聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!

碧桜

文字の大きさ
10 / 57

第10話 ランドルフ家の人々

しおりを挟む
私達を乗せた馬車は屋敷の前に到着した。
私が馬車を降りるとき、レイは馬車のすぐ横に立つけれど、今度はさっきの城の時のように、手を差し出してはくれなかった。
きっと私が、嫌がって手を取らなかった、って思われてしまったのかも知れないな。

ちょっと残念に思いながら、私も続いて降りると、執事みたいな格好をした白髪混じりの年配の男性がお迎えに出て待っていてくれた。

「おかえりなさいませ。レイファス様」
「ああ」
「そちらの方でございますね?整っております」
「そうか、急ですまない」
え?いつの間にか知らせていてくれたんだ。

「いえ。お珍しいことなので、屋敷の者たち喜んでおりますよ」
「はあぁ……」
明らかにレイはため息を吐いて、そんなんじゃないってと嫌そうな顔をしていた。

「いえいえ、今までご友人もあまりお呼びにならない方が、お客様をお連れになるとは。私も嬉しゅうございますよ」
若いのに?と私は思いながら、二人の会話を聞いていた。
友達とか、遊びに招いたりしないのかな。
玄関に向かって歩くレイに、男性も従って歩きながら嬉しそうだ。

「しかも、こんなお可愛らしいお嬢様とは。私も長生きしてみるもんですな、フォ、フォ、フォ」
「おい」
レイは立ち止まって突っ込むも、怒ってるふうではなかった。
「だから、そういうんじゃないって」
ため息混じりにブツブツ言いながら、彼は私の先を歩いて行った。

「レイお兄さま!」
「にいさま!おかえりなさい!」

私達が屋敷の玄関を入ると、何人かの使用人の人たちが頭を下げて並ぶ中、男の子と女の子の可愛い声が響いた。
いかにも貴族のお嬢様とお坊ちゃまって感じの、8、9歳くらいの可愛い女の子と5、6歳くらいの男の子が駆け寄って来る。
わあ~っ!お姫様と王子様だっ!ピッタリと当てはまるくらい二人とも可愛らしい。

二人ともレイと少し違って、明るい栗色の髪に瞳の色は綺麗な緑色だ。
元気で可愛い姉弟きょうだいは、レイの腰に抱きついて嬉しそうにお出迎えをしていた。

レイも優しい笑みを浮かべて、嬉しそうに二人の頭をなでている。

「ああ、ただいま」
あ、そんなふうに笑うんだ。

一人っ子で、すでに家族もいない私は、一瞬、羨ましいのとちょっとだけ寂しさを感じた。

「ねえ、レイお兄さま!そちらのお姉さまがお客様なんでしょ?」
レイの腰に抱きついていた女の子が目をキラキラさせて私のほうを見た。
「ねえ、ねえ。早くご紹介してください」
弟くんも興味津々な感じで、私を見てニコニコしている。

「ああ、ミツキだ。大切なお客さまだから、二人とも頼むよ」
レイが優しい声音で二人に言うと、二人とも元気にハーイって返事する。

「ミツキのお洋服はなんだか変わってるのね」
そう言ったのは、やっぱりお洒落が気になるのか、女の子のほうだった。

この国の女性は庶民でも、みな足首まである服を着ていて、貴族はドレスを着ている。
やっぱりレイの妹姫も、足首まである可愛らしいレモン色のドレスを着ていた。

私のように膝下のフレアスカートだと、だいぶ短すぎるわよね。
貴族のお姫様から見ると、きっと驚きに違いない。

「ミツキはね、ここから遠い国から来たんだよ。ミツキの国の服装なんだ。だからこの国のこと、知らないこともあるかも知れないから、その時は教えてあげて欲しいな。できるかな?」
レイがうまくフォローしてくれた。

「もちろんよ!」
「ボクにもまかせてよ!」
ああ、なんて可愛らしい姉弟きょうだいなの!

「ミツキ!」
二人はそれぞれ私の名前を呼びながら、目をキラキラさせて今度は私に抱きついてくる。

「大丈夫だよ!」
「困ったことがあったら、私に言ってね!」

ほんと二人ともっ、可愛すぎる~~~っ!

「ふふ…ありがとう。よろしくね!」
私も緊張がほぐれて、笑みが自然とこぼれる。

二人はお兄さんとずいぶん違って、とても人懐っこい性格のようだ。

そんな姉弟きょうだいの後ろから、とても綺麗というか可愛らしいという言葉がピッタリ当てはまりそうなすごい美人が姿を現した。

若く見えるけど30歳くらいだろうか。とても可愛らしいけど、落ち着きがある。

白いレースのフリルがたくさんあしらわれた薄いピンク色のドレスに、胸元が大きくあいていて、白くふくよかな胸だとわかるけど、いやらしさを感じない。

「お出迎えに遅れてごめんなさい」
「マリアンヌ」
「おかえりなさい、レイ」
「ただいま」

そう言って、二人はさりげなくハグをする。
な、なんだろう!?この感じは……っ
私は、なんかここにいてはいけないような、見てはいけないような気がして、心の中でおどおどと慌ててしまった。

ど、どど、どうゆう関係!?
レイのお母さんにしては若すぎるよね!?
それに、マリアンヌさんは小さな妹弟きょうだいと同じ栗色の髪で緑色の瞳をしている。

マリアンヌと挨拶を交わしたレイは私の方へ振り向き、彼女の腰に手を添えて紹介してくれた。
「ミツキ、彼女はマリアンヌ。この屋敷の女主人だ。困ったことがあったら、彼女に相談するといい」

お、女主人!?って、もしかして、レイには奥様がいたのぉ!?
いや?子どもたちはレイを“お兄さま”って言ってた。

婚約者とか!?
それとも、同棲している恋人とか!?
いや、じつは内縁の!?
あーっ、だから私の滞在を拒んでいたのかっ!!
いろんな想像がぐるぐると脳内を駆け巡る。

「マリアンヌです。ミツキよろしくね。どうぞここにいる間は我が家だと思って、過ごしてね」
とても優しく挨拶してもらったのだけど、あまりの予想していなかったことすぎて、そのあとのことは残念ながら、あまり覚えていない。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

[完結]7回も人生やってたら無双になるって

紅月
恋愛
「またですか」 アリッサは望まないのに7回目の人生の巻き戻りにため息を吐いた。 驚く事に今までの人生で身に付けた技術、知識はそのままだから有能だけど、いつ巻き戻るか分からないから結婚とかはすっかり諦めていた。 だけど今回は違う。 強力な仲間が居る。 アリッサは今度こそ自分の人生をまっとうしようと前を向く事にした。

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

「地味で無能」と捨てられた令嬢は、冷酷な【年上イケオジ公爵】に嫁ぎました〜今更私の価値に気づいた元王太子が後悔で顔面蒼白になっても今更遅い

腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢クラウディアは、婚約者のアルバート王太子と妹リリアンに「地味で無能」と断罪され、公衆の面前で婚約破棄される。 お飾りの厄介払いとして押し付けられた嫁ぎ先は、「氷壁公爵」と恐れられる年上の冷酷な辺境伯アレクシス・グレイヴナー公爵だった。 当初は冷徹だった公爵は、クラウディアの才能と、過去の傷を癒やす温もりに触れ、その愛を「二度と失わない」と固く誓う。 彼の愛は、包容力と同時に、狂気的な独占欲を伴った「大人の愛」へと昇華していく。

見た目は子供、頭脳は大人。 公爵令嬢セリカ

しおしお
恋愛
四歳で婚約破棄された“天才幼女”―― 今や、彼女を妻にしたいと王子が三人。 そして隣国の国王まで参戦!? 史上最大の婿取り争奪戦が始まる。 リュミエール王国の公爵令嬢セリカ・ディオールは、幼い頃に王家から婚約破棄された。 理由はただひとつ。 > 「幼すぎて才能がない」 ――だが、それは歴史に残る大失策となる。 成長したセリカは、領地を空前の繁栄へ導いた“天才”として王国中から称賛される存在に。 灌漑改革、交易路の再建、魔物被害の根絶…… 彼女の功績は、王族すら遠く及ばないほど。 その名声を聞きつけ、王家はざわついた。 「セリカに婿を取らせる」 父であるディオール公爵がそう発表した瞬間―― なんと、三人の王子が同時に立候補。 ・冷静沈着な第一王子アコード ・誠実温和な第二王子セドリック ・策略家で負けず嫌いの第三王子シビック 王宮は“セリカ争奪戦”の様相を呈し、 王子たちは互いの足を引っ張り合う始末。 しかし、混乱は国内だけでは終わらなかった。 セリカの名声は国境を越え、 ついには隣国の―― 国王まで本人と結婚したいと求婚してくる。 「天才で可愛くて領地ごと嫁げる?  そんな逸材、逃す手はない!」 国家の威信を賭けた婿争奪戦は、ついに“国VS国”の大騒動へ。 当の本人であるセリカはというと―― 「わたし、お嫁に行くより……お昼寝のほうが好きなんですの」 王家が焦り、隣国がざわめき、世界が動く。 しかしセリカだけはマイペースにスイーツを作り、お昼寝し、領地を救い続ける。 これは―― 婚約破棄された天才令嬢が、 王国どころか国家間の争奪戦を巻き起こしながら 自由奔放に世界を変えてしまう物語。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

令嬢から成り下がったメイドの分際で、侯爵様と目が合ってしまって

真好
恋愛
彼はメイドの私に手を差し出した。「私と、踊っていただけませんか?」 かつては公爵令嬢として、誰もが羨む生活を送っていたエルナ。 しかし、国家反逆罪で家は没落し、今は嫌な貴族の下で働く「身分落ち」のメイド。 二度と表舞台に立つことなどないはずだった。 あの日の豪華絢爛な舞踏会で、彼と目が合うまでは。 アルフォンス・ベルンハルト侯爵。 冷徹な「戦場の英雄」として国中の注目を集める、今もっともホットで、もっとも手が届かない男。 退屈そうに会場を見渡していた彼の視線が、影に徹していた私を捉えて。 彼は真っ直ぐに歩み寄り、埃まみれの私に手を差し出した。 「私と、踊っていただけませんか?」 メイドの分際で、英雄のパートナー!? 前代未聞のスキャンダルから始まる逆転劇。

処理中です...