【完結・BL】春樹の隣は、この先もずっと俺が良い【幼馴染】

彩華

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18】多分失恋した

18】多分失恋した

 『俺もさ、好きな人いるんだ』

その言葉が、頭から離れない。
あの後、何の話をしながら家に帰って来たのか。春樹の顔はどうだったか。いつもなら覚えているのに、何も覚えていない。何なら、夕飯の味も覚えていない。久しぶりにエビフライだったのに、残念だ。どこをどうして喉を通っていったのか。
時刻は11時を過ぎた自分の部屋。宿題を終わらせ、少し問題集を解き。一応受験生らしく勉強はしたが、今日ばかりは駄目だった。早く寝てしまおうとベッドに横になるが、一向に眠気が起きない。考えたくないことばかり考えてしまう。

「好きな人か……」

(当たり前だ。俺だって、春樹のことが好きなんだ。春樹にだって好きな人くらい、いるだろ)

何を期待していたんだろう。何を夢見ていたんだろう。

「分かったけど、改めているとなると結構ショックだな」

まだ決まったわけじゃないのに、俺は失恋したという感覚だった。
胸の奥が、キュゥッと苦しい。奥に隠している自身の恋心がドクドクと脈打って、確かな存在を感じるのに、締め付けられるような苦しさ。あんなに告白されているんだから、春樹が好きだと伝えれば、きっと成就するだろうに。何を迷っているんだろう。早く告白してしまえば良いのに。

「もし付き合うようになったら、今より春樹との時間が減るんだろうな」

当たり前だ。きっと彼女とデートするだろうし、彼女との思い出を作るに決まっている。春樹の隣にいるのが、俺じゃなくて彼女になっていくんだろう。

「はぁっ……」

もしもの未来を想像して、思わず凹んだ。

(春樹の隣は、ずっと俺だったら良いのに)

凹んだままの頭と気持ちは、更に未来。選ばれた、永遠を誓った人しか隣に立てないところまで想像してしまったわけで。

(俺って、こんなに妄想する力あったのか)

他人事のように思いながら、ズビッと鼻をすすり。目頭が熱くなって、少しだけ泣いた。

(春樹)

(春樹、好きだ)

その日見た夢は、気持ちに反して小さい頃。

『葵、行くぞ』

俺の前に立って、手を差し伸べて。今でも変わらない満面の笑みを浮かべる春樹がいて。同じく小さい子供の姿をした俺は、春樹の手を取る。

『待って、春樹』

『わっ……! 葵?』

『春樹、俺な。春樹のこと、好きだぞ?』

『本当?嬉しい。俺も葵のことが好き。いや、違うな。俺は大好きだ!』

キャッキャと楽しかった思い出に、とぷんと落ちるように。傷心の傷を癒す懐かしい夢だった。

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