召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~

さとう

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第八章

勲章授与

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「S級に勲章が授与されることになったわ」

 テュポーン襲来から何日か経過……街の復興も始まり、学園が再開された。
 生徒たちは未だにそれぞれの武勇伝を語っている。最近はそこに『A級召喚師リリーシャ、史上最年少で特A級に異例の昇格』という話も含まれていた。
 リリーシャの昇格は新聞で大々的に報じられ、今やリリーシャの評判はS級以上。テュポーンとフロレンティアを討伐したS級よりも人気だった。
 そんな中、朝食時に王城からやってきたメルが言った。
 アルフェンは、オレンジジュースを飲みながら返す。

「勲章?」
「ええ。『色欲』の魔人フロレンティア、『暴喰』の魔人テュポーンを討伐した功績ね。町が酷い有様だから報奨金は微々たるものだけど……それを補う形の勲章よ」
「いらねぇ」

 ウィルが秒で返答し、煙管を吹かしながら新聞を読む。まるで興味がないのか、メルを全く見ずの返答だった。
 
「そう言わずに、もらえるだけもらっておきなさい。『アースガルズ平和勲章』なんて、めったに授与されない特別な「いらねぇっつってんだろ。ゴミ箱にでも叩きこんどけ」……っ」

 ウィルの返答にメルが苛つき始めた。どうもウィルは『女教皇』の後釜にリリーシャが据えられたことに怒っているようだ。二十一人の英雄に関してはガブリエルの管轄なのでメルにはどうしようもない。
 空気が悪くなりかけていたので、フェニアが言う。

「え、えっと……勲章ってことは、授与式とか?」
「……ええ。三日後に王城で授与式が開かれるわ」
「三日後、ねぇ……どうやら『女教皇』の称号授与式が先みてぇだな」

 ウィルは新聞をめくり、そこに書かれた記事をテーブルに置く。
 アルフェンはそれを手に取り読んだ。

「なになに……『新たな英雄。若干十八歳にして『女教皇』の称号を得たリリーシャ・リグヴェータの授与式が開催』……お、開催日は明日か」
「し、仕方ないでしょ……ガブリエルが決めたんだし、そっちの権限はわたしにないのよ」
「ま、どうでもいい。ところでお前、気にならねぇのか?」

 ウィルが言ったのは、リグヴェータ家のことだ。

「ここまで有名になっちまえば、もうお前は必要ないだろ。お前の家族も、またお前を切り捨てんじゃねぇのか?」
「別にいい。何度も言ったけど、もうリグヴェータ家に関わるつもりないしな」

 新聞をフェニアに見せる。

「フェニア、お前の家族の給料、また上がるかもな」
「そうかもね。ってか、報奨金もらったって手紙送ったら仕送りストップしたのよ。まぁいいけど……」
「今回も少し出るッぽいし、いい小遣いだな」
「うん! ……って、そんなに使わないし。貯金するし」

 フェニアは牛乳を一気のみした。
 メルは、新聞を開きつつ全員に言う。

「今回、リリーシャを筆頭に最強の召喚獣部隊『ピースメーカー』が結成されたわ。総勢四十名からなるA級召喚士部隊。総隊長リリーシャ、副隊長はヒルクライム叔父様とユウグレナ叔母様。お兄様も部隊に志願したけど、後方支援部隊に回されたようね。本人はリリーシャの傍に仕えたかったみたいだけど、完全実力主義の部隊だから、王族の権限も通じなかったみたい」

 ピースメーカー部隊。
 ウィルは「だっせぇ名前」と小馬鹿にし、アネルはよくわかっていないのか首を傾げ、フェニアとサフィーは「ほぇ~」と感心し、レイヴィニアとニスロクはソファでグースカ寝ていた。
 アルフェンは興味なさそうだが、これだけは言った。

「ま、俺らの方が強いだろ」
「「「「「…………」」」」」
「な、なんだよ」
「くっ、ははは! まぁ、そうだな」
「うんうん。アタシとウィルとアルフェンは『完全侵食』に変身できるし、フェニアとサフィーもすっごく強くなったしね!」
「そうね。自分で言うのも変だけど、もうA級召喚士くらいの強さになってると思う。ね、サフィー」
「はい! 毎日鍛えてますから!」

 ワイワイと、アルフェンたちは楽しそうに喋っていた。
 そんなアルフェンたちを見ながら、メルは言う。

「そう。S級は最強! とりあえず授賞式には出てね。勲章貰ったらわたしがご飯奢ってあげるから」
「……クソマズい王城の料理か?」
「違う違う! わたしの行きつけの食堂よ。煮込み料理が絶品なんだから!」
「いいね。そういうの俺好きだ」
「ふふ、期待していてね!」

 ◇◇◇◇◇◇

 リリーシャが『女教皇』の称号を得た。
 授賞式には二十人の英雄が並び、ガブリエルがリリーシャに『祝福』を授ける。授けるといっても、なにか特別なことをするわけではなく、言葉を並べただけの祝辞のような挨拶だったが。
 そして、『女教皇』の紋章が刻まれたローブを渡され、その場で身に着け授賞式は終わった。

「…………ふぅ」

 授賞式後。メテオールは王城の通路でため息を吐く。
 リリーシャの称号授与に、未だ納得していない。そもそも、二十一人の称号はかつて『魔帝』から世界を救った者たちの証として名付けられたものだ。誰かに受け渡すというものではない。
 事実。リリーシャの称号授与には反対意見もあった。だが、総指揮権を持つガブリエルが強行したのである。
 すると、メテオールの隣に一人の男が並んだ。

「浮かない顔だな」
「……ガウェインか」

 『太陽ザ・サン』ガウェイン。
 国王の護衛官を務める、メテオールの仲間だ。
 真紅のローブに太陽を模した刺繍が施されている。年齢は七十代なのだが、鍛え抜かれた肉体に衰えを知らない顔立ちは四十代前半にしか見えない。
 メテオールと違い、どこまでも若々しい男だった。

「今回の件、貴様が不満に思うのはわかる。だが、戦力は必要になる」
「……わかっておる」
「『色欲』の魔人はともかく、今回出現した魔人……明らかに手抜き・・・だった。まるで、時間稼ぎをするために急増でこしらえたような粗雑さ。まぁ、国はボロボロで復旧に時間はかかるだろうがな」
「……復活が近い。いや……もう復活している可能性があるのぉ」
「ああ。お前は憂いているが、ガブリエルの判断も間違っていない。若かろうと、戦力は必要だ。それに……久しぶりに見れるかもしれん」
「……何がじゃ?」
「決まっている。お前の本気をだよ、メテオール」
「……こんな老いぼれの本気? はは、冗談を」

 メテオールはそれ以上話さず歩き去った。
 
 ◇◇◇◇◇◇

 アルフェンたちの授賞式の日がやってきた。
 S級の制服に着替えたアルフェンは、全員が待っている馬車の元へ。
 
「アルフェン、おそい!」
「悪い悪い。上着が見つかんなくてさ」
「もう。さぁ、馬車に乗ってくださいな」

 フェニアに叱られ、サフィーに腕を引かれる。
 馬車に乗ると、ウィルと並んで座っていたアネルがくすっと笑った。

「アルフェン、尻に敷かれてるねぇ」
「え」
「そ、そんなんじゃないし! あたしとサフィーはアルフェンがだらしないから怒ってて」
「そ、そうです! もう、アネルってば」
「やかましいぞ。ったく、馬車の中では静かにしろ……つーかお前、寄りかかんな」
「くかぁ~……」

 ウィルは寄りかかるニスロクの頭を小突くが、ニスロクは起きなかった。
 レイヴィニアは御者席に座り、御者にいろいろ質問していた。どうも馬が気になるようだ。

「じゃ、出発するか」

 馬車は、王城に向かって走り出した。

 ◇◇◇◇◇◇

 王城に到着し、さっそく謁見の間に案内された。
 謁見の間には立派な玉座があり、その左右にはやや立派な椅子がある。
 中央の椅子に国王が、その両隣にはサンバルトとメルが座る。二人とも正装し、メルは髪を上げてメイクまでしていた。
 そして、護衛の兵士がずらりと並び、玉座側の壁には二十一人の英雄たちが並んでいる。ダモクレスが少しだけ笑ったのを見て、アルフェンもほほ笑む……が、堂々と立つリリーシャを見てげんなりした。
 入場し、跪き、顔を上げると、国王が喋り出す。

「此度の魔人討伐。誠にご苦労であった。汝らのおかげで魔人の脅威からこの国を救うことができた。よって、ここに勲章を授与する!」

 全員立ち上がる。
 国王が立ち上がり、側近が勲章を乗せた台をを持ってきた。
 王は、一人ずつ胸に勲章を付けていく。フェニアやサフィーは緊張していた。
 アルフェンは、特に緊張していない。不思議と慣れていた。
 ウィルの番が終わり、アルフェンの番となる。

「アルフェン・リグヴェータ。きみの活躍は───……」

 と、ここで異変が起きた。
 突如、玉座真上の空間が歪み、巨大な穴が開いたのである。

「な、なんだ……!?」
「む? ……なんだあれは?」

 国王は振り返り、穴を見上げた。
 兵士たちが武器を持ち、英雄たちも構えを取る。
 そして───穴から、二人の男女が現れた。

「久しぶり、アースガルズ王国。あたしは帰ってきた」

 そんなことを呟いたのは、真っ白な少女だった。
 白い髪、青い目、美しすぎる美貌……まるで精巧な人形のようだった。

「な……え、だ、誰だ?」

 そう声を発したのは、アルフェンだった。
 少女を見た瞬間───……。

「───あ、っづぅ!?」

 右目が焼けるように熱くなった。
 アルフェンの右目が『第三の瞳マクスウェル』に代わる。

「ああ、見つけた……ジャガーノート、そこだね?」

 アルフェンの右目と、シンの左目が合わさった。
 アルフェンは瞬間的に構え、右腕を変化させた。
 シンもまた、左腕を巨大化させる。

「ふふ、王と女王、右と左、青と赤、黒と白、男と女……あたしときみ、どこまでも対照的だね」
「なっ……お、お前」
「初めまして。あたしの名前はニュクス・アースガルズ……あなたたちが魔帝と呼ぶ存在よ」

 こうして、アルフェンとニュクスは出会った。出会ってしまった。
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