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14】折り畳み傘
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14】折り畳み傘
ゴロゴロゴロ……。
(あ、これ雨降るんじゃ……・)
窓際じゃない俺の席まで、ゴロゴロと遠くの雷の音が響いた。
少し自身の恋心に気をやるも、春先だった季節は気づけば、梅雨に差し掛かろうとしている。最近は長雨というより、突然スコールのように降ってくることが多い。リュックに折りたたみ傘を入れて登校するよるようにしているので、このまま雨が降っても俺は問題ない。天気が悪いなぁ……程度でチラリと少し遠い外を見た。
(春樹は、あれから聞いてこないな)
加藤に告白されたあと。春樹に俺も好きな人がいると伝えた。最初は、俺は聞いてないと拗ねたような口調に反して、知らない春樹の視線。葵は誰が好きなんだ? と、追及してこなかった。
(まぁ俺も、じゃあ春樹に好きな人はいるのか? までは聞き返すことは出来なかったけど)
春樹のことだ。もし聞いていたら、多分気にせず教えてくれると思う。でもやっぱり聞いて特定の人の名前を聞いてしまうのは。失恋が確定しまうのは、まだ受け入れたくなかった。
「じゃあ、綾瀬。次の問題を頼む」
「はい」
ハッとして、すぐに黒板を振り返った。呼ばれるまま、前方へ。黒板に書かれた数式を解く。これが数学で良かった。もし国語で音読を頼まれたら、どこを読めば良いか分からなかった。
「出来ました」
「正解だ。じゃあ次を……」
(良かった……)
とりあえず、何とか俺はよそ見をしていたが無事に問題を解き終えた。席に戻ろうと振り返った時、ちょうど春樹と目が合った。ヒラヒラと俺に手を振る春樹に、またドキンと胸が鳴る。いつ見ても顔が良い。悔しい。
「じゃあ、次を天城」
「え!? 俺!?」
「今手を上げてただろう?」
俺のせいか? と僅かに罪悪感を感じた。
******
****
無事に授業も終え、帰る頃。雲は晴れてくれなかったらしい。雷は鳴らなくなったのは救いだが、雨が降っていた。
「うわぁー、雨降ってきたな」
「俺は折り畳み傘あるから大丈夫。春樹は?」
「葵、準備がいいな。濡れて帰るわけにもいかんし、仕方ないから購買で俺も折り畳み買ってくる」
「分かった。じゃあ、先に玄関に行っとくな」
「おー」
そのまま先に玄関に向かい、春樹を待つ俺。開いた玄関から濡れた空気が入り込み、どちらかといえば肌寒かった。入口の所でポツンと立っている女子がいる。帰らず迷っている様子を見ると、傘が無いんだろう。
(女子が身体冷やすの、悪いしな)
チラリと自身の手に持っている傘を見る。春樹が時期にやって来るだろうし……。
「葵~! ギリ傘買えた~」
ほら来た。
「春樹、ちょっと待っててくれ」
「どうしたんだ?」
自然に手にした折り畳み傘を、一人待っている女子へ。
「あの、傘無いんじゃないですか? 女子が身体冷やしたら悪いし、これ。俺ので良かったら使っていいよ」
「え、あっ……でも……」
「大丈夫、気にしなくて良いから。お古でごめんな? 結構使ってるやつだし、返さなくて良いから」
「でも、そしたら」
そしたら俺がと言いたいんだろう。
「大丈夫、俺はアイツの傘に入っていくから」
「有難うございます……!」
女子が傘を受け取って、頭を下げた。そこまで感謝されるほどのことをしたわけじゃない。本当に気にしなくて良い。春樹も待っていることだし、俺は「じゃあ」と用件を終えて戻った。
「ってなわけで、俺の傘は無くなったから。春樹の傘に入るからな」
「喜んで」
バッ! と春樹が買ってきたばかりの折り畳み傘を広げ。二人で学校を後にした。
******
ゴロゴロゴロ……。
(あ、これ雨降るんじゃ……・)
窓際じゃない俺の席まで、ゴロゴロと遠くの雷の音が響いた。
少し自身の恋心に気をやるも、春先だった季節は気づけば、梅雨に差し掛かろうとしている。最近は長雨というより、突然スコールのように降ってくることが多い。リュックに折りたたみ傘を入れて登校するよるようにしているので、このまま雨が降っても俺は問題ない。天気が悪いなぁ……程度でチラリと少し遠い外を見た。
(春樹は、あれから聞いてこないな)
加藤に告白されたあと。春樹に俺も好きな人がいると伝えた。最初は、俺は聞いてないと拗ねたような口調に反して、知らない春樹の視線。葵は誰が好きなんだ? と、追及してこなかった。
(まぁ俺も、じゃあ春樹に好きな人はいるのか? までは聞き返すことは出来なかったけど)
春樹のことだ。もし聞いていたら、多分気にせず教えてくれると思う。でもやっぱり聞いて特定の人の名前を聞いてしまうのは。失恋が確定しまうのは、まだ受け入れたくなかった。
「じゃあ、綾瀬。次の問題を頼む」
「はい」
ハッとして、すぐに黒板を振り返った。呼ばれるまま、前方へ。黒板に書かれた数式を解く。これが数学で良かった。もし国語で音読を頼まれたら、どこを読めば良いか分からなかった。
「出来ました」
「正解だ。じゃあ次を……」
(良かった……)
とりあえず、何とか俺はよそ見をしていたが無事に問題を解き終えた。席に戻ろうと振り返った時、ちょうど春樹と目が合った。ヒラヒラと俺に手を振る春樹に、またドキンと胸が鳴る。いつ見ても顔が良い。悔しい。
「じゃあ、次を天城」
「え!? 俺!?」
「今手を上げてただろう?」
俺のせいか? と僅かに罪悪感を感じた。
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無事に授業も終え、帰る頃。雲は晴れてくれなかったらしい。雷は鳴らなくなったのは救いだが、雨が降っていた。
「うわぁー、雨降ってきたな」
「俺は折り畳み傘あるから大丈夫。春樹は?」
「葵、準備がいいな。濡れて帰るわけにもいかんし、仕方ないから購買で俺も折り畳み買ってくる」
「分かった。じゃあ、先に玄関に行っとくな」
「おー」
そのまま先に玄関に向かい、春樹を待つ俺。開いた玄関から濡れた空気が入り込み、どちらかといえば肌寒かった。入口の所でポツンと立っている女子がいる。帰らず迷っている様子を見ると、傘が無いんだろう。
(女子が身体冷やすの、悪いしな)
チラリと自身の手に持っている傘を見る。春樹が時期にやって来るだろうし……。
「葵~! ギリ傘買えた~」
ほら来た。
「春樹、ちょっと待っててくれ」
「どうしたんだ?」
自然に手にした折り畳み傘を、一人待っている女子へ。
「あの、傘無いんじゃないですか? 女子が身体冷やしたら悪いし、これ。俺ので良かったら使っていいよ」
「え、あっ……でも……」
「大丈夫、気にしなくて良いから。お古でごめんな? 結構使ってるやつだし、返さなくて良いから」
「でも、そしたら」
そしたら俺がと言いたいんだろう。
「大丈夫、俺はアイツの傘に入っていくから」
「有難うございます……!」
女子が傘を受け取って、頭を下げた。そこまで感謝されるほどのことをしたわけじゃない。本当に気にしなくて良い。春樹も待っていることだし、俺は「じゃあ」と用件を終えて戻った。
「ってなわけで、俺の傘は無くなったから。春樹の傘に入るからな」
「喜んで」
バッ! と春樹が買ってきたばかりの折り畳み傘を広げ。二人で学校を後にした。
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