎に帰ってゆっくりしてろ」 女神の信託を受け、勇者のひとりとして迎えられた『アイサック=ベルキッド』。 この日、勇者リーダーにより追放が宣告され、そのゴシップニュースは箝口令解除を待って、世界中にバラまかれることとなった。 『勇者道化師ベルキッド、追放される』 『サック』は田舎への帰り道、野党に襲われる少女『二オーレ』を助け、お礼に施しを受ける。しかしその家族には大きな秘密があり、サックの今後の運命を左右することとなった。二オーレとの出会いにより、新たに『女神への復讐』の選択肢が生まれたサックは、女神へのコンタクト方法を探る旅に目的を変更し、その道中、ゴシップ記事を飛ばした記者や、暗殺者の少女、元勇者の同僚との出会いを重ね、魔王との決戦時に女神が現れることを知る。そして一度は追放された身でありながら、彼は元仲間たちの元へむかう。本気で女神を一発ぶん殴る──ただそれだけのために。

異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎
ファンタジー
坂木 新はリサイクルショップの店員だ。 ある日、買い取りで査定に不満を持った客に恨みを持たれてしまう。 仕事帰りに襲われて、気が付くと見知らぬ世界のベッドの上だった。

処理中です...