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12】違わなかったらしい
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12】違わなかったらしい
春樹に声だけかけて、俺も加藤の待つ図書室へ向かう。図書室は静かで、もともと本が好きな俺にとっては、結構好きな場所だ。ガラリと扉を開ければ、図書室にいるのは加藤一人。
「葵先輩」
「加藤、来たぞ。どうした?」
ん? と春樹ほどではないが、優しく声をかける。
「奥の方にちょっと……」
学校らしい、昔ながらの本立てが並ぶ。奥へ向かえば、また一つ部屋があるみたいになっていて、俺はこの場所が好きだったりする。
「分かった」
加藤の後ろに続いていく。廊下を歩くでもなく、すぐに目的の場所へ。机にも本は無く、どうしたんだろうと思えばクルリと加藤が俺の方を振り向いた。
「そのっ……葵先輩」
この時に気づいた。
(ああ、やっぱり告白するんだ。え、待ってくれ。俺、告白されるの?)
誰に? この場所には、俺しかいない。
「あの、私。葵先輩が好きです……」
震える声に、加藤の緊張を感じた。顔が赤い。俺の方を上目遣いで見つめながら、視線が合ったかと思えば、すぐに逸れた。
(ああ、やっぱり俺なのか)
後輩に慕われ、好意を持たれるのは嬉しい。ましてや、俺にとって初めて告白されてるわけだし。
「……っ、えっと。すみません。別に付き合いたいとかは、ないんです。先輩が卒業したら、私のこの気持ちは伝えられないままだし。そんなの嫌だなって」
(凄いなぁ)
俺は、ずっと気持ちを伝えようとか努力なんかしてないのに。言えないんだと言い訳して、幼馴染でいるのに。加藤は、伝えられないのが嫌だって、俺に好きだって言ってくれたんだ。
「加藤」
顔を伏せたままの、加藤の名前を呼んだ。逸れていた視線が、再び合う。緊張と満足感と混じり合ったような表情だった。伝えられた言葉に、俺も答えを伝えなければならない。脳裏に浮かんだのは、春樹の顔。俺は変わらず、春樹が好きなんだ。
「有難う、嬉しい。でもごめんな? 俺、好きな人いるんだ」
「へぇ……っ、初めて聞きました」
「俺も、初めて人に話した」
「ふふっ。じゃあ、私先輩の初めて1つゲットしたんだ」
加藤の目から、ポロリと涙が流れていく。泣かせてしまった罪悪感を感じたが、加藤が「気にしないで下さい」と最後は笑った。
「この涙は、今まで溜まってた好きの気持ちです。勝手に出て来ちゃうんで、本当に気にしないで下さい。届かなかったとしても、私は満足です。先輩、またいつも通りに接して下さいね」
「分かった」
(本当に凄い)
人に告白するって、凄く勇気がいるだろうに。皆凄い。
何をすることも出来ず、俺は図書室を出て教室へと戻ったのだった。
********
春樹に声だけかけて、俺も加藤の待つ図書室へ向かう。図書室は静かで、もともと本が好きな俺にとっては、結構好きな場所だ。ガラリと扉を開ければ、図書室にいるのは加藤一人。
「葵先輩」
「加藤、来たぞ。どうした?」
ん? と春樹ほどではないが、優しく声をかける。
「奥の方にちょっと……」
学校らしい、昔ながらの本立てが並ぶ。奥へ向かえば、また一つ部屋があるみたいになっていて、俺はこの場所が好きだったりする。
「分かった」
加藤の後ろに続いていく。廊下を歩くでもなく、すぐに目的の場所へ。机にも本は無く、どうしたんだろうと思えばクルリと加藤が俺の方を振り向いた。
「そのっ……葵先輩」
この時に気づいた。
(ああ、やっぱり告白するんだ。え、待ってくれ。俺、告白されるの?)
誰に? この場所には、俺しかいない。
「あの、私。葵先輩が好きです……」
震える声に、加藤の緊張を感じた。顔が赤い。俺の方を上目遣いで見つめながら、視線が合ったかと思えば、すぐに逸れた。
(ああ、やっぱり俺なのか)
後輩に慕われ、好意を持たれるのは嬉しい。ましてや、俺にとって初めて告白されてるわけだし。
「……っ、えっと。すみません。別に付き合いたいとかは、ないんです。先輩が卒業したら、私のこの気持ちは伝えられないままだし。そんなの嫌だなって」
(凄いなぁ)
俺は、ずっと気持ちを伝えようとか努力なんかしてないのに。言えないんだと言い訳して、幼馴染でいるのに。加藤は、伝えられないのが嫌だって、俺に好きだって言ってくれたんだ。
「加藤」
顔を伏せたままの、加藤の名前を呼んだ。逸れていた視線が、再び合う。緊張と満足感と混じり合ったような表情だった。伝えられた言葉に、俺も答えを伝えなければならない。脳裏に浮かんだのは、春樹の顔。俺は変わらず、春樹が好きなんだ。
「有難う、嬉しい。でもごめんな? 俺、好きな人いるんだ」
「へぇ……っ、初めて聞きました」
「俺も、初めて人に話した」
「ふふっ。じゃあ、私先輩の初めて1つゲットしたんだ」
加藤の目から、ポロリと涙が流れていく。泣かせてしまった罪悪感を感じたが、加藤が「気にしないで下さい」と最後は笑った。
「この涙は、今まで溜まってた好きの気持ちです。勝手に出て来ちゃうんで、本当に気にしないで下さい。届かなかったとしても、私は満足です。先輩、またいつも通りに接して下さいね」
「分かった」
(本当に凄い)
人に告白するって、凄く勇気がいるだろうに。皆凄い。
何をすることも出来ず、俺は図書室を出て教室へと戻ったのだった。
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