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8】俺のこと、好きになる?
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8】俺のこと、好きになる?
「……」
「……」
(だから、近いっての)
ドキドキドキ。
気付けば、俺と春樹だけになった教室で静かにシャーペンを走らせる。俺の顔を見ろなんて言った春樹が、今では真面目にプリントを見ている。
ズラリと並んだ数字のプリントに、うへぇ……と思いながら。だが、すぐ傍に春樹の顔が傍にあるから、うへぇ……の表情はしなかった。(だってさ、誰だって好きな人の前で変な顔はしたくないだろ?)ちょっとした、俺の乙女心ってやつだ。
「なぁ、葵。この問いは?」
「これも、今日習った公式を入れるんだよ」
「なるほど」
「公式入れても、これ全部数字が大きいから、計算する回数多いよな……って、だから春樹近いって」
互いに問題を解くために前のめりになれば、近い顔が一層近くなる。ドキドキと鎮めた心臓が、ギョッとするように煩くなるから止めて欲しい。
俺の机に、プリントが2枚。腕が4本。顔を上げれば、片思いしている。クラスで一番モテる男が、俺にしか見せない顏で笑っている。
「今更だろ?」
「そうだけど。だけど、狭いだろ?」
「小学生の時だって、こうして宿題やったじゃん」
「小学生の時と身体の大きさが違うだろうが!」
春樹が言うことも、一理ある。だが、昔のままじゃいられないんだ。
(当たり前だけど、俺ばっかり好きだな)
春樹の行動、言葉一つで、こんなに俺の気持ちはザワつくのに。
「葵」
「何だよ」
「俺ね。こういうことするの、葵だけ」
「だっ……! から、そういうこと……!」
確かに。春樹は、俺よりも社交性があって、俺以外のクラスメイトとも近い距離だが、今みたいな距離になっているところを見たことがない。あと、これは俺の自慢だが春樹が甘えてくるのも俺だけ。
「うん?」
「まぁ……俺以外っていうか。特に女子にはするなよ? 絶対皆、春樹のこと好きになるから」
「葵は?」
「は?」
「葵も、俺のこと好きになる?」
(何だよ、それ)
(俺はとっくに春樹のことが幼馴染以上に好きなのに。何なんだよ……!)
ドキドキドキ。
「勝手に知ってろ、馬鹿。俺はさっさと宿題終わらせて一人で帰るからな!」
これ以上、春樹の顔を見ていたら気持ちが顏に出てしまうかもしれない。そう焦って、すぐに下を向いた。春樹の顏から、再び数字ばかりの視界へと変わる。言葉通り、俺は春樹の方を見ることなく。残りの問題を怒涛の勢いで解き終え、ガタン! と春樹を残して帰り支度を始めたのだった。
「じゃあ、俺。先に帰るから。春樹は一人でかえ……」
「帰らない。俺も、もう帰る」
「は?」
プリント全部終わったのか? と聞く前に、春樹が俺よりも早く荷物を側に置いていた鞄とリュックに押し込んで、「葵。帰るぞ」と結局一緒に帰ることになったのだった。
『葵も俺のこと、好きになる?』
(もうとっくに好きだっての!!)
また春樹の言葉を思い出しては、心の中で畜生! と言えない言葉を叫んでいた。
*******
お気に入り、イイネ有難うございます
「……」
「……」
(だから、近いっての)
ドキドキドキ。
気付けば、俺と春樹だけになった教室で静かにシャーペンを走らせる。俺の顔を見ろなんて言った春樹が、今では真面目にプリントを見ている。
ズラリと並んだ数字のプリントに、うへぇ……と思いながら。だが、すぐ傍に春樹の顔が傍にあるから、うへぇ……の表情はしなかった。(だってさ、誰だって好きな人の前で変な顔はしたくないだろ?)ちょっとした、俺の乙女心ってやつだ。
「なぁ、葵。この問いは?」
「これも、今日習った公式を入れるんだよ」
「なるほど」
「公式入れても、これ全部数字が大きいから、計算する回数多いよな……って、だから春樹近いって」
互いに問題を解くために前のめりになれば、近い顔が一層近くなる。ドキドキと鎮めた心臓が、ギョッとするように煩くなるから止めて欲しい。
俺の机に、プリントが2枚。腕が4本。顔を上げれば、片思いしている。クラスで一番モテる男が、俺にしか見せない顏で笑っている。
「今更だろ?」
「そうだけど。だけど、狭いだろ?」
「小学生の時だって、こうして宿題やったじゃん」
「小学生の時と身体の大きさが違うだろうが!」
春樹が言うことも、一理ある。だが、昔のままじゃいられないんだ。
(当たり前だけど、俺ばっかり好きだな)
春樹の行動、言葉一つで、こんなに俺の気持ちはザワつくのに。
「葵」
「何だよ」
「俺ね。こういうことするの、葵だけ」
「だっ……! から、そういうこと……!」
確かに。春樹は、俺よりも社交性があって、俺以外のクラスメイトとも近い距離だが、今みたいな距離になっているところを見たことがない。あと、これは俺の自慢だが春樹が甘えてくるのも俺だけ。
「うん?」
「まぁ……俺以外っていうか。特に女子にはするなよ? 絶対皆、春樹のこと好きになるから」
「葵は?」
「は?」
「葵も、俺のこと好きになる?」
(何だよ、それ)
(俺はとっくに春樹のことが幼馴染以上に好きなのに。何なんだよ……!)
ドキドキドキ。
「勝手に知ってろ、馬鹿。俺はさっさと宿題終わらせて一人で帰るからな!」
これ以上、春樹の顔を見ていたら気持ちが顏に出てしまうかもしれない。そう焦って、すぐに下を向いた。春樹の顏から、再び数字ばかりの視界へと変わる。言葉通り、俺は春樹の方を見ることなく。残りの問題を怒涛の勢いで解き終え、ガタン! と春樹を残して帰り支度を始めたのだった。
「じゃあ、俺。先に帰るから。春樹は一人でかえ……」
「帰らない。俺も、もう帰る」
「は?」
プリント全部終わったのか? と聞く前に、春樹が俺よりも早く荷物を側に置いていた鞄とリュックに押し込んで、「葵。帰るぞ」と結局一緒に帰ることになったのだった。
『葵も俺のこと、好きになる?』
(もうとっくに好きだっての!!)
また春樹の言葉を思い出しては、心の中で畜生! と言えない言葉を叫んでいた。
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