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第2章
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この空気に私が気付いたのはいつだったか。多分この学園に来て半年以上過ぎて、やっと自分の周囲に気を配ることが出来てからだろう。
気遣ってもらったからだと思うけれど、クライブ殿下の秘書としての仕事は商会の経理の仕事よりずっと楽で仕事量も少なかったし、生徒会執行部に半ば強制的に入ったことで知り合いは増えた。でもいかんせん学園生活が初めてで、勉強とクラスメイトに馴染むのに必死だったのだ。
勉強自体が難しかったというよりも、少しでも煮詰まっているところを見せるとクライブ殿下直々に教えてくれようとするから畏れ多すぎて本当に困った。ロランさんにそれとなく相談もしたのだけど「殿下の御意思なので」と釣れない返事でちっとも助けてくれなかったし、問題なく授業を受けていると示すしか無くて。それはクラスで友人が出来たかどうかを毎週のように聞かれるのも同じだったから、柄にもなく積極的に話しかけて友人も出来た。まぁそれは感謝しているけれど。
とにかく、やっと自分の学園生活が軌道に乗ってから気付いたのだ。
ヒロインであるエルフリーデ先輩の攻略対象がクライブ殿下なのではないか、と。
ぶっちゃけると、ロランさんが攻略対象な可能性もまだ残っているとは思う。お二人で仲良く殿下をからかっていることも多々あるし、そんな時の悪戯っ子みたいに笑い合う雰囲気もとっても素敵だから。
でも前世でクライブ殿下ルートをやり込んだ人間としては、是非とも殿下が対象であって欲しい。そして、あの美麗スチルを生で拝ませてもらいたい!2人が手を取り合う卒業パーティを生で観覧したい!推しが幸せになる姿を間近で観察したい!
残り半年ほどになった最後の大イベントである卒業パーティへと思いを馳せていると、不意に視界が影に遮られた。
「リディア?」
目の前では至近距離でアイスブルーの瞳が私を見つめていて、その澄んだ瞳には間抜け面をした私が写っていた。
「ーーー近っ!」
思わずのけぞったのは令嬢らしからぬ反応だったけれど許して欲しい。だって推しがこんな近くで、しかも私だけを見つめているなんて落ち着いた反応は無理に決まっている。
そのまま固まった私にフッと意地悪く笑った殿下は手を伸ばした。
「急に返事をしなくなったから心配した。打ち合わせをするからちゃんと書記をしてくれ」
ぽんぽんと揶揄うように私の頭を撫でた手が、ついでのようにするりと頬を撫でていく。それはきっと王子と官吏としては近過ぎる触れ合いなのだけど、私達の間では珍しくない光景だ。
エルフリーデ先輩に勘違いして欲しくないと思いつつ、どこか甘やかすようなこの仕草を私は拒めないでいる。それは推しだからじゃなくて、生身の殿下の優しさを知っているせいだ。
気遣ってもらったからだと思うけれど、クライブ殿下の秘書としての仕事は商会の経理の仕事よりずっと楽で仕事量も少なかったし、生徒会執行部に半ば強制的に入ったことで知り合いは増えた。でもいかんせん学園生活が初めてで、勉強とクラスメイトに馴染むのに必死だったのだ。
勉強自体が難しかったというよりも、少しでも煮詰まっているところを見せるとクライブ殿下直々に教えてくれようとするから畏れ多すぎて本当に困った。ロランさんにそれとなく相談もしたのだけど「殿下の御意思なので」と釣れない返事でちっとも助けてくれなかったし、問題なく授業を受けていると示すしか無くて。それはクラスで友人が出来たかどうかを毎週のように聞かれるのも同じだったから、柄にもなく積極的に話しかけて友人も出来た。まぁそれは感謝しているけれど。
とにかく、やっと自分の学園生活が軌道に乗ってから気付いたのだ。
ヒロインであるエルフリーデ先輩の攻略対象がクライブ殿下なのではないか、と。
ぶっちゃけると、ロランさんが攻略対象な可能性もまだ残っているとは思う。お二人で仲良く殿下をからかっていることも多々あるし、そんな時の悪戯っ子みたいに笑い合う雰囲気もとっても素敵だから。
でも前世でクライブ殿下ルートをやり込んだ人間としては、是非とも殿下が対象であって欲しい。そして、あの美麗スチルを生で拝ませてもらいたい!2人が手を取り合う卒業パーティを生で観覧したい!推しが幸せになる姿を間近で観察したい!
残り半年ほどになった最後の大イベントである卒業パーティへと思いを馳せていると、不意に視界が影に遮られた。
「リディア?」
目の前では至近距離でアイスブルーの瞳が私を見つめていて、その澄んだ瞳には間抜け面をした私が写っていた。
「ーーー近っ!」
思わずのけぞったのは令嬢らしからぬ反応だったけれど許して欲しい。だって推しがこんな近くで、しかも私だけを見つめているなんて落ち着いた反応は無理に決まっている。
そのまま固まった私にフッと意地悪く笑った殿下は手を伸ばした。
「急に返事をしなくなったから心配した。打ち合わせをするからちゃんと書記をしてくれ」
ぽんぽんと揶揄うように私の頭を撫でた手が、ついでのようにするりと頬を撫でていく。それはきっと王子と官吏としては近過ぎる触れ合いなのだけど、私達の間では珍しくない光景だ。
エルフリーデ先輩に勘違いして欲しくないと思いつつ、どこか甘やかすようなこの仕草を私は拒めないでいる。それは推しだからじゃなくて、生身の殿下の優しさを知っているせいだ。
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