139 / 178
第八章
勲章授与
しおりを挟む
「S級に勲章が授与されることになったわ」
テュポーン襲来から何日か経過……街の復興も始まり、学園が再開された。
生徒たちは未だにそれぞれの武勇伝を語っている。最近はそこに『A級召喚師リリーシャ、史上最年少で特A級に異例の昇格』という話も含まれていた。
リリーシャの昇格は新聞で大々的に報じられ、今やリリーシャの評判はS級以上。テュポーンとフロレンティアを討伐したS級よりも人気だった。
そんな中、朝食時に王城からやってきたメルが言った。
アルフェンは、オレンジジュースを飲みながら返す。
「勲章?」
「ええ。『色欲』の魔人フロレンティア、『暴喰』の魔人テュポーンを討伐した功績ね。町が酷い有様だから報奨金は微々たるものだけど……それを補う形の勲章よ」
「いらねぇ」
ウィルが秒で返答し、煙管を吹かしながら新聞を読む。まるで興味がないのか、メルを全く見ずの返答だった。
「そう言わずに、もらえるだけもらっておきなさい。『アースガルズ平和勲章』なんて、めったに授与されない特別な「いらねぇっつってんだろ。ゴミ箱にでも叩きこんどけ」……っ」
ウィルの返答にメルが苛つき始めた。どうもウィルは『女教皇』の後釜にリリーシャが据えられたことに怒っているようだ。二十一人の英雄に関してはガブリエルの管轄なのでメルにはどうしようもない。
空気が悪くなりかけていたので、フェニアが言う。
「え、えっと……勲章ってことは、授与式とか?」
「……ええ。三日後に王城で授与式が開かれるわ」
「三日後、ねぇ……どうやら『女教皇』の称号授与式が先みてぇだな」
ウィルは新聞をめくり、そこに書かれた記事をテーブルに置く。
アルフェンはそれを手に取り読んだ。
「なになに……『新たな英雄。若干十八歳にして『女教皇』の称号を得たリリーシャ・リグヴェータの授与式が開催』……お、開催日は明日か」
「し、仕方ないでしょ……ガブリエルが決めたんだし、そっちの権限はわたしにないのよ」
「ま、どうでもいい。ところでお前、気にならねぇのか?」
ウィルが言ったのは、リグヴェータ家のことだ。
「ここまで有名になっちまえば、もうお前は必要ないだろ。お前の家族も、またお前を切り捨てんじゃねぇのか?」
「別にいい。何度も言ったけど、もうリグヴェータ家に関わるつもりないしな」
新聞をフェニアに見せる。
「フェニア、お前の家族の給料、また上がるかもな」
「そうかもね。ってか、報奨金もらったって手紙送ったら仕送りストップしたのよ。まぁいいけど……」
「今回も少し出るッぽいし、いい小遣いだな」
「うん! ……って、そんなに使わないし。貯金するし」
フェニアは牛乳を一気のみした。
メルは、新聞を開きつつ全員に言う。
「今回、リリーシャを筆頭に最強の召喚獣部隊『ピースメーカー』が結成されたわ。総勢四十名からなるA級召喚士部隊。総隊長リリーシャ、副隊長はヒルクライム叔父様とユウグレナ叔母様。お兄様も部隊に志願したけど、後方支援部隊に回されたようね。本人はリリーシャの傍に仕えたかったみたいだけど、完全実力主義の部隊だから、王族の権限も通じなかったみたい」
ピースメーカー部隊。
ウィルは「だっせぇ名前」と小馬鹿にし、アネルはよくわかっていないのか首を傾げ、フェニアとサフィーは「ほぇ~」と感心し、レイヴィニアとニスロクはソファでグースカ寝ていた。
アルフェンは興味なさそうだが、これだけは言った。
「ま、俺らの方が強いだろ」
「「「「「…………」」」」」
「な、なんだよ」
「くっ、ははは! まぁ、そうだな」
「うんうん。アタシとウィルとアルフェンは『完全侵食』に変身できるし、フェニアとサフィーもすっごく強くなったしね!」
「そうね。自分で言うのも変だけど、もうA級召喚士くらいの強さになってると思う。ね、サフィー」
「はい! 毎日鍛えてますから!」
ワイワイと、アルフェンたちは楽しそうに喋っていた。
そんなアルフェンたちを見ながら、メルは言う。
「そう。S級は最強! とりあえず授賞式には出てね。勲章貰ったらわたしがご飯奢ってあげるから」
「……クソマズい王城の料理か?」
「違う違う! わたしの行きつけの食堂よ。煮込み料理が絶品なんだから!」
「いいね。そういうの俺好きだ」
「ふふ、期待していてね!」
◇◇◇◇◇◇
リリーシャが『女教皇』の称号を得た。
授賞式には二十人の英雄が並び、ガブリエルがリリーシャに『祝福』を授ける。授けるといっても、なにか特別なことをするわけではなく、言葉を並べただけの祝辞のような挨拶だったが。
そして、『女教皇』の紋章が刻まれたローブを渡され、その場で身に着け授賞式は終わった。
「…………ふぅ」
授賞式後。メテオールは王城の通路でため息を吐く。
リリーシャの称号授与に、未だ納得していない。そもそも、二十一人の称号はかつて『魔帝』から世界を救った者たちの証として名付けられたものだ。誰かに受け渡すというものではない。
事実。リリーシャの称号授与には反対意見もあった。だが、総指揮権を持つガブリエルが強行したのである。
すると、メテオールの隣に一人の男が並んだ。
「浮かない顔だな」
「……ガウェインか」
『太陽』ガウェイン。
国王の護衛官を務める、メテオールの仲間だ。
真紅のローブに太陽を模した刺繍が施されている。年齢は七十代なのだが、鍛え抜かれた肉体に衰えを知らない顔立ちは四十代前半にしか見えない。
メテオールと違い、どこまでも若々しい男だった。
「今回の件、貴様が不満に思うのはわかる。だが、戦力は必要になる」
「……わかっておる」
「『色欲』の魔人はともかく、今回出現した魔人……明らかに手抜きだった。まるで、時間稼ぎをするために急増でこしらえたような粗雑さ。まぁ、国はボロボロで復旧に時間はかかるだろうがな」
「……復活が近い。いや……もう復活している可能性があるのぉ」
「ああ。お前は憂いているが、ガブリエルの判断も間違っていない。若かろうと、戦力は必要だ。それに……久しぶりに見れるかもしれん」
「……何がじゃ?」
「決まっている。お前の本気をだよ、メテオール」
「……こんな老いぼれの本気? はは、冗談を」
メテオールはそれ以上話さず歩き去った。
◇◇◇◇◇◇
アルフェンたちの授賞式の日がやってきた。
S級の制服に着替えたアルフェンは、全員が待っている馬車の元へ。
「アルフェン、おそい!」
「悪い悪い。上着が見つかんなくてさ」
「もう。さぁ、馬車に乗ってくださいな」
フェニアに叱られ、サフィーに腕を引かれる。
馬車に乗ると、ウィルと並んで座っていたアネルがくすっと笑った。
「アルフェン、尻に敷かれてるねぇ」
「え」
「そ、そんなんじゃないし! あたしとサフィーはアルフェンがだらしないから怒ってて」
「そ、そうです! もう、アネルってば」
「やかましいぞ。ったく、馬車の中では静かにしろ……つーかお前、寄りかかんな」
「くかぁ~……」
ウィルは寄りかかるニスロクの頭を小突くが、ニスロクは起きなかった。
レイヴィニアは御者席に座り、御者にいろいろ質問していた。どうも馬が気になるようだ。
「じゃ、出発するか」
馬車は、王城に向かって走り出した。
◇◇◇◇◇◇
王城に到着し、さっそく謁見の間に案内された。
謁見の間には立派な玉座があり、その左右にはやや立派な椅子がある。
中央の椅子に国王が、その両隣にはサンバルトとメルが座る。二人とも正装し、メルは髪を上げてメイクまでしていた。
そして、護衛の兵士がずらりと並び、玉座側の壁には二十一人の英雄たちが並んでいる。ダモクレスが少しだけ笑ったのを見て、アルフェンもほほ笑む……が、堂々と立つリリーシャを見てげんなりした。
入場し、跪き、顔を上げると、国王が喋り出す。
「此度の魔人討伐。誠にご苦労であった。汝らのおかげで魔人の脅威からこの国を救うことができた。よって、ここに勲章を授与する!」
全員立ち上がる。
国王が立ち上がり、側近が勲章を乗せた台をを持ってきた。
王は、一人ずつ胸に勲章を付けていく。フェニアやサフィーは緊張していた。
アルフェンは、特に緊張していない。不思議と慣れていた。
ウィルの番が終わり、アルフェンの番となる。
「アルフェン・リグヴェータ。きみの活躍は───……」
と、ここで異変が起きた。
突如、玉座真上の空間が歪み、巨大な穴が開いたのである。
「な、なんだ……!?」
「む? ……なんだあれは?」
国王は振り返り、穴を見上げた。
兵士たちが武器を持ち、英雄たちも構えを取る。
そして───穴から、二人の男女が現れた。
「久しぶり、アースガルズ王国。あたしは帰ってきた」
そんなことを呟いたのは、真っ白な少女だった。
白い髪、青い目、美しすぎる美貌……まるで精巧な人形のようだった。
「な……え、だ、誰だ?」
そう声を発したのは、アルフェンだった。
少女を見た瞬間───……。
「───あ、っづぅ!?」
右目が焼けるように熱くなった。
アルフェンの右目が『第三の瞳』に代わる。
「ああ、見つけた……ジャガーノート、そこだね?」
アルフェンの右目と、シンの左目が合わさった。
アルフェンは瞬間的に構え、右腕を変化させた。
シンもまた、左腕を巨大化させる。
「ふふ、王と女王、右と左、青と赤、黒と白、男と女……あたしときみ、どこまでも対照的だね」
「なっ……お、お前」
「初めまして。あたしの名前はニュクス・アースガルズ……あなたたちが魔帝と呼ぶ存在よ」
こうして、アルフェンとニュクスは出会った。出会ってしまった。
テュポーン襲来から何日か経過……街の復興も始まり、学園が再開された。
生徒たちは未だにそれぞれの武勇伝を語っている。最近はそこに『A級召喚師リリーシャ、史上最年少で特A級に異例の昇格』という話も含まれていた。
リリーシャの昇格は新聞で大々的に報じられ、今やリリーシャの評判はS級以上。テュポーンとフロレンティアを討伐したS級よりも人気だった。
そんな中、朝食時に王城からやってきたメルが言った。
アルフェンは、オレンジジュースを飲みながら返す。
「勲章?」
「ええ。『色欲』の魔人フロレンティア、『暴喰』の魔人テュポーンを討伐した功績ね。町が酷い有様だから報奨金は微々たるものだけど……それを補う形の勲章よ」
「いらねぇ」
ウィルが秒で返答し、煙管を吹かしながら新聞を読む。まるで興味がないのか、メルを全く見ずの返答だった。
「そう言わずに、もらえるだけもらっておきなさい。『アースガルズ平和勲章』なんて、めったに授与されない特別な「いらねぇっつってんだろ。ゴミ箱にでも叩きこんどけ」……っ」
ウィルの返答にメルが苛つき始めた。どうもウィルは『女教皇』の後釜にリリーシャが据えられたことに怒っているようだ。二十一人の英雄に関してはガブリエルの管轄なのでメルにはどうしようもない。
空気が悪くなりかけていたので、フェニアが言う。
「え、えっと……勲章ってことは、授与式とか?」
「……ええ。三日後に王城で授与式が開かれるわ」
「三日後、ねぇ……どうやら『女教皇』の称号授与式が先みてぇだな」
ウィルは新聞をめくり、そこに書かれた記事をテーブルに置く。
アルフェンはそれを手に取り読んだ。
「なになに……『新たな英雄。若干十八歳にして『女教皇』の称号を得たリリーシャ・リグヴェータの授与式が開催』……お、開催日は明日か」
「し、仕方ないでしょ……ガブリエルが決めたんだし、そっちの権限はわたしにないのよ」
「ま、どうでもいい。ところでお前、気にならねぇのか?」
ウィルが言ったのは、リグヴェータ家のことだ。
「ここまで有名になっちまえば、もうお前は必要ないだろ。お前の家族も、またお前を切り捨てんじゃねぇのか?」
「別にいい。何度も言ったけど、もうリグヴェータ家に関わるつもりないしな」
新聞をフェニアに見せる。
「フェニア、お前の家族の給料、また上がるかもな」
「そうかもね。ってか、報奨金もらったって手紙送ったら仕送りストップしたのよ。まぁいいけど……」
「今回も少し出るッぽいし、いい小遣いだな」
「うん! ……って、そんなに使わないし。貯金するし」
フェニアは牛乳を一気のみした。
メルは、新聞を開きつつ全員に言う。
「今回、リリーシャを筆頭に最強の召喚獣部隊『ピースメーカー』が結成されたわ。総勢四十名からなるA級召喚士部隊。総隊長リリーシャ、副隊長はヒルクライム叔父様とユウグレナ叔母様。お兄様も部隊に志願したけど、後方支援部隊に回されたようね。本人はリリーシャの傍に仕えたかったみたいだけど、完全実力主義の部隊だから、王族の権限も通じなかったみたい」
ピースメーカー部隊。
ウィルは「だっせぇ名前」と小馬鹿にし、アネルはよくわかっていないのか首を傾げ、フェニアとサフィーは「ほぇ~」と感心し、レイヴィニアとニスロクはソファでグースカ寝ていた。
アルフェンは興味なさそうだが、これだけは言った。
「ま、俺らの方が強いだろ」
「「「「「…………」」」」」
「な、なんだよ」
「くっ、ははは! まぁ、そうだな」
「うんうん。アタシとウィルとアルフェンは『完全侵食』に変身できるし、フェニアとサフィーもすっごく強くなったしね!」
「そうね。自分で言うのも変だけど、もうA級召喚士くらいの強さになってると思う。ね、サフィー」
「はい! 毎日鍛えてますから!」
ワイワイと、アルフェンたちは楽しそうに喋っていた。
そんなアルフェンたちを見ながら、メルは言う。
「そう。S級は最強! とりあえず授賞式には出てね。勲章貰ったらわたしがご飯奢ってあげるから」
「……クソマズい王城の料理か?」
「違う違う! わたしの行きつけの食堂よ。煮込み料理が絶品なんだから!」
「いいね。そういうの俺好きだ」
「ふふ、期待していてね!」
◇◇◇◇◇◇
リリーシャが『女教皇』の称号を得た。
授賞式には二十人の英雄が並び、ガブリエルがリリーシャに『祝福』を授ける。授けるといっても、なにか特別なことをするわけではなく、言葉を並べただけの祝辞のような挨拶だったが。
そして、『女教皇』の紋章が刻まれたローブを渡され、その場で身に着け授賞式は終わった。
「…………ふぅ」
授賞式後。メテオールは王城の通路でため息を吐く。
リリーシャの称号授与に、未だ納得していない。そもそも、二十一人の称号はかつて『魔帝』から世界を救った者たちの証として名付けられたものだ。誰かに受け渡すというものではない。
事実。リリーシャの称号授与には反対意見もあった。だが、総指揮権を持つガブリエルが強行したのである。
すると、メテオールの隣に一人の男が並んだ。
「浮かない顔だな」
「……ガウェインか」
『太陽』ガウェイン。
国王の護衛官を務める、メテオールの仲間だ。
真紅のローブに太陽を模した刺繍が施されている。年齢は七十代なのだが、鍛え抜かれた肉体に衰えを知らない顔立ちは四十代前半にしか見えない。
メテオールと違い、どこまでも若々しい男だった。
「今回の件、貴様が不満に思うのはわかる。だが、戦力は必要になる」
「……わかっておる」
「『色欲』の魔人はともかく、今回出現した魔人……明らかに手抜きだった。まるで、時間稼ぎをするために急増でこしらえたような粗雑さ。まぁ、国はボロボロで復旧に時間はかかるだろうがな」
「……復活が近い。いや……もう復活している可能性があるのぉ」
「ああ。お前は憂いているが、ガブリエルの判断も間違っていない。若かろうと、戦力は必要だ。それに……久しぶりに見れるかもしれん」
「……何がじゃ?」
「決まっている。お前の本気をだよ、メテオール」
「……こんな老いぼれの本気? はは、冗談を」
メテオールはそれ以上話さず歩き去った。
◇◇◇◇◇◇
アルフェンたちの授賞式の日がやってきた。
S級の制服に着替えたアルフェンは、全員が待っている馬車の元へ。
「アルフェン、おそい!」
「悪い悪い。上着が見つかんなくてさ」
「もう。さぁ、馬車に乗ってくださいな」
フェニアに叱られ、サフィーに腕を引かれる。
馬車に乗ると、ウィルと並んで座っていたアネルがくすっと笑った。
「アルフェン、尻に敷かれてるねぇ」
「え」
「そ、そんなんじゃないし! あたしとサフィーはアルフェンがだらしないから怒ってて」
「そ、そうです! もう、アネルってば」
「やかましいぞ。ったく、馬車の中では静かにしろ……つーかお前、寄りかかんな」
「くかぁ~……」
ウィルは寄りかかるニスロクの頭を小突くが、ニスロクは起きなかった。
レイヴィニアは御者席に座り、御者にいろいろ質問していた。どうも馬が気になるようだ。
「じゃ、出発するか」
馬車は、王城に向かって走り出した。
◇◇◇◇◇◇
王城に到着し、さっそく謁見の間に案内された。
謁見の間には立派な玉座があり、その左右にはやや立派な椅子がある。
中央の椅子に国王が、その両隣にはサンバルトとメルが座る。二人とも正装し、メルは髪を上げてメイクまでしていた。
そして、護衛の兵士がずらりと並び、玉座側の壁には二十一人の英雄たちが並んでいる。ダモクレスが少しだけ笑ったのを見て、アルフェンもほほ笑む……が、堂々と立つリリーシャを見てげんなりした。
入場し、跪き、顔を上げると、国王が喋り出す。
「此度の魔人討伐。誠にご苦労であった。汝らのおかげで魔人の脅威からこの国を救うことができた。よって、ここに勲章を授与する!」
全員立ち上がる。
国王が立ち上がり、側近が勲章を乗せた台をを持ってきた。
王は、一人ずつ胸に勲章を付けていく。フェニアやサフィーは緊張していた。
アルフェンは、特に緊張していない。不思議と慣れていた。
ウィルの番が終わり、アルフェンの番となる。
「アルフェン・リグヴェータ。きみの活躍は───……」
と、ここで異変が起きた。
突如、玉座真上の空間が歪み、巨大な穴が開いたのである。
「な、なんだ……!?」
「む? ……なんだあれは?」
国王は振り返り、穴を見上げた。
兵士たちが武器を持ち、英雄たちも構えを取る。
そして───穴から、二人の男女が現れた。
「久しぶり、アースガルズ王国。あたしは帰ってきた」
そんなことを呟いたのは、真っ白な少女だった。
白い髪、青い目、美しすぎる美貌……まるで精巧な人形のようだった。
「な……え、だ、誰だ?」
そう声を発したのは、アルフェンだった。
少女を見た瞬間───……。
「───あ、っづぅ!?」
右目が焼けるように熱くなった。
アルフェンの右目が『第三の瞳』に代わる。
「ああ、見つけた……ジャガーノート、そこだね?」
アルフェンの右目と、シンの左目が合わさった。
アルフェンは瞬間的に構え、右腕を変化させた。
シンもまた、左腕を巨大化させる。
「ふふ、王と女王、右と左、青と赤、黒と白、男と女……あたしときみ、どこまでも対照的だね」
「なっ……お、お前」
「初めまして。あたしの名前はニュクス・アースガルズ……あなたたちが魔帝と呼ぶ存在よ」
こうして、アルフェンとニュクスは出会った。出会ってしまった。
20
あなたにおすすめの小説
正しい聖女さまのつくりかた
みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。
同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。
一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」
そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた!
果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。
聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」
俺! 神獣達のママ(♂)なんです!
青山喜太
ファンタジー
時は、勇者歴2102年。
世界を巻き込む世界大戦から生き延びた、国々の一つアトランタでとある事件が起きた。
王都アトスがたったの一夜、いや正確に言えば10分で崩壊したのである。
その犯人は5体の神獣。
そして破壊の限りを尽くした神獣達はついにはアトス屈指の魔法使いレメンスラーの転移魔法によって散り散りに飛ばされたのである。
一件落着かと思えたこの事件。
だが、そんな中、叫ぶ男が1人。
「ふざけんなぁぁぁあ!!」
王都を見渡せる丘の上でそう叫んでいた彼は、そう何を隠そう──。
神獣達のママ(男)であった……。
異世界成り上がり物語~転生したけど男?!どう言う事!?~
繭
ファンタジー
高梨洋子(25)は帰り道で車に撥ねられた瞬間、意識は一瞬で別の場所へ…。
見覚えの無い部屋で目が覚め「アレク?!気付いたのか!?」との声に
え?ちょっと待て…さっきまで日本に居たのに…。
確か「死んだ」筈・・・アレクって誰!?
ズキン・・・と頭に痛みが走ると現在と過去の記憶が一気に流れ込み・・・
気付けば異世界のイケメンに転生した彼女。
誰も知らない・・・いや彼の母しか知らない秘密が有った!?
女性の記憶に翻弄されながらも成り上がって行く男性の話
保険でR15
タイトル変更の可能性あり
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜
東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。
ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。
「おい雑魚、これを持っていけ」
ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。
ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。
怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。
いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。
だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。
ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。
勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。
自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。
今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。
だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。
その時だった。
目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。
その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。
ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。
そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。
これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。
※小説家になろうにて掲載中
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
少し冷めた村人少年の冒険記 2
mizuno sei
ファンタジー
地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。
不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。
旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。
バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話
紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界――
田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。
暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。
仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン>
「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。
最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。
しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。
ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと――
――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。
しかもその姿は、
血まみれ。
右手には討伐したモンスターの首。
左手にはモンスターのドロップアイテム。
そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。
「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」
ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。
タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。
――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる