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17】知りたくなかった
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17】知りたくなかった
(傘一つで好きになってくれるなら、俺のこと好きになってくれたら良いのに)
(俺だって、ずっと前から春樹が好きだよ)
というか、多分傘に入れて帰ったことくらい今まで一度くらいはあるだろうと小さな悪態を一つ。
「……今度こそ、告白をOKしたらどうしよう」
また呼び出され、告白されている幼馴染でクラス一のモテ男の事を思いながら。俺は自身の拗らせた恋心が不安になって、不貞寝してしまったらしい。
「葵」
(春樹の声がするな?)
「葵~~?」
ハッとして顔を上げれば、春樹の顔があった。それから肩に力を感じる。春樹の顔を見た後に、違和感のある肩を見た。雨の中一つ傘の下で帰った時のように、掴まれている。つい先ほど思い出した熱を思い出し、「ぁ」と小さな声が漏れた。
「葵? 大丈夫か。顔が赤いぞ?」
「顔を伏せてたからだろ……! ところで終わったのか?」
告白とは言わず、チラリと春樹を見る。
「うん」
(いつもは誰かが結果を聞くから、俺からは聞きづらいな)
多分、春樹もあんまり言いたくないだろうし。俺だったら、あんまり言いたくないし。
「気になる?」
俺の様子を悟った春樹が、小首を傾げながら聞いて来る。聞かれたからと言い訳をしながら、
「少し」と答えれば「いつも通りだよ」とだけ言った。
「いつも通りだよ」
「ふーん」
肩から手を離した春樹。すりっと俺の目尻を撫でて撫でた。
(何で??)
こんな触り方をするのは初めてで、ドキドキする。寝起きに刺激が強すぎると、きっと赤い顔が熱くなり、もっと赤くなるのが分かった。
「葵もこの前教えてくれたから、葵にだけ。俺が断る理由を教えるな」
「は? 今まで学業に専念だとかの理由だっただろ」
建前の理由だと分かっていたが、傷つけないような理由で断っていただろうに。何だそれ。ちょっと怖い。いや、怖いと言うか聞きたくない。
「葵」
「いや、いい。教えなくて良いから。おい、春樹! 春樹ってば……!」
珍しく怪訝そうな声を出して身体を上半身を反らそうとしたが、春樹が気にすることなくヒソリと耳元で囁いた。
「俺もさ、好きな人いるんだ」
耳穴に響く声にドキリとして。心臓だって、煩くドキドキしているのに。喉元だけはヒュッ……と息を飲んで頭がヒンヤリとしる感じだった。
「そ……うんだんだ。寝起きにびっくりした……なんだよ、春樹だって俺に教えてないだろ」
あははと、とりあえず笑ってみたが俺は笑えているだろうか? 冷えたままの喉から、どんな声が出ているのか。いつも通りの声が出ているのか。
(名前を聞いてしまったら、失恋してしまうな)
それでの頭は冷静になっていて、加藤のように伝える前に俺の恋は終わってしまうのかと余計なことを考えてしまう。
「どう? 実を結びそうなのか?」
「出来れば結びたいけど。俺的には、向こうも俺のことを思ってくれてるんじゃないかなって思うんだけどな。葵は?」
「俺は……多分無理そう。この話はいいから、さっさと帰るぞ」
「あ、うん。葵?」
ガタン! と立ち上がった椅子の音だけが大きく響いた。
*******
(傘一つで好きになってくれるなら、俺のこと好きになってくれたら良いのに)
(俺だって、ずっと前から春樹が好きだよ)
というか、多分傘に入れて帰ったことくらい今まで一度くらいはあるだろうと小さな悪態を一つ。
「……今度こそ、告白をOKしたらどうしよう」
また呼び出され、告白されている幼馴染でクラス一のモテ男の事を思いながら。俺は自身の拗らせた恋心が不安になって、不貞寝してしまったらしい。
「葵」
(春樹の声がするな?)
「葵~~?」
ハッとして顔を上げれば、春樹の顔があった。それから肩に力を感じる。春樹の顔を見た後に、違和感のある肩を見た。雨の中一つ傘の下で帰った時のように、掴まれている。つい先ほど思い出した熱を思い出し、「ぁ」と小さな声が漏れた。
「葵? 大丈夫か。顔が赤いぞ?」
「顔を伏せてたからだろ……! ところで終わったのか?」
告白とは言わず、チラリと春樹を見る。
「うん」
(いつもは誰かが結果を聞くから、俺からは聞きづらいな)
多分、春樹もあんまり言いたくないだろうし。俺だったら、あんまり言いたくないし。
「気になる?」
俺の様子を悟った春樹が、小首を傾げながら聞いて来る。聞かれたからと言い訳をしながら、
「少し」と答えれば「いつも通りだよ」とだけ言った。
「いつも通りだよ」
「ふーん」
肩から手を離した春樹。すりっと俺の目尻を撫でて撫でた。
(何で??)
こんな触り方をするのは初めてで、ドキドキする。寝起きに刺激が強すぎると、きっと赤い顔が熱くなり、もっと赤くなるのが分かった。
「葵もこの前教えてくれたから、葵にだけ。俺が断る理由を教えるな」
「は? 今まで学業に専念だとかの理由だっただろ」
建前の理由だと分かっていたが、傷つけないような理由で断っていただろうに。何だそれ。ちょっと怖い。いや、怖いと言うか聞きたくない。
「葵」
「いや、いい。教えなくて良いから。おい、春樹! 春樹ってば……!」
珍しく怪訝そうな声を出して身体を上半身を反らそうとしたが、春樹が気にすることなくヒソリと耳元で囁いた。
「俺もさ、好きな人いるんだ」
耳穴に響く声にドキリとして。心臓だって、煩くドキドキしているのに。喉元だけはヒュッ……と息を飲んで頭がヒンヤリとしる感じだった。
「そ……うんだんだ。寝起きにびっくりした……なんだよ、春樹だって俺に教えてないだろ」
あははと、とりあえず笑ってみたが俺は笑えているだろうか? 冷えたままの喉から、どんな声が出ているのか。いつも通りの声が出ているのか。
(名前を聞いてしまったら、失恋してしまうな)
それでの頭は冷静になっていて、加藤のように伝える前に俺の恋は終わってしまうのかと余計なことを考えてしまう。
「どう? 実を結びそうなのか?」
「出来れば結びたいけど。俺的には、向こうも俺のことを思ってくれてるんじゃないかなって思うんだけどな。葵は?」
「俺は……多分無理そう。この話はいいから、さっさと帰るぞ」
「あ、うん。葵?」
ガタン! と立ち上がった椅子の音だけが大きく響いた。
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