勇者の野郎と元婚約者、あいつら全員ぶっ潰す

さとう

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4・《ギフトの降誕》

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 16歳。
 ついに、その日が来た。

 「……いいか、どんな《ギフト》が来ても」
 「私たちは騎士団の試験を受ける」
 「誰が合格しても、不合格でも」

 「「「これからも、ずっと一緒に生きていく」」」

 俺とリリカとセエレは、もう何度もした誓いを言う。
 自宅前で、それぞれ手を合わせて誓う。
 
 「ライト、騎士になったら……」
 「ああ。リリカとセエレ、結婚しよう。約束だ」
 「はい、私はライトのお嫁さんになります」
 「私も、もうずっと昔から言ってるけどね」

 そして、俺たちは大聖堂へ向かう。
 家族は温かく見送ってくれたし、どんな結果になろうと後悔はしない………ごめん、嘘。

 内心メッチャビビってた。
 だって、ずっと待ってた《ギフトの降誕》の儀式。ある意味、人生のターニングポイントだ。一般的には、ここで貰える《ギフト》で人生を決める者が多い。
 
 俺たちみたいに騎士を目指す者は、戦闘系の《ギフト》を授かると信じ、体を鍛えておく。そしていざ授かった《ギフト》が《農耕》とかだったら、発狂するかもしれない。
 ちなみに俺の父さんは《重量変化》という、物体の重さをある程度変えられる《ギフト》で、整備工としての腕前は自前だ。

 「はぁ……」
 「リリカ、緊張してるの?」
 「ま、まぁね。セエレは?」
 「別に。ここまで来たら後はなるようになれよ。希望としては《俊迅足》の《ギフト》が欲しいけど」
 「それって、スピードアップの《ギフト》だよね?」
 「ええ。リリカはどんな《ギフト》が欲しいの?」
 「私は《斬空》かなぁ。どんな物もスパッと切れるような……」
 「ふふ、私も貴女もレアギフトね。そう簡単には手に入らない《ギフト》よ?」
 「そうだね……ライトは?」
 「俺? 俺は……《剣王》かな」
 「それって、現騎士団長のレアギフトじゃない」
 「ま、夢見たっていいだろ?」

 そんな会話をしてると、大聖堂へ到着した。
 中には若い男女が溢れてる。
 人数はパッと見ても300人以上はいる。もっと増えそうだ。
 
 全員が興奮し、大司祭の到着を待つ。
 そして、大司祭が入ってきた。

 「………ん?」

 大司祭が出てきたドアから、3人の男女が出てきた。
 全員が俺たちと同い年か少し上くらいの、イケメン1人と美少女2人。
 大司祭のサポートでもすんのかな?

 「静粛に」

 大司祭の低い声が響く。
 会場は静まり返り、静寂が訪れる。
 
 「《ギフトの降誕》の前に、大事な話をする。よく聞くように」

 大司祭が言うと、そのまま1歩下がる。
 そして祭壇に、大司祭と一緒に入ってきた少年が上がる。

 「みなさん、初めまして。オレは『レイジ・クジョウ』……異世界から来た『聖剣勇者』だ」


 大聖堂が、ざわめいた。


 **********************


 『聖剣勇者』とは、かつてこの世界を侵略した『魔刃王』を封じた存在。
 伝説の『聖剣』と、4本の『祝福剣』を用いて、倒すことの出来なかった『魔刃王』を封印したと伝えられている。
 
 「オレは『聖剣勇者』の《ギフト》に導かれ、この世界にやって来た。そして聞いたんだ……4本の『祝福剣』の封印が外れ、『魔刃王』が復活したと。その証拠に、彼女のうち1人は『四大祝福剣』の《ギフト》を去年、授かった」

 レイジと名乗った少年の後ろに、2人の少女がいる。
 どうやらあの2人が、『四大祝福剣』の使い手らしい。

 「や、やっぱりホントだったんだ……」
 「確かに。悪いリリカ、疑った……」
 「ううん、私も信じてなかったし」

 そんなことを言うが、それどころじゃない。

 「こんな話をしたのは、今日、ここの誰かが、残りの2本の祝福剣の《ギフト》を授かるからだ」

 マジかよ。
 大聖堂はどよめき、期待と混乱と恐怖の感情で支配される。
 そりゃそうだ。『魔刃王』なんて、おとぎ話の世界だしな。

 「祝福剣を受け継いだら……オレと、オレたちと、『魔刃王』を倒すための『刃』になって欲しい。頼む、この世界のために!!」

 レイジは頭を下げる。
 そして、後ろの2人も頭を下げた。

 そしてレイジは下がり、大司祭が宙に手をかざす。
 すると大聖堂の天井のステンドグラスから光が差し込む。

 「では、最初の者………前に」

 アレが大司祭の《ギフト》である、《ギフトの降誕》か。
 代々、その《ギフト》に選ばれた者が大司祭となる決まりらしく、16歳から次の後継者が見つかるまで大司祭を続けないといけないらしい。
 可能性としては、俺が大司祭となる可能性だってある。冗談だろ!?

 1人ずつ順番に並び、1人だいたい3分くらいで《ギフト》を授かる。
 その間、大司祭は休まず《ギフト》を使い続ける。ありゃキツい。

 そして、リリカの番が来た。

 「ライト、見ててね」
 「ああ。頑張れ」

 大司祭がリリカに手をかざすと、天井から差し込む光がリリカを包む。
 そして光が収まると、大司祭が叫んだ。


 「これは………《鬼太刀》……勇者様、ついに来ました!!」
 「え……」

 《鬼太刀》……それは、伝説のギフトの1つで、《四大祝福剣》の1つ。
 あらゆる物を両断する、伝説の大太刀の《ギフト》だ。
 すると、レイジが爽やかな笑みを浮かべてリリカの元へ。

 「来たか……初めまして。キミが運命の少女か。よろしくな」
 「え、あの……」

 なんだよ運命の少女って。
 リリカは握手をせず、俺に助けを求める。

 「さ、こっちへ」
 「あ……」

 だが、レイジが強引に手を掴むと、そのまま仲間の女子の元へ。
 その様子を見ていると、大司祭が再び叫んだ。

 「これは………《雷切》……勇者様、再び来ました!!」
 「私が……?」

 セエレだ。
 しかも《雷切》って……コイツも同じ祝福剣の1本だろ!?
 雷を切ったと言われる、伝説の二刀小太刀。
 よく考えたらセエレにぴったりだな。

 「はははっ、こりゃいいや。さぁキミもこっちに」
 「………」

 セエレは無言で着いて行き、不安そうなリリカの隣に。
 すると、レイジはニカッと笑う。

 「これで《勇者聖剣》と4本の祝福剣が揃った。『魔刃王』を封印……いや、オレが今度こそ倒してやるぜ!!」

 熱い笑みと言葉でリリカたちに誓う。
 リリカとセエレは何も言わなかったが、少女の1人は笑顔で頷いた。

 「まずは王様に挨拶しようぜ。その後のことはゆっくり考えよう」
 「あ、あの……」
 「おっと、自己紹介はあとでな。ま、仲良くしようぜ」
 「……突然すぎる。私たちは納得してない」
 「それも含めて、まずは王様に挨拶してくれ。どんな質問も受けるし、きみたちの望みだって叶えてやるさ」
 
 リリカとセエレは俺を見ながら去って行った。
 ここで話してもムダと感じたのか、とりあえず話を聞いて解放してもらうつもりだろう。

 
 「汝の《ギフト》は…………んん? 《ま……??》」
 「え?」


 困惑した大司祭の声が聞こえてきた。
 どうやら、俺の順番が来ていたようだ。

 
 ずっと気になってた《ギフト》より、リリカたちの方が気になった。
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