【完結・BL】春樹の隣は、この先もずっと俺が良い【幼馴染】

彩華

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10】飲み込んだ気持ちはすぐに消えた

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10】飲み込んだ気持ちはすぐに消えた

 春樹との距離の近さは、変わらずで。クラスどころか、他の学年にも春樹と幼馴染で一番距離が近いのは俺だという情報は、もう知れ渡っている。そんなの、今に始まったことではないが。偶然、掃除時間で教室の溜まったゴミを捨てに行く最中、耳にした言葉が胸に刺さった。

「あーあ。私も、春樹先輩の幼馴染になりたかった~」

「同感。葵先輩が羨ましい。春樹先輩、本当に彼女作らないよね。まぁ、おかげでアイドル感あって良いけど」

「もし幼馴染だったら、告白したらOKして貰えるかな~」

「イケメンの幼馴染ポジションで彼女とか、もうドラマじゃん! ヒロインだよ」

「「ね~!」」

キャー! と最後は楽しそうな声で、女子生徒が二人。先輩と言っていたから、後輩になるであろう女子たちが、そんな話をしながら廊下を歩いて行った。

(また知らない人に、羨ましがられてしまった)

これが初めてではない。過去に、酷い時は春樹にフラれた結果。傷心の心を守るためだろうか。思い切り「葵君のせいで!」と言われてしまったことだって何度かある。ああなってしまう気持ちも分かるだけに、スルースキルを身につけた俺。だが、俺とは違い。珍しく春樹が怒り。「葵は関係ないじゃん」と、普段怒らない春樹が、怒りをあらわにしたっけ。

『春樹、気にするなって。俺は気にしてないから。それに、気持ちの整理がつかないんだろ。それだけ、春樹のことが好きだったんだよ』

『……好意は嬉しいけど、俺は葵が悪いことしてないのに酷く言われるのは許せない』

あの時の春樹は、いつも以上に恰好良かったっけ。本人には言わないけど。
俺も、自分の幼馴染のポジションが誰よりも恵まれていることが分かるから、彼女たちの気持ちも分かる。

「羨ましいか」

でも俺からしたら、君たちが羨ましいんだけどな。

(だって君たちは……)

チクリと胸が痛みそうな言葉を、言ったら駄目だとゴクンと飲み込んだ。

(考えたって、答えは変わらないのを何回も繰り返したくせに)

「あー……ゴミ重っ」

脚が急にダルくなる。もう掃除も早く終えて、早く家に帰りたい。そんな時だ。

「葵~! 半分持つ。って、なんかあった?」

急に軽くなったゴミと、俺の名前を呼ぶ声。それから、俺が顔を見ただけで何となく察する春樹。いつだって、突然俺の前に現れて、気持ちごと引っ張りあげてくる。

「別に、何もない。ただゴミが重たかっただけだし……有難うな」

「葵、今日素直じゃん!」

「うるさっ」

(ああ、やっぱり俺は春樹が好きだな)

*******
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