152 / 178
第八章
戦いの果てに
しおりを挟む
『融合』のリリーシャと『完全侵食』のアルフェン。
互いに、最強の姿で向かい合う。
リリーシャは馬に変形したアークナイトに騎乗、双剣を構える。
アルフェンはジャガーノートに変身。巨大化させた右腕を『硬化』する。
そして───リリーシャが動いた。
「ハァッ!!」
滑走形態となったアークナイトは、本物の馬のように走り出す。
リリーシャは剣を振りあげる。確かに速い、だがアルフェンは見えていた。
右手を振りかぶり、リリーシャに向けて放つ。
「『獣王の一撃』───えっ」
拳が伸びた瞬間、リリーシャは消えた。
一瞬で消えた。アルフェンの眼も捕えきれないほど速かった。
そして、脇腹に衝撃が走る。
「なっ!?」
「フン。貴様、動く瞬間は『硬化』が切れるようだな……勝機はあるということだ」
リリーシャに脇を切られた。
完全侵食状態のジャガーノートが斬れた。
確かにリリーシャの言う通りだ。ジャガーノート形態時、動かなければ常に全身を『硬化』している状態になる。だが、動くときはその状態を解除している。
リリーシャの能力は『入れ替え』だ。召喚獣と自分の位置を入れ替えるのが能力のはず。
だが、今のリリーシャは召喚獣と一つ。入れ替えの条件を満たしていない。
つまり、入れ替えではない……?
「お前、能力……」
「気付いたところで対処できまい!!」
スレイプニールが再び走り出す。
すると、今度は分身した。何人ものリリーシャが、アルフェンに向かって向かってくる。
「このっ!! 『停止───チッ」
『停止世界』は使用できない。リリーシャが死ぬ。
だからアルフェンは、右目を酷使する。
そして、肉体をフルに使い、リリーシャが捉えきれないほど高速で移動した。
だが、リリーシャも速い。
「くっ……」
リリーシャは、アルフェンより速かった。
正確には速いのではない。短距離間で『転移』を繰り返している。元の能力は『召喚獣と召喚士の位置交換』だったが、召喚獣と融合したことにより、リリーシャが指定する場所へ一瞬で転移可能となったのだ。
アルノーと違い、転移にタイムラグがない。まさに一瞬の転移。
それを繰り返すことにより、分身しているようにも高速移動しているようにも見えた。
一対一ならば、そう簡単に負けることがない能力。
「はぁっ!!」
「ぐぁっ!?」
背中を斬られた。
動かなければ『硬化』が守ってくれる。だが、アルフェンはそれをしない。
もっと自分を追い込む。圧倒的な力でねじ伏せる。
「まだまだ……ここからが本番だ!!」
気合を入れ、右腕を巨大化させ、切り刻まれながら全力で動く。
だが───リリーシャはアルフェンの動きを読んでいた。
未だかつてない強敵となったリリーシャ。
相性が悪い。とことん、相容れない姉と弟。ウィルやアネルならこの速度にも対応できるだろうが、パワー重視のアルフェンとは相性が悪い。
「どうした!! このままみじめに切り刻まれろぉぉぉぉぉぉっ!!」
「ぬ、ガァァァァァァっ!!」
光速の斬撃でアルフェンは刻まれる。
『停止世界』を使えば動きは簡単に止められる。だが、それではリリーシャが死ぬ。
それに、アルフェンはまだ手に入れていない。
刻まれながら、心の奥にある『何か』に語り掛ける。
『モグ───俺は、負けない』
『───』
『お前が何かに怯えているのはわかる。でも……俺が付いてる。俺にお前がいるように、お前には俺が付いている。二人一緒なら、どんな困難だって───』
『───』
『モグ、一緒にやるぞ。全部、ぜんぶを使って。ニュクスを倒すぞ!!』
『───……』
「だから、ありったけの力を!!」
『───…………」
ドクン───……と、アルフェンの心臓が跳ねた。
◇◇◇◇◇◇
リリーシャが優勢。勝利は目前だった。
『勝てる───』
リリーシャの刃は、アルフェンを刻める。
文字通り、今まで歯が立たなかったが、今は違う。
『融合』を手に入れ、圧倒的な力で弟を───。
「えっ?」
だが、見た。
刻まれたジャガーノートの右目が、全身が輝き───。
「───あっ」
気が付くと、リリーシャの右腕が肩から切断された。
衝撃が背中を叩く。血を吐き、なぜか動けなかった。
そして、見た。
「───これが、新しい……そうか!!」
人間に戻ったアルフェンが、右腕を突き出していた。
もう、リリーシャを見ていなかった。
嬉しそうに、笑っていた。
そして気付く。ああ、アルフェンは……自分に興味がない。
ウルブスを含むA級召喚士が駆け寄ってきた。そして、抱きかかえられリッパー医師の元へ運ばれる。
「綺麗な切断面だ。これなら三秒で治せる」
そういって微笑むリッパー医師は……死神にしか見えなかった。
リリーシャは、ここで気を失った。
互いに、最強の姿で向かい合う。
リリーシャは馬に変形したアークナイトに騎乗、双剣を構える。
アルフェンはジャガーノートに変身。巨大化させた右腕を『硬化』する。
そして───リリーシャが動いた。
「ハァッ!!」
滑走形態となったアークナイトは、本物の馬のように走り出す。
リリーシャは剣を振りあげる。確かに速い、だがアルフェンは見えていた。
右手を振りかぶり、リリーシャに向けて放つ。
「『獣王の一撃』───えっ」
拳が伸びた瞬間、リリーシャは消えた。
一瞬で消えた。アルフェンの眼も捕えきれないほど速かった。
そして、脇腹に衝撃が走る。
「なっ!?」
「フン。貴様、動く瞬間は『硬化』が切れるようだな……勝機はあるということだ」
リリーシャに脇を切られた。
完全侵食状態のジャガーノートが斬れた。
確かにリリーシャの言う通りだ。ジャガーノート形態時、動かなければ常に全身を『硬化』している状態になる。だが、動くときはその状態を解除している。
リリーシャの能力は『入れ替え』だ。召喚獣と自分の位置を入れ替えるのが能力のはず。
だが、今のリリーシャは召喚獣と一つ。入れ替えの条件を満たしていない。
つまり、入れ替えではない……?
「お前、能力……」
「気付いたところで対処できまい!!」
スレイプニールが再び走り出す。
すると、今度は分身した。何人ものリリーシャが、アルフェンに向かって向かってくる。
「このっ!! 『停止───チッ」
『停止世界』は使用できない。リリーシャが死ぬ。
だからアルフェンは、右目を酷使する。
そして、肉体をフルに使い、リリーシャが捉えきれないほど高速で移動した。
だが、リリーシャも速い。
「くっ……」
リリーシャは、アルフェンより速かった。
正確には速いのではない。短距離間で『転移』を繰り返している。元の能力は『召喚獣と召喚士の位置交換』だったが、召喚獣と融合したことにより、リリーシャが指定する場所へ一瞬で転移可能となったのだ。
アルノーと違い、転移にタイムラグがない。まさに一瞬の転移。
それを繰り返すことにより、分身しているようにも高速移動しているようにも見えた。
一対一ならば、そう簡単に負けることがない能力。
「はぁっ!!」
「ぐぁっ!?」
背中を斬られた。
動かなければ『硬化』が守ってくれる。だが、アルフェンはそれをしない。
もっと自分を追い込む。圧倒的な力でねじ伏せる。
「まだまだ……ここからが本番だ!!」
気合を入れ、右腕を巨大化させ、切り刻まれながら全力で動く。
だが───リリーシャはアルフェンの動きを読んでいた。
未だかつてない強敵となったリリーシャ。
相性が悪い。とことん、相容れない姉と弟。ウィルやアネルならこの速度にも対応できるだろうが、パワー重視のアルフェンとは相性が悪い。
「どうした!! このままみじめに切り刻まれろぉぉぉぉぉぉっ!!」
「ぬ、ガァァァァァァっ!!」
光速の斬撃でアルフェンは刻まれる。
『停止世界』を使えば動きは簡単に止められる。だが、それではリリーシャが死ぬ。
それに、アルフェンはまだ手に入れていない。
刻まれながら、心の奥にある『何か』に語り掛ける。
『モグ───俺は、負けない』
『───』
『お前が何かに怯えているのはわかる。でも……俺が付いてる。俺にお前がいるように、お前には俺が付いている。二人一緒なら、どんな困難だって───』
『───』
『モグ、一緒にやるぞ。全部、ぜんぶを使って。ニュクスを倒すぞ!!』
『───……』
「だから、ありったけの力を!!」
『───…………」
ドクン───……と、アルフェンの心臓が跳ねた。
◇◇◇◇◇◇
リリーシャが優勢。勝利は目前だった。
『勝てる───』
リリーシャの刃は、アルフェンを刻める。
文字通り、今まで歯が立たなかったが、今は違う。
『融合』を手に入れ、圧倒的な力で弟を───。
「えっ?」
だが、見た。
刻まれたジャガーノートの右目が、全身が輝き───。
「───あっ」
気が付くと、リリーシャの右腕が肩から切断された。
衝撃が背中を叩く。血を吐き、なぜか動けなかった。
そして、見た。
「───これが、新しい……そうか!!」
人間に戻ったアルフェンが、右腕を突き出していた。
もう、リリーシャを見ていなかった。
嬉しそうに、笑っていた。
そして気付く。ああ、アルフェンは……自分に興味がない。
ウルブスを含むA級召喚士が駆け寄ってきた。そして、抱きかかえられリッパー医師の元へ運ばれる。
「綺麗な切断面だ。これなら三秒で治せる」
そういって微笑むリッパー医師は……死神にしか見えなかった。
リリーシャは、ここで気を失った。
20
あなたにおすすめの小説
俺! 神獣達のママ(♂)なんです!
青山喜太
ファンタジー
時は、勇者歴2102年。
世界を巻き込む世界大戦から生き延びた、国々の一つアトランタでとある事件が起きた。
王都アトスがたったの一夜、いや正確に言えば10分で崩壊したのである。
その犯人は5体の神獣。
そして破壊の限りを尽くした神獣達はついにはアトス屈指の魔法使いレメンスラーの転移魔法によって散り散りに飛ばされたのである。
一件落着かと思えたこの事件。
だが、そんな中、叫ぶ男が1人。
「ふざけんなぁぁぁあ!!」
王都を見渡せる丘の上でそう叫んでいた彼は、そう何を隠そう──。
神獣達のママ(男)であった……。
正しい聖女さまのつくりかた
みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。
同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。
一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」
そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた!
果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。
聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜
東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。
ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。
「おい雑魚、これを持っていけ」
ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。
ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。
怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。
いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。
だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。
ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。
勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。
自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。
今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。
だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。
その時だった。
目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。
その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。
ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。
そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。
これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。
※小説家になろうにて掲載中
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話
紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界――
田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。
暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。
仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン>
「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。
最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。
しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。
ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと――
――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。
しかもその姿は、
血まみれ。
右手には討伐したモンスターの首。
左手にはモンスターのドロップアイテム。
そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。
「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」
ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。
タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。
――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――
チートツール×フールライフ!~女神から貰った能力で勇者選抜されたので頑張ってラスダン前まで来たら勇者にパーティ追放されたので復讐します~
黒片大豆
ファンタジー
「お前、追放な。田舎に帰ってゆっくりしてろ」
女神の信託を受け、勇者のひとりとして迎えられた『アイサック=ベルキッド』。
この日、勇者リーダーにより追放が宣告され、そのゴシップニュースは箝口令解除を待って、世界中にバラまかれることとなった。
『勇者道化師ベルキッド、追放される』
『サック』は田舎への帰り道、野党に襲われる少女『二オーレ』を助け、お礼に施しを受ける。しかしその家族には大きな秘密があり、サックの今後の運命を左右することとなった。二オーレとの出会いにより、新たに『女神への復讐』の選択肢が生まれたサックは、女神へのコンタクト方法を探る旅に目的を変更し、その道中、ゴシップ記事を飛ばした記者や、暗殺者の少女、元勇者の同僚との出会いを重ね、魔王との決戦時に女神が現れることを知る。そして一度は追放された身でありながら、彼は元仲間たちの元へむかう。本気で女神を一発ぶん殴る──ただそれだけのために。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる