【完結・BL】春樹の隣は、この先もずっと俺が良い【幼馴染】

彩華

文字の大きさ
10 / 23

9】惚気た昼休み

しおりを挟む
9】惚気た昼休み

 「はぁ~。春樹への告白ラッシュ、落ち着いたかと思ったけど、全然そんなこと無いなぁ」

「まぁ、前よりは呼び出し減ったけどな」

「確かに。

昼ご飯を食べ終え、残る授業も少しだと落ちついた昼休み。今日も今日とて、春樹は呼び出されている。勿論、先生からじゃない。告白で、呼び出されている。残された俺は、ふと隣の席の田中に話しかけた。

「なぁ、田中」

「んー?」

「春樹ってさ、凄い天然タラシだよな」

「ぶはっ! ちょっ、葵! すげぇマジな顔で今更なこと言うじゃん! どうしたん?」

飲んでいたパックジュースを、少し咽ながら笑った田中。俺は真面目に言っているのに、笑ってくれるなと思いながら、ジト目で田中を見た。

「悪かったって。まぁ、でも分かる。春樹の奴、すげぇ天然のタラシだよな。何かモテようとしてやってないから、イケメンが更にイケメンになるから、そりゃモテるよな。俺も女子なら告白してると思うし」

「分かる」

ていうか、俺は女子じゃなくても好きなんだが。しかもかなり前から。現在進行形で好きなんだが? 最近あんなに悩んでいた自身の気持ちが、一周回って心の中でやたらと饒舌だ。

「てかさ、春樹はそんなに昔からモテてたん?」

「うん。春樹は俺が知る限り、ずっとモテてる」

「それで彼女作らないって、逆に凄いよな」

「俺もそう思う」

「葵しか知らん春樹ってある?」

「んー……」

ある。あるけど、何となく教えたくない。ちょっとした独占欲ってやつが、俺の奥でチラチラして再びパックジュースを啜りだした田中への答えを渋った。

「……ある。けど、教えない」

「何だよ~! フッ……って顔までして! 教えろよ~!」

「ほら、教えてまた春樹がモテたら、俺が怒られるし」

「なるほど」

ごめん、田中。納得してくれたところ悪いけど、これはただの俺の独占欲。渋った結果、教えるのが勿体ないが自慢はしたくて、フッとドヤ顔をしてしまった。

「あ! また田中が、葵と面白そうな話してる!」

告白が終わったらしく、春樹が教室に戻ってきたかと思えば、またすぐに俺のところへやって来た。こういうところも、俺しか知らない春樹だ。

「何なに? 何の話してたん?」

俺は知らないと顔を背ければ、「田中~!」と田中は春樹に呼ばれた。

「葵に春樹のことで惚気られただけだって」

「は!? 俺、別に惚気てないし!」

「え! 葵、俺のこと惚気たん? 葵、俺の事大好きじゃん」

「違う~!」

(違くないけど)

あはは、とまた笑っていれば昼休みが終わった。どうやら今回も、お断りしたらしい。ホッとした俺の横を通り席へと戻る時。春樹がそっと「今度俺に何で惚気たか教えてな」と囁いたので、俺の耳が赤くなった。

(言うわけないだろ)

*******
お気に入り・イイネ有難うございます
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ハッピーライフのために地味で根暗な僕がチャラ男会計になるために

ミカン
BL
地味で根暗な北斗が上手く生きていくために王道学園でチャラ男会計になる話 ※主人公へのいじめ描写ありのため苦手な方は閲覧ご注意下さい。

【完結】大学で再会した幼馴染(初恋相手)に恋人のふりをしてほしいと頼まれた件について

kouta
BL
大学で再会した幼馴染から『ストーカーに悩まされている。半年間だけ恋人のふりをしてほしい』と頼まれた夏樹。『焼き肉奢ってくれるなら』と承諾したものの次第に意識してしまうようになって…… ※ムーンライトノベルズでも投稿しています

諦めた初恋と新しい恋の辿り着く先~両片思いは交差する~【全年齢版】

カヅキハルカ
BL
片岡智明は高校生の頃、幼馴染みであり同性の町田和志を、好きになってしまった。 逃げるように地元を離れ、大学に進学して二年。 幼馴染みを忘れようと様々な出会いを求めた結果、ここ最近は女性からのストーカー行為に悩まされていた。 友人の話をきっかけに、智明はストーカー対策として「レンタル彼氏」に恋人役を依頼することにする。 まだ幼馴染みへの恋心を忘れられずにいる智明の前に、和志にそっくりな顔をしたシマと名乗る「レンタル彼氏」が現れた。 恋人役を依頼した智明にシマは快諾し、プロの彼氏として完璧に甘やかしてくれる。 ストーカーに見せつけるという名目の元で親密度が増し、戸惑いながらも次第にシマに惹かれていく智明。 だがシマとは契約で繋がっているだけであり、新たな恋に踏み出すことは出来ないと自身を律していた、ある日のこと。 煽られたストーカーが、とうとう動き出して――――。 レンタル彼氏×幼馴染を忘れられない大学生 両片思いBL 《pixiv開催》KADOKAWA×pixivノベル大賞2024【タテスクコミック賞】受賞作 ※商業化予定なし(出版権は作者に帰属) この作品は『KADOKAWA×pixiv ノベル大賞2024』の「BL部門」お題イラストから着想し、創作したものです。 https://www.pixiv.net/novel/contest/kadokawapixivnovel24

小石の恋

キザキ ケイ
BL
やや無口で平凡な男子高校生の律紀は、ひょんなことから学校一の有名人、天道 至先輩と知り合う。 助けてもらったお礼を言って、それで終わりのはずだったのに。 なぜか先輩は律紀にしつこく絡んできて、連れ回されて、平凡な日常がどんどん侵食されていく。 果たして律紀は逃げ切ることができるのか。

地味メガネだと思ってた同僚が、眼鏡を外したら国宝級でした~無愛想な美人と、チャラ営業のすれ違い恋愛

中岡 始
BL
誰にも気づかれたくない。 誰の心にも触れたくない。 無表情と無関心を盾に、オフィスの隅で静かに生きる天王寺悠(てんのうじ・ゆう)。 その存在に、誰も興味を持たなかった――彼を除いて。 明るく人懐こい営業マン・梅田隼人(うめだ・はやと)は、 偶然見た「眼鏡を外した天王寺」の姿に、衝撃を受ける。 無機質な顔の奥に隠れていたのは、 誰よりも美しく、誰よりも脆い、ひとりの青年だった。 気づいてしまったから、もう目を逸らせない。 知りたくなったから、もう引き返せない。 すれ違いと無関心、 優しさと孤独、 微かな笑顔と、隠された心。 これは、 触れれば壊れそうな彼に、 それでも手を伸ばしてしまった、 不器用な男たちの恋のはなし。

泣き虫で小柄だった幼馴染が、メンタルつよめの大型犬になっていた話。

雪 いつき
BL
 凰太朗と理央は、家が隣同士の幼馴染だった。  二つ年下で小柄で泣き虫だった理央を、凰太朗は、本当の弟のように可愛がっていた。だが凰太朗が中学に上がった頃、理央は親の都合で引っ越してしまう。  それから五年が経った頃、理央から同じ高校に入学するという連絡を受ける。変わらず可愛い姿を想像していたものの、再会した理央は、モデルのように背の高いイケメンに成長していた。 「凰ちゃんのこと大好きな俺も、他の奴らはどうでもいい俺も、どっちも本当の俺だから」  人前でそんな発言をして爽やかに笑う。  発言はともかく、今も変わらず懐いてくれて嬉しい。そのはずなのに、昔とは違う成長した理央に、だんだんとドキドキし始めて……。

俺の好きな男は、幸せを運ぶ天使でした

たっこ
BL
【加筆修正済】  7話完結の短編です。  中学からの親友で、半年だけ恋人だった琢磨。  二度と合わないつもりで別れたのに、突然六年ぶりに会いに来た。 「優、迎えに来たぞ」  でも俺は、お前の手を取ることは出来ないんだ。絶対に。  

失恋したのに離してくれないから友達卒業式をすることになった人たちの話

雷尾
BL
攻のトラウマ描写あります。高校生たちのお話。 主人公(受) 園山 翔(そのやまかける) 攻 城島 涼(きじまりょう) 攻の恋人 高梨 詩(たかなしうた)

処理中です...